ゴジラ vs ポプ子   作:外清内ダク

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6.ゴジラ vs ポプ子(後編)

 

 ポプ子が走ってくる。

「見て見てー!

 日間ランキング10位!

 日間ランキング(加点式)6位!

 週間ランキング(その他原作)3位ー!」

 

 

 私は、拍手でそれを迎え入れる。

「オー、マジェースティーック」

 

 ポプ子はポプ子だ。

 夢の中でさえも。

 

 でも――

 

 

(映像の乱れ)

 

 ――夢?

 

 

(認識の不整)

 

 ここは?

 

 

(記憶の混乱)

 

 今、ポプ子を迎え入れた人――これは誰?

 

 

 私……?

 

 私は……誰?

 

 

 

ヴ繝斐ャ繧ッ

 

 

 

作:闇鴉慎

 

 

 

 

 ゴジラとポプ子の決戦が始まった。

 

 

 ゴジラの口に青白い光が溜まり、放射線流が放たれる。

 

 ポプ子が飛ぶ。

 ビルから飛び降り、壁を蹴って真下に駆け下り、放射線流の着弾点を引き離す。

 放射線流がポプ子の動きを猛追し、彼女の背後のビルを、アメのように融かして粉砕していく。

 

 放射線流がポプ子に追いつく。

 もはや逃げられない――と思われた、その時。

 

 

 クイックブースト!

 

 ドヒャア!!

 

 

 ポプ子の背から謎の無害な粒子があふれ出て、一瞬にして、彼女の身体を超音速まで加速した!

 

 加速時間はわずか0.3秒。

 最高速度は実に4000km/h!

 

 恐るべき速度のために、ポプ子の身体がかき消えたかに見えた。

 遠目に見ていたゴジラにさえその動きは追いきれず、放射線流は見当違いの方向に流れていく。

 

 

 ドヒャア!! ドヒャア!!

 

 

 ポプ子は、連続クイックブーストで周囲の障害物をなぎ倒しながら、息つく暇も与えぬままに、ゴジラの足元まで肉薄した。

 

 

 そして、

 

「光よ!」

 

 ポプ子の咆哮に答え、彼女の手の中の(つか)から、光が棒状に伸びていく。

 光の釘バット――光剣(ライトセイバット)だ。

 

 

 ポプ子の斬撃がゴジラの皮膚を切り裂く。

 戦車砲の直撃さえ無傷で耐えきった、あの分厚い皮膚をだ。

 

 

 ゴジラが痛みのために絶叫し、足を持ち上げ、ポプ子を踏み潰しにかかる。

 

 しかしポプ子はすぐさまクイックブースト。

 超音速でその場を離れ、ゴジラの軸足の方へ移動する。

 

 

()()()()()()()()()

 『ザ・ハンド()』!」

 

 ガオン!!

 

 

 ゴジラの足の()()()()が、『けずり取られ』て()()()()()!!

 

 

 片足を上げた状態で、体重をかけていた地面が無くなったのだ。

 当然、ゴジラはまともにバランスを崩した。

 

 その巨体が災いして、一度崩れた体勢を立て直すことは――不可能!

 

 

 ゴジラが横倒しに倒れる。

 

 倒れながらゴジラは、苦し紛れに放射線流を撃つ。

 しかしそんなものが、今のポプ子に当たるはずがない。

 

 

 ポプ子は舞空術で上空に舞い上がりながら、クイックブーストをたくみに混ぜて、対空射撃の間をくぐり抜けていく。

 

 眼下にゴジラを見下ろせるところまで来ると、右手を下に突き出した。

 

 

「くらえ!!

 こいつが(スーパー)ポプ子の

 ビッグ・バン・アタックだ!!!」

 

 

 ズァオッ!!!

 

 

 すさましい大爆発が巻き起こり、周囲の地形ごと完全にゴジラを飲み込んだ!

 

 

 爆発の光が、空を昼間のように明るく染め上げる。

 あたりには煙がもうもうと立ち込め、1m先を見通すこともできない。

 

 

 ポプ子は空中にジッととどまったまま、ゴジラのいた方をにらみ続けていた。

 なにしろ、あのゴジラだ。

 ダメージを与えた自信はあるが、油断できる相手ではない。

 

 

 そのとき、ポプ子のポケットの中でスマホが鳴り出した。

 誰やこんなときに、と思いながら電話に出る。

 

 

『もしもし! ポプ子さんですね。

 私は矢口。巨災対の矢口蘭堂です』

 

「なんやお前」

 

『ポプ子さんのおかげでゴジラの動きを止められました。

 我々には、ゴジラを凍結させる薬品の用意があります。あとは任せてください』

 

「ア゛ァ゛ン!?」

 

 

 ちら、と下を見ると、たくさんのコンクリートポンプ車が、ゴジラに向かって走っていた。

 

「手出ししてんじゃねぇぇえええ!!」

『落ち着いて! 味方です!』

「あれは私の獲物だァァアアア!!」

 

 

 そこでポプ子、ハッと気づいた。

 ゴジラが身動きして、コンクリートポンプ車に放射線流を撃とうとしている!

 このままではポンプ車が危ない。

 

「チィイ!」

 

 ポプ子は舌打ちしながら『ザ・ハンド()』を発動する。

 

 

 ガオォン!

 

 コンクリートポンプ車の前の空間をけずり取り、放射線流の向きを自分の方に引き寄せる。

 

 放射線流がポプ子を直撃した。

 

 だが、ポプ子の周囲には、謎の無害な粒子のバリア――プライマルアーマーが展開されている。

 プライマルアーマーは、ギリギリのところで放射線流を防ぎきった。

 

 

「フゥー……」

『ポプ子さん、危険だ!

 いったん下がってください!』

 

「引っこんどれ!

 ワイはアイツを()らなあかん……

 ()っとかな、気ィすまへんのや!」

 

 

 スマホを投げ捨て、ポプ子は一直線にゴジラへ飛んだ。

 

 飛びながら呪文を詠唱する。

 ゴジラはあれだけの攻撃にも耐えた。

 もはや手段を選んではいられない。

 

 

 重破斬(ギガ・スレイブ)

 

 もし制御に失敗すれば、巻きぞえで世界さえ滅ぼしかねない――最凶最悪の必殺呪文でケリをつける!

 

   ――闇よりもなお昏きもの

   夜よりもなお深きもの

   混沌の海にたゆたいし

   金色(こんじき)なりし闇の王――

 

 

 と。

 

 呪文の途中で、ポプ子は眉をひそめた。

 

 転んだゴジラ。

 その尻尾の先端あたりで、何か小さなものが動いたように見えたのだ。

 

 さらに。

 

 

 ――撃つな。

 

 

 誰かの声が、頭の中に響いた――気がした。

 

 ポプ子は頭を振って、よけいな雑念を追い払った。

 ただでさえ制御の難しい呪文なのだ。気を散らしている余裕はない。

 

 

   ――我ここに 汝に願う

   我ここに汝に誓う

   我が前に立ち塞がりし

   すべての愚かなるものに

   我と汝が力もて

   等しく滅びを与えんことを!

 

 

重破(ギガ・スレ)……!」

 

 

 次の瞬間。

 

()()()()()

 

 

 ゴガァアア!!

 

 突如、ポプ子の首の後ろに、ハンマーでぶん殴られたのような衝撃が走った!

 

 いや、ハンマーどころではない。

 ポプ子のプライマルアーマーさえ貫き、ポプ子の身体を上空から地面に叩きつけるほどの威力。

 

 ポプ子は一直線に落下し、正面から地面にめり込んだ。

 周囲にクレーターができる。

 激痛のために、呼吸さえ一瞬止まってしまう。

 

 

 ――なんだ!?

 

 ポプ子、痛みをこらえて立ち上がり、上空を見上げる。

 

 そして、言葉を失った。

 

 

 ()()()()()()()()()

 

 手刀を首の前に構えた少女。

 いまのが、ただの手刀だったというのか!?

 

 いや、それよりも。

 

 

「まさか……君は……!」

 

 

 空中の少女が、おでこに指を当てる。

 ピシュン!

 と彼女の姿が消え、今度はゴジラの身体の上に現れる。

 瞬間移動。あの子の得意技だ。

 

 

 まちがいない。

 見まちがえるはずがない。

 

 

 ポプ子の目に。

 じわり、と。

 涙がにじみ出た。

 

 生きてたんだ。

 

 無事だったんだ。

 

 生きていてくれたんだ!

 

 

()()()()()()()っ!!!!」

 

 

 そう、それはピピ美だった!

 ポプ子がピピ美の胸に飛び込んでいく。

 

 

 が。

 

 

「か―――――っ!!!」

 ピピ美の口から青白い光線が放たれた。

 放射線流だ!!

 

 

 ポプ子はまともにそれを浴びた。

 さきほどの手刀でプライマルアーマーも破られたばかり。

 ろくに防御もできないまま、ポプ子は身体を焼かれながら、背後に吹き飛ばされた。

 

 

 全身焼け焦げ、倒れたポプ子。

 震えながら顔を上げ、苦しげにうったえかける。

 

「ピピ美ちゃん……

 どうして……!?」

 

 

 ポプ子の見る前で、ゴジラがゆっくりと立ち上がる。

 その手のひらの上に、ピピ美は静かに立っている。

 

 長い藍色の髪が、夜風に流され、顔にまとわりつく。

 ピピ美、それを優雅になでつけて――冷たく一言。

 

 

「――悪堕ちしたわ」

 

 

(つづく)

 

 

 

 

■次回予告■

 

 

 私は何か・・・されたようだ・・・

 ・・・人間でなくなってしまった・・・

 

 ムラクモを・・・列車を・・・襲撃したい・・・

 これ以上手術を・・・

 

 解放・・・されたい・・・

 協力してくれ・・・

 

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