この素晴らしい世界に空爆誘導兵を!   作:ゴブトツ

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多数のUA、お気に入り、感想、評価、ありがとうございます。

こんなにも多くのEDF隊員がいるとは……愛しているぞ!!

※装備レベルに関して

一部を除いて明確にはしていませんので、皆様のご想像にお任せしようと思っております。ちなみに私としては最高ランクの物で固めると世界がすぐさま焦土と化しそうなので、HARD~HARDEST序盤辺りで通用する位ものと考えております。



mission7 『不死の女王』

「うむぅ……」

 

俺はフォークに突き刺したキャベツ炒めを口に運びながら唸り声をあげた。

 

俺達はギルドで大量にふるまわれているキャベツ料理を皆で囲みながら打ち上げの真っ最中だ。

 

そう、キャベツだ。

 

戦闘終了後、何故か冒険者たちは必死に敵の死骸を回収していた。

 

それを見て不思議に思い、ネグリング自走ミサイルから下りて受付に確認した所分かったのだが、あの緑色の飛行生物の軍団は魔王軍が操る怪生物ではなくただのキャベツだった。

 

魔王軍にしてはやけに弱いと思ったのだが、どこの世界に飛んでくるキャベツがあるというのか。

 

おかげで多くの冒険者の前で恥をかく羽目になった。只のキャベツに対しあそこまで必死になっていたのは恐らく俺だけだ。

 

「……そして忘れちゃいけないのが、ストーム1!!見事だったわ!!貴方のおかげで大収穫よ!!」

 

と、同じテーブルでキャベツ料理を囲みカズマ、めぐみん、そして正式にパーティへ加入することになったダクネスと談笑していたアクアが俺の話題に切り替えた。

 

「えぇ。召喚獣に加え、飛び回るキャベツを1匹たりとも逃がさない魔道具、荷車みたいなのから放たれる追尾魔法は見事でした。またあの荷車使わせてくださいね」

 

それに続き、にこにこ微笑むめぐみん。

 

……俺が受付に話を聞き、ガックリと肩を落としている時。

 

突然周囲が騒がしくなったと思えば、めぐみんが勝手に自走ミサイルに乗り込み暴走させていたのだ。

 

あの時ばかりは本当に目玉が飛び出るかと思った。

 

機関砲や単装砲を要請し、素早く走行不能した後めぐみんを引っ張り出したため幸い怪我人は出なかった。

 

俺の装備は他人には使えない、と先日アクアが言っていたので安心しきっていたのだが……どうやら使用者が直接武器として持つ剣や銃などに限った話らしい。

 

他の物は知らなーい、と他人事でアクアは終わらせた。恐らくだが、ビークル全般と操作が簡単な設置兵器などは誰でも使えてしまうだろう。これからは、それらの扱いに一層気を付けなくてはいけないだろう。

 

ちなみに自走ミサイルの残骸とZE-GUNは全てが終わった後、俺が消えるよう念じると一瞬で何処かへ消え去っていった。

 

ビークルを投下する際のコンテナもそうだが、搭乗者がいないビークルや設置兵器も同様に消すことができるだろう。これに関しては大変便利なことだ。

 

「あぁ実に素晴らしい立ち回りだった。特にあの魔道具は……くっ」

 

さらにダクネスも俺を称賛する。

 

だが……素直に喜べない。キャベツを狩り終えた後、他の冒険者達も同じようなことを言って褒め称えてきた。

 

「うぅむ……ありがとう。キャベツか……キャベツ」

 

これが魔王軍だったなら大いに喜べた上に、確実に魔王討伐への大きな足掛かりとなっただろう。

 

何とも悔しいことだ。

 

「まぁやり過ぎだった気もするけどな……ってストーム1?どうした?元気ないぞ?」

 

カズマが不思議そうに俺に尋ねてくる。

 

幸いな事に他の者達には俺が勘違いしていたことはバレていないようだ。

 

俺はこの事は何が何でも隠し通すことに決めた。

 

「いや、何でもない。そうだ、ダクネス。ZE-GUNの弾が当たったと聞いたが、すまなかったな。怪我は大丈夫か?」

 

俺はふと思い出しダクネスに確認した。

 

これはカズマから聞いた話だが、ダクネスがZE-GUNの前でシャワーを浴びるかの如く弾丸を受け気持ち良さそうにしていたらしい。

 

ZE-GUNは1機でも装甲を付けたエイリアンの動きを封じるほどの連射力を持ったセントリーガンだ。一般人があの前にずっと立っていたら数秒と立たずミンチになるだろう。

 

多くのキャベツや冒険者が入り乱れる大混戦の中だ。きっとカズマは1、2発の誤射を勘違いしたのだろうが……心配は心配だ。

 

「あの魔道具の事か?何故ストーム1が謝るんだ?こっちはお礼を言いたいくらいだ!!何なら毎日私に使ってくれ!!」

 

すると興奮気味にダクネスは答えた。

 

「……?そ、そうか。大丈夫そうで良かった」

 

よく意味が分からないが、とりあえず大丈夫のようで何よりだ。

 

「ふふん、それにしてもダクネスが加わってウチのパーティも中々豪華な顔ぶれになってきたわね!!」

 

そんなダクネスを見てアクアが満足そうな笑みを浮かべながら言った。

 

「アークプリーストの私でしょ?アークウィザードのめぐみん、ボマーのストーム1。そして防御特化の上級前衛職である、クルセイダーのダクネス!5人中4人が上級職なんてパーティまずないわよ?カズマ、私達に感謝しなさいな!」

 

そう言われたカズマはかなり不服そうな顔をしている。

 

確かにアクアやめぐみんに関しては心配だが、貴重な前衛職のダクネスが入ってくれて俺は非常にありがたい。

 

盾になってくれるものがいれば要請や後方支援が格段にやり易くなるからだ。

 

明日からは難しめのクエストにも挑戦できるだろう!

 

俺はそう思いこの打ち上げを楽しむことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、カズマ!その肉は私が目を付けてた奴よ!!ストーム1、お肉と野菜切れたー?早く持って来てー!!」

 

後ろからアクアの声が聞こえる。

 

「もう少し待ってくれー」

 

俺はもう少し待つよう促し、包丁を動かす。

 

キャベツ狩りから2日後の日も暮れ始めた頃。共同墓地のアンデッドモンスター、ゾンビメーカーの退治のクエストを受けた俺達はアンデッドが現れる真夜中まで墓場の近くでキャンプをしていた。

 

……正確には鉄板を敷き肉を焼いてバーベキューをしている。

 

俺は今、皆の為に追加で食材を切っている最中だ。

 

初めここへ来る前に俺は高難易度クエストへ行ってみようと提案したが、カズマが頼むからやめてくれと言った為このクエストになった……。

 

しかし、これからアンデッドを倒しに行くというのに、こんなにほのぼのしていていい物なのか。

 

俺はアンデッドモンスターとはまだ戦ったことがない。彼らはその名の通り不死身とも言われる存在のはずだ。俺の武器が効果を発揮するかも怪しい。

 

そんな事を考えながら俺は食材を切り終え、軽く水で洗ってから器に移して皆の所へ持って行った。

 

「肉と野菜切ってきたぞ」

 

俺の持つ食材を見ると、皆待ってましたと目を輝かせている。

 

「おっ、サンキュー!」

 

「ありがとうございます、ストーム1」

 

「うむ、ありがとう」

 

「遅いわよ!早く焼いてー!」

 

アクアがぷんすかと頬を膨らませながら催促してくるのですぐさま鉄板へと食材をのせる。

 

ジュワッと良い音を立て肉と野菜の焼けるいい香りが立ち込めた。

 

俺はその場に腰を下ろし一息つくことにした。

 

「お疲れ、ほい。水飲むか?」

 

カズマが俺に水の入ったコップを差しだしてきた。

 

俺は礼を言ってそれを受け取り一口飲んだ。

 

うまい。新鮮な水だ。

 

……このカズマには大きな変化があった。

 

まず装備だ。ジャージから大幅に変わり、もはや完全なこの世界の冒険者の装備だ。

 

そして、何と彼は魔法を覚えた。

 

キャベツ狩りの際に知り合った冒険者から初級魔法というのを教わったらしい。

 

主に少量の火や水、土、風などを生み出す魔法だ。

 

はっきり言ってめぐみんの爆裂魔法のように派手で強力な物ではないが、かなり便利であることは間違いない。

 

現に俺が飲んでいるこの水や肉を焼いている火はその魔法で生み出したものだ。

 

「『ウインドブレス』!!」

 

「ぎゃああああ!!目がああぁぁぁ!!?」

 

馬鹿にでもされたのだろうか?カズマが生み出した土と風を組み合わせ、砂埃をアクアの目に直撃させたようだ。

 

なるほど、そういう組み合わせ方もできるのか。覚えて日も浅いだろうに見事に魔法を使いこなすカズマを見て俺は感心した。

 

……これならアンデッドもまぁ何とかなる、か?

 

今回のクエストに関しては、やけにアクアも張り切っていたし案外余裕かも知れないな。

 

「ストーム1、肉が焼けたぞ。ほら取ってやろう」

 

ダクネスが俺の皿に焼けた肉をよそってくれた。

 

「おぉ、ありがとう」

 

俺は礼を言い肉を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「反応が近いぞ……総員、警戒態勢!」

 

俺は全員に注意を促す。

 

月も高く昇った深夜。共同墓地へと足を踏み入れた俺はレーダーで敵の反応を辿り、皆と墓場の中央付近まで足を進めていた。

 

「あぁ、敵感知にも引っかかったな。3、4……」

 

カズマも敵感知というスキルで敵に気付いたようだ。

 

ふむ、数はそこまで多くないがアンデッドがどれ程のものか。

 

先程めぐみんやダクネスに聞いてみた所、確かに不死身の身体を持っているが聖なる力や光を極度に嫌がるらしい。

 

なので俺は早速スプライトフォールの誘導装置を装備した。

 

この武器、その威力は地獄の業火にも等しい光の檻だ。

 

これが効いてくれるといいが……。

 

そんな事を考えていると、突如墓場の中央から天に向け青白い光が走った。

 

「何だ!?」

 

俺はすぐその地点をズームして確認する。

 

そこには天高く青い光を発する魔方陣とその周りにゆらゆら蠢くモンスター、そして黒いローブを着た者が確認できた。

 

「あれがゾンビメーカーか?めぐみん、見えるか?」

 

俺は隣にいるめぐみんに確認する。

 

「いや、あれは……ゾンビメーカーでは無い気がするのですが……」

 

めぐみんが自信なさげに答える。

 

何だと?

 

しかし敵反応はある。他のモンスターか?

 

「どうする?突っ込むか?アンデッド相手ならアークプリーストのアクアがいれば問題ないと思うが」

 

ダクネスはソワソワしながら大剣を抱えている。

 

「いや、まず俺がやろう。ここならスプライトフォールの射程圏内だ。うまくいけばモンスターをまとめて消滅させられるだろう……効いてくれればいいが」

 

俺がそう言い誘導装置を構えるとカズマ達が、おぉ!と声を上げた。

 

「皆、危険だから下がってるんだぞ」

 

「しょ、消滅させるって、一体何が起こるんですか?」

 

ごくり、と生唾を飲み込みワクワクした表情でこちらを見つめるめぐみん。

 

「ふっ、まぁ見ていてくれ」

 

俺が引き金を引くと紫色のレーザーが一筋、ピッピッと音を立てながら黒ローブのモンスターに伸びていく。

 

 

 

 

「あーーーーーーーっ!!」

 

その時、突如アクアが叫び声を上げながら俺の前に飛び出すとモンスターの方へ突っ込んでいった。

 

射線を塞がれたレーザーは目の前のアクアの背中に命中している。

 

「うおおぉぉぉっっっ!!?」

 

俺は本能的に誘導装置を手離し、要請をキャンセルした。

 

ガタッと音を立てて誘導装置が地面に落ちる。

 

俺の全身から冷や汗が滝のように流れ出る。

 

あ、危なかった。後1秒でも引き金を引き続けていたら俺達がまとめて消滅する所だった。

 

「ちょっ、あのバカ何やってんだ!おい待てよ!ストーム1行くぞ!!」

 

未だに冷や汗をかく俺に声をかけつつ、カズマがアクアを追っていく。

 

「はぁ、はぁ……何なんだ一体」

 

誘導装置を回収した後、俺もすぐにカズマの後を追った。

 

 

 

 

「や、やめやめ、やめてええええええ!!」

 

「うるさいわよアンデッド!!どうせこの怪しげな魔方陣でロクでもないこと考えてるんでしょ!!この、この!!」

 

カズマに追いつくと、そこには妙な光景があった。

 

先程見えた青い光を発する魔方陣を踏みつけ破壊しようとするアクアと、その腰に必死にしがみ付き食い止めようとする黒いローブを着こんだアンデッド……いや、若い女性の姿があった。

 

魔方陣の周りにはゆらゆら蠢くいかにもなアンデッドモンスター達がいるが、2人がもみ合う様子をボーっと見ているだけでこちらを気にも留めようとしない。

 

「……どういう状況だ?これは?」

 

「あぁ、ストーム1。何かあのローブの女の人、リッチーらしいぞ」

 

さっぱり状況が呑み込めていない俺にカズマが説明してくれた。

 

リッチーだと?ゲームなどでは名前は聞いたことがある。

 

かなり上位の不死モンスターだった気がするが……。

 

「彼女が、そうなのか?全くそんな風には見えないが」

 

「あぁ。俺もだよ……」

 

と、同意するカズマ。

 

問題のリッチーはというと。

 

「こ、この魔方陣は未だに成仏出来ない魂を天に返してあげるための物なんです!ほら、見てください!!」

 

魔方陣を見ると、どこからともなくやって来た人魂の様なものが吸い込まれていき光に乗って天高く昇って行った。

 

どうやら彼女が言っていることは本当のようだ。

 

「リッチーのくせに生意気よ!アークプリーストの私の役目を奪おうっての!?いいわ、なんならあんたもまとめて浄化してあげようじゃない!!」

 

しかし逆にアクアの怒りを買ったようだ。やめて下さいと懇願するリッチーに全く構わずアクアは手を広げ構えをとった。

 

「『ターンアンデッド』!!」

 

アクアがそう叫ぶと墓場全体が白い光に包まれ、魔方陣の周りにいたアンデッドモンスターや人魂達がまとめて消滅した。

 

……あれ、アクアって相当優秀じゃないか?

 

そんなことを思っていると、そのスキルの効果がリッチーにも表れてきたようで彼女の身体が徐々に透明になっていく。

 

「きゃっ、か、身体が!身体が無くなっちゃう!!成仏しちゃう!誰か、誰か助けてー!!」

 

うむ、彼女はモンスター、モンスター……だがなぁ……。

 

泣きながら助けを求めるその姿を見て、モンスターといえど流石にいたたまれなくなった俺は彼女を助けることにした。

 

「やめてやれ」

 

「落ち着け」

 

俺がリムペットガンの銃床でアクアの背中をぶつと同時にカズマも剣の柄で後頭部を小突いた。

 

「ぎゃっ!?痛っっ……!!何すんのよあんた達!?」

 

結構痛かったのか、アクアが涙目で俺とカズマの胸ぐらに掴みかかってくる。

 

スキルがキャンセルされたようでリッチーの透過もストップした。

 

「3人共大丈夫ですか!?」

 

「ん?その女性は?」

 

すると遅れてめぐみんとダクネスもやって来た。カズマはアクアを無視してリッチーの方へ行き話をしている。

 

「あぁ、それがだな……」

 

「ちょっと!!まだ話は終わってないのよ!?」

 

俺は軽く2人に状況を説明してやり、未だに俺の胸ぐらを掴みぶら下がったまま怒鳴り散らすアクアを引きずり、カズマとリッチーの方へ向かった。

 

 

 

 

 

「あー、納得いかないわ!!」

 

共同墓地からの帰り道、アクアは未だにあのリッチー、ウィズに対して怒っている。

 

結論的に、俺とカズマの提案でウィズは良いモンスターだった為見逃すことになった。

 

彼女が行っていたのは、金が無くまともに葬式もしてもらえず彷徨っている魂を天に導く所謂ボランティアだったようだ。

 

この街のプリーストは金のない者は後回しにしてしまうのが彼女がボランティアを行う理由でもあるらしいが、これからは毎日アクアがあの場所へ行き魂を浄化することになったようなので安心だ。

 

めぐみんとダクネスも彼女が害の無いモンスターだと分かると納得してくれた。

 

「しかし、リッチーが街で普通に生活してるって……この街の警備は一体どうなってんだ?」

 

カズマが1枚の紙きれを見ながら呟く。

 

それはウィズの店の住所が書かれた紙だ。

 

そう、驚くことにウィズはこの街で小さな店を経営しているようなのだ。

 

確かに彼女は元人間らしく、見た目は完全に人間なので簡単にモンスターとはバレないのかも知れないが……。

 

「でも穏便に済んでよかったです。いくらアクアがいるといっても相手はリッチー。戦闘になればカズマや私は間違いなく死んでましたよ」

 

唐突に恐ろしいことを口にするめぐみん。

 

「え?そんな恐ろしいモンスターだったのか?彼女は?」

 

「もしかして、俺達結構ヤバかった?」

 

俺とカズマの問いにめぐみんは頷く。

 

「リッチーは強力な魔法防御、魔法の掛かった武器以外の攻撃の無効化。相手に触れるだけで様々な状態異常を引き起こし、その魔力や生命力を吸収する伝説級のモンスターですよ。なぜアクアのターンアンデッドが効いたのか不思議でならないです」

 

俺はそれを聞きゾッとする。何て恐ろしいモンスターだ……。

 

めぐみんは顔を青ざめさせた俺をちらっと見ると微笑んだ。

 

「まぁストーム1なら勝てたかもしれませんね。そう心配することもありませんでしたか」

 

いや魔力がまるで無い俺では太刀打ちできない相手だ。本当に敵対しなくてよかったと安堵する。

 

……まぁ、それでも彼女との出会いのおかげで大事なことが一つ分かった。

 

この世界にいるモンスターは悪い奴ばかりではないということだ。

 

俺の元居た世界で言うモンスターは害を為すものしかいなかったため、1体でも見つけたら即排除が鉄則であったが……。

 

この世界では少々考えを改めなくてはいけないな。いい勉強になった。

 

今回ダメージを受けていた彼女には帰り際にこっそり友好の印として装備を一つ渡してきた。

 

アクアがパーティで使うのを禁止していた装備だったので丁度良かった。

 

俺達が帰る前も彼女は少し透過したままだったからな。

 

あれで彼女の容態が少しでも良くなってくれればいいが……。

 

この時、ゾンビメーカー討伐のクエストを失敗しているとも気づかず、俺はそんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

ウィズ視点

 

「はぁ、分かってくれる人達が居てよかった」

 

カズマさんとストーム1さんが守ってくれたおかげでおっかないアークプリースト……アクアさんに消されずに済んだ私は、ほっと胸をなでおろしていた。

 

「それにストーム1さんからはこんな凄そうな物も貰っちゃったし……元気が出るって言ってたけど、何かしらこれ?」

 

少し消えかかっている私を心配してストーム1さんがくれたそれは、すでに設置されている1メートル程の白い鉄で出来た円柱状のものだった。

 

彼は、使い方は簡単だし、使い終われば自動的に消えると言っていた。

 

「えっと、確かこの、ボタン…?を押すのよね。えいっ」

 

と、教えられた通り側面についている赤い印に触れると円柱の上部から細長い針のようなものが真っすぐ天に伸びた。

 

「これで元気が出るの……って痛い!?痛い痛い!!な、何これ!?」

 

見れば針からは緑色の光線が私の身体に伸びくっ付いている。

 

その時、私はこの痛みの正体を理解した。

 

「こ、これは回復魔法!?い、いやー!取れない!!助けてー!!」

 

そう、この光線は回復魔法だ。

 

必死に振りほどこうとしても光線は取れる気配がない。

 

私は無我夢中でその円柱から離れた。

 

10メートル程離れるとようやくその光線は私から離れた。

 

「はぁ、はぁ……あ、あの人、私を、私を油断させて消そうと……」

 

私の脳裏に映るストーム1さん。その兜姿がとても恐ろしいものに思えてきた。

 

「怖い……怖いぃ!!」

 

私は大急ぎで店に帰った。

 

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