ゴジラ vs ポプ子   作:外清内ダク

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5.ゴジラ vs ポプ子 (前編)

 

 

「ゴジラ vs ポプ子」が、日間ランキング最高24位を取りました。

(2018年4月18日現在)

 

 

 ポプ子はゴキゲンだ。

「とってまうわー。

 とってまうわー。

 完全に日間1位(てっぺん)とる流れやわコレ~~!」

 

 

 その微笑ましい姿を、物陰から、ピピ美が見守っている。

「フフ……」

 

 

   *

 

 

 ~3日前~

 

 ピピ美、音もなく読者の背後に()()した。

「貴様……読んだな?」

 

 読者ビビる。

「アッハイ」

 

 

 ピピ美が距離を詰める。

「『10点』だ……わかるな?」

「ハ……ハイッ……」

 

 距離を詰める。

「『感想』も入れろ……いいな?」

「ヒ……ハイッ……!」

 

 もう零距離だ。

「そしてなにより……

 『推薦』を書け

 『推薦』を書け!!

 

「ヒイイッ!!」

 

 

   *

 

 

 ピピ美は回想を終えた。

 

 ポプ子が駆け寄ってくる。

「ねえねえ!

 日間1位(てっぺん)とれるかな!?

 日間1位(てっぺん)とれるかな!?」

 

 

 ピピ美、力強く拳を握って見せた。

絶対(ぜってー)とれる」

「ヤッター!」

 

 

 

 

作:闇鴉慎

 

 

 

 地球。

 

 日本国、東京都心――であった場所。

 今ではもう、見わたすかぎりの荒野でしかない。

 

 その上空に、フラフラと蛇行する宇宙船の姿がある。

 

「わ!

 わっ。

 あれ!

 ちょっと!

 

 やっだ~~~っ。

 うっそお~~っ。

 いや~~ん!

 

 で~~っ!」

 

 宇宙船が墜落した。

 

 墜落地点。

 土砂の中から、ボコッ、とポプ子がはい出てくる。

 

「やれやれ……

 あと少しっていうところなのに。()()()め……

 

 でも」

 

 ポプ子が空を見上げる。

 地球に接近し、今では肉眼でもとらえられるまでになった、白い六角形の傘。

 

「帰ってきたぞ――ゴジラ!」

 

 

   *

 

 

 日本全域で、人々は息を潜めていた。

 テレビから、動画サイトから、防災無線から、くちぐちに警告がもたらされる。

 

『今夜、午前0時より未明にかけて、巨大不明生物ゴジラへの核攻撃にともなって、全国で大規模な電波障害があります。

 皆様のご協力をお願いします。

 なお、この攻撃による地上への放射能汚染はありません。

 

 繰り返します。

 今夜、午前0時より未明にかけて……』

 

 

 一方。

 

 地上のゴジラ墜落予想地点。

 張りつめた静寂の中、自衛隊と米軍が展開している。

 

 万が一、核攻撃が失敗したときに備えて、待機しているのだ。

 

 

 さらに。

 

 立川災害対策本部予備施設では、矢口蘭堂以下、巨災対メンバーたちが、息を飲んでモニタの映像に見入っている。

 

「ピピ美さんの犠牲で得た、一回きりのチャンスだ。

 頼む……これで決まってくれ……!」

 

 

   *

 

 

 

 地上から遠く離れた、宇宙の暗闇の中に――

 

 白く長い円筒の姿がある。

 

 核弾頭を搭載したロケットだ。

 

 

 雑音混じりのオペレーションが聞こえる。

 

 

「――ポッド2’、不帰投点を通過。エリア88に侵入」

「了解。これよりトモダチ作戦を開始」

「了解。ポッド2’、作戦最終軌道に投入開始。

 減速行動に移る」

「第3段、全エンジンを点火。燃焼を開始」

 

 燃焼。

 

「キャスター30、燃焼終了。減速を開始」

「第3段、ブースターユニットをジェットソン」

「分離を確認。電装系をチェック。異常なし――」

 

 淡々と、しかし確実に、核弾頭は計算どおりの軌道遷移をこなしていく。

 その結果、ついに、搭載されたカメラに、ゴジラの姿が映し出された。

 

「目標物発見!」

 

 白い巨大な日傘のような姿になったゴジラ。

 

 冷静なオペレーションの中に、わずかな緊張の色が交じる。

「ポッド2’、交差軌道への遷移スタート」

 

 核弾頭がゴジラへ吸い込まれるように近付いていく。

 綿密な計算と、確かな技術力によって、核弾頭はゴジラに直撃する軌道に乗ったのだ。

 

「ランデブーまで10秒。

 ……8……7……」

 

 そのとき。

 

 オペレーターが悲鳴を上げた。

「目標に異常発生!」

 

 

 突如、ゴジラの白い傘が前面に向かって折りたたまれ、弾けた。

 傘を前に向かって爆破、分離したのだ。

 

 その反作用によって、ゴジラ本体に強烈な減速がかかる。

 つまり――

 

「目標物の軌道が変わります!」

「2’、予定座標に到達するもランデブー失敗!」

「核弾頭起爆!」

「了解。起爆しました!」

 

 

   *

 

 

 地上。

 日本中の人々が、不安げに上を見上げている。

 

 

 夜空が、猛烈な放射線によるオーロラで血赤色に染まった。

 

 そして、血染めの空を突き破るようにして、黒い影が落ちてくる。

 

 ゴジラだ。

 直前で軌道を変えることにより、核弾頭の直撃を回避したのだ。

 

 

「核攻撃失敗!

 ゴジラの軌道が変わった!

 落下予測地点の修正は間に合わない。各自対応を……」

 

 その通信が終わるより早く、すさまじい轟音と振動が日本列島を揺るがした。

 

 落下地点は伊豆半島芦ノ湖周辺。

 落下の衝撃で山がひとつ消し飛び、大量の岩の雨となって周囲を襲った。

 

 なすすべもなく、周辺の街が土砂に押し潰されていく。

 

 

 米軍と自衛隊はすぐさま行動を開始した。

 核攻撃が失敗した場合の代替案は、敵射程外から無人機とミサイルによる飽和攻撃だ。

 

 こんなものではゴジラを倒せない。

 それは先の戦闘で証明済み。

 

 だが、エネルギーを使い果たさせればしばらく動きを止めることはできるはずだ。

 

 

 無数の飛行物がゴジラに殺到し、その全てが放射線流によって撃墜された。

 攻撃は休みなく、夜通し続けられた。

 

 それでもゴジラの足は止まらない。

 山を踏み分け、街をもみ潰し、攻撃をものともせず、再び東京へ戻らんと歩き続ける。

 

 いよいよ、米軍の物量さえ尽きようとした――そのとき。

 

 

   *

 

 

 ゴジラの進路の先。

 高いビルの屋上。

 

 そこに、少女の影が現れた。

 ポプ子だ!

 

   ――四界の闇を統べる王

   汝の欠片(かけら)(えにし)に従い

   汝ら全員(すべて)の力もて

   我にさらなる魔力(ちから)を与えよ

 

   ――黄昏よりも(くら)きもの

   血の流れより(あか)きもの

   時の流れに(うず)もれし

   偉大な汝の名において

   我ここに 闇に誓わん

   我等が前に立ち塞がりし

   全ての愚かなるものに

   我と汝が力もて

   等しく滅びを与えんことを

 

 

竜破斬(ドラグ・スレイブ)!」

 

 

 赤い閃光が少女の手から放たれ、ゴジラに収束する。

 

 次の瞬間。

 凄まじい大爆発がゴジラを飲み込んだ!

 

 かつての術とは比べ物にならない威力……

 これが、修行を終えたポプ子の力なのだ。

 

 

 だが、ゴジラは死んではいない。

 炎の中で、もがき苦しみながら、それでもポプ子に向かって進んでくる。

 

 

「そらそうやろ。

 この程度で倒せるとは思ってへんわ」

 

 ククッ、とポプ子が嬉しそうに笑う。

 こうでなければ、()りがいがない。

 

 

 バシッ!!

 ポプ子が、中指()てる。

 

「来いよゴジラ!

 遠慮なんか捨ててかかってこい!!」

 

 

 それに応えるかのように。

 ゴジラの咆哮が、天地を引き裂かんばかりに響き渡った!!

 

 

(つづく)

 

 

 

■次回予告■

 

 私、星降そそぐ。

 

 信じられない。

 ずっと私たちが戦ってきた、傭兵アイドル……

 

 私、あなたの声を知ってる。

 あなたの背中も。

 あなたのしぐさも。

 私、みんな知ってる!

 

 そんな……まさか……

 私たちの敵が、あなただったなんて!

 

 

次回、

 

“星色ガールドロップ project-P”

第6星「大地、堕ちた先に」

 

 来週も、恋に……ドロップなんて、できないよお!

 

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