遅めの朝食を済ませてから、ヒマリはホテルに向かった。管理人さんからはすこし睨まれてしまったけれど、荷物はちゃんとあってほっとする。ちんけな小さいキャリーバッグでも、私にとっては全財産である。
なぜだかどっと───疲れてしまった。眠くて眠くて仕方がない。お腹がいっぱいだからだろうか。瞼が重くて、重くて。
気づけば寝入ってしまっていた。子供のように、丸くなって。
◆◆◆
目が覚めたら夜だった。
思考がぼやっともやけていてぶんぶんと頭を振る。ひさしぶりに寝入ってしまった…どれくらい寝ていたのだろう。真っ暗な窓に呆れて笑う。いろいろあったから、いろいろありすぎたから、ちっぽけな日本から飛び出してから。
飛行機に乗って、小さなキャリーバッグと一緒に、遠く遠く遠くへ。
突然ふっと思考が開けて、ベッド脇に誰かが立っているのを悟った。月明かりは差し込まない日照りの悪い部屋。真っ暗闇では気配を探ることしか出来なくて、一切の挙動を止めた。
その人影は動かない。誰だろう、扉の鍵は閉めたはずなのに。敵側の誰かだったらやだなあ、殺されちゃうなあ…と我ながら緩い思考をたらたらと続けながら、その名前を呼ぶ。
「…アタランテ?」
「…」
ピクリ、とその影が動いた気がして、息を呑む。ベッドが軋む音がして、陽鞠は身を縮こませた。
鼻先に髪が触れた。森の中にいるのかのようなこの香りは、紛れもなく“赤”のアーチャーのとの。ほっとして声をかける。
「アーチャー? どうしたの」
「…」
「何かあったの?」
その指が陽鞠の髪を掻き分けて頭に触れた。またぎしり、とベッドが軋む音がして、背中に手が回される。ぎゅうっと息が出来ないほど抱きしめられて、思わず「ん…っ」と声が出た。
「どうし、たの、アタ…ランテ…! くるっ」
彼女は私の髪を撫でながら無言のままだ。手が、サーヴァントの手が、人間の頭蓋など卵の殻のように握りつぶせる手が。わたしを押し潰さん如く撫で続ける。
「大丈夫、大丈夫だ」
「“アーチャー”…?!」
「お前達は、わたしが、絶対に、守ってみせる」
虚ろな声で、暗闇の中。相手の表情は見えないまま、なぜだか泣いているのだ。と思った。決意を滲ませる声に、未だ私の背を撫で続ける手を握って。私もそっと抱き返した。そうしないとこの人は狂ってしまう。あの日の父のように。何かに魅入られてとり殺されてしまう。そう感じて、私も目を瞑って大丈夫。大丈夫。と声に出した。
──もしかしたらもう、とっくに。それこそずっとずっと前に、歯車なんて狂いきって、どうしようもないほど壊れていたのかもしれないけれど。
大丈夫、と。そう願わずにはいられなかった。
お久しぶりです。
私の夏は褐色おっぱいに始まり、彼氏面、彼氏面(×2)、ヴィヴィアーンに終わりました。
ハワイループの旅、楽しかったですネ! びぃびぃちゃん欲しかったあ…XX…メイヴちゃん…
灼熱の夏が終わり、食欲の秋の始まり9月…! になりそうですが、残暑と台風がやばそうですね!(^q^)
皆様お気をつけくださいな