この素晴らしい世界に空爆誘導兵を!   作:ゴブトツ

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mission8 『首無し騎士』

「ちょっと!何で7万ぽっちなのよ!!私がどんだけ必死こいてキャベツ捕まえたと思ってんのよ!?しかも籠一杯に2、3周はしたわよ!?」

 

ギルド内にて、アクアが金髪ウェーブの受付の胸ぐらを掴み怒鳴り散らしている。

 

「それが……アクアさんが捕まえてきたのは、ほとんどがレタスでして」

 

「レタスぅ!?何でレタスが混じってんのよ!?」

 

「わ、私に言われましても……」

 

はぁ、またやっているな。

 

俺はカズマ、めぐみん、ダクネスと共に空いている席につき、しばらく様子を見ていた。

 

 

あれから数日して、例のキャベツ狩りの報酬が支払われることになった。

 

ダクネス、めぐみんは結構な額の報酬を貰ったようで新調した鎧、杖を俺達に披露してきた。

 

カズマは……見た所装備は変わっていないが、一体いくら貰ったのだろう?

 

確認しようと思った時、受付との話が付いたらしいアクアがニコニコと笑顔を浮かべながら俺の方へ一直線に向かってきた。

 

「ストーム1さぁん?今回のクエストの報酬ー、おいくら万円?」

 

分け前が欲しいということか。……だがなぁ。

 

「0だ」

 

「え」

 

アクアの表情が凍り付いた。

 

そう、俺は倒すだけ倒してはいたが1つたりともキャベツを拾っていない。

 

詳細が分かった後もめぐみんを自走ミサイルから引き摺り下ろすので手一杯だった為、気付いた時に拾うキャベツは1つも残っていなかった。

 

「ストーム1はキャベツ倒すのを専門でやってましたからね。そうだ、私も分け前をあげないと。後で飴玉買ってあげます」

 

「私も!後で私を好きなように使える権利をやろう!!想像しただけで……んっ!」

 

「いらん」

 

意味の分からない分け前を寄越そうとするめぐみんとダクネスを俺は軽く一蹴する。

 

アクアは俺に報酬がないと分かると深くため息をついた後、仕方ないといったようにカズマの方を向いた。

 

「カズマさんは?おいくら万円?」

 

「百万ちょい」

 

「「「「ひゃ……!?」」」」

 

俺含めた全員が言葉を失う。

 

カズマの拾った数はアクアやめぐみんより少ないと聞いていたのだが、一体どういうことなのだろうか?

 

「カズマさん!!貴方ってその……えーっと、そこはかとなく」

 

「言っとくがこの金はもう使い道決めてるからな、分けんぞ?」

 

「カズマさああああああああん!!お願いよおおおぉぉぉ!!」

 

アクアは半泣きでカズマに縋りついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、全く困ったものだな」

 

俺は歩きながら大きくため息をついた。

 

その翌日の朝、俺はカズマ、めぐみんと共に街の外へとやって来ていた。

 

あの後、何とかしてカズマから分け前を貰ったアクアはもっと金を稼ぐためクエストに行こうと皆に提案した。

 

しかし珍しいことに残されていたクエストは皆、高難易度の物だったのだ。

 

ダクネスはブラックファングと呼ばれる巨大熊の討伐、俺は殺し屋グスタフと名高い伝説級ワニの討伐へ行こうと提案したがカズマに即却下された。

 

ギルド職員の話ではこの近辺の小城に魔王軍幹部が住み着いた為、他の弱いモンスター達は隠れてしまい仕事が減っているそうだ。

 

俺は戦功を積む絶好のチャンスだと思い詳細な情報を聞き出そうとしたが、無茶をするなとカズマに止められた。

 

それもそうだ。この間知り合ったリッチー、ウィズの様な魔法しか効かない何て奴だった場合は俺は無力と化してしまう。そう考え俺は冷静になる事にした。

 

「だな、国の首都から腕利きの冒険者や騎士達が派遣されてくる来月まではまともなクエストはできないのか」

 

「ですね。となると、2人にはしばらく私に付き合ってもらうことになりそうですが……」

 

カズマとめぐみんが頷く。

 

俺達が街の外へ出てきているのはめぐみんに爆裂魔法を撃たせるためだ。

 

彼女は1日1回爆裂魔法を撃つことを日課にしているらしい。

 

クエストが受けられない今となってはどこか迷惑の掛からない適当な場所で撃つしかないのだが、1人では撃った後行動できないので連れて帰る者が必要というわけでカズマが抜擢された。

 

ちなみに俺が連れて来られている理由は、爆裂魔法の特訓の為、お手本として何か強力な装備を見せて欲しいということらしい。

 

爆撃を見せてお手本になるのか怪しいが、断るとまたひっつかれて通信設定を狂わされそうなので了承することにした。

 

「あ!あれにしましょう!!」

 

と、しばらく歩いているとめぐみんが何かを見つけたようだ。

 

「あれは……廃城か?薄気味悪いなぁ」

 

カズマが呟く。

 

見れば遠く離れた丘の上にポツンとボロボロの廃城が佇んでいた。

 

「大丈夫か?人は住んでいそうもないが……」

 

「心配いりません!あれなら破壊しても誰も文句は言いません!!さぁ、ストーム1!お手本を!!」

 

俺の心配をよそに、めぐみんはワクワクしながらこちらを見つめている。

 

やれやれ、仕方ない。やるか……。

 

俺は要請の準備を始めた。

 

「えーっと?空爆がいいのか?それとも……」

 

「派手でかっこよくて強いのなら召喚獣でも魔法でも何でもいいです!私はそれを取り込んで爆裂魔法を強くしたいんです!!」

 

めぐみんはさっさと俺の装備が見たいだけのようだ。

 

まぁとりあえず強力な物を出すか。

 

「分かった。危ないから前に出るなよ」

 

2人を下がらせ、俺はすぐに誘導装置を取り出すと城に向かってレーザーを照射した。

 

『テンペスト、発射!!』

 

俺の無線に軍事基地からの通信が入る。

 

「お、それってこの前墓場で使おうとしてたやつか?」

 

カズマが尋ねてくるが、俺は首を横に振る。

 

「いや、これはもっと強力な奴だ。……来たな」

 

すると城の真上、遥か上空から10メートル以上あるビルのような巨大ミサイルがゆっくり姿を現した。

 

ミサイルは誘導装置に従い、そのまま城へ向かっていき直撃する。

 

瞬間、目が眩むほどの閃光と共に城が大爆発し真っ赤な炎に包まれた。

 

遅れてかなり離れているここまで爆風がやってきた。

 

『バレンランドよりエアレイダー、これより再発射の準備に入る』

 

再び通信が入った。相変わらずド派手だな。

 

このテンペストミサイルは範囲こそ空爆に及ばないが、その威力は一撃でマザーモンスターを葬るほどの威力を誇る。

 

これならめぐみんも満足するだろう。

 

「す……凄いです。凄いです、ストーム1!これこそ私が求める力!!」

 

振り返ると、めぐみんが爆風に吹かれながら飛び跳ねている。カズマはぽかんと口を開けていた。

 

満足してくれたようで何よりだ。

 

しかし、あれじゃ城はバラバラか?何か代わりに狙えるものを探さなくてはな……。

 

そう思った時。

 

「な、何!?」

 

驚くべきことに、晴れてきた爆炎の中には多少外壁を崩しながらもまだ原形を保っている城の姿があった。

 

何という頑丈さだ。本当に只の建造物か?

 

「では……今のお手本をイメージして、私も行きます!!」

 

めぐみんが詠唱を始める。

 

それよりも、俺はあの城の頑丈さに俺はとても興味が沸いた。

 

これは色々検証してみる必要があるな。

 

 

 

その日から、俺達3人の新しい日課が始まった。

 

やる事は単純だ。

 

俺がお手本に要請兵器を使い、めぐみんがエクスプロージョンを撃つ。そしてカズマがめぐみんを背負い一緒に帰るといった流れだ。

 

俺は帰る途中、ズームで確認した城の損壊状況を記し、チェックしている。

 

ちなみにアクアはバイトに、ダクネスは実家に筋トレへ行っているらしい。

 

 

 

それは寒い氷雨が降る夕方。

 

 

『攻撃地点確認。ロケット弾、ファイア!!』

 

「『エクスプロージョン』ッ!」

 

 

 

それは穏やかな食後の昼下がり。

 

『目標座標を受信、発射しろ!!』

 

「『エクスプロージョン』ッッ!!」

 

 

 

それは早朝の爽やかな散歩のついでに。

 

『そこね?照射!!』

 

「『エクスプロージョン』ッッッ!!」

 

「おっ、今のはいい感じだな。天から降り注ぐレーザーの雨みたいなのを見たのが良かったのか分らんけども、最初にストーム1が見せてくれたお手本に近づいてきたんじゃないか?相変わらず不思議とあの城は無事だが、ナイス爆裂!!」

 

カズマが爆裂魔法の評価をしグッとサムズアップすると同時にめぐみんもナイス爆裂、と親指を立て返し2人は談笑している。

 

「ふむ、スプライトフォールは効果小と……うーむ、どれもイマイチだな」

 

俺はデータを見直しながら唸り声をあげる。

 

今の所、最初に撃ったテンペストが一番効果が高かったかもしれない。毎日でもテンペストで試したいところだが貢献度がなぁ……。

 

「おい、ストーム1。帰るぞー」

 

「行きましょうストーム1」

 

2人が俺に呼びかける。

 

ま、1月たったらクエストで貢献度を溜めてまた試しに来れば良いか。

 

俺はそう思い、2人と共にギルドへと帰った。

 

 

 

 

 

 

「緊急、緊急!!全冒険者の皆さんは直ちに武装し、街の正門に集まってください!!」

 

めぐみんが爆裂魔法の修業を始めて1週間後の朝、ギルド内に大声でいつしか聞いたようなアナウンスが流れた。

 

「やれやれ、何だ?またキャベツか?」

 

「いや、それは無いはずだが……」

 

ダクネスと話しながら、そのアナウンス通り俺達は他の冒険者たちと共に正門まで移動した。

 

するとそこには凄まじい威圧感を放つモンスターが立ちはだかっていた。

 

それはフルフェイスの兜で覆われた己の首を脇に抱え首のない黒馬にまたがる漆黒の騎士。明らかにこれまで戦ってきたモンスターとは格が違うと一目で分かる。

 

「あれは、デュラハンか!?」

 

誰かがそういった。

 

デュラハン、ゲームなどで聞いたことがあるな。確かリッチー、ウィズと同じ上級のアンデッドモンスターだ。

 

「……俺は先日、この近くの城に越してきた魔王軍幹部の者だが……」

 

突然、デュラハンが口を開いた。

 

ちょっと待て、魔王軍幹部だと!?

 

自然と心臓の鼓動が高鳴った。

 

しかし一旦心を落ち着かせ、冷静になる。

 

相手は魔王軍だ、どんな力を持っているか分からない。一先ず出方を見よう。

 

そう思い話を聞くことにした。

 

「まま、毎日毎日毎日っ!!お、俺の城に爆発魔法やら光魔法やら爆裂魔法やらを撃ちこんでく頭のおかしい馬鹿共は、誰だああああ!?」

 

自身の持つ首をプルプル振るわせた後、デュラハンは怒りながらそう叫んだ。

 

……あそこに住んでたのか。魔王軍幹部。

 

しかし参ったな。もし俺とめぐみんが犯人だとばれたら戦闘になるやもしれん。

 

あのモンスターが突撃してきたら間違いなくケガ人が出る。

 

……仕方ない、効くかはわからないが、ここはイチかバチか先制攻撃だ。

 

そう思い俺は誘導装置を一つとりだした。

 

 

 

 

 

 

カズマ視点

 

「魔法の質が明らかに違うから2人以上いるのは分かっているぞ!!出てこぉい!!」

 

大変お怒りのデュラハンに、冒険者たちはざわつき始めた。

 

「爆裂魔法?」

 

「光魔法は分かんねぇけど、爆裂魔法っつったら……」

 

「あぁ……」

 

周囲の視線が一斉にめぐみんに集まった。

 

めぐみんは他の冒険者に視線を逸らそうとするが、無駄だと分かったのか。ため息をついてデュラハンの前に行こうと1歩前出た。

 

「お、お前か!お前が毎日毎日俺の城に魔法やら何やらを……って何だ?この光?」

 

と、見ればデュラハンの胴体に一筋の光線が伸びている。

 

お、おいまさか。

 

『バルジレーザー、照射!!』

 

隣から声が聞こえたと同時に、天から極太の白いレーザーがデュラハンを包むこむように落ちてきた。

 

「ひょわあああああああ……!!?」

 

その姿が完全にレーザーに包まれた後、何かが焦げるような音と共に徐々にデュラハンの叫び声が小さくなっていく。

 

声が聞こえなくなった後も、レーザーは消えずに照射されている。

 

「……やったか!?EDF!EDF!!」

 

と、それを見た隣でレーザーを放った張本人。ストーム1が雄叫びを上げた。

 

それに続き、周囲からもワッと歓声が上がった。

 

「すげぇ!一撃で魔王軍幹部を仕留めちまった!!」

 

「大したもんだ!!」

 

「キャベツ収穫の時から違うなって思ってたのよ!!」

 

皆が、ストーム1を称賛する。

 

「やっぱりストーム1がいれば安心ね!!」

 

「流石ストーム1です!」

 

「素晴らしい……今度、私にもあれを使ってくれ!!」

 

ウチのパーティーの連中も大絶賛だ。

 

いや確かに褒めるべきなんだろうけどさ、あぁ、何だろうか。

 

あのデュラハンの人可哀想だな。俺はそう思った。

 

ストーム1は頭を掻きながら照れている。

 

『バルジレーザー、緊急冷却に入る』

 

どうやらようやくレーザーの照射が終わったらしい。

 

「いや、それほどでも……なっ、そんな馬鹿な!?」

 

突然、ストーム1の声色が変わった。

 

視線の先には、レーザーが巻き上げた砂埃から徐々に姿を現すデュラハンの姿があった。

 

あれを耐えたのか!?

 

「タフな奴だ……威力を上げるか。スプライトフォール射撃モードスタンバイ!!」

 

ストーム1が装備を切り替え構える。

 

デュラハンは剣を地面に突き刺し、膝をついて弱っているようにも見える……確かにここで畳みかければ今度こそ倒せるかもしれない。

 

「はぁ……もも、もう1人は貴様だなああああ!?この恥知らずがああああああ!!その小娘と一緒に前に出ろおおおお!!」

 

デュラハンは勢い良く立ち上がるとストーム1の方を見て怒り狂った。

 

俺の見間違いだった。あんまり弱ってないな。

 

 

その怒声に圧倒されたのか、ストーム1は一瞬戸惑った後、武器をしまい少し申し訳なさそうにしながら、めぐみんと共にデュラハンの前へと向かった。

 

「さっき分かったぞ、光魔法使ってきたのは貴様だな!?何でわかるかって?最近も似たようなの撃ち込まれたからな!!何ださっきの光魔法、見たことないぞ!?お前何だ!?絶対この街の冒険者じゃないだろ!?いくら俺でもさっきのは一瞬食らった直後、咄嗟に剣で防いでなかったら絶対消滅してたぞ!?そもそも不意打ちとか貴様には騎士道精神の欠片もないのかこの外道がああああ!!」

 

「す……すまない。職業柄、先制攻撃したがる癖が抜けなくて……」

 

ストーム1はデュラハンに凄い剣幕で説教を食らい、ぺこりと頭を下げる。

 

何だかすごいシュールだ。

 

「ということは、爆発、爆裂魔法撃ってくるのはお前だな!?」

 

デュラハンがめぐみんを見る。

 

めぐみんは若干気圧されたようだがすぐにいつもの調子でマントを翻しポーズを決める。

 

「我が名はめぐみん!!アークウィザードにして、爆裂魔法を操り者!!続けてどうぞ!!」

 

めぐみんは何故かストーム1にも合図を送る。

 

ストーム1も渋々といったように自己紹介を始める。

 

「俺はストーム1だ。ちなみに爆発魔法っていうのも多分俺の奴だ。その、申し訳ない」

 

「お前なぁ!!……ってかめぐみんとストーム1って何だ!?バカにしてんのか!?」

 

めぐみんが、ちがわい!と否定する。名前に関しては2人ともふざけてると思われても仕方ないよな。

 

「ふん、まぁ良い。俺はお前ら雑魚にちょっかい出しにここへ来たわけじゃない。しばらくはあの城に滞在するが、もう魔法を撃つな。特にそこの兜の奴は頼むからやめてくれ。いいな?」

 

「あ、あぁ……すまなかった。詫びと言っちゃなんだが、この元気が出る装備を」

 

「無理です。紅魔族は1日1度、爆裂魔法を撃たないと死ぬんです」

 

デュラハンの申し出をストーム1が了承したにもかかわらず、めぐみんは拒否した。

 

「お前紅魔の者か!道理でイかれた名前してると思ったら……って、そんな話聞いたこともないぞ!?出鱈目言うんじゃない!!」

 

「私の両親に貰ったこの名前に意見があるなら聞こうじゃないか」

 

「おい、2人とも落ち着け……」

 

めぐみんとデュラハンの言い争いが始まってしまった。ストーム1は必死に2人をなだめようとしている。

 

何だこの茶番劇のような光景は。だが、もうちょっと見守っていたい気もする。

 

アクアもその様子をワクワクした表情で見つめていた。

 

しばらくして、デュラハンがやれやれと肩をすくめた。

 

「はぁ、どうあっても爆裂魔法を撃つのをやめる気はないと?俺も元は騎士だ、弱者を刈り取る趣味は無い。だが、これ以上迷惑行為を続けるというならこちらにも考えがあるぞ?」

 

デュラハンの雰囲気が変わったのを見てめぐみんは後ずさるが不敵な笑みを浮かべる。

 

「迷惑行為してるのは貴方の方です!貴方があの城に居座ってるせいで私達は仕事が出来ないんですよ!!それにこちらには今、対アンデッドのスペシャリストがいるんですからね!先生、お願いします!!」

 

そして、その後の対処を全てアクアに丸投げした。

 

アクアはしょうがないわねー、と満更でもなさそうに前に出た。

 

「ほう、アークプリーストか。だが俺は魔王軍幹部の1人。この街にいる低レベルのアークプリーストに浄化されるほど落ちぶれてはいないし、対策も出来ているが……そうだな。ここは1つ、紅魔の娘を苦しませてやろうか」

 

「な、何だ?やる気になったのか!?気を付けろめぐみん、何か来るぞ!」

 

ストーム1が銃を構え、めぐみんに注意を呼び掛ける。

 

「まずい!!」

 

同時にダクネスがストーム1とめぐみんの方へ走り出す。

 

確かに何かまずそうだ。すぐに俺もダクネスに続いた。

 

デュラハンはアクアが魔法を唱えるより早く、めぐみんに左手の人差し指を突き出し叫んだ。

 

「汝に死の宣告を!お前は1週間後、死ぬだろう!!」

 

そうデュラハンが叫んだ時、めぐみんの前にはストーム1が立っていた。

 

「ぐわああああ!?」

 

ストーム1は持っていた銃を地面に落とし膝をついた。

 

「す、ストーム1!!?大丈夫ですか!?」

 

「くそっ、間に合わなかった!!」

 

めぐみんがストーム1の肩をゆすり、ダクネスは悔しそうにつぶやいた。

 

ストーム1の元についてみると、一見彼の見た目に変化はなく外傷もない。

 

「大丈夫かストーム1!?何ともないのか?」

 

確認すると、ストーム1は自身の身体を軽く動かす。

 

「あ、あぁ。大丈夫なようだ。特に何も……」

 

すると、その様子を見ていたデュラハンが少し感心したように声を上げた。

 

「ほぉ……不意打ちを仕掛ける外道と思っていたが、仲間意識は高いようだな。少しだけ見直したぞ」

 

そう言うなり、続けて勝ち誇ったように高らかに宣言する。

 

「その呪いは今は何ともない、若干予定が狂ったが危険因子も排除できて結果的に一石二鳥だ!いいか、紅魔の小娘よ!その兜の冒険者は一週間後に死ぬ。お前の大切な者はそれまで死の恐怖に怯え苦しみながら死ぬことになるのだ!!お前の行いのせいでな!!ハハハッ!!」

 

めぐみんの顔が青ざめる。更にデュラハンは続ける。

 

「これに懲りたら俺の城に爆裂魔法を撃つのはやめろ!……そして、紅魔の娘!そいつの呪いを解いてほしくば俺の城まで来い!俺のいる最上階まで来る事が出来たならその呪いを解いてやろう!まぁ、来ることが出来たらの話だがな!!ククク、クハハハハハッ!!」

 

そう言い放つと、デュラハンは首のない馬を呼び出しそれにまたがると去っていった。

 

あまりに突然の事態に周囲の冒険者たちは皆、立ち尽くすことしかできなかった。

 

めぐみんはストーム1の傍で青い顔をしながらわなわなと震えている。

 

しかし、俺はすでに心に決めていた。必ずストーム1を救うと。

 

彼はこのパーティ中、俺以外で一番常識人に近い存在な上、戦闘力も一番高い。

 

戦闘力が高すぎて度がすぎる時もあるが……何よりいい奴だ、絶対見捨てるなんて出来ない。

 

「むぅ……あの城は外壁がやたら丈夫だから破壊してビークルで侵入するのは難しそうだ。かといって室内戦は苦手なんだがなぁ」

 

ストーム1は参ったなぁと腕を組み何やら考え込んでいる。

 

俺はストーム1を安心させる為、肩に手を置き笑みを見せた。

 

「心配するなストーム1!俺達が必ず助けてやる!!そうだろ?2人とも?」

 

「もちろんだとも!たまには私たちに任せてくれ!!」

 

「え、は、はい!……す、ストーム1!大丈夫ですからね、すぐにあのデュラハンを叩きのめしてきます」

 

傍にいるダクネスとめぐみんを見ると、ダクネスはすぐに。めぐみんは少し遅れて力強く頷いた。

 

ストーム1は少し驚いたかのようにこちらを見つめる。

 

「そうだな……じゃあ頼んだぞ。皆」

 

珍しくストーム1に頼まれてやる気がMAXになり作戦を立て始めたすぐ後、アクアが呪いを一瞬で解除するとは誰も思わなかった。

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