ヒソカは念を込めた
足へと全力のオーラを練り込む
爆発的に膨れ上がった脚力で地下道を疾走する
(こんな屈辱初めてだよ◆)
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「悟空、聞かせてくれ。今のは一体なんだ?」
クラピカが問いただすように聞いてくる
「瞬間移動、っちゅう技だ。見知った相手のいるところに一瞬で移動できる。まぁいまはそんなことより、とりあえずみんなに追いつかねぇとな。試験不合格になっちまう」
それに否定する言葉もなく、全員が頷く
「みんな、オラに掴まってくれ」
べジータ以外が悟空の肩を掴む
「べジータも早くしてけれ」
「オレは貴様の助けなど受けん」
「さっきのうんこのときは助け求めてきたじゃねぇか」
「カカロットぉおおおおおお!!!」
顔を真っ赤にしてキレるべジータ
「うひぃ、じゃぁなべジータ!」シュ…
「…あり?」
悟空たちは消えかけてまたその場にいた
「おかしいな、瞬間移動できねぇみたいだ…」
「ふん、大方このリミッターのせいだろう。ブルマのやつ忌々しいもの作りやがって」
「いいっ!?じゃぁオラもう瞬間移動できねぇのけ!?」
「いや、こいつはオレ達のパワーを抑えてるだけだ。瞬間移動とやらをできなくしてるなら最初から1度も成功したりはせん。おそらくパワーが落ちてそいつができる回数が減ってるだけだろう。戦闘力20程度のいまの状態では日に4回が限度ってとこだろうな」
「はぁ~、流石べジータだな。んじゃ1日経って体力回復するの待つか」
「ふっ、そういうことだ」
「んじゃとりあえず追いかけっか」
悟空たち5人はサトツの気を追って走りはじめた
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その頃ヒソカは…
ハァ ハァ ハァ
(このボクが、こんなに、体力を、使わされる、とはね…)
必死に階段をかけ上がっていた
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悟空たちは霧の中を走っていた
ゴンがぽつりと尋ねる
「ねぇクラピカ。ヒソカは何がしたかったのかな?」
「やつは"試験官ごっこ"だと言っていたな」
「ごっご、って遊びけ?あいつもう大人なのにしょーもねぇやつだな」
「いや、たぶん悟空がイメージしてるのとは違うと思うぞ…」
「なんにしろあいつはいまスタート地点だ。でぇじょうぶだろ」
「ふんっ、余計なことを」
「お、試験官たちの動きが止まったぞ。もうすぐだ」
一向はあと少しのところまで来ていた
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その頃ヒソカは…
ゼェ ヒュー ゼェ ヒュー
(こ、こん、な…こと、が、あって…たまる、か…)
ヌメーレ湿原を必死に走っていた
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そして悟空たちは会場へと辿り着く
「ふぃー、なんとか間に合ったみてぇだな」
そこへ声がかかる
「ゴン!クラピカ!リオレオ!と、悟空!」
「あっ!キルア!」
ゴンが嬉しそうに駆け寄る
「どんなマジック使ったんだよ。もう絶対戻ってこれないと思ったぜ」
「うん、オレも覚悟してたんだ。ちょっと臭う人と一緒だったからキルアの匂いも追えなかったし。でも悟空がなんかわかるみたいでさ。なんとか追いかけて来れたんだ」
「…ふーん、すげぇのな悟空って」
キルアが悟空を見上げる
「それよりなんでみんな建物の中に入んねぇんだ?」
「見ての通りさ。"本日正午、二次試験スタート"って書いてあるんだよ」
「まだちょっと時間あるな、オラ寝るから時間になったら起こしちくれ」グガァー
(ね、寝るのが早すぎる…)
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悟空たちが着いてからしばらくのち
「お、時間みたいだぜ。ゴン、悟空起こしてやれよ」
「うん、そだね」
チッチッチッ ピーン
ズゴゴゴゴゴゴ
ちょうど時間が正午をむかえ、重い扉が音をたてて開いた
そして同じくちょうど
ゼェェェ ヒュゥゥゥ ゼェェェ ヒュゥゥゥ
意識朦朧としたヒソカが会場に辿り着いていた
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建物の中には、5つのちょんまげをした不思議な髪型の女性と、大型というより巨大な男性がいた。
二次試験の試験官のようだ。
「二次試験は"美味しい"が合格よ。まずはこっちのブハラから」
「オレの好物は豚の丸焼き。このビスカ森林公園に生息する豚なら種類は自由。それじゃぁ…」
ドォオオン
銅鑼の音と共に二次試験スタート。
『ブハラのメニュー参加者150人』