無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

17 / 88
前回のあらすじ:ジーニアスの立てた作戦とは一体……!?

それでは、漸く今章メインの〈UBM〉戦……の、分割分前編です。
予想以上に長くなってしまった……
それでは本編をどうぞ!


第十七話 【極光剣精 ラスリルビウム】

■???

 

 

 【極光剣精 ラスリルビウム】という、一体……いや、一本の〈UBM〉がいる。

 刃渡り約1メテルもある、長剣の姿をしたモンスターだ。

 極光を放ち、光の精霊(エレメンタル)を使役し、自身の刀身を以て人間を襲う、極めて凶悪なエレメンタルの〈UBM〉だ。

 

 武器や防具、道具と言ったアイテムがモンスターとなるのは【ホーンテッド・アーマー】や【リビングウェポン】、【イミテーター】種や【呪怨剣】と言った雑多な例に限らず、多々ある事だ。

 それは、或いは【人形師】や【呪術師】等のジョブのスキルによって命を吹き込まれる事があれば、エネルギー生命体(エレメンタル)が自身の力を表出する触媒として動かしている例もある。

 他にも様々な要因によってアイテムを模したり、アイテムが変化したモンスターという物は現れるのだが……

 その中で、どれが最も人間範疇生物(ティアンやマスター)にとって危険な成り立ちであるかと言えば……それは、怨念(・・)だろう。

 

 かつての持ち主(子供)の無念の怨念によって独りでに動き出し、子供たちと遊ぼうと(破壊)するぬいぐるみ。

 

 復讐の念に塗れた操縦者が死ぬ際の、極大の憎悪の怨念によって復讐の対象を、いや相手の区別すらできずにすべての生物を殺し回らんとする殺戮戦車(ガイスト)

 

 斬りつけた相手の血を吸いとる邪剣が、その血から怨念を蓄積していき、一本の魔剣からモンスターへと変貌する事もある。

 

 【完全遺骸(・・・・)】、死体が怨念によって再び動き出し、生者を憎み襲い掛かるアンデッドモンスターも広義ではこれらと同じ分類とされる事もあるだろう。

 

 かの有名な〈UBM〉の一体である【亡霊戦艦 アヴァン・ドーラ】も、怨念により動き続ける【ゴーストシップ】と似通った誕生の経緯を持つと言われている。

 

 

 ここまで語れば察しは付くかもしれないが、【極光剣精 ラスリルビウム】も同じ様に怨念に因って生まれたモンスター――ではない(・・・・)

 しかし、かの〈UBM〉と怨念は全く関係がない訳ではなく、その誕生に、その活動原理に、そして、かの〈UBM〉の()()()()()()()()に深く関係するのだが……その詳細については後述とする。

 

 

 その〈UBM〉の起源は“精霊憑き”や“神憑き”……或いは、マスター達の間では“付喪神”とも呼ばれる物だ。

 長年使われてきた道具に、道具に込められてきた強い想いを糧に、その道具を依り代として新しくエレメンタルが生まれる現象。

 ……本来であれば、天地やレジェンダリアの者であれば喜んでその誕生を寿ぎ、大切にその道具を使ってきた者に対して友好的であるそのエレメンタルを至上の友とすら呼ぶ、祝福されるべき出来事だ。

 しかし……長年貯め込んできた感情を、想念を糧にするその経緯は……余りにも、怨念で動くアンデッドと似通っているのではないか?

 その〈UBM〉は、確かに取り込んだ光エネルギーを自らの活力(MP)に変換し、活動しているエレメンタルである。

 だが、感情(・・)記憶(・・)……その身の内に秘める情念は、余人からすれば間違いなく憎悪の怨念と呼ばれる物でもあった。

 【極光剣精 ラスリルビウム】、その始まりは天地に住んでいたとある一人の【高位鍛冶師】の青年だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は暫し遡る事百余年。

 【聖剣王】の時代より永き時が過ぎ、しかし未だ時代の変革――<マスター>の急増には今少しとは言えずもう暫くの長い時が必要なその時代。

 中央大陸では後の七大国と呼ばれる国々が建立されてから時代を経て世界には大きな戦もなく、安穏とした時が流れていた平静期。

 しかし――その平静も安穏も。

 修羅と戦乱の島国。血と肉と骨と刃と死と術とが千々に乱れ飛ぶ天地の地では全く関係のない事。

 これは、そんな天地の国の鍛冶を生業とする家系に生まれた、とある青年の……()()の物語。

 

 

 そう、その者は類稀なる【鍛冶師】としての才能を身に生まれた。

 生家の技を正しく受け継ぎ、更にそれを昇華させ、作り出す作品の鋭さは兄弟弟子の鍛冶師達の追随を許さず……或いは、師をすら越えているのではと見る者を驚嘆させた。

 成長するに連れてその技の冴えは更に磨きがかけられ、才によって培われた発想力によって未だ師に教えを乞う身でありながら新たな【レシピ】をも作り出す事に成功する程だ。

 

 彼のその才能に、同じ工房で働く兄弟弟子の嫉妬を買い、嫌がらせを受ける事も多々あった。

 しかし、多少の小細工など何処吹く風と受け流す――それが出来る程の才能があったし、そんな他者の足を引っ張るしかできない様な輩など相手にするまでもない。

 難癖を付けられたって彼我の技術差は歴然だった。むしろ、チャチな嫉妬をしてくる相手に優越感を覚える程に。

 

 もしも当時の超級職の席が空いていれば、【鍛冶王】(キング・オブ・ブラックスミス)か或いは【匠神】(ザ・クラフト)の座も狙えるのではないか。

 

 …………まだ師の工房で、師の下で働いていた時は、無邪気にそう思っていたのだ。

 彼を見るその師の視線に、憐憫の情が含まれているのも気付かないままに。

 

 

 

 崩壊の序曲の訪れは、早かった。

 それを告げるのは成長してきた弟子達に餞にと呼び出された、天地では珍しい【魔術師】ギルドの人間だった。

 その【魔術師】は、見慣れぬ魔道具を手に、こう言った。

 

「それでは、今から各々方の属性の適性を調べさせてもらいます」と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 <Infinite Dendrogram>……この世界における“鍛冶”とは、【鍛冶師】のスキルによって【レシピ】に沿って、或いは自らの独力によって素材から様々な武器防具を造る事にある。

 基本的に、【レシピ】に沿って造られた武器防具の出来は個々人のステータス、スキルレベルに依存するが……【レシピ】に頼らず、新たなアイテムを創造する場合はそれに加えて制作者の手先の器用さや慣れ、技術の差が如実に現れてしまう事は生産職を生業とする者にとっては常識だ。

 そして、あらゆる生産職の中で最もその技術を問われる生産職は何かと言うと……戦闘職がその命を預ける武器防具を作り出す【鍛冶師】系統に他ならない。

 個々人に合わせたオーダーメイド。超級職や特典武具と言った他のユニークの装備に合わせて創り出す妙技。

 客の好みに応えて外観と性能を両立させる、なんて事も……超越者の中には変わり者が多い為、よくある事例だったという。

 

 そして、何よりも。

 あるいは、武器防具そのものの性能よりも重要視される事も少なくない……()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ……装備スキルを付与するのも、勿論【鍛冶師】系統で習得できるジョブスキルが必要だ。

 その上で……その装備スキルを付与するに足る()()が、()()()()()なければ付与する事は容易ではない。

 自身が、装備スキルを発動するだけならば装備に付与されている装備スキルに肩代わりして貰う為に、多くの魔法に関わりのない戦闘職の者は気にしない者も居るが……それを付与する側には、当然ながらその適性を求められるのだ。

 仮にその適性がなくても全く付与できないという訳ではないが……適性を持っている者と比べるとその性能は一段も二段も、あるいはそれ以上に落ちてしまう。

 

 

 

 

 

 では、鍛冶を行う上で、より優れている……より、客である戦闘職に求められる属性とは何だろうか?

 

 三大属性の一つ、地属性か?

 ――然り。当然の返答だ。

 『鉱物の強化・変形』と『固体の操作』を司る地属性に含まれる属性は主に鉱物を用いて武器防具を作る鍛冶において最も適していると言っても過言ではない。

 武器防具の純粋な強度強化、攻撃力防御力の強化、それだけではなく鉱物に直接干渉・強化・変形させる事でその鉱物の特性を強める事も加工しやすい形にする事も可能となる。

 

 では三大属性の一つ、海属性は?

 ――然り。それもまた良く求められる物の一つだ。

 『エネルギーの吸収・減衰』と『液体の操作』を司る海属性は直裁に“防具”に適していると言える。

 各種属性耐性、防御スキル、その殆どに海属性が関与しているのだ。それも当然だろう。

 また、水中や水上での行動に対して補正を与える装備スキルなども海属性の中の一つである水属性により司られている為、一部の国からの需要は尽き様がない。

 

 それでは、最後の三大属性、天属性は……?

 

 

 火属性。

 全属性において最大最高の熱量と火力を誇る属性だ。需要がない訳がない。

 その熱量と火力は与ダメージに直結し、自身の属性で火炉を強化する事で一段上の鍛冶を行う事も可能となる。

 

 風属性。

 天属性の中で最大の物理干渉力を持つ、文字通り風を操る属性だ。

 近接戦闘を役目とする者の過半数がAGI(敏捷)型であるこの世界で、風属性により付与される装備スキルによる速度強化や機動力強化の恩恵は想像以上に大きい。

 特に、空中戦を可能とする機動力の重要性はかの先々期文明時代の名工フラグマンも言及し、彼が開発したすべての【煌玉馬】に組み込まれている程だ。

 

 雷属性。

 火属性と似通った火力強化と【麻痺】を付与する効果等も期待され、更には闇属性と同じように物理防御力の多寡に左右され難い性質を持つ優秀な属性だ。

 その上、“機械”の一部にはこの属性により発生する電力を動力として動く物もあるという。水属性と同様に、一部の国からの需要が期待できる属性でもあるだろう。

 

 

 ――では、光属性は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、彼には鍛冶には大して役に立たないと言われている“光属性”の適性しかなかったのだ。

 それも、ただ単属性の適性というだけではなく、光属性の適性に関しては天地で随一と言える程に高い、特化された適性を所有していた。……他の属性の適性を引き換えとして、だが。

 それでも、彼は【鍛冶師】として生きていく道を選ぶ。

 彼の持つ鍛冶の才能をして、彼の鍛冶に捧げた人生からしても、それ以外の生き方など考えた事もないのだから。

 師の工房から独立した彼は、その結果を受け入れながら、それでもより良い作品を作り出し、客の期待に応え、生きていこうと志を新たにした。

 

 しかし、鍛冶に優れた者が多い天地の地で……武具を見るその目が肥えている天地の武芸者は、そんなに甘くはなかった。

 装備スキルはもっと良い物を付与できないのか?

 鍛冶の技術? 確かに重要だが、地属性の術で更に強化はできないのか?

 光源により簡単に視界を確保できる? そんな機能武器防具には求めていないし、アクセサリーや他の装備で簡単に補えるだろう。

 光属性を増幅する武器? そんな物【魔術師】の殆どいないこの天地で売れる訳がないだろう!

 

 

 様々な創意工夫をした。

 慣れない属性の付与も試してみた。

 鍛冶の技術を更に磨いた。

 

 しかし……彼の、洗練され優れた鍛冶の腕によって作られた武器防具は日の目を見ない日々が続いた。

 何が足りない?

 何が足りない?

 何が足りない?

 何が足りないのかと言えば……彼の、適性が。()()が足りなかった……それだけだったのだ。

 

 低品質の鉱物を用いた、装備スキルも碌にない初心者用の安価な装備を売り毎日の糧を得る、不本意な生活が続いた。

 

 何故だ。俺の腕なら超級職だって満足する武器や防具を作り出せる筈なのに……いや、超級職の座にだって就ける筈なのに……!

 鬱屈した想いが溜まる。

 が、どれだけ彼が努力をしても、最上位の武芸者達は、彼が真に憧れを抱く頂点に座す超級職達は、彼が作った武器に見向きもしない。

 

 

 彼が抱えてきた想いが、憎悪に、悔恨に、憤怒に、嫉妬に、絶望に……負の感情に変わっていくのも時間の問題だった。

 

 自分は何処で道を間違えたのか、何故こうなってしまったのかと、深く後悔した。

 

 自分よりも技量で明らかに劣る癖に、その幅広い適性を活かして店を繁盛させている商売敵(鍛冶師)に、嫉妬した。

 

 こうなる事を予想していただろうに、そのまま送り出した師匠に、身勝手な怒りを抱きもした。

 

 軽口と共に自分が作成した自慢の武器を貶したあの武芸者を、今の自分を取り巻くこの環境を、才能一つで全てが決まるこの世界(システム)を。

 そして何よりも、こんなにも愚かな自分自身を、憎悪した。

 

 

 負の感情は時が経つに連れて虚無感と絶望が多く占める様になった。

 

 こんな自分に生きている価値があるのだろうか。

 このまま碌な武具を鍛えられず、一生を終えるのだろうか。

 嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 自分は鍛冶師の道を進むと決めた時誓ったのだ。至上の武具を創り出すのだと……!

 どうすれば、どうすれば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あった。

 

 

 

 あったのだ。彼の望む物が。彼はそれを知識として知っていたのだ。

 彼の全てを……そう、すべてを擲って、最上の鍛冶を行うモノが。

 事ここに至っては客がどうのこうのなど、些事と言っても良いだろう。

 最期に……()()に、自らが望む物を作り出せないと、鍛冶師である意味がない。

 負の感情で凝り固まった彼は自然にそう考えた。

 

 すべてを捧げよう、と。

 

 

 

 

 

 

 その技法の名は、最終奥義(ファイナルブロウ)という。

 世界(システム)に残された禁断の技法。

 自身の全てを、命をすらもスキルに捧げて極大の結果を叶える、超級職の中でも一部にしか存在しない、奥義を越えた最期のスキル。

 

 

 勿論、彼は超級職ではない。

 【高位鍛冶師】をメインジョブとし、レベルも500のカンストまで届いていたが、超級職の高見には到底届きはしない。

 

 

 

 

 しかし、彼には才能があった。

 鍛冶において、天性の才能を持っていた。

 

 ()()()()()()()()の作成、それを自身の得手である【鍛冶師】系統のそれであるならば、凡そ自由に行なえる程に。

 

 

 

 

 

 

 

 結論を言うと、彼はやり切った。やり切ってしまった。

 超級職ではない自身では足りぬ出力を()で補った。

 神話級金属をふんだんに使い、更に純竜級モンスターを含む多くの希少で有用な素材まで集めた。

 多くの素材を長期間自らの血に浸し、魔力を浸透させた。

 オリジナルスキルを編み出し――たった一度の、最期の鍛冶にすべてを託した。

 己の血を肉を骨を髪を皮を、生命を魔力を、感情を記憶を自身を構成するすべてを(リソース)に変えて、一本の長剣を作った。

 

 そう、最終奥義は成ったのである。

 

 ともすれば特典武具に匹敵するか、越えている程の力を秘めたその長剣を見て、既にすべてを無くして霊体となっていた彼は未練もなく穏やかに消滅した。

 

 

 

 だから、そこから先は彼も全く考えていなかった事なのだ。

 自身のすべてを捧げて作り出したその剣に……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、約百年の時が経った。

 無人の工房に打ち棄てられていた長剣は次々と所有者を変えながらも自らの力を隠しつつ、力を蓄えていた。

 長い長い年月の中でその長剣の中に蓄えられてきた光量(エネルギー)は膨大な量になっていた。

 そうしている内に、今の所有者から捨てられる事になった。新しい、自身に合った武器を見つけたらしい。

 

 

 ()()()()()()

 剣先から放たれる閃光。

 何が起こったのかも認識せずに、頭部を失った人間だったモノは動かなくなった。

 

 

 そうして剣は独りでに動き出す。憎悪を、悔恨を、憤怒を、嫉妬を、絶望を、怨念を以て動き出す。

 自らを形作った糧の一部でもある、歪な人間に対する恨み辛みを存在の根底に根差したままに、それは個を確立し一体のモンスターとして変生した。

 あたかも九十九の年月を過ごした付喪神の様に、長い期間で込められた想念を基に生まれたモンスターだ。

 だが、その想念の元は自らのコアに刻み込まれた怨念の情。剣として誕生してからずっとその怨念に包み込まれて存在していたのだからそれも当然。

 

 故に、そうして生まれたこのモンスターも通常の付喪神の様に人間に友好的な存在ではあり得ない。

 異端なるエレメンタルモンスターとして生を受けたその剣は、自分の内より湧き出る感情に従うがまま、目に付いた人間を殺戮して行った。

 

 

 それからは、目に付いた人間を、自分に歯向かうモンスターを狩る一体のモンスターとしての生活だった。

 かの青年が自らのすべてを捧げて作った最高傑作。それが変性した存在であるそのエレメンタルの実力は生まれた時点で既に純竜級に近い実力を持っていた。

 

 それに加えてエレメンタルとして、付喪神として、魔剣のモンスターとしてリソースを得る毎に新たなスキルも習得していく。

 

 最初に習得したのは《自立行動》だったか。それとほぼ同時に習得した《■■■■》と《■■■■》は汎用スキルではあれど今の自分の根底から生まれた重要なスキルだ。

 

 剣の装備スキルとして付けられれていた自身を表す固有スキル、《極光剣》と《極光変換》。

 それらを支える光属性魔法や《自動再生》等を得てからは、もはや周囲には他の純竜級モンスターであろうとも自身に敵う相手はいなくなっていった。

 

 

 そんな風にしていたからだろう。

 “アレ”に目を付けられたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【――〈UBM〉(ユニーク・ボス・モンスター)認定条件をクリアしたモンスターが発生】

 

 【履歴を参照し、類似個体の有無を確認】

 

 【類似個体が存在しない事を確認。〈UBM〉担当管理AIに通知】

 

 【〈UBM〉担当管理AIより承諾通知】

 

 【対象を〈UBM〉に認定】

 

 【存在干渉を開始】

 

 【エネルギー供与を開始】

 

 【固有スキル《極光変生》付与】

 

 【スキル《特殊攻撃耐性》付与】

 

 【スキル《■■■■》強化】

 

 【死後特典化機能付与】

 

 【魂魄維持…………完了】

 

 【等級確認……〈逸話級UBM〉認定】

 

 【――対象を【極光剣精 ラスリルビウム】と命名――】

 

 

 

 

 

 

 

 ――理解できない、誰かの言葉が剣のエレメンタル――否、【極光剣精 ラスリルビウム】の思考に駆け巡っていった。

 それに理解できた事は少ない。元の鍛冶師の青年の記憶で〈UBM〉についての知識はあったが、鍛冶師だった彼には〈UBM〉にも……特典武具の素材にも、触れる機会は終ぞ無かったから。

 

 それでも、分かった事は……感じた事は、ある。

 それは――銘を貰ったという事、(リソース)を貰ったという事。そして――

 

 ――【スキル《■■■■》強化】

 

 ――自身の根底に根差すソレを“肯定”されたという事。

 歓喜した。感激した。心を震わせ怨念が漏れそうになってしまう程に。

 まるでその瞬間だけは主を持つ通常の付喪神の精霊の様に、そのモノに敬意の念を抱いていた。

 

 

 そうして【ラスリルビウム】は考える。

 ……怨念に侵されたままの、歪な思考で考える。

 自身に力をくれたあのモノは、一体何を望んでいるのか? 何が目的なのか?

 考えて、考えて、考えて…………一つの答えを出した。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ――〈UBM〉とは?

 ――モンスターの中でも隔絶した能力を持った、固有(ユニーク)なるボスモンスター。

 ――例外なく稀有なる固有スキルと純竜級を越えた高い戦闘能力を持ち、そして

 ――――人類に仇なす厄災である。

 

 ――ならば、その〈UBM〉を生み出すモノの望みもまた、同じなのだろう。

 ――故、今まで通りに人間を殺し、そして今まで以上の力を蓄え、自らを更なる高見へと押し上げてくれよう――!!

 

 

 

 

 こうして、後に伝説級(レジェンダリー)の〈UBM〉となる【極光剣精 ラスリルビウム】は剣としての物でもなく、ただのモンスターとしての物でもない、第三の産声を上げるのだった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、光の魔剣である〈UBM〉として生まれ変わった【ラスリルビウム】は再度己の内から湧き出る怨念と、そして力を与えてくれたモノへの恩返しとして殺戮の道を歩み始めた。

 だが……その【ラスリルビウム】の実力とは如何程の物になったのだろうか?

 

 実の所を言えば……彼の戦法は()U()B()M()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 〈UBM〉となり、あらゆるステータスが上がり、スキルの出力も上がったが、逆に言えばそれだけだった。

 新たに与えられた固有スキル《極光変生》は所謂“切り札”に相当するスキルであるし、そもそもの話として。

 

 【ラスリルビウム】の戦法は、既に完成されていたとも言えるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 光属性という属性がある。

 

 光エネルギーを操る天属性に属する属性の一つだ。

 前述した様に、確かに鍛冶に置いては不遇と言える光属性ではあるが……では、さて戦闘においてはどうなのだろうか?

 

 

 

 【光術師】(ライトメイジ)やその上級職【光輝術師】(ルミナスマンサー)が行使する光属性魔法。

 そのジョブに就く人数の少なさが表す様に、デメリットは……ある。それも、かなり大きな物が。

 

 まず一つ目として、燃費の悪さが上げられれる。

 本来であればダメージを与えられぬ光を用いてダメージを与えられる程に光エネルギーを収束・凝集するその過程に求められる魔力(MP)の量は非常に膨大なのだ。

 同じダメージを与えられる同程度の火属性魔法と比較すると、その消費MPはおよそ数倍から十数倍もの差となる。

 エネルギーの発生を操り、攻撃力に期待される天属性の魔法として、この燃費の悪さは扱う魔術師からすれば悪夢としか言い様がないだろう。

 

 二つ目としては、耐性の容易さが上げられる。

 これは光属性だけでなく、雷属性や聖属性も同様の問題を持っているのだが……最終的に熱エネルギーによるダメージを与えるという関係上、光属性に対する耐性だけではなく、火属性、炎熱に対する耐性によってもその攻撃を軽減されてしまうという欠点が存在するのだ。

 勿論完全には防ぎきれはしないし、【盲目】を与える効果など火属性耐性に関係のない効果もあるにはあるが……やはり、熱耐性一つで威力を減衰されてしまうというのは大きなデメリットとなる。

 

 

 では、やはり光属性は戦闘においても需要の少ない属性なのだろうか……?

 

 ――否、否である。

 

 何故なら、光属性には大きなデメリットを覆す程の……()()が存在するからだ。

 

 

 

 

 

 光である事、即ち……()()

 それが光属性における最大の、極大の優位点だ。

 

 

 

 

 亜音速機動(AGI5000以上)

 超音速機動(AGI10000以上)

 超々音速機動(AGI100000以上)

 各々、この世界における近接戦闘職において最大派閥を誇る敏捷(AGI)型における一つの指標である。

 総じて、亜音速ですら装備補正や支援やスキルのバフを考慮しなければ超級職に就いていなければ到達できない領域だ。

 超々音速機動など、達成した物は歴史の中で何人いた事だろうか。

 

 

 そして、光速とは。

 ()()()()()()()8()8()()()()()()()()()()()()()()()

 AGIに換算して、約8()8()()

 

 ()()()()()()()()。それが光属性を使用する上での最大のメリットだ。

 その速度の優位性を、脅威を<遺跡>に残された先々期文明時代の兵器達も証明している。

 かの時代に作られたレーザーガン、そしてそれを搭載したガードロボットやトラップが今の時代においても幾つも発見されているのがそれを裏付けるだろう。

 

 今までの歴史の中でそんなレーザーガンを回避せしめた猛者も存在するにはする。

 が、それは兵器として作成された事で射出の前に露光が漏れ、銃口から射線を見切り、その上で超音速機動が可能な超越者だからできた事だ。

 

 それは逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という証左に他ならない。

 

 

 

 

 

 そして、当然ながら【極光剣精 ラスリルビウム】はこの光速の魔法攻撃を得手とする〈UBM〉だ。

 元から所持していた固有スキル《極光剣》……そのスキルの効果は『MPを消費して自身の魔法攻撃力に自身の物理攻撃力を加える』という効果だ。

 〈UBM〉となる前ですら、一発の威力でダメージにして6000は出ていただろうか。亜竜級ですら二、三発も食らえばHPを全損し、純竜級のモンスターでさえも無視できないダメージだ。

 そして、もう一つの固有スキル《極光変換》により、常日頃より光エネルギーを吸収・蓄積する事で莫大な量の光エネルギー(MP)を保有し、その燃費の悪さも克服している。

 その上で彼は《■■■■》により、()()()()()()()()()する事も可能な事も加えれば、光属性のデメリットは完全に解消されていると言っても過言ではない。

 

 更に、〈UBM〉となった事で全能力値が上昇したお陰で、《極光剣》の特性上その攻撃力は二重に強化されている。

 不可避にして高威力……いや、超高威力の光線の連射。

 それを可能とする【ラスリルビウム】を前に生き残れる者は殆どいなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 人間と、そして襲い掛かってきたモンスターを狩る日々が続く。

 

 

 そんな日々が続いている内に、いつしか伝説級〈UBM〉となっていた【ラスリルビウム】。

 等級が進化したそのリソースで、自身と同様に光を司る精霊(エレメンタル)を召集する能力を身に着けるに至る。

 召集されたエレメンタルは同じ光属性に関するエレメンタルであると言うのに何もかもが違う別種ではあるが、とりあえずは格別にして特大の光を操る彼の指示に忠実な為、特に問題とは思わなかった。

 同種ではなくても、同属のエレメンタルを侍らす事で、青年の記憶の中にはなかった優越感を得ろうとした事もあるが……試してみても、何故だか全くそんな感情が湧かなかったのは何故だろうか。

 

 それどころか、伝説級〈UBM〉になってから暫くすると、かつて〈UBM〉になった時とは全く違う鬱屈した思いを抱く事になってしまう程だ。

 何か……何かが己の(コア)の中で燻っている。しかし、その正体が影すら見えないとはどういう事だ。

 呼び出したエレメンタルが原因かとエレメンタルを力づくで散らしてみても全く気分は晴れない。自分は一体どうしてしまったのだろうか?

 

 幾度考えてもその思いの起源すら掴めぬその不思議な気持ちを抱えながらも放浪を続け……

 やがて一つの<遺跡>へと誘われていく。

 

 

 

 ――その<遺跡>で自らを待ち受ける運命に気付かぬままに。

 

 

 

 

 

 To Be Continued…………




 なお、デンドロ内時間で数年後に光属性で最強(超級武具)長剣(グローリアα)が出現するとか。

ステータスが更新されました――――


光属性魔法:
 天属性に属する魔法属性の一つで光エネルギー・熱エネルギーの複合物の生成と操作によって光を扱う属性。
 攻撃魔法は結局熱エネルギーによるダメージとなるので炎熱耐性でガッツリ減衰させられる。炎熱耐性万能説。
 しかしその光速は非常に厄介で、原作ではフィガロといえども回避のしようがない、と言われたりトム・キャットも分身を何度もぶにゃあされてる程。
 ただしジェネレーター持ってたり体内から光属性のブレスを発射できたりしないと燃費が最悪。

《極光剣》:
 【極光剣精 ラスリルビウム】、及びその前身の所持していた固有スキル。
 魔法攻撃を発動する際にMPを消費する事で物理攻撃力を魔法攻撃力に加算する。
 地味に見えるが【ラスリルビウム】のメインウェポン。
 伝説級となった場合、素の《レイ(光線の魔法)》の威力が1500程にSTR約7000がプラスされ、およそ一発当たり8000~9000の威力となる。
 【モノクローム】の通常の熱線が一発3500程だったのを考えれば十分過ぎる破格の威力だ。

《極光変換》:
 【極光剣精 ラスリルビウム】、及びその前身の所持していた固有スキル。
 その身が受けている光を自身の内に蓄積し、自在に光エネルギーを使用する際にMPとして放出する事が出来る。
 【モノクローム】の《光変換》にも似ているが、むしろ特典武具の《怨念変換》の類型と言った方が近い。あっちは自身のMPに変換しているだけで貯蓄できないし。
 むしろ【モノクローム】の《光変換》は変換効率と変換速度がヤバすぎる。


 ※今回の話の鍛冶師や属性関連は超捏造的なアレですのでご了承を!

 やっと山場の〈UBM〉戦です!
 ……はい、戦闘まで行きませんでした、申し訳ない……!
 露骨な伏字で重要なスキルを隠したりしながら、分割分後編に続きます!

 ……ちなみに、【極光剣精 ラスリルビウム】の条件特化型としての性能は伏字のスキル二つに集約されています。
 割烹でも言及された事のあるとあるスキルですが果たして……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。