「はい、これが今回の報酬です!お疲れさまでした!!」
俺は依頼を完了しギルドへ戻ると受付から報酬15万エリス程を受け取り、再び依頼などが載っている掲示板へと向かう。
あれから約3週間ほどだろうか。俺は戦功を重ねるべく掲示板に載っている様々な依頼を受けた。
ある時は村や町に害をなすモンスターの討伐依頼。またある時は商人の護衛。時には大型モンスターの討伐依頼もこなした。
……しかしどうだろう。いくら必死に依頼をこなしても全く内容が変わり映えしないのだ。
数をこなしたところで、いつ見ても大体が同じような内容。しかも最近は依頼自体が少なくなってきているような感じもする。
こんなことの繰り返しではいつまで経っても魔王討伐などできない……俺はそう思い始めていた。
そこで俺は1つ考えた。
たまに張られる高難易度クエストという強いモンスターの依頼……あぁいったのをこなしていくべきだと。
今の所、俺が戦ってきたモンスターは皆大したことはなかった。どの位かというと、群れをなすモンスターでもリムペットガン1本で何とかなるレベルだ。
だが油断は禁物だ。アリや戦闘ドローンの色が赤く変わっただけで恐ろしく強くなるといったように、高難易度のモンスターがどうにもならない可能性もある。なので迂闊には手を出さないようにしていたのだ。
だから仲間を探し共に戦うことにした。
この掲示板には依頼の他にもパーティ募集なんていう張り紙が多く張られる。
丁度良さそうな募集依頼があればいいのだが……。
「うーむ、結構あるな。……ん?」
その中でも一際目立つよう真ん中にデカデカと張られている張り紙があった。
『パーティメンバー募集! ※魔王討伐を目的としている為、上級職のみを募集します』
「これだ!!」
今の俺にピッタリの募集があるじゃないか。
よく見れば目的が魔王討伐というパーティはここだけ、上級職のみを募集している所を見るにかなりの手練れがいるに違いない。
丁度俺も上級職なので条件には当てはまる。
「パーティリーダーは、カズマ……か。どこにいるんだ?」
何か運命的なものを感じた俺はすぐにこのパーティのリーダーを探した。
「あの少年か」
受付に尋ねパーティーリーダーを発見した。茶髪のジャージっぽい装備をした若者だ。
そのテーブルには何やらポーズを決めながら食事している魔法使いのような出で立ちの少女とごくごくと飲み物を飲んでいるどこかで見覚えのある青い髪の女性がいるが、パーティメンバーだろうか?
まぁいい。意を決して俺は少年の元へと向かった。
「すまない。メンバー募集の張り紙を見てきたのだが」
「えぇ!?」
「ブーーーッ!!!?」
少年が素っ頓狂な声を上げたと思えば隣に座っている青い髪の女性は盛大に飲んでいた飲み物を少年の方へ吹き出した。
「わっ、汚ねぇ!!何すんだ!!」
「ゲホッゲホッ!ちょ、ちょっとカズマ……こいつはまずいわ……」
女性はカズマ少年と何やら声を潜めて話し始めた。俺を加入させるかどうか相談しているのだろうか。
……うーん、やはりこの女性誰かに似ている。誰であったか。
「ほほう、その姿……貴方、中々出来ますね」
「む?」
食事をしていた魔法使い風の少女が妙なポーズを決めたまま突然話しかけてきた。
出来るとは、一体何のことだ?
「あー……君もこのパーティのメンバーなのか?」
「えぇ、ついさっき入れて頂いたばかりですが」
何と、先を越されていたか!これはもしかしたら加入できないかもしれないな……。
少々不安になりながらも少し待っていると、カズマと女性は話が終わったようでこちらに向き直った。
「あーごめんごめん!えっと、俺達今上級職しか募集してないんだよね」
カズマは頭を掻きながら苦笑いする。
そうか、まだ職業を教えていなかったな。
「一応、上級職のはずだ。確認してくれ」
俺はステータスなどが書かれた自分のカードを差し出す。
「え?どれどれ」
「ちょっと、そんなはずないでしょ!見せなさい!!」
何故か青髪の女性が声を荒げ、カードを奪い取り確認し始める。
そんなわけないとはどういうことなのだ。
「うーん、確かに上級職ね……おかしいわねぇ」
しばらくして、カードを確認し終えた女性は少し疑いつつも俺にカードを返す。
「いや、疑いようないだろ。間違いなくこの人上級職だって。ステータスも見たろ?超優秀じゃないか」
「ですね。魔力は私のが断然高いですが」
カズマに続いて少女がうんうんと頷く。
「つまり、コスプレマニアでさえなれる上級職にカズマさんはなれなかったってことになるのね。ププッ!」
「アクア、お前は上級職のくせに無能なんだから威張るんじゃねぇ」
何やら少年と女性が喧嘩を始めた。コスプレマニアって俺の事か?……ちょっと待て、アクア?アクアって、まさか!?
「そうだ思い出したぞ!その姿、女神アクアか!?」
間違いない。俺を装備付きでこの世界に送り届けてくれた全能の神だ!まさか直々にこの世界に出向いて来てるとは思わなかったが。
俺に問われたアクアはカズマと喧嘩を中断しきょとんとした顔で俺を見る。
「え?貴方気付いてなかったの?そうだけど、何か文句あるの?」
「いや、文句なんてとんでもない!とても便利な特典、感謝している。ありがとう」
と、俺は頭を下げる。これに関しては感謝してもしきれない位だ。
「あ、そ、そう。それはよかったわね……」
それに対し、アクアは何故かひきつったような顔を見せる。
「女神?特典?」
少女はなぜか首を傾げている。
何だ?この少女はまだ知らないのか?
「聞いていないのか少女よ、この方は」
「あー、いや、まぁ2人は知り合いだったみたいだしそういう呼び名とかがあったんじゃないかな?気にしないほうがいいぜ」
何故かカズマに遮られてしまった。
少女は、なるほどと納得した様子で食事を続ける。
何なんだ一体……。まぁいい。
「……ところで、俺はパーティに加えてもらえるのだろうか?可能ならぜひお願いしたい」
俺はカズマに尋ねる。
「え、あぁ。そうだな。いいぜ。俺はカズマ。この駄女神とは顔見知りみたいだからいいとして、こっちはアークウィザードの……」
「めぐみんです。よろしく」
野菜をほおばりながら頭を下げるめぐみん。
めぐみん……変わった名前だな。
コードネームみたいなものか?
おっと、俺がまだ名乗ってなかったな。
「俺はストーム1だ。これからよろしく頼むぞ!」
カズマに女神アクア、めぐみんか……。何故かは知らんが女神もいるし頼もしそうな面子のいるパーティで良かった。
これなら高難易度クエストも楽勝だな!
カズマ視点
とても意外なことが起きた。
来るはずがないと思っていたパーティ募集に妙ちくりんなのが2人も集まったのだ。
1人は目の前で必死に料理を食べているアークウィザードのちびっ子、めぐみん。名前もそうだが言動もちょこちょこふざけているのがかなり心配だ。
しかし、紅魔族とかいう魔法一族の生まれらしいし幼い見た目に反して魔術に関しては確かな腕を持っているのかも知れない。
そしてもう1人がその隣に座りシュワシュワを飲みながらめぐみんと談笑しているストーム1という男。
顔をすべて覆うヘルメットと、特殊部隊のような装備をした、かなりこの世界には合わない装備をしている人だ。
……ヘルメット取らずにシュワシュワ飲んでるけど、どうなってんだあれ?
アクアの話じゃ俺と同じ日本で死んだ人らしい。
手違いか何かでアクアは詳細を知らないが、本人曰くエイリアンから地球を守っている最中その親玉と相打ちになって死んだとか言っているかなりアレな人みたいだ。
しかも元の世界で使っていたコスプレ装備とやらを自由に持ち込める特典を選んだようだ。カードの軒並み高いステータスと上級職というのを見て加入させてみたが……
今後の事考えると正直明らかにやばい奴を加入させたのは間違いだったかもしれない。
「ふふん、分かるわよー。後悔の念が渦巻いているのが分かるわー。だから私は言ったのよ?入れない方が良いって」
アクアがニヤニヤとむかつく顔でこちらを見てくる。マジでぶっ飛ばしたい。
まぁこの後、さっき倒しきれなかったジャイアントトードへリベンジに行こうと思っているからそこで改めて判断するのもありだな。