ポプ子が走ってくる。
「見て見てー!
日間ランキング10位!
日間ランキング(加点式)6位!
週間ランキング(その他原作)3位ー!」
私は、拍手でそれを迎え入れる。
「オー、マジェースティーック」
ポプ子はポプ子だ。
夢の中でさえも。
でも――
――夢?
ここは?
今、ポプ子を迎え入れた人――これは誰?
私……?
私は……誰?
ゴジラとポプ子の決戦が始まった。
ゴジラの口に青白い光が溜まり、放射線流が放たれる。
ポプ子が飛ぶ。
ビルから飛び降り、壁を蹴って真下に駆け下り、放射線流の着弾点を引き離す。
放射線流がポプ子の動きを猛追し、彼女の背後のビルを、アメのように融かして粉砕していく。
放射線流がポプ子に追いつく。
もはや逃げられない――と思われた、その時。
クイックブースト!
ドヒャア!!
ポプ子の背から謎の無害な粒子があふれ出て、一瞬にして、彼女の身体を超音速まで加速した!
加速時間はわずか0.3秒。
最高速度は実に4000km/h!
恐るべき速度のために、ポプ子の身体がかき消えたかに見えた。
遠目に見ていたゴジラにさえその動きは追いきれず、放射線流は見当違いの方向に流れていく。
ドヒャア!! ドヒャア!!
ポプ子は、連続クイックブーストで周囲の障害物をなぎ倒しながら、息つく暇も与えぬままに、ゴジラの足元まで肉薄した。
そして、
「光よ!」
ポプ子の咆哮に答え、彼女の手の中の
光の釘バット――
ポプ子の斬撃がゴジラの皮膚を切り裂く。
戦車砲の直撃さえ無傷で耐えきった、あの分厚い皮膚をだ。
ゴジラが痛みのために絶叫し、足を持ち上げ、ポプ子を踏み潰しにかかる。
しかしポプ子はすぐさまクイックブースト。
超音速でその場を離れ、ゴジラの軸足の方へ移動する。
「
『ザ・
ガオン!!
ゴジラの足の
片足を上げた状態で、体重をかけていた地面が無くなったのだ。
当然、ゴジラはまともにバランスを崩した。
その巨体が災いして、一度崩れた体勢を立て直すことは――不可能!
ゴジラが横倒しに倒れる。
倒れながらゴジラは、苦し紛れに放射線流を撃つ。
しかしそんなものが、今のポプ子に当たるはずがない。
ポプ子は舞空術で上空に舞い上がりながら、クイックブーストをたくみに混ぜて、対空射撃の間をくぐり抜けていく。
眼下にゴジラを見下ろせるところまで来ると、右手を下に突き出した。
「くらえ!!
こいつが
ビッグ・バン・アタックだ!!!」
ズァオッ!!!
すさましい大爆発が巻き起こり、周囲の地形ごと完全にゴジラを飲み込んだ!
爆発の光が、空を昼間のように明るく染め上げる。
あたりには煙がもうもうと立ち込め、1m先を見通すこともできない。
ポプ子は空中にジッととどまったまま、ゴジラのいた方をにらみ続けていた。
なにしろ、あのゴジラだ。
ダメージを与えた自信はあるが、油断できる相手ではない。
そのとき、ポプ子のポケットの中でスマホが鳴り出した。
誰やこんなときに、と思いながら電話に出る。
『もしもし! ポプ子さんですね。
私は矢口。巨災対の矢口蘭堂です』
「なんやお前」
『ポプ子さんのおかげでゴジラの動きを止められました。
我々には、ゴジラを凍結させる薬品の用意があります。あとは任せてください』
「ア゛ァ゛ン!?」
ちら、と下を見ると、たくさんのコンクリートポンプ車が、ゴジラに向かって走っていた。
「手出ししてんじゃねぇぇえええ!!」
『落ち着いて! 味方です!』
「あれは私の獲物だァァアアア!!」
そこでポプ子、ハッと気づいた。
ゴジラが身動きして、コンクリートポンプ車に放射線流を撃とうとしている!
このままではポンプ車が危ない。
「チィイ!」
ポプ子は舌打ちしながら『ザ・
ガオォン!
コンクリートポンプ車の前の空間をけずり取り、放射線流の向きを自分の方に引き寄せる。
放射線流がポプ子を直撃した。
だが、ポプ子の周囲には、謎の無害な粒子のバリア――プライマルアーマーが展開されている。
プライマルアーマーは、ギリギリのところで放射線流を防ぎきった。
「フゥー……」
『ポプ子さん、危険だ!
いったん下がってください!』
「引っこんどれ!
ワイはアイツを
スマホを投げ捨て、ポプ子は一直線にゴジラへ飛んだ。
飛びながら呪文を詠唱する。
ゴジラはあれだけの攻撃にも耐えた。
もはや手段を選んではいられない。
もし制御に失敗すれば、巻きぞえで世界さえ滅ぼしかねない――最凶最悪の必殺呪文でケリをつける!
――闇よりもなお昏きもの
夜よりもなお深きもの
混沌の海にたゆたいし
と。
呪文の途中で、ポプ子は眉をひそめた。
転んだゴジラ。
その尻尾の先端あたりで、何か小さなものが動いたように見えたのだ。
さらに。
――撃つな。
誰かの声が、頭の中に響いた――気がした。
ポプ子は頭を振って、よけいな雑念を追い払った。
ただでさえ制御の難しい呪文なのだ。気を散らしている余裕はない。
――我ここに 汝に願う
我ここに汝に誓う
我が前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに
我と汝が力もて
等しく滅びを与えんことを!
「
次の瞬間。
「
ゴガァアア!!
突如、ポプ子の首の後ろに、ハンマーでぶん殴られたのような衝撃が走った!
いや、ハンマーどころではない。
ポプ子のプライマルアーマーさえ貫き、ポプ子の身体を上空から地面に叩きつけるほどの威力。
ポプ子は一直線に落下し、正面から地面にめり込んだ。
周囲にクレーターができる。
激痛のために、呼吸さえ一瞬止まってしまう。
――なんだ!?
ポプ子、痛みをこらえて立ち上がり、上空を見上げる。
そして、言葉を失った。
手刀を首の前に構えた少女。
いまのが、ただの手刀だったというのか!?
いや、それよりも。
「まさか……君は……!」
空中の少女が、おでこに指を当てる。
ピシュン!
と彼女の姿が消え、今度はゴジラの身体の上に現れる。
瞬間移動。あの子の得意技だ。
まちがいない。
見まちがえるはずがない。
ポプ子の目に。
じわり、と。
涙がにじみ出た。
生きてたんだ。
無事だったんだ。
生きていてくれたんだ!
「
そう、それはピピ美だった!
ポプ子がピピ美の胸に飛び込んでいく。
が。
「か―――――っ!!!」
ピピ美の口から青白い光線が放たれた。
放射線流だ!!
ポプ子はまともにそれを浴びた。
さきほどの手刀でプライマルアーマーも破られたばかり。
ろくに防御もできないまま、ポプ子は身体を焼かれながら、背後に吹き飛ばされた。
全身焼け焦げ、倒れたポプ子。
震えながら顔を上げ、苦しげにうったえかける。
「ピピ美ちゃん……
どうして……!?」
ポプ子の見る前で、ゴジラがゆっくりと立ち上がる。
その手のひらの上に、ピピ美は静かに立っている。
長い藍色の髪が、夜風に流され、顔にまとわりつく。
ピピ美、それを優雅になでつけて――冷たく一言。
「――悪堕ちしたわ」
(つづく)
■次回予告■
私は何か・・・されたようだ・・・
・・・人間でなくなってしまった・・・
ムラクモを・・・列車を・・・襲撃したい・・・
これ以上手術を・・・
解放・・・されたい・・・
協力してくれ・・・