ジョジョと轟音のガルパーティ!   作:苗根杏

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この小説が上がるのは8/2の00:00になるのですが、今はまだ8/1。高海千歌ちゃん、お誕生日おめでとうございます。神様じみてる運を持つ穂乃果ちゃんとは違い、新鮮さを感じられたラブライブ!サンシャイン!!の中枢になる千歌ちゃん、かっこよくてかわいくて、奇跡を目指して這って進む、可愛いアイドルで終わらせない千歌ちゃんが大好きです。
(千歌ちゃんがメインヒロインのジョジョラブサでやる筈が、まだ更新できないので、こっちで言うことになってしまいました。めちょっく。)


せかいのっびのびグレート!

わちきは相生成琉。何処にでもいる中学一年生だったものだ。

過去形になっている理由は分かるだろう?いちいちいちいち説明するのも面倒くさいというものだ。今回はスムーズに行かせてもらうよ。

「はろはぴ…??」

「あたしのバンドよ!ガールズバンド『ハロー、ハッピーワールド!』の略で、ハロハピ!」

「はあ…で、それが来るふによ、と?」

こころの部屋もといわちきの部屋で、ハロハピのメンバーが打ち合わせをするんだとか。まあ折角のGW(ガンダムウィング)…ゲフンゲフンGW(ゴールデンウィーク)だしな。ガールズバンドと言うからには、女だらけなのだろう。普通なら最高かよ!!となる。が、こいつが集めたメンバーらしいので、チームびっくり人間に違いない。

そういう部屋あるんじゃあないのォ?と訪ねてみるも、『たまにはいいんじゃあないのォ?』と、わちきを真似てみせるこころ。その場の勢いとノリで行動するこころには、『今これをするべきではない』というのが分からない時が、たまーにある。校門バク転がいい例だろう。

「まあそういう事!そうね、成琉も参加してみる?」

「なんでふに!?」

「だって、あたしの『視てる』世界と成琉の『観てる』世界は違うかもしれないじゃない!同じ林檎を見て『赤』と言うか『紅』と言うかでも、天と地の差じゃない!」

「急に知的になるのやめろふに。要するに、違った視点も取り入れてみるっつーこんふに?」

「そうそう!それが言いたかったの!」

あれか、俳句っていうのは個人個人で捉え方に差があるって国語でやってた。それと同じだ…たぶん。

「まあ、別に宿題も用事も友達もないし、空いてるふによ?」

「じゃあ決まりね!」

「……参加するとは言ってないふに」

「しないの?」

「させていただきます、ふに」

そうでもしないと、こころんは何をするか分からん。わちきを引きずってでも参加させるのなら、自分から焼けた鉄板の上で土下座するさ。

「今度こそ、決まりっ!さあ、皆を呼ぶわよ!」

「え?今から?」

「楽しい事は来るのが早ければ早い程、多ければ多い程いい物なのよ!」

今更止めるなんて事はしないが、相変わらず天真爛漫奇想天外べらぼうアンリーゾナブルな許嫁である。

結婚したら楽しいんだろうなあ、とは思うが、わちきはイマイチこの幼馴染に対して恋愛感情を抱けないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャンデリアの上に登らされ、「ここで待ってなさい!出る時は呼ぶわ!」と言われた。何をするのか分からないが、分かる。これが必ずしも良い結果にならない事だけは分かる。

全く、黒服さんには感謝しか無いふに。『無くした幼馴染の記憶の紹介係なんて、やりたくもなかったろうが。』

弦巻こころについては、今週のとある朝に忘れてしまったのである。わちきの『当たり障りのない他人への態度』の演技力は、もう演劇部に所属できるくらいに出来上がっている。付き合うこと10年近くだからな。もう『記憶ゲロ』、こまめな記憶喪失には慣れてしまった。

スマホをいじって待っているのだが、暑い。間近くに照明があるのだから、怪獣島の決戦 ゴジラの息子での大蜘蛛怪獣クモンガや両刀怪獣カマキラスの操演をするスタッフの気分だ。あとはキングギドラの首とか、大体の円盤生物は操演だったな……。

みんなはどの円盤生物が好きかな?わちきは断然ブラックドーム!アホの子属性が可愛いのだ!

…友達についての記憶だけ忘れてしまうのが悔やまれる。自分で言うのもあれだが、記憶力はある方なのになあ。

ドタドタドタ。足音が聞こえる。一瞬でちんちくりんの波動を感じた。

「お邪魔しまーッす!!」

「!?」

なんだアイツはッ!?野球…いや、ソフトボールのユニフォームで、この部屋に上がっているッ!ふ、雰囲気合わねぇ〜…。

「あァ…一面に広がる華やか、かつお淑やかな香りがなんとも儚いよ…」

「………………」

…ガールズバンド、だよな?男にしか見えねーぞ。

あの衣装…見たことあるぞ。ヘンリー四世とかいう劇の服だ。真っ白なぴっちりした服に、ジャラジャラ飾りがついていて、プラチナ色に光る小さな王冠を被っている。

………あれで来たのか?

公道をあれで歩いてたら、今どき職質モンだぞ。いや、第二次世界大戦当時でも怪しまれるかもしれん。

「お、お邪魔します……相変わらず広いね……」

…普通の女の子だ。水色のワンピースからちょっと出ている肩に目を引き寄せられてしまう。しかも華奢で可愛い。

「あっついなあ……」

おーいなんだあの『ピンク色の着ぐるみのクマ』はッ!!明らかにガールズバンドにいてはならない奴だろうッ!!

しかも、あの身なりで『あっついなあ』だと!?一番の常識人に見せかけた変態じゃあないか!

声からして中身は女だと思うが……ン?あれ、見たことあるような…。

『成琉!あそこでコーヒーを飲みましょう!』

『買い食いふによー』

商店街にいた……マスコットか?あれをスカウトしたァ!?

「いらっしゃい皆!今日はここで会議よ!」

お、おさらいでもしておこう…ソフトボールとヘンリー四世と水色ちゃんとクマさん!アホか!

「そして今日はゲストがいるの!おーい、出てきていいわよ!」

「……………………」

どうやって出るんだよ。

飛び降りろってかオイ。

「とうっ」

ベッドの上に転がり落ち事なきを得たわちきは、親指で顔を指し、腕と脚の両方を大きく広げてポーズを決める。

「わちき、参上!」

「!?」

「…はじめまして、ふに?どうも。弦巻こころの許嫁、相生成琉ふに。以後お見知り置きを」

「じゃじゃーん!」

「…いや、じゃじゃーん!じゃなくて!へ?許嫁えええ!?えッ!えっ?」

「ふえ…?薫さんみたいなキャラ……なの……?」

「薫くん、いーなづけって何?ネーミングセンスってやつ?」

「『いい名付け』ではなく、許嫁だよ。ああ、決められた婚約…なんと儚い…あと花音、それは褒め言葉かい?」

「え……何言ってるんですか…?」

「……儚いなあ」

最近、誰かさんのせいで少々感覚が麻痺していたので分からなかったが、許嫁という存在自体がとても珍しいのである。

高校生であり友達、しかもバンドメンバーでもあるコイツが許婚を持っているとなると、もう訳がわからんよなあ。

「こ、こころちゃ~ん?それ本当なの?ウソじゃない?」

「当たり前じゃない、何言ってるのミッシェル?」

「こっちの台詞じゃ!」

「ん?どうかしたの?もしかして喉が渇いたのかしら。待ってて、すぐ持ってくるわ!」

ここで黒服に頼まないあたり、健気な奴だ。

「ねえねえ、ナルくん!」

「ナルくん!?」

「君はさ、こころんと結婚するの?」

「うーん…まあ、そうなりますね。結婚します」

「………………?」

「珍しい。薫さんがフリーズするなんて」

「まさか本当だとは思ってなかったみたいだね…あ、私は松原花音って言います…よろしくね、成琉くん」

「あ、よろしくお願いします」

花音……いい名前を付けてもらってるじゃあないか。

「はぐみは北沢はぐみって言うの!よろしく!」

幼稚園児みたいな自己紹介だとは、口に出さないでおこう。

「……せ、瀬田薫だ。よろしく、子猫ちゃん」

子猫ちゃん!?大和守安定かよ…。

「ミッシェルこと、奥沢美咲でーす。よろしくお願いします、成琉さん……あ、ちょっとこっち来てください」

美咲…女が入ってるのは分かるが、ガールズバンドでコレってどーなのよ。

呼ばれたわちきは美咲の所へ行き、何やら耳打ちをされる。

「いやあ、初対面がコレってすいませんねえ。中はこんな感じなんで、警戒とかはしないで下さいねー」

そう言ってミッシェルとやらの首の隙間から、ピンクのヘアピンをつけた女の子がウィンクする。

……………あぶねー!落とされるとこだった!反則でしょソレ!何今の可愛いなあオイ!

「続いて注意なんですけど、あそこのはぐみと薫、そして貴方の許嫁さんは『奥沢美咲』と『ミッシェル』を別のものとして見てるんですね」

「………………?」

「要するにあの地域別ソフトボールチームのエースと、演劇部の王子様とか呼ばれてる人と、貴方の奥さんは、ミッシェルが実在するクマだと思っていて…奥沢美咲がミッシェルの中に入ってることを認識できないってことです」

「はあ…美咲さん、すいませんふに」

「え?」

「いや、その……わちきの幼馴染で、許嫁のこころが迷惑かけてるなら、謝らなきゃなあって。ふに」

クマの被り物で分からないが、何やら戸惑っているらしい。

「どうしたんですふに?」

「いや、まさか謝られるとは思わなくて…成さん。こころをよろしくお願いします」

「気が早いですふにっ!そ、それに、結婚するのは決まってますが、7年後ですからふに!」

美咲さんことミッシェルと話しているうち、こころが帰ってきた。手に乗ってるお盆には、11個のコップがギュウギュウに詰まっている。

いや、なんで?

わちきを入れても……うん、両手の指で足りる。『6人しかいない』。

ヒロポンでハッピーになったとは思えない。じゃあ一体…というわちきの中途半端な推理は、こころのハツラツな声に似た訪問者の声により遮られた。

「おッ邪魔しまァァァ────す部────長ぉぉ──────!!」

「日菜さんはしゃぎすぎッス!?」

「道場破りデスネ!」

「あはは。ちょっと違うかな…?」

「……やれやれだわ」

a8ffff、a8ffd3、c1c1ff、ffc1ff、ffffc6。

色とりどりのパステルカラーが、部屋の中に広がる。これを[]の中に入れてガルパの名前の後にでも付けてもらえば分かると思うが、綺麗な5色のパステルカラーだ。

それにまた、公道を歩いてたら質問されそうな……なんだこれ。ヒラヒラしたドレスを来ている。『アイドルの衣装』みてーだ。コスプレだとすると、アイマスか?ラブライブか?

「あれ?君は?」

「………あ、わちきですふに?」

「わ、わちき?ふに?」

「何でしょう、この耳…猫ですか?」

「おわ!なにこの髪!すご…ネコみたい…」

「おおっ!久しぶりに言われたふに、その言葉!」

「そこまでして言われないって、どういう…」

ネコに見られて嬉しいのはあるが、とりあえずアレだ。理由を言ってもらわない限り、この人達は赤の他人だ。

「説明するふに、こころん」

「さっきそこに居たのを連れてきたわ!」

「うちの嫁がすいませんした!!」

「え、ええっ?嫁…?こころちゃん、どういうこと?」

「あのねあのね、ナルくんはこころんのネーミングセンスなんだよ!」

「はあ…ネーミングセンス……?」

「ふふ、はぐみ。また君は間違える…それさえ美しく思えるのだから、もう儚くてたまらないよ…」

「かおちゃん、ちょっと黙ってて」

「そ、その呼び方はやめてって言ったでしょ、ちーちゃん!」

「あーもー、全員一旦わちきの説明聞いてふにーっ!」

 

 

 

 

 

 

「許嫁……ほんとにあったんだ……」

「ドラマの役でも演じた事無いよ…」

ラピュタか何かだと思ってんのかなあ、許嫁を!許嫁なめちょし!中学生が親のスネから無理にでも離れる事になるから!

「ところで北沢サン?こころんって、いつもコレふに?」

「そうだよ?」

「……何か思う事は?」

「楽しい!」

同類だったァーーーッ。

「あ、自己紹介してないよね!あたし、氷川日菜!Pastel*Palettesのさわやかブルー担当でーす!」

「ぱすてるぱれっと…?」

「Pastel*Palettes、縮めてパスパレ…この星の、不思議な不思議な生き物、海に森に町に、その種類は、100、200、300、いや、それ以上かもしれない…」

「ポケモンじゃないから!」

「続くったら続く!ですっ」

「続かないったら続かない!…私は白鷺千聖。成琉くん、だったっけ?パスパレは世界有数の『アイドルバンド』なの」

「…あー、アイドルが結成してるって奴ふに?」

テレビで見た事がある…確か口パクか何かで叩く派と、愚かにも魅了されてしまい金を落とすATMと化したファン派に分かれてるって報道されてた。

いや、これは魅了されるよ。

性格を除けば、本当に可愛い子ばかり。

…ひとつ、気になる事がある。

「アンタ、妹はいるふに?」

「ええ。なんで?」

「いや、知り合いなもんで…恒河沙さんとは、いつも仲良くしてますふに」

「…そう。貴方が友達なら、恒河沙も安心ね」

「なんでふに?」

「私は、初対面の人はまず『目』を見るの。貴方の目は真っ直ぐで、良くも悪くも貫き通す男の子よ」

「え、ええっ?そうですふに?…えへへ」

「成琉さんッ!」

「うおお!?」

突然眼の前に現れた奴は、見るからに外人の血が入っていた。チャンコロなんかのアジア系じゃあないな…。

「ドーモ!私は若宮イヴです!私とも、是非お話して下さい!」

「い、イヴさん突然突っ込んでくのは心臓に悪いんですって!…あ、ジブンは大和麻弥ッス。以後お見知りおきを……っとと、彩さん?」

「……皆、個性凄すぎ…」

「どんなコンプレックス!?」

「あーあ、私ってやっぱ個性薄いのかなー…」

「ご、ごめんなさいね成琉くん!いつもはこんなんじゃ無いんだけど…ほら自己紹介!」

「あ、はい。丸山彩でーっす…あ、パスパレのふわふわピンク担当です…」

充分な個性だと思う。

個性が無いキャラも必要だとは思うのだが、周りが強すぎる。集団の中の一人が目立つのなら分かるが、集団が目立っているここで、コイツは普通の部類に入ってしまう…いやむしろ無個性。影が薄いとまで言われてしまうかもしれん。

「で?今日は何するの?」

「バンドの話し合いをしようとしてたんです。でも私達とパスパレじゃあ、違うバンドだからなあ…」

確かに、合同ライブをするならまだしも、アイドルは忙しいし…こっちにも商店街のマスコットと、ソフトボールチームの主将と、演劇部の王子様がいる。へえだめど…。

「なら皆で遊びましょう!」

「はァ!?」

「だって話し合いが出来ないんでしょう?」

「アンタのせいふに!」

「だったら、365日のうちの1日くらい、無駄にしてもいいんじゃないのかしら?……いえ、無駄じゃないわ!だって遊んでたら、自然にアイデアが浮かんでくるじゃない!」

と、ミュージカルが始まるようなステップをして、こころが窓を開けた途端、突風が吹き荒れた。布団は舞い上がり、コップは倒れ、ミッシェルの首は吹き飛ぶ。

そして全てのスカートというスカートは、従順なる主人への態度を変え、反旗とスカートを翻し、内に秘めたる危険な欲望をさらけ出した。

「キャーッ!!」

「ふええ…な、成琉さんのえっち!」

「……はッ!?」

フウウウウウウ〜〜〜〜〜〜〜……わちきは…つい去年……ラノベの『エロマンガ先生』ってあるふによね……あの『和泉紗霧』ちゃんが穿いてる『ピンクの紐パン』…あれ……初めて見た時……なんていうか……その…下品なんですが…フフ……。

わちきがあの叛逆者スカートよろしく欲望をさらけ出そうとしていた所、誰かがわちきのワックスで固めた髪製のネコ耳に、切れ目を入れた。ジバニャンの片耳のようになってしまい、このままでは不完全な耳になってしまう。

「…………誰だァ…わちきの耳に傷をつけたのは!!」

「おっと、気に障ったか?」

窓の外。この部屋は2階なのだが、ハシゴでも使っているのか、ガタイのいいおじさんがこちらを覗く。顔には『ワ』と思わしき刺繍、どこの民族衣装かはわからんが、上半身はほぼ裸だ。宝石類もまばらに見られる。

変態かな。

「当たり前だ!それに、あと1センチずれてたら…」

「成琉?そのおじさん、知り合いなの?」

「…わちきの嫁の可愛い顔に、傷がついてたぞ」

「よかったな、お前のちんちくりんな猫耳が傷ついただけで」

わちきは怒髪天直前だった。

悪いが、こちとらネコを貶されて、怒らないような冷静さは持ち合わせていない。しかも初対面かつ無関係な奴らを傷つけようとした。

「みんな、逃げるふに」

「…でも……」

「戦えるの…?」

「守るんですよ。わちきには、覚悟があるふに」

「覚悟?…笑わせるなよ、坊主」

「成琉。相生成琉と呼べふに!」

身代わりになるくらいは出来るさ。

「誰か呼んでくるわ!」

と、全員がパニック気味に廊下に出た途端、わちきの手を何かが掴む。そのまま窓の外へ引きずられ、庭の石畳に勢いよく体が叩きつけられる。

2階でよかったァー、と安心したのも束の間、その何かが、おじさんと一緒に、わちきの前に姿を表した。

マスクをしている。マスクといっても、風邪やインフルエンザにかかった時につける布製のモノではなく、世紀末かなんかのモヒカンが付けてそうな、ごっつい鉄製のやつだ。

頭の方は流石にモヒカンではなく、いや、それよりもっと酷い。頭を含め、全身をゴツゴツで西洋風な鎧で覆っている。この屋敷の廊下にも、こんなのがあった。

「何ふに……この、ヴィジョン……まるで虚像…てめー、何のつもりだふに!こんな手品…!」

「ム!…見えるのか?『ポツネン』が」

「………なに、それ…名前ふに…?」

「ポツネンは、『スタンド』だ。そして見えているという事は、お前にもスタンドが発現している…」

何言ってんの?ハガレンやエヴァQの専門用語だらけの会話かよ。

「スタンドは、立ち向かうもの。そして何かを破壊し、何かを守る存在だ」

「…ふーに。で、誰ふに?」

「……そんなことを聞いて、俺を殺せるのか?俺はワンドゥ、スタンドはポツネン。それだけだ」

「わちきは自力で全てを守るふに」

「くだらん。死ね」

「くだらねーのはテメーの脳ミソふに!このクソカスがァァァァーー!!わちきは、まだ死ねないふにッ!そして!!こころも殺させないふに!!」

無茶なんて、わかってる。

涙が、汗が、雨水が、血が、全て混ざって零れていく。

その後、全てが、風に吹き飛ばされる。

しかし。

絶えず、わちきの中から、興奮が湧き出てくる。

力が漲り、魂は熱く燃える。

そうだ。

もっとくれよ。

わちきに、その記憶を。

腹が減ってるンだ。

……これは闘志の、闘士の、記憶だ。

「ゥゥウウウウ………ニャァァァァァーーーーーーーーー!!!」

「…!来るッ!スタンドッ!」

「!?」

ドン!と頭の中に爆発音が響いたかと思えば、仰向けに倒れたわちきの腹に、潜水艦のように潜った状態から、『ウサギ』が浮かび上がってきた。

いやウサギじゃない。浮かんできて、足が、脚が、いや、それを足や脚と呼んでいいのか分からないが、キャタピラが現れた。『戦車』だ。

ウサギではないのは確かだ。そのふわふわもっちりとした胴体には、あるはずの細くもガッチリとした4本足が、ない。しかし戦車でもないのだ。機種にもよるが、あの華奢な砲身から人を軽く10人ほど殺傷できるほどの弾を発射する砲台が無い。

どこに人間が乗るん?まあ付いていたとしても、アリエッティかティンカーベルくらいしか乗れないが。ザクタンクのザクを取り外した感じだ。

「…ひっ、ひ……!ふにっ、テメー誰ふに!ってか生き物と無機物混ざってるし!スチームパンクすぎるふに!」

「………?お前のスタンドだぞ?自分自身だ」

ゲーム上級者が書いた初心者向け指南書のように、訳の分からないことをブツ切りで言うので頭に来ますよ。

「名前でも付けてみたらどうだ。愛着が湧くぞ」

「人を殺しかけて何言っとるふに!?」

名前、名前……!でも付けないと指示しづらいし、どっちにしろ付けなあかん!

「…LINDBERG」

「ほう、いい名前だ。感動的だな。だが無意味だ」

「があっ」

「何故なら、今からお前は死ぬからだ」

「………その自信も、無意味ふに。何故ならば!わちきのLINDBERGに殺されるからふにッ!!」

「はいはい、『丹波山天狗凱旋疾風』」

「ぐぁッ」

小さなわちきの身体が突風、いや名前の通り疾風に吹っ飛ばされると、身体中の皮膚という皮膚に、大小無数の切り傷がつけられる。

痛い。

100を越える痛みが、同時にわちきを、わちきの身体を、脳を、襲う。犯して浸して、もみくちゃにして、飲み込んでしまう。

古代の中国の拷問に、誰が考えたのか、いつ考えられたのかは分からないが、眉間の位置に延々と水滴を垂らされるというものがあったらしい。小さな痛みを無数に、無限に食らわせるというのは、精神が豆腐な人間という生物にはよく効く。

「何をした…」

「なに、ちょっと風を吹かしただけさ。北風と太陽って童話みてーに、ちょちょいとな」

「何故こんな事をッ!」

「俺だってこんな事はしたくないさ…が、『あのお方』の為なんでな。『命令された』、としか言えない」

突然、タイムラプスのようにドス黒い雲が高速で現れ、雨を降らす。

「これも……スタンドの……能力…………?」

「そう………スタンド…風だからな。さっきも言ったが、それは、そばに現れ立つ者…立ち向かうものだッ!」

「!?」

まずい!このままでは『風だけ』で両腕を……!

「はァッ!!」

り、『両腕を吹っ飛ばされた』ッ!

肩から脇腹にかけて、ここで焼きそばが作れそうなくらいに熱い鉄板を押し当てられたような…静かな痛みが、わちきの腕を、腕の断面を襲う。覆うことも出来ないという、『寂しい』痛み。

イスラム過激派なんかに拘束されている奴みたいな状態だ。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「痛いか?」

「痛いに決まってるふにスカタンッ!」

わちきはなんとか足だけで後ずさり、芋虫のように塀によじ登り、何とか二足歩行になれた。

このウサギ戦車を活用しようにも、能力さえ分からない。こいつにかかれば八つ裂きかミンチか、輪切りか銀杏切りか…。現実的に言えば乱切り、ぶつ切りだな。

「………………………」

待て。

死にたくない。

わちきは、まだ生きたい。

至極自分勝手な理由だが、『まだこころと結婚していない』からだ。

あの幼馴染の胸さえ、この身体では揉めない。

揉みたい。

こころの胸を、揉みたい。

この前、わちきの腕にこころが抱きついた時、直感したんだ。『あ、Eカップだ』と。揉まずに、むしゃぶりつかずに、死ねるかと。

高校2年生になったばかりの、あの幼馴染の、豊満で柔らかそうな禁断の果実(ヘルヘイムの実)を、両手に持て余したい。

………とにかく、死にたくないンだよ。

「オイッ!LINDBERGッ!この腕を『再生するふにッ』!スタンドなんだろ、超能力使えるんだろ!早くしろふにッ!」

「無駄だ…そんな強力な能力を、こいつは持ち合わせていない」

「いいや無駄なんかじゃあない!アンタのそのサイコガンみたいなのが出来るんなら、わちきのスタンドも腕の2本や3本…きっと出来るハズ!」

「無駄だ。2回も言わせるな、無駄なのだ」

「黙れふにィィィィイッ!!お前は…ッ!お前は人殺しをするのか!!」

足だけで逃げるも、気づけばわちきはフェンスの角に追い詰められる。前には2mはある大男。

死んだな。

ああ、わちきは死んだのだ。もう死んでいる。あと1分で毒ガスの流れる脱出不可の密室にいるのと同じで、もう死んでいるも同然なのだ。早いか遅いかの違いがあるだけだ。

「お前はこの袋小路に追い詰められた、ただの…『猫』だ。そのふざけた口癖とカッコも、いつまで保ってられるかな?」

!!

「…………違うふに」

「!」

直感できた。わちきのスタンド能力…自分の事だから、そりゃあ分かるさ。

「確かに猫ふに…しかしッ!追い詰められるのは、お前の方だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

それはッ!

『自分の身体を自由に操る程度の能力!』

 

【挿絵表示】

 

腕を再生し、右脚をグンと伸ばすと、そのままゴムのように無限に伸びる。わちきのネイビーのコンバースが、反対の柵の角までヤツを押さえつける。

「わちきの髪がピューマみてェーだとォ!!」

「なにッ!そ…そんな事、誰も言って…」

「確かに聞いたぞゴラァ!!」

「フン!ボディからアゴにかけてガラあきになったみたいだふにィーーーーーーーーッ」

わちきのスタンド!切られた腕さえも再生するスタンド!その名はッ!

「『LINDBERG』!!わちきに力を貸せェェェ───────ッ!!にゃァァァァァァァ!!」

「させるかッ」

すかさずわちきの足から逃げ出し、こちらにマッハで向かってくるワンドゥ。

猫のように、いや、猫と同じく叫び、力むと、背中からは自然にヤマアラシやハリネズミを彷彿とさせる、『針』が現れ、1mほどに伸びる。ブレーキの効かないワンドゥの拳に突き刺さると、一段と長さが増し、腕ごと針で貫く。

この針……『皮膚』から出来てるのか。瞬時に皮膚を強化して、所謂犀の角のように、硬化した皮膚を武器に出来るのだ。

「ァァァァァァァ!!」

血管を出し、最大限まで伸ばして、編む。蜘蛛の巣状に組み合わせ、ついでに血管から出た血で目潰し。弦巻家の広い庭、そして弦巻邸の壁を使い、巨大な…『スタジアム』を作る。

冴瀬柱銀巣汰時編(こせちゅうぎんすたじあむ)』。

「ぐ……い、いきなり…何を…」

「その言葉、リボンをつけて折り返してやりたいな。こころ達の味わった痛みを、鋭い痛みを、ゆっくりと味わえ」

「…こころ…あの『結婚する』とかほざいていた奴か。くだらん」

…………?

今、こいつにものすごく怒っている筈なのに、躰が動かない。躯を動かせない。身体を支配され、縛られたように動けないのだ。

原因なんて分からない。が、今の単語がトリガーだったことは確か………………。

…『記憶』?

「………もう、やめてよ…忘れちゃうんだよ、薄っぺらい記憶なんて…!」

「記憶?もしかして『M』の事か?」

次。

の、瞬間。

わちきは。

オレは。

堪えきれず、叫んだ。

はち切れた。

大事な何かが。

どこまでも届くように。

助けを求めるように。

逃げるように。

「ああああああああアアアアアあああああああああああああああああアアアああああああああぁぁぁぁぁぁァあアぁぁぁぁぁァァァァァァァぁぁぁぁああ!!!」

「…思い出したか。あのお方を忘れるなぞ、無礼にも程があるぞ……まあ、記憶を奪われるのだから、多少は仕方ないとは思うがな」

「やめてッ!!ノイズだ…!これは私にとってのノイズだ!!!取り除かなければならないッ!!!」

「………これが『運命』、か。従うまでだ、俺は…それに…」

「私は!!わちきは!!『記憶の奴隷』だったッ!それをッ!その循環を、サイクルを!サークルを断つッ!!!」

「……………………………」

死ぬ事に、何の戸惑いもない…不死身のフランケンシュタインか吸血鬼かのように、動じない。動かないのだ。今から、針串刺しの刑に処されるというのに。

記憶。

それは、なくては為らない。なくては成らない。

取り戻さなければ。忘れたものを取りに帰るように、わちきは、いつかその記憶の埃を払うのだ。

……それにしたって、わちきには守らなくっちゃあならないモノがあるんだ。弦巻こころ。わちきを好きな女であり、わちきの好きな女だ。

今だけは。どうなったっていい。ダムに飛び込むことさえ受け入れるさ。それで、こころが助かるなら。

こころ。

弦巻、こころ。

会いたいなあ。

「記憶を返せ」

「俺を食え」

「は……?」

「俺の死骸を食えばいい。安心しろ、手順の『記憶』も思い出せる筈だ」

意味が分からない。カニバリズムしろって言われて、そのまんま食えっての?

「じゃあ、やるふに」

「来い」

「……いただきます」

…あれ。

『弦巻こころって、誰だっけ。』

……………いつもの記憶ゲロだと信じて、放っておこう。

そこで溶け始めたワンドゥは、完全に正方形のスポンジ状になった。残ったのは、銀色のピアスだけ。

スポンジ…じゃあ、ないよな……。

ピアスは手に取ると、たちまち『卵』になった。鶏卵ではなく、オタマジャクシの入っている丸い卵、いや、色からして鉄球か?…しかし、まだ暖かく、柔らかい。完全な球体だ。

これを食べれば、戻るのか?

………………思いの外、美味しい。まさかそのまま食べる事になるとは。今現在、記憶を取り戻したかといえば、完全ではないが………少しはマシになったと言えよう。

ここ、懐かしいなあ。と思えるくらいには。

血管や背中の針も無くなり、全てが蒸発する。何故だろう、とも思わないのは、不思議な事が起こりすぎたからだろう。

「成琉!!」

「ん……」

こころッ!!!の、おっぱいだァ!!!!!

「黒服の人たちを呼んでも、何も無いって言ってて…大丈夫だったかしら…?」

「ああ、説得して帰ってもらったふに」

「良かった!成琉、無事なのね!?」

「お陰様で、この通りにゃんにゃんしてるふに」

相当息切れしている。目もさっきまでは定まっていなかった。わちきには返り血もなく、怪我もLINDBERGの能力で治り、ネコ耳が切れてるだけ。さっきまでのわちきと全く同じだ。

「あら?ここ、何の傷?」

「あー!さ、さっき転んだふに!」

やべえ、さっきのワンドゥの攻撃で、全身の服に穴が空いてるんだった!

「もう、お茶目さんね!念の為、お医者さんに見てもらいましょう!」

「いや、いいふに。それより皆は?」

「成琉が逃がしてくれたお陰で無事だったわ!もちろん、あたしもね!ありがとう成琉!」

「…………良かったふに」

「優しいのね、成琉。きっと貴方なら、世界を笑顔に出来るわ!ハロハピに来ない?」

「いやいや、ガールズバンドふによね…?」

「性別なんて関係ないわよ!メンバーも含めて、世界が笑顔になればいいのよ!」

こだわる所は、あくまで笑顔らしい。

身体だけでなく、頭も少々使いすぎたみたいだ。帰ったらスグに寝たい。

が、その願いが叶う訳もなく。

「成琉くん、怪我はない!?大丈夫!?」

「ナルくんが帰ってきたよぉ〜!うぇぇん!怖かった〜…!」

「すぐ119に連絡するので、待っててくださいッス!」

「ふぇぇぇぇ!!ありがとう、ありがとうございますっ!」

「寝させろふにーっ!!」

 

to be continued…→

 

 

 

今日の山梨ワクワク見どころスポット!

①フルーツ公園

笛吹の『やーまなっしーふるーつおんせんぷーくっぷっくー♪』の近くにある公園ふにね!シルクの里公園ことおっぱい公園、小瀬スポーツ公園と並ぶ山梨3大公園にあたる公園ふに。そんなもの無いけど。

山梨らしくフルーツをふんだんに使ったジェラートやソフトクリーム、スィーツが沢山ふに。オススメはイチゴ味(1月〜5月限定)ふに!あの味は5ヶ月と言わずグランドメニューにして欲しいふになあ…。夏休みに売ってるのはすもも、ももソフトふに。巨峰ソフトはいつでもあるふに。勿論味は保証するふによ!

夏でも冬でも楽しめるし、夜の夜景は日本三大夜景にも数えられるほどの夜景ふに。独身貴族の皆さん、カップルには気をつけるふに。

そしてこのフルーツ公園が出てくる、のんびりゆるゆるきらら系アニメ『ゆるキャン△』と、あの大人気マンガ、ジョジョの奇妙な冒険スピンオフ『岸辺露伴は動かない』がコラボした『ゆるキャン△〜岸辺露伴は止まらない〜』が現在連載中ふに。フルーツ公園は4話(エピソード26)、5話(エピソード67)で行くふに。ソフトクリームの販売時期が全て書かれてるふによ、必見ふに。




なんとなんと、今回の話の総文字数は1万字なんですって。文字数が多ければ多いほど楽しめる?『自分はそうは思いません!』。私の小説の場合、グダってるだけですから。ダイマもネタですから、別に見なくてもいいです。
あ、LINDBERGとポツネンのステータス貼っときます。

相生成琉
LINDBERG(ロックバンドの名前より)
身体のあらゆるところを『伸ばす』程度の能力
生物型
破壊力:B スピード:C 射程距離:D
持続力:D 精密動作性:C 成長性:B
実は再生とゴムゴムしか出来ない。皮を伸ばして羽根にして飛んだり、臓器をいじったりもできる。パワーも増幅したりする。

ワンドゥ
ポツネン(ラーメンズ小林賢太郎のソロコントプロジェクトより)
風を操る程度の能力
無像型
破壊力:A スピード:A 射程距離:A
持続力:C 精密動作性:B 成長性:E
ところどころワムウやドラマツルギーっぽい。あとなんかカッコイイ。えと、なんか、うん。カッコイイ。
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