参加者全員が会場を飛び出していったあと
「あんたも性格悪いわね。ビスカの森に生息する豚は一種類だけでしょ?」
メンチがブハラに笑いかける
「世界で最も強力な豚、グレイトスタンプ。大きくて頑丈な鼻で敵を潰す。…油断してたら自分が豚の餌になっちまうぜ」
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ドォオオン
ぐわぁああああああ
あちこちで地響きと悲鳴が上がる
「結構危ねぇ豚みてぇだな」
悟空は油断なく見据える
ドォオオン
突進してくる豚の鼻を正面から受け止め、力で拮抗する
「ぐぎぎぎぎぎ!ひー!強ぇぇなおめぇ!」
(どっちも化物じゃねぇか!)
レオリオは木の影に隠れて様子を伺っていた
「バカかカカロット!よぉーく見やがれ!あいつの鼻がなぜこんなにも頑丈で大きいのか!弱点である額を隠すために決まっているだろう!」
「オラもちょうどそう思ってたとこ、だっ!」
ガッ
脳天に一撃
ズドォォン
「ちっ、世話のやけるやろうだぜ」
そのシーンを見ていた参加者たちは真似をして次々と豚を倒していく
バッシュウウウウッ
気で豚を焼く悟空とべジータ
「お、結構うまそうな匂いだ」
「焼くだけとは芸がないな」
「なんだよべジータ。なんかいいもんあんのけ?」
「さっきの会場に香草と根菜があったんでな、こいつを…」
ドスッ
べジータが豚のお腹に香草と根菜を詰める
「そしてゆっくりと焼く」
バシュウウ…ボッ
気を小さく絞って焼き上げ、最後に強い気で焦げ目を作る
「すっげぇええな!べジータ!めっちゃくちゃいい匂いじゃねぇか!」
「ふっ、こんな簡単なもの料理とは言えんがな」
「ちょっと分けてくれよぉ。あ、オラのと交換してやっからさ!」
「いるかっ!」
ガツガツ ムシャムシャ
「うっひゃぁああ!普通に焼いただけでもうめぇぞ!」
「これだけでは腹の足しにもならん」
「んじゃもっと捕まえてくっか。そだ、オラがいっぺぇ捕まえてくっからべジータはさっきの菜っぱとか準備してくれよ」
「菜っぱではない!葉っぱ…でもなく香草と根菜だ!」
「んじゃちょっくら捕まえてくっぞ」
既に目的を忘れた悟空とべジータは食材を取りに二方向に別れていった
「いっぺぇ捕れたぞ!」
「遅いっ!待たせやがってイライラさせるやつだ」
「んで、これをお腹に詰めればいいのけ?」
「ただ詰めるだけじゃない。香草と交互に入れるんだ。根菜の硬いものは重ねずバラけて入れろ」
「細けぇんだな…」
バシュウウ…ボッ
べジータが気加減に注意してじっくり焼き上げる
「うっひゃぁああ!もう待てねぇぞオラ!こんなうまそうなの作れるなんて!べジータに弟子入りすっかな!」
(なっ///カカロットがオレの弟子にだと!?)
「ふ、ふんっ。もう焼き上がっている。さ、先に食べてもいいんだぞ」
「な、なんだよべジータ気持ち悪ぃなぁ。気持ち悪ぃのはその格好だけにしてくれよ」
「カカロットぉおおおおおお!!!」
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「へいお待ち!」
会場では70名の参加者が豚の丸焼きをブハラに届けていた
「あらら、テスト生なめてたわ…」
メンチもビックリしながらその数を見ていた
ブハラはペロッと70頭を平らげ、お腹をさする
「もう満足でいい?」
メンチがブハラに問いかける
(あのズボンに上半身裸のサスペンダー男はいないみたいね…変態だから記憶に残って嫌な感じね…)
渋い顔をしながらメンチは銅鑼の鐘を鳴らして終了の合図をした
二次試験 前半 ブハラのメニュー終了!
合格者70名!
(参加者の残りが多い…今年は本当に豊作ですなァ)
様子を見る為に残っていたサトツはしみじみと感じ入っていた
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その頃、脳筋2人組は…
「はぁ~、食った食った」
「食い応えのある豚だったぜ」
「残りは弁当用にでもすっべ。そういややけに静かになったな」
「大方あの豚にでもやられちまったんだろう。軟弱なやろうどもだ豚の一匹の気配も感じないぜ」
「待てべジータ!あっちの方に気が集まってるぞ!」
振り向く二人
「あっちは…会場!………カカロットまずいぞ!」
「へ?なにがだ?」
「くそっ!」
べジータが丸焼きを掴むと、気を感じる方へ投げた
「よし!」
「お、おいべジータ!?」
「ついてこい!いまは試験中だっ!間に合わなくなっても知らんぞっ!めいっぱい飛ばせぇええええ!!!」
悟空とべジータは会場へと急いだ!
残された豚の骨の数は、この日、人知れずグレイトスタンプが絶滅したことを物語っていた