新章始まりましたね。戦争の行方、楽しみです。
それでは本編をどうぞ!
8月21日(金)
今日も多少の休憩を交えながらの<修羅の奈落>でのモンスター狩りをした。
……こう書くと変わり映えがしない様に見えるけど、実際には非常に密度の高い三日だった。
そういえば、こうやって連日一日中デンドロできるのも夏休みが終わるまで、かぁ。
――まぁ、それはともかく。
既にデンドロ内で数日もの期間同じダンジョンにアタックして来ている現状、パーティ全体での狩りも慣れが生じ始めて来ていた。
特に春香や明さんが顕著なのだけど、〈神造ダンジョン〉の特性なのか、同じ種族のモンスター達であまり個体差がなく、モンスター達の癖を見切って頸部や頭部に華麗に一撃を見舞っている姿が印象に残った。
……まぁ、二人や僕のステータスだと致命部位に全力攻撃を仕掛けても一撃で倒せるモンスターは少ないのだけど。
それでも今まで以上に効率的にモンスターにダメージを負わせ、メインタンクにしてメインアタッカーのモョモトと竜胆さんもかなり楽になっていた様に感じられた。
春香や明さんは殆ど被弾もしなかったから《治療符》もあまり使わずに済んだのは僥倖だった。
僕も、今まで貯めてきた【符】と自然回復するMPを如何に使ってモンスター達を効率良く追い込めるか地味に楽しくなって来たというか……
……ほら、〈神造ダンジョン〉なんてこういう機会がないとあまり来れなさそうだし、ならばやはり全力で結果を出すのが最良だよね?
まぁ、そうやって魔法使っていると節約していたってMPに限界が来て【MP回復ポーション】を使う事になるんだけどね。本当にリポップ多いし、早いから。
そして、この<修羅の奈落>での稼ぎを考えるに【MP回復ポーション】を使い倒したって嫌でも黒字になるって気付いたのも今日だったんだよね……
僕達が戦っている第二十五層付近。亜竜級や純竜級の魔獣や魔蟲や鬼族と言った、モンスターの中でも特に数も種類も多いモンスター達がリポップするから、多分戦利品の合計額は凄い額になってるんだよね……
やっぱり、〈神造ダンジョン〉は侮れない。
最初に<修羅の奈落>の事を教えて貰った時には罠ばっかりで稼ぎは少なそうだと思っていたと言うのに。
以前は一つ手に入れるのにも苦労した【宝櫃】。
それがこんなに大量に手に入るとは、成長を感じられる……という事にしておきたい。
そうそう、成長と言えば。今日の狩りで【光術師】のジョブレベルがカンストするに至ったのだ。やったね!
光速の攻撃魔法《レイ》や、【盲目】の状態異常を与える《フラッシュ・バン》と言った有用な魔法スキルも習得。【ラスリルビウム】との戦いの時から良いな、と思ってたんだよね。
これで戦術の幅が広がると言う物、だね。
ちなみに、次にメインジョブに据えるのは少し迷ったけど【剣鬼】としておいた。
今即座に必要なのは魔法職のジョブレベルを上げる事によって得られるMPのステータスだろうけど、現時点で【MP回復ポーション】や【ラスリルビウム】に蓄積してあるMPだけで十分賄えているからね。
上級職のジョブレベルによって得られるステータスは下級職のそれとは段違い。
……皆前衛で戦っているのを見ると、僕もうずうずするというか、まぁそんな感じが多少はあるからね。
それと、成長と言えばもう一つ――なんというか、直感というか第六感というか、それが鍛えられている気がするんだよね。
……自分でも何を言っているのか分からないけど本当にそんな感じなのだ。
春香と明さんの【斥候】と【狩人】のジョブレベルと探知スキルのスキルレベルが上がるまでは僕もまだ【陰陽師】の探査系魔法で罠の探知を一緒に担当してたのだけど……
続けていく内に、探査魔法を使っていなくてもなんとなく罠の所在が分かる様になっていたのだ!
……恐るべし、天地の“修業場”。こんなリアルスキルまで鍛えさせるとは。
ちなみに、竜胆さんからは「もうそんな域に来たのですか。才能がありますね」と褒められた。うん、才能はあるね!?
才能が変な方向に行って第三の目とか開いたりしない事を祈っておく。
……あ、どっちの世界にも神は居なかったね。残念。
しかし、こうして書き出してみても本当に今日はダンジョンで狩りしかしていないね。
三十年以上昔のオンラインゲーム全盛期の話を思い出す不健康の極み。自分の感覚ではダンジョン内を駆けずり回ってた感覚なだけあって混乱するけど、これが廃人の生活と言う物なのかな?
モョモトは僕と同じ夏休み中の学生だって聞いたけど、明さんはそういう生活がデフォルトらしいんだよね。
その精神力と集中力は尊敬できるかも……? いや、尊敬したらそれはそれで怒られそうな気もするかな?
それと、もう一つ。
もう一度見返してみても順風満々なダンジョン狩り風景だったんだけど……折角仲間にしたイグニスを使えなかったのは残念だったなぁ。
地下・屋内型のダンジョンだとどうしても大型のモンスターは動きにくいし、そもそも僕の従属キャパシティじゃ亜竜級のイグニスは入れられなかったから仕方なかったんだけどね。
その分リンは活躍してたけど、こうなったら【従魔師】も早くレベルを上げたくなるね……
◇
8月22日(土)
今日はデンドロ内で半日強、一回ダンジョンに潜って今回のダンジョン狩りを終了する事にした。
デンドロ内時間にして十日間以上一つのダンジョンに潜っていたってのは初めての経験。疲れたけど、実りは多く充実した狩りが出来たんじゃないかなと思う。
既に合計レベルがカンストしている竜胆さん以外は経験値も大量に入手し、そして戦利品も……というか、戦利品は本当に予想以上の数になったんだよね。
主に戦っていたのが亜竜級や純竜級のモンスターだったから、多くは【宝櫃】と言う形での入手になったけど、<修羅の奈落>の性質から数が非常に多くなってしまって分担して開けて精算するのも一苦労だった。
……本当は【宝櫃】のまま所定の所に売却するという安牌も出来たのだけど、全会一致で開封するという事に決まったのだから是非もないよね!
<マスター>、ティアンを問わずに天地に居る人は挑戦心ばかりだ……僕も含めてなんだけど。
【宝櫃】を開封すると【宝櫃】をドロップしたモンスターに由来するアイテムが一つと、そのモンスターのレベルやステータス帯に応じたアイテムがランダムで幾つか手に入れる事が出来る。
このランダムで、と言うのが存外厄介で……そう、運が良ければ有用なアイテムや装備品が出る事もあると言うのだからこれは開けない手はないと思うんだよね。
実際に、主に討伐していた亜竜級上位や純竜級下位のモンスターがドロップした【宝櫃】からは幾つも高レベルの装備品が排出されていた。
装備可能部位や性能、装備スキル、装備制限等は様々だったけど、うん。パーティ用に借りた部屋に脚の置き場が無い程に高レベルな装備で埋め尽くされるのは圧巻だったね……
開封が終わった後は冒険者ギルドの【書記】の人を呼び、装備品と戦利品の査定をお願いした。
パーティでのトラブルを避ける為に今回みたいな形で冒険者ギルドを利用するのは常套手段なのだとか。計算が手間だからじゃなかったんだ……違うんだよね?
……まぁ、その開封と査定だけで半日が過ぎ去ってしまうんだからそりゃそういうジョブでもなきゃやりたくもないか。
ちなみに査定代金は〈神造ダンジョン〉産の戦利品だからと手間賃等も含めて10万リルだった。拘束時間を考えると妥当……なのかな?
結局、最終的に精算されて分配されたお金は【エレメンタルブレイド・天】や【十六夜】、そして各種消耗品やイグニスを購入した分の資金を補って余りある、というより圧倒的に上回る程の
……人数で五等分にしてこれなんだから、本当に〈神造ダンジョン〉は儲かるね。そりゃ各国が躍起になって管理するだけはある。
また、それだけではなく、【宝櫃】から排出したアイテムで三つ……腕輪型の高品質なアイテムボックスと装備品を二つ、【プラチナム耳栓】と【サーマルマント】も貰う事が出来た。
【サーマルマント】
『外套防具』
装備する事により、装着者を温度変化から守る魔法のマント。
・装備補正
防御力+140
・装備スキル
《適温調節》
《熱量変化耐性》Lv2
※装備レベル制限:合計レベル200以上
【プラチナム耳栓】はある種ついで(こちらも音を媒介とした状態異常耐性付きのマジックアイテム)だったけど、こっちの【サーマルマント】は特に人気で有用な品物らしい。
特に《適温調節》のスキルが気温の変動が激しい他国に行くのならば半ば必須だ、と竜胆さんに聞いた。
実際に装備してみると連日のダンジョン攻略で火照っていた身体が仄かに涼しく、楽になった感覚で非常に快適だ。
価格にすると300万リルを越える品物ではあれど、これは良い。実に良いね……
精算と分配が終わったらそれでパーティ解散――道行が数日交わった明さんとモョモトとも別れる。
まぁ、フレンド登録はしてあるし、距離次第では通信魔法でまた誘ったりできるんだけどね!
それでなくても二人共実力は確かだから、風の噂が聞こえてくる事があるかもしれない。そういうのも乙ってものなんじゃないかな。
僕らは僕らで目当ての<修羅の奈落>の案内が終わったから大白宮へ帰る事に。帰る事になったのだけど……
……ちょっとした会話の流れで春香にイグニスを自慢してたんだけど、竜胆さんに「帰りは空の旅にしようか」と提案され、ホイホイそれに賛同した事が始まりだった。
ドラゴンの背に乗り空を駆る……憧れだったからね。当然だよね。
……まぁ、どうなったかと言えば。
ドラゴンの騎乗専用の道具とかスキルもなしに上に乗ってたら、イグニスが速度を出したら風圧で落ちるという当然の結果だったんだよね……
ぐぬぬ。
なんとか克服して乗りたい、とは思うんだけど、詳しい話はここでは割愛するけど天地ではイグニスみたいな所謂“竜”用の道具って基本的にないから、もし用立てるなら自前で作成するか、【レシピ】を持ってきてオーダーメイドして貰うしかないらしい。
ドラゴンの騎乗用のスキルを入手できるジョブ、【竜騎兵】や【竜騎士】は天地のジョブクリスタルでは転職できないし(そもそも【武士】に乗馬関連のスキルあるし)、後は自力で風圧をどうにかするか、イグニスに速度を落として飛行して貰うしかないらしいんだよね……
風圧……風魔法、【
結局、今日はイグニスに低速で飛行して貰って大白宮まで帰る事になった。
ちなみに、竜胆さんは亜竜級の怪鳥のモンスターを【ジュエル】から出してそれに騎乗していくようだ。多芸……!
低速とは言え、真っ直ぐ空を駆ければ二日弱の空の旅で大白宮まで帰ってこれた。
……ちょっとケチが付いちゃったけど、空の旅はやっぱり格別だね。
◇
8月23日(日)
今日もデンドロをプレイ。……なのだけど。
デンドロ内時間で一ヵ月ぶりの大白宮の都。特に大きな事件もなく街並みも何も変わりないんだけど……僕的には大事件が、一つあった。
なんと、今日ログインして久しぶりにコテツと合流すると……勝が、いやコテツが奴隷の女の子を買っていたのだ!
颯爽とログアウトして明日香に知らせようとした僕は多分悪くないと思う……多分。
……まぁ、当然の如く必死に引き留められたんだけど。
その後のコテツの弁明によると、デンドロで閲覧できる資料や書物だけではなく、この世界を生きる人々……つまり、ティアンに直接この世界の事を教えて貰う為に購入したらしい。
ティアンから見たこの世界の一般常識や<マスター>に対する感情、口伝や世界に伝わる御伽噺等で何か有益な物はないか……など。
理解はできる。理解は。僕も春香とかにそれとなくティアンに伝わる話とか伝承とかを……聞くのは普通の雑談の内だったけども。
何の気兼ねもなくそう言った事を聞き出せるというのは非常にありがたい事だと思う。
……でも、接し方には十分気を付けておくように重ねて言っておく。コテツが何か変な事するとは思ってないけど一応ね。
その奴隷の人の名前はサラさん。見習いの【
コテツ曰く、本当は【
【錬金術師】も基本的にはレジェンダリアのジョブなのだけど、奴隷となって流れ流されてこの天地までやってきたみたい。……コテツが奴隷商で出会った時は酷くやつれてたんだって。
そんなサラさんは奴隷と言う身分ではあれど、安全を保障し、衣食住を手配してくれたコテツに感謝しているらしい。
そういう事情であるから、僕も認めざるを得ない。
折角なので何かサラさんに贈ろうと思ったのだけど……僕は生産系統のスキルもないしリアルスキルでも代用できそうにない。
しかし、丁度良くこんな時の贈り物に相応しい……【身代わりお札】を贈らせて貰った。
コテツも採取の時とかには手伝ってもらうと言っていたし、これで多少でも危険が減らせるなら、と。まぁ、コテツの事だからあまり危険な真似は……し、しないよね?
午前中は弁明とかで結構時間が取られたので早めにログアウト。コテツから事前に言ってあるらしいけど、一応僕からも明日香に知らせておく。
コテツが言っていた通り、明日香も既に報告を受けている事だったらしいので一安心。でもできれば僕が大白宮に帰る前にも教えて欲しかったよー。
昼食を三人で食べ、午後からもデンドロにログイン。
久し振りの大白宮だし、ゆっくり休んでも良いのだろうけど……ちょっと、とある目的の為に僕が属している各種専門ギルドを回っていく事にした。
その発端は行きで妖怪を探している際、春香が言っていた事。……そう、ジョブクエストによって解放されると言うジョブスキルの為だった。
春香に聞いた所、下級職上級職を問わず少なくとも一つか二つ、或いはジョブ次第ではそれ以上の数のジョブレベルを上げるだけでは習得できないスキルがあるのだとか。
転職条件の様に各種行動や特定のモンスターの討伐等が条件の物や関連するスキルのスキルレベルを上げて習得できる物など条件は様々だけど、各ジョブのジョブクエストが習得に関連している物が特に多いらしい。
……仮にジョブクエストが関連していないスキルだとしても、凡そ各専門ギルドに行けばそれらの情報が残っているんじゃないかと思う。
最も、専門ギルドに残されているそれらの情報を閲覧する為にも信用と実績を積み重ねなきゃいけないから、やっぱりジョブクエストを請けておいた方がいいんじゃないかなって思うんだけどね! がっでむ!
これは僕の才能が火を噴くのは明らか……最近ずっとモンスター狩ってたし、暫くはジョブクエストを重視して請ける事にしよう。
……取れた筈のスキルを取り溢すとか嫌だからね。
そして、それはそれとして……今現在、僕のジョブ構成は【退魔師】と【剣武者】と【光術師】以外、上級職の【剣鬼】も含めてどのジョブも中途半端なレベルになっているから、ジョブクエストを通じて一つずつ上げて行ったり整理しても良いかもしれない。
……とは思っているんだけど、実は他にもまだまだ取りたいジョブは思いついているんだよね。【風術師】とか、他にもね。
やりたい事が多過ぎて困ってしまうというのはさて、贅沢な悩みかな……?
◇◇◇
□■???
ヴゥゥン……
カタ、カタカタカタカタ、カタカタ
ィィィン……
「……」
「「…………」」
カタカタカタカタ、カタカタカタカタ、カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
「(……空気が重い、重いよー……)」
そこは<Infinite Dendrogram>の何処かであって何処でもない所。
――所謂、管理AIの作業場と言う場所に、その三人……いや、二人と一匹は居た。
この二人と一匹が一緒に作業場で何をやっているのかと言うと……それは彼らの担当通り、
凡そ一週間前に行なわれたイベント、『ラベンダー祭り』イベントの後処理の為に彼ら……もとい、チェシャは此処で作業をしている。
双子の管理AI、トゥイードルダムとトゥイードルディーは今回のイベントにおける作業は既に完了している為……次の
別に作業が終わっているなら手伝ってほしい、などと筋違いな事を言うつもりはチェシャにはなかった。
そもそも、残りの作業は世界中の街のセーブポイントで<マスター>達が集めたポイントを望んだ景品と交換する単純作業だけ。
イベント期間は終了し、世界中の特異な薬草類や繁茂率等の修正はキャタピラーが終わらせたし、特定の薬草を主食とした希少モンスターの行動パターンの変化と言った隠しイベントも既にクイーンの手で終えている。
管理AIの仕事は何事も適材適所だ。故に、並行処理が得意なチェシャが並行して他の仕事も行いながらイベントの後処理を担当するのも極自然な流れなのである。なのであるが――
(やっぱり、アレは不味かったかなぁ。でもアレだって僕の仕事だし、そもそもあの二人があんな物で――)
――イベント美味過ぎワロタw
――なんだこの地味なイベント。ゲームスペックの無駄遣い過ぎだろ
――イベントでやる事がただの草むしりとか訳分からん
――〈UBM〉の一匹も出ないとか運営やる気ないなこいつら。のんびりイベントとか求めてねーんだよ
――俺wのwプwルーwwトwスwがw火wwをw噴wくwぜwwww!
……まぁ、最後のは少し違うが、どれもインターネットの各所の掲示板に残されていた今回のイベントに関する書き込みだった。
無数にあるそういった掲示板や情報サイトの監視、誘導や<Infinite Dendrogram>の外における情報収集も、管理AIの一人として絶大な並行演算能力を有するチェシャの仕事の一つであった。
……だから、無言で作業をしている二人、イベント担当管理AIたるトゥイードルダムとトゥイードルディーに、イベントに関する<マスター>達の感想を求められたのなら、仕事として率直に掲示板で書かれていた主流な感想を伝えたのだけど――
うん、ちょっとあの時は予想以上に仕事が重なってたから求められた仕事をそのまま遂行してしまったけどこれは……いやでも、
イベントに肯定的な意見だって結構多かったし、そもそもあの書き込みをした人が見つけられてなかっただけで例の各国の特異な薬草によって
でもまぁ、とりあえずは。
「――二人とも、怒ってない?」
「怒っている訳がない」
「全然怒ってないの~。匿名の掲示板でそういう言葉が出るのは当たり前なんだから~」
そう言うなら笑顔の奥に垣間見える無表情を取り繕ってからにして欲しい。
元より、この二人が、演算能力に特化された管理AIたる二人が一時的な感情でどうにかなるとは思ってはいないのだが。
……だが、それはそれとしてガードナー系列の、獣としての直感の様な物が働くのだ。
二人は何かを企んでいる、と。
「……何を企んでいるのかな?」
「それは」「当然~」
「「新しい公式イベントを」」
二人の管理AIは、感情を見せないままにそう言った。
「サービス開始から暫くは<マスター>の反応と手の内を把握する為にわざとああいったイベントを中心にしていたからな」
「次はがっちがちの戦闘イベント~収穫祭イベントで<マスター>達の命もしゅうかくしゅうかくハーヴェストフェスティバ~ル~♪」
「既に相応しい〈UBM〉を四号のストックから選定済みだ」
「【万裂天使 ワグシェム】なら~驕り高ぶる<マスター>もなんのその~♪」
(それって僕に対抗する為に先々期文明時代の
「……本当に特に気にしてないんだよね?」
「勿論だ」
「怒ってないよ~♪」
最後にそう言って、二人は作業に戻る。
……かつて
楽しそうな笑顔を張り付けて作業しているトゥイードルディーと、無表情を変えぬまま作業を進めるトゥイードルダムを見て、チェシャは思った。
<マスター>達、頑張れ、と……
To Be Continued…………
怒ってない。怒ってないですよ。
ステータスが更新されました――――
名称:【富角神 プルートス】
<マスター>:???
TYPE:エルダーアームズ
能力特性:収穫
到達形態:Ⅳ
スキル:《一切断収》《収穫の鎌》等
モチーフ:ギリシャ神話における富と収穫の神、“プルートス”
紋章:交差した槍と鎌
備考:槍と鎌が組み合わさった様なポールウェポンのエンブリオ。
アームズとしての武器攻撃力も高いが、多彩なスキルも所有している万能型エンブリオ。
しかし、固有スキルは高速採取・収穫や範囲採取・収穫、もしくは戦利品のドロップ率を上げるスキル等戦闘には寄与しないスキルばかりと何かと噛み合っていない。
上級エンブリオに進化した事で初の戦闘用スキルとして鎌を使った広範囲攻撃を習得したとか。
ちなみに今後登場する予定は今の所ない。
【身代わりお札】
『アクセサリー』
負傷を肩代わりしてくれる陰陽術で作成されたお札。
霊験あらたかなその御力によって装備者を守る。
・装備スキル
《身代守札》
備考:【身代わり竜麟】が身代わり系の最上位アクセサリー、とあったので下位アイテムを出してみた。
他にも類似例に【身代わり宝玉】とか【身代わり人形】とか【身代わり埴輪】とかがあると思います(妄想
【プラチナム耳栓】
『頭部、アクセサリー』
音を防御する魔法の耳栓。魔法の耳栓だから話し声や音は普通に聞こえる。
希少な魔法金属で作成されている。
・装備補正
音を媒介とする状態異常耐性+100%
MP+200
備考:音を媒介とする状態異常、とは音楽や歌系統のスキルや《竜の咆哮》等のスキルによって付与される状態異常を指す。
詐欺師系統派生職等に存在する話術を用いたスキルは防げない。
話数にして四話程度のプチ旅行、これにて了でした。大体ダンジョンで狩りしかしてないような……
管理AIが暗躍(?)してる? いつもの事ですね分かります。
とまぁ、そんな感じの成長回でした。
奴隷って実際どういうシステムなのか気になりつつ、大白宮の日常回へと続きます(多分)