ゴジラ vs ポプ子   作:外清内ダク

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最終話 Gポプチン大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ!

 

 

 暗い部屋の中。

 

 矢口蘭堂が、赤いスーツを着てイスに腰かけている。

 

 

「さて、みなさん……

 いよいよお別れの時がやってまいりました。

 

 私には、もう何も説明すべきことは残されていません。

 

 

 そう!!

 これが最後のポプテピファイト!!!

 

 

 みなさんご一緒にィーっ

 

 レディ・ゴーッ!!!

 

 

   *

 

 

最終話

 

G(ゴッド)ポプチン大勝利!

希望の未来へレディ・ゴーッ!

 

 

   *

 

 

 ポプ子は、全速力で走っていた。

 突如として変身をとげた、ゴジラ最終形態のもとへ。

 そして、ピピ美のもとへ。

 

「待ってて! ピピ美ちゃんッ!!

 今、私がァァァァァア!

 行く!

  行く……!(残響)

   行く……!(残響)

    行く……!(残響)

     行く……!(残響)

      行く……!(残響)

       行く……!(残響)

        行く……!(残響)

         行く……!(残響)

 

 行くッ!!(迫真)

 

 

 

   *

 

 

 

 ピクッ。

 

 ピピ美の顔が、わずかに震えた。

 

 ピピ美は、ポプ子の声を拒絶するように、首を振り、ゴジラにそっと手を触れた。

 

「行こう、ゴジラ。

 何もかもぶち壊して――新世界へ!」

 

 

 ゴジラが吠えた。

 ゴジラは、全身から赤熱した炎をまき散らし、その後、忽然と姿を消した。

 

 

   *

 

 

 東京都立川市。

 立川災害対策本部予備施設。

 

 巨災対は、予想外の事態に混乱していた。

 ずっとモニターを見守っていた官僚たちが、状況が急変するや、情報収集に駆け回りはじめる。

 

 これほどの事態でもパニックを起こさないのはさすがだったが、そんな彼らでさえ、焦りと恐怖を隠すことはできなかった。

 

 

「ゴジラがさらに形態変化!」

「放射線量観測メーター、計測不能を示しています!」

 

「凝固剤が効かなかったのか?」

「逆だ。凝固剤が効いたために生体原子炉が暴走を始めた。だがメルトダウンを防ぐリミッターをゴジラ自ら解除したんだ!」

 

「つまり、捨て身の攻撃ってわけですか!?」

 

「これではゴジラ自身の肉体も早晩崩壊する……

 だが、それまでにとんでもない被害が出るぞ!」

 

「まさに最終形態か!

 

 関係省庁に連絡急げ! 住人にはなるべく地下かコンクリの建物に隠れるように! とにかく遮蔽を取らせるんだ! 日本中……いや世界中のどこが襲われるか分からんぞ!」

 

 

 その矢先。

 外から悲鳴が聞こえた。

 

 一同が窓にはりつく。

 

 

 頭上を埋める真紅の巨人。

 その手のひらにたたずむ少女。

 

 瞬間移動で現れたのだ。

 

 ――ゴジラとピピ美!

 

 

「なぎはらえ」

 

 ゴジラの口から放たれた放射線流が、一瞬にしてあたりの全てを蒸発させた。

 

 

 森文哉

 志村祐介

 尾頭ヒロミ

 立川始

 安田龍彦

 小松原潤

 竹尾保

 袖原泰司

 間邦夫

 根岸達也

 町田一晃

 泉修一

 

 他、巨大不明生物特設災害対策本部構成員、関係者等。

 

 全員、死亡。

 

 

   *

 

 

 アメリカ合衆国、ニューヨーク州、ハドソン川河口付近。

 ゴジラとピピ美が上空に出現。

 マンハッタン島全域、消失。

 

 

 続いてイングランド、ロンドン。

 ゴジラの放射線流によってクレーター化した後、海水が流入。

 北海に繋がり、ゴルゴ湾となる。

 

 

 そしてブラジル、アマゾン熱帯雨林。

 灰燼に帰す。

 これによって、地球の酸素供給量は激減し、全生命体の絶滅――世界の亡失(ロストワールド)が確定した。

 

 

   *

 

 

 日本

 神奈川県足柄下郡箱根町。

 金時山観測所(仮設)跡。

 

 

 ゴジラ暴走の余波で崩壊した観測台。

 矢口蘭堂は、そのそばで倒れていた。

 

 矢口蘭堂がうめき、目を覚ます。

 

 

 近くに座り込んでいたポプ子が、声をかける。

「よう。お目覚めかい?」

 

 矢口蘭堂、痛みをこらえて起き上がる。

「ゴジラはどうなりました!?」

 

 

 ポプ子が、スマホをホイッと投げ渡す。

 画面には、世界中の惨事を知らせるTweetが、猛烈な勢いで流れていた。

 やがて、それも止まった。

 Twitterがサーバーダウンしたのだ。

 

 

 矢口蘭堂、膝から崩れ落ちる。

「なんてことだ……」

 

 

 ポプ子は、落ち着いて釘バットと銃の手入れをしていたが、銃にジャキッッ! とマガジンを差し込んで、立ち上がった。

 

「矢口さん。

 ヘリ1台、都合つけてくれ」

 

 

 矢口蘭堂、信じられない、という目でポプ子を見る。

「まさか……ポプ子さん!

 戦う気なのか!?」

 

 ポプ子はまだ、いつもの、静かな闘志に満ちた目をしている。

「矢口さん……あんたには感謝してる。

 でもよ。これだけは、ワガママ言わせてくれや」

 

 

「断じて受け入れられない!

 ゴジラ最終形態は、もはや人にどうにかできるレベルを越えている。

 あなたは強い。だが神じゃない。魔物でもない。あたりまえの人間なんだ!

 とうてい勝てるわけがない!

 

 なのに……

 どこへ行くんだ?

 なんで行くんだ?

 わざわざ命を捨てに行くってわけか!?」

 

 

 ポプ子。

 水のように澄んだ、微笑みを浮かべる。

 

 

「死にに行くわけじゃない。

 ――私がホントに生きてるかどうか、確かめに行くんだ」

 

 

   *

 

 

 東京都心。

 現在は、一面の荒野と化した場所。

 

 その中心に、燃え盛るゴジラと、その手の上のピピ美だけが、静かにたたずんでいた。

 

 

 ゴジラの前に、人影が現れた。

 

 ポプ子だ。

 

 

 ピピ美、ポプ子を見ると、ニヤリと笑う。

「ようやく目が覚めたか。

 いつか言ったはずだ、ポプ子。

 おまえを殺せるのは、私だけだと」

 

 ポプ子、笑い返す。

「そのままお前に返すぜ、ピピ美」

 

 

 一瞬の静寂。

 

 その後、ゴジラが放射線流を放った。

 

 地面が裂け、岩盤がめくれあがって岩山と化す。

 

 ポプ子は、横に跳んで放射線流を避け、そり上がる岩盤の上を走った。

 狙いは一直線、ピピ美。

 

 

 ポプ子が岩盤の頂点からジャンプ。

 ピピ美に向かって釘バットを振り下ろす。

 

 しかしピピ美は舞空術でポプ子の頭上を飛び越え、背後から放射線流を吐いた。

 

 ポプ子はゴジラの腕を蹴り、横に跳んで避けた。

 

 その軌道を狙って、今度はゴジラ本体から放射線流が飛んでくる。

 ポプ子が空中で身をひねってかわすと、さらにピピ美からも砲撃。

 ゴジラとピピ美は、絶妙なコンビネーションで、たえまなく十字砲火を浴びせてくる。

 

 ポプ子はゴジラの身体を蹴り、岩山に飛び移り、次々に粉砕され弾け飛ぶ岩盤を盾にして、なんとか攻撃の雨を避け続ける。

 

 

 ピピ美は容赦なくポプ子を追い込みながら、叫んだ。

 

「さあ、ポプ子!

 

 呪文を唱えろ!

 プライマルアーマーを張れ!

 怒りの力で都合よく潜在能力か何か覚醒させるがいい!

 

 みんなやってることだ、何が悪い!?

 

 コドモになれよ!

 ネタをパクれよ!

 オリジナリティなんか捨ててしまえ!」

 

 

 ポプ子は応えた。

「そんなことはどうでもいい!」

 

 

 ピピ美、キレた!!

「なんだァ? てめェ……

 ならば!! 死ね―――――ッ!!」

 

 

 ピピ美が、全力全開の放射線流を吐く!

 極太のビームが、岩の盾ごとポプ子を飲み込んでいく!

 

 ポプ子は――静かにつぶやいた。

「ようやく気づいたんだ。

 師匠が言ってたことの、本当の意味。

 

 私のオリジナリティ、それは――!」

 

 

 爆発!!

 

 

   *

 

 

 爆発の閃光が、おさまる。

 

 ピピ美は、静かに空中に浮遊している。

 ポプ子が消し飛んでしまったあとを、虚しく見つめながら。

 

「ポプ子……」

 

 

 が。

 そのとき。

 

 

 ピピ美の背後から、返事があった。

「はーい♡」

 

 ポプ子!!

 

 一体いつの間に背後に回り込んだのか?

 ピピ美は、ハッ、と気づいて“(ギョウ)”をした。

 

 ポプ子の手から伸びたオーラが、ピピ美の背中に貼り付いている。

 

 

 ――“伸縮自在の愛(バンジーガム)”!!

 

 変化系の念能力!

 “伸縮自在の愛(バンジーガム)”は、ガムとゴムの性質をあわせもつ!

 

 これをピピ美に貼り付けておいて、砲撃の瞬間、閃光にまぎれて収縮させたのだ!

 

 

 ポプ子の手が伸びる。

 

 ピピ美は、攻撃が来ると考えて、反射的に放射線流を吐き出した。

 

 が。

 ポプ子の手は、ピピ美を攻撃などしなかった。

 

 ただ。

 ピピ美の頭から――1()()()()()()()()()()のだった。

 

「はは……やっぱりな。

 ゴジラの野郎、こんなもん差し込んでやがった。

 ピピ美ちゃんの頭の中にさ」

 

 

 ピピ美が、目を見開く。

 ――洗脳の針……だと!?

 

 

 針を抜かれたとたん、いままでどんよりと雲におおわれていたピピ美の意識が、一気に晴れていった。

 昔の自分が、ポプ子への素直な気持ちが、せきを切ったように蘇ってくる。

 ピピ味は正気に戻った!

 

 しかし、ポプ子に向けてすでに吐き出してしまった放射線流は、止められない。

 

 

 ――ダメだ! 止まれ!!

 

 

 ピピ美の願いもむなしく。

 ポプ子の胸を、ビームが貫いた!

 

 

「ポプ子ちゃん!!!」

 

 

   *

 

 

 ポプ子は、ピピ美の思考が歪められていることに、前々から気づいていた。

 ピピ美はただ蘇っただけではない。ゴジラによって、頭脳を操作されているはずだ、と考えた。

 

 だから、はじめから、ピピ美の洗脳を解くことだけを狙っていたのだ。

 たとえ自分が犠牲になったとしても。

 

 

「パクりでも、クソと言われても、かまわない。

 

 でもピピ美ちゃんだけは、絶対に助ける!

 それが私の……オリジナリティだ……!」

 

 ポプ子は、血を吐きながら、ウィンクした。

 

「えへへ……怒った?」

 

 そのまま――ポプ子は落下した。

 力を。

 命を。

 自分の持つ全てを――使い果たして。

 

 

 そして、ピピ美は。

 

「……ったぞ……」

 

 ピピ美の目に、炎が灯った!!

 

「怒ったぞ―――――っ!!!!!」

 

 

 ちょうどその時、ゴジラが異変を感じて、無差別攻撃を開始した!

 洗脳が解けた以上、ピピ美は、ゴジラにとって危険な敵でしかない。

 先手を打って叩き潰すつもりなのだ。

 

 ピピ美は、舞空術で真下に向かって飛んだ。

 雨あられと降り注ぐ放射線流を、かいくぐり、受け流し、時には正面から弾き飛ばして、まっすぐに、ポプ子を追う。

 

 ポプ子に追いつき、冷たくなった身体を抱きしめ、その耳元でささやく。

 

「ひとりで死ぬなんて許さない!

 ポプ子がいなきゃ……私が生きてたってしょうがないじゃないか!!」

 

 

 そのとき、肌を通じて、ピピ美に小さな振動が伝わった。

 

 鼓動?

 馬鹿な! ポプ子は完全に死んでいたのに――

 

 ――まさか! 死後に強まる念!!

 

 

 そう。ポプ子はただ死んだわけではなかった。

 ピピ美を助け、自分も生き残るために、賭けに打って出たのだ。

 

 

 ――どうせ死ぬなら……試してみるか♥

   (ゴム)よ!!

   私が死んだ後蘇り!!!

   心臓と!! 肺を!!

   収縮(愛撫)せよ!!!

 

 

 ドクン!!

 

 ポプ子の身体が脈打ち、パッチリと目を開いた!

 

「やあピピ美ちゃん♥

 私、今ちゃんと死んでた?」

「完全に死んでたよ♡」

「そっかー♡」

 

 

 そこへ。

 ゴジラからの放射線流が直撃した!!

 

 

「プライマルアーマー展開!!」

「ATフィールド全開!!」

 

 

 ビキィィィィン!!

 

 

 二重に張られたバリアによって、ゴジラ最終形態の、大陸さえ蒸発させる放射線流が、かき消された!!

 

 

 ポプ子と。

 ピピ美は。

 背中合わせに地面に降り立ち。

 

 ゴジラを見上げ、睨みつける。

 

「「あとは、あいつを()るだけだ!!」」

 

 

 ピピ美がゴジラの足元へダッシュ!

 そして、

 

 ↙(タメ) ↘ ↙ ↗ P(パンチィ!)

「ピピ美NWOBHM(ノーボム)!!!」

 

 

 飛び上がりざまにピピ美が繰り出した衝撃波が、ゴジラを直撃した!

 よろめくゴジラの背中側に、今度はポプ子が回り込む!

 

 

「超必殺!」

 → ↓ ↘ PPP

「メガポプ子対空ゥ!!」

 

 

 ドッゴォォッッ!!

 

 ポプ子が放ったジャンピングアッパーが、ゴジラの背骨を完全にとらえた!

 その姿はさながら昇り龍!!

 

 

 ゴジラも負けてはいない。

 空中に飛び上がり、無敵時間も終わってしまい、無防備となったポプ子。

 そこを狙って、尻尾でなぎ払いをかける。

 

 

 岩山そのもののような巨大な尻尾が、ポプ子に叩きつけられた。

 

「ぐえっ!」

 

 そのまま、ゴジラは尻尾でポプ子を地面に押し潰そうとする!

 

 

 窮地からポプ子を救ったのは、ピピ美。

天派(てんぱ)! 流星気散弾(りゅうせいきさんだん)!!」

 

 ピピ美の手から、数えきれないほどの光弾が一気に放出され、ゴジラの頭を横から襲う!

 

 

 大爆発!

 

 

 一瞬、尻尾が緩んだ隙に、ポプ子が跳躍。

 ゴジラの鼻先に飛び上がる。

「アーバン(りゅう)……空中連撃(くうちゅーれんげき)!!!」

 

 嵐のように繰り出された拳が、ゴジラを滅多打ちにする!

 

 

 さすがのゴジラも、これにはひるんだ。

 

 

 それを見逃すポプ子とピピ美ではない!

 地上におりたふたりは、顔を見合わせうなずきあう。

 

「好機!!」

「承知!!」

 

 

「七星ェー双破斬!!」

「気功掌! 気功掌! 気功掌! 気功掌!」

空中六連蹴り(ロミオマストダイ)!!」

「ドス竜―――――!!!」

「魔法剣キラキラ おやじの剣!!」

「長い声のネコ!!」

「火輪斬術雷戦段!! 連環重雷爆鎖炮!!」

「ちくわ大明神」

「『ついてこれないスピード』っていうのは――こういうのを言うんだ(零距離射撃)」

「トルネード眼魔砲(ガンマほう)!! 失せろォーッツ!!」

「チャッピー、エサ!」

「わーう♡」

 

 息もつかせぬ連続攻撃!

 ゴジラが悲鳴をあげる。

 

 

 そのとき、ゴジラの全身から、爆発のようにエネルギーがほとばしった!

 

「わあ!」

「ほんがらげーっ!!」

 

 

 ポプ子とピピ美が吹き飛ばされる。

 

 

 ついにゴジラは、体内に残った全ての力を、口に集中させはじめた。

 凄まじいエネルギー! チャージの余波だけで日本列島が震えだす。

 

 あのゴジラが、全身全霊をかけて放つ、最大最強出力の放射線流!

 おそらく――直撃すれば、地球そのものが崩壊する!!

 

 

 ポプ子とピピ美は。

 すっくと立ち上がり、並んで、ゴジラを見上げた。

 

 

 ピピ美が、ニヤリと笑い、心からの称賛を口にした。

 

「ゴジラ……すごいやつだ。

 ここまでのエネルギーを秘めてるなんてな。

 映画化したら、興収80億、円盤合計10万枚は行くに違いない……」

 

「はー。私らが主演したことになんねーかなー」

「それな」

 

 

 ポプ子とピピ美は、声を合わせて笑った。

 一緒に笑い合える日がまた来た。その喜びを噛みしめながら。

 

 

 ピピ美が腰に手を当てる。

「さーて。どうやって勝つ?」

 

 

 ポプ子がポツリとつぶやいた。

「たしか、この丘だったんだよね……」

「え?」

「ちゃんとした宇宙船に乗ってこなかったばかりに、こんな所に落ちちゃった。

 

 何回も何回もテストに失敗してやっとここまで来たんだ。

 そのおかげで、この国の国務大臣に会えたけどね」

 

 

 ポプ子が、()()に視線を送る。

「おい……そろそろ目を覚ましてくれないか!?」

 

 

   *

 

 

 地下で。

 

 グワッ……

 

 巨大な目が……開く。

 

 

   *

 

 

 フィフィフィフィフィフィ……

 

 

 ピピ美が驚愕する。

「!!

 こ……この音……」

 

 

 ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ

 フイイイイイン

 ズゴゴゴゴ(ドコッ)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 バリバリバリッ

 

 

「行くよ。乗って!」

 

 

 地下から。

 巨大な――人の形をした()()が、立ち上がる。

 

 両腰に()いた二振りの実剣(スパイド)

 肩に背負った、二つ折りの巨砲(バスターランチャー)

 そして――全身をあますところなく覆う、金色(こんじき)の装甲板。

 

 

 次元を引き裂くかのようなエンジン音を響かせて、ゆっくりと身を起こす、その姿は、まるで――

 

 

 黄金の

 電気騎士!!

 

 

 MH(モーターヘッド)ナイト・オブ・ゴールド!

 惑星デルタ・ベルンを牛耳る光の神アマテラスが創り出した巨大ロボット。

 いや、巨大ロボットなどという枠におさまらない、神そのものの力を持つ究極の神機!!

 

 

 星団最強の存在が、今――ゴジラの前に……立った!!

 

 

 ポプ子は胸部コクピットに乗り込み、同じく頭部コクピットに入ったピピ美に通信を送る。

「ピピ美ちゃん、こいつは私でさえコントロールできなかったんだ。注意して!」

「わかった」

 

 

 一方、ゴジラは本能で悟っていた。

 目の前にいる、この黄金の巨人は、ただの機械などではない。

 人の技術をはるかに超越した魔物――あるいは神そのものなのだと!

 

 ゆえにゴジラは、迷わずナイト・オブ・ゴールドに狙いを定めた。

 最強最大の敵を、焼き尽くすために。

 

 

 ピピ美がそれを察知する。

「ポプ子! バスターロックだ!」

「なに、こっちにだってあるさ」

 

 ナイト・オブ・ゴールドが、肩の巨砲(バスターランチャー)を展開した!

 

「エネルギーチャンバー内で正常に加圧中!」

「ライフリング回転開始」

「シアーの開放タイミングは私が!

 トリガーをそちらに!」

「わかった!」

 

「「当たれえ!!」」

 

 

 

 ゴジラの最終放射線流と。

 ナイト・オブ・ゴールドの超破壊兵器が。

 

 東京の空で、激突した!!!

 

 

 カッ!!!

 

 

 

   *

 

 

 爆発の余波が、時空をひずませる。

 そのために、空は、ゆらゆらと揺らめいて見える。

 

 

「ゴジラは……?」

 

 

 余波が収まり、朝日がのぼり、洗浄を明るく照らし出す。

 巨大不明生物の姿は――ない。

 

 

「目標、完全に沈黙――」

 

 

 ポプ子とピピ美は、コックピットを飛び出した。

 空中で、ふたりは固く抱きしめあった。

 

 

「「勝利だ―――――っ!!」」

 

 

(エピローグに、つづく)




※本日6/2 18:32にエピローグを更新します。
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