椚ヶ丘中学3-E組は暗殺教室である。
俺、比企谷八幡もその中の一人である。
理由は後ほど説明するが俺たちのクラスが暗殺教室になったのは俺たちの担任が原因である。
その担任が俺たちの標的であること。
暗殺教室というだけあって朝から普通の学校と比べると異常に感じることだろう何故なら…
「起立!気をつけ!礼!」
号令が終わった瞬間クラス全員が教師に向かってエアガンを放つのだから。
「遅刻なし…と素晴らしい!先生とても嬉しいです」
「残念ですね今日も命中弾ゼロです」
「そして比企谷くん君はまた私に向かって撃ってきませんでしたね」
え?何故俺だけ撃たないかだってそりゃ、
「クラス全員で撃ってるのに全く当たらないんだ今ここで下手な鉄砲も数打ちゃ当たるなんて言うが先生の場合はそれが出来ないからなチャンスがあるときに撃った方がいいと思うんで」
「ヌルフフフフそうですか」
「殺せるといいですねぇ卒業までに」
改めて言おう椚ヶ丘中学3年E組は暗殺教室、
始業のベルが今日も鳴る。
さて、何故このようなことになったかを説明しよう。
〜回想〜
あれは、3月の始め、俺たちは、2つの事件に出会った。
一つは、月が突然7割ほど消滅して、三日月になったこと。
もう一つは……
「初めまして、私が月の事件の犯人です。来年には地球も爆破する予定です。皆さんの担任になりましたので、どうぞよろしく」
「「「「「…………は?」」」」」」
月の事件の犯人…黄色いタコみたいなのが担任の教師になったことだ。
その後、防衛省の烏間という人から説明があった。
曰く、月を破壊した犯人である。
曰く、来年三月には地球も破壊する。
なので、こいつを殺してほしい。
成功報酬は……100億円。
〜回想終了〜
そんなこんなで色んなことがあった。
しかも標的なくせしてこの先生は何故かちゃんとした先生をしている。
(不思議だよな〜)
キーンコーン
「おや、授業はここまで、先生、中国で麻婆豆腐を食べてきます。暗殺希望者があれば、先生の携帯にまで。それでは」
そう言って先生はマッハで飛んでいった。マッハ20なら十分くらいで到着するからいいよな。
さて、俺も飯にするか。
教室を出て俺は校舎の隅でパンを食っていた。
すると青髪の少年?えぇっと名前は……あぁ!そうだ確か潮田だ。潮田といつもの不良3人組が出てきた。
(……暗殺の話だな)
と思った。
(嫌な予感はするが口を出すのはやめておくか)
俺はそう思いそのまま教室に戻っていった。
時は流れて午後の授業。国語。
俺は得意科目だが、授業内容が面倒だった。
「はい、それではお題にそって短歌を作ってみましょう、ラスト七文字を『触手なりけり』でしめてください」
は? 触手なりけり? どんな短歌だよ……
するとクラスの女子が、先生に質問する。
名前は何て言ったっけな?
「先生、しつもーん」
「? なんですか? 茅野さん」
ああ、そういやこの女子はそんな名前だったな。そして茅野の質問は……
「今さらなんだけど、先生の名前って何て言うの? 他の先生と区別するのに不便だし」
「そうですね、名乗るような名前はありませんね? なんなら皆さんがつけてください。今は課題に集中ですよ」
そう言って先生は椅子に座る。すると先生の顔色が薄いピンクっぽくなったのを見計らい潮田が動く。
(殺る気か?)
潮田は先生に短歌の用紙に隠していたナイフを出して先生を攻撃する。
シュッ! パシッ!
もちろん見事に先生は受け止める。この場で避けるはない。そして潮田は先生に油断を誘うかのようになめらかに先生に抱きつく。潮田の首にはBB弾グレネードが――
(ヤバい、これはヤバいぞ‼︎)
「全員、伏せろ‼」
俺が教室で叫ぶ、すると寺坂がスイッチをオン。
ドガァッ!
グレネードが爆発して教室中にBB弾が飛び散り、先生にあたり、潮田にも当たる。
(おいおい威力予想以上に強かったぞ!
潮田は無事か!)
俺は潮田の向かっていった。
寺坂たちは「ひゃっほう!」「百億いただき!」と喜んでいた。
すると茅野が言う。
「ちょっと!? 渚になに持たせたのよ!?」
「あ? 玩具の手榴弾だよ。ただし、火薬を使って威力を上げてる。三百発の対先生用BB弾が飛び散るようにな!」
だから威力がおかしかったのか……それじゃあ潮田も怪我するじゃねえか! 火薬なんてつかってるとわかったらあのとき止めてたっつの! 火薬なしなら軽い打撲程度ですんだから選択肢で済ましたってのに……
「死ぬ威力じゃねえよ。俺の百億円で治療費くらい……
「おい、寺坂お前人殺すつもりか?」あ?」
「だからよ人殺すつもりかって聞いたんだよ」
「あぁ?だから言ってんだろ死ぬ威力じゃねぇって」
「あのな寺坂、死ぬ威力じゃねぇ?巫山戯んなよ人間ってのは少しの衝撃で死んじまうくらい脆いんだよ。先生が潮田を守ってくれなかったら死んでいた可能性だってあるし、周りの皆だってbb弾が目に入って失明する可能性だってあったんだぞ」
と殺気を込めて言う。
「ヒッ」
寺坂は少し怯む。
「まぁ俺からは以上だ。あとは先生お願いします」
と天井を向いて言う。
「実は先生、月に一度ほど脱皮をします。脱いだ皮を渚君に被せて守りました。逆に言えば月一で出来る奥の手と言うことです」
と言う声が天井から聞こえた。その先生は誰がどう見ても……ぶちギレた表情だ。
「寺坂、村松、吉田。主犯はお前らだな……」
先生の口調から『君』が抜け、敬語も消えた。ついでに一瞬、姿も消えた。
そして一瞬で戻ってきたがその手には……
『寺坂』『吉田』『村松』
三人の家の表札が握られていた。ほかにも表札らしきものを握っていると言うことは、このクラス全員の家の表札を取って回ったと言うことになる。俺んちのも……
「政府との契約ですから、先生は君たちにはてを出さない。だがまた今と同じ手で殺しに来たら君たち以外になにをするかわかりませんよ?」
確かに先生は契約上、俺らには危害を加えられない。しかし、家族は別だ。
寺坂たちは涙目で反論した!
「なんなんだよ! 地球破壊とか! 暗殺とか。迷惑なんだよ! 迷惑な奴を迷惑な方法で殺してなにが悪いんだよ! 」
すると先生は――
「迷惑? とんでもない、君たちのアイデアは素晴らしい。特に渚君の肉薄までのからだ運びは百点です。それに比企谷君もみんなに伏せろと叫んだのも良かったですし
先生がどこにいるか瞬時に把握したその観察眼は素晴らしいです」
ん? 俺も? 先生の言葉にみんなが注目する。
「でも、寺坂君は渚君を、渚君は自分自身を大切にしなかった。そんな生徒に暗殺をする資格はありません」
どんな生徒ならそんな暗殺する資格があんだよ。いやそこじゃないか。つまりは――
「笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君たちはそれをなせる力を秘めている」
どんな暗殺だよ。いや、先生の言いたいことはわかるが。すると先生は言う。
「さて渚君、先生は殺される気など毛頭ない。来年の三月まで君たちとエンジョイして地球を破壊します。どうしますか?」
諦めますね。俺なら。しかし、潮田がそう言うハズもなく。
「先生を……殺します」
笑顔でいった。
「ヌフフフフ、そう来なくては……では、今日はみんな殺せ次第帰ってよし!」
『えぇ!?』
先生の宣言にみんな席に戻り、ナイフや銃を持つが…
…
(殺せねえ)
(今、いったら表札と一緒に手入れされる)
身動きが取れない。すると茅野が言う。
「殺せない先生……殺せん……あっ!殺せんせーは?」
するとクラスで……
「いいんじゃないか? 分かりやすいし」
「うん、いい」
こうして椚ヶ丘中学3-E担任は、殺せんせーと命名された。