無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:忍者の里の黄昏

それでは本編をどうぞ!


第四十四話 騒々と・突発性蒐集癖

□<大白宮・露店広場> 【結界術師】ジーニアス

 

 

 

 “それ”を見つけたのは、ただの偶然であった。

 大白宮の都の警邏の最中、広場の大通りを見て回るだけではなく、人気の少ない路地裏も見回っていたのだが……その時に、視界の端にそれを捉えたのがきっかけだった。

 今の御時世。人気が溢れる大白宮と言えど死角的にも構造的にも人が寄り付かないこの様な小路はまだ存在している。

 常よりも人が増え、治安が乱れている昨今ではそういった場所でこそ何かあってはいけないと思ってあとこういう所って掘り出し物がありそうな気がするし入り組んだそこに入って行ったのだけども――

 

 居ても立っても居られず、高速機動でそれを置いていた店の前に赴く。

 興奮を隠しもせずに店番をしていた青年に断りを入れて、思う存分それを堪能する事にした――!!

 

 

 

 

 

 ――それは、デフォルメされた人型(人形)だった。

 その材質からは想像できない程に細かく彫られ、形作られた芸術の結晶。

 ふわふわした髪に、柔らかな表情をこれ以上なく表現されており、着ている服装もこの世界(デンドロ)では見ない様な近未来的な服装や装飾にはエキゾチックな風味すら感じさせられる。

 そして、ポーズはありきたりな直立でありながらも、こうして“観”ているだけで今にも動き出しそうな“力”を感じる……これは一体。

 センス、技巧、情動、意思、力――おそらくこれは、どれを取っても――

 

 

「うん、やっぱりこれはまさしく最高の埴輪(ハニワ)だね! 僕の勘がぎゅんぎゅん唸っているよー!」

 

『またごしゅじんの変なびょうきがわるさしてるー』

『うむ……マスター? 我が思うに、もっと造形の良い人形はあると思うのだが』

『ああいうのがこのみなのかもー? むむむー』

 

 おっと堪能していたら通信魔法で酷い事を言われている!?

 僕的にはこれは全く個人の好みとは関係ない、芸術的な審美眼に因る物と――きっと僕に必要な“力”を持っているだと予感したんだと主張させて貰うよ!

 僕の勘は結構当たるからね。《易占》とかを使わなくても、三回に一回くらいは良い感じに当たるようん。

 あと、普通に僕同年代の方が好みだからね。

 ……まぁ、今の所そういう経験はないから“多分”と付けなきゃいけないけどね!

 

 

『ごしゅじん、そんなげいじゅつとか見たことないくせにー』

『むしろ我はハニワという物を初めて見るのだが、やはり我的にはもっと良い人形があると思うのだ』

 

 ほほう、ほうほう。

 言ってくれるじゃないか二人共!

 

「ならば確かめるしかないよね――店主、【鑑定眼鏡】はあるかなっ!?」

 

 

 

 

 

 【埴輪玉髄仕立甲型一号立像】

 『マジックアイテム』

 【埴輪王】、兵藤和平によって作成された埴輪。

 【埴輪】としての性能は勿論、観賞用にも堪える珠玉の逸品。

 

 スキル

 《魔力蓄積:大》Lv8 (014532/800000)

 《魔力自動充填》Lv5

 《魔力形代:埴輪》

 《破損耐性》Lv5

 《魔力隠蔽》Lv2

 

 

 

 

 

 ほらぁ!

 

『なん、だと……!?』

『超きゅうしょくのむだづかいではー?』

 

 ふふん、何とでも言うと良いよね。

 これが持つ力を示し完全論破させたのだから……これを僕が買う事に異存を付けられよう筈がないのだから!

 

「そういう訳で、店主さん店主さん。これを買いたいんだけど――」

 

「どういう訳か分からないが、良いのか坊ちゃん? これ7000万リルだぞ」

 

 

 ――――

 

 ――――

 

 

「……えぇぇ。本当に――いやまぁ、それくらいしてもおかしくはないかもしれないけどもっ!」

 

「それと、俺は売れる物も頼れる物もこれ一つしかないから値下げ交渉に応じるつもりはないよ、()()()()()()()()

 

 ぐ、ぐぬぅ。機先をどんどん制されているっ!?

 そりゃ、僕は値下げはするつもりはなかったけどいややっぱりそれでも7000万は……

 で、でも現存する数少ない【埴輪王】の作品なんてここで逃したら次手に入る機会があるかも怪しいしここは『マスター、落ち着くのだ! 7000万なぞ所持金をかき集めても8割以上吹っ飛ぶだろう!?』大丈夫、僕は今落ち着きを欠いているかもしれないけど思考は努めて冷静になろうとしている所だよ!

 時間が掛かるとは言ってもこの量の外付けMP(魔力)は間違いなく暴力!

 ……でも、僕には【符】と【ラスリルビウム】、既に二つも外付けMPと言える物があるんだよね。

 《破損耐性》があるとは言え、この値段と【埴輪】のサイズ的に非戦闘時にしか使えないかもしれない――?

 でもでも、デザイン的にも十分良い物だし、正直僕は観賞用としても普通に欲しい。この世界に来てから戦闘性能一辺倒だったしそういう道も割と好きだったからこんな小物が欲しかったんだ。それに僕が戦闘時に使えなくても確かにいくらでも使い道はあるし、何なら【カナヤマヒコ】の《魔力供給》役としても完璧な役割を果たしてくれる筈なんだよね。

 ――それでも、やっぱり7000万は高くないかなっ!? 確かに相応ではあるんだけど、あるんだけどっ。流石に観賞用の小物に出せる金額ではないし、性能的には十分適性金額ではあると思うんだけど、流石にこっちの時間(デンドロ内時間)で1年近く掛けて貯めたお金のほぼすべて、うーんうーn――

 

「買わないならもう明日にはここ(大白宮)を出る予定だから言ってくれよな。こうやって売るのは()()()()だって決めてたんでな」

 

 

 ――――――――――買ったッ!!

 

 

 

 

 

 

 そんな訳で、【埴輪玉髄仕立甲型一号立像】ゲット! やったー!

 

『すかんびんー? すっごくおたかい買いものー』

『それを言うな、リン。まだ600万リルは残っているのだ。……まだ600万リルは』

 

 ……僕は悪くないけど、丁度そろそろクエストを受けに行きたいと思っていたんだよネ!

 さぁ、気合いを入れて頑張るよー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

12月9日(水)

 昨日は驚いてあれからよく眠れなかった……昼休み直後の授業が地獄だった……!

 睡眠の重要性!

 それでも、なんとか授業は乗り切ったけどね! えっへん。

 

 さて、帰って来てから速攻で昨日の情報を調べてみると、既に(ネット上の一部の界隈(天地関連)では)かなりの精度で情報が把握されているらしい事が分かった。

 それによると、どうやら“忍者の里”、霧影領を襲撃したのは所属不明の武芸者集団と――それを操る〈UBM〉だったのだとか。

 当時現場に居た<マスター>の人曰く、何故ティアンが〈UBM〉と一緒に襲撃を? と思って《看破》してみた所、【魅了】の上位の状態異常である【魂捧】に掛かっている事が判明。

 つまり、この襲撃は相当に強力な魅了系統の固有スキルを持った高位の〈UBM〉の仕業なんじゃないだろうか? という見解らしいね。

 【魅了】ですら使用するジョブも殆ど居ないし、モンスターだって一部の悪魔くらいしか居ないんだけど、一体何処から湧いて出て来たんだかっ。

 

 で、流石にその〈UBM〉が何処のどいつだ、というのはまだ分かっていないみたい……だけど、僕的に重要なのはそこじゃなくて、その襲撃のせいで忍者の里が壊滅状態に陥ってしまったという点なんだよね。

 まぁ、僕が天地の中でも贔屓にしている大白宮、西白寺領と忍者の里や巫女の集落は強固な同盟関係を結んでいる。

 各々が得意としている種々様々な魔法による提携や軍事同盟等、細かい所は省くけど、つまり今回の出来事について大白宮は黙っていられる訳がない、という事は確か。

 領の主要人物の捜索と保護、難民の受け入れ、軍事的反攻、それらに伴う必要な物資や人材の増強等、他にもやらなきゃいけない事は数え切れない程あるんじゃないかなと思う。

 

 ……うん、そんな状況であるからして、僕も急遽大白宮に戻る事にしたんだよね。

 イーズには申し訳ない事をした……!

 事情を話して今日でパーティを抜けるという事を話したら、皆快くそれを了承してくれた。

 特にカシミヤとビッグマンさんは僕から誘ったような物だから申し訳ないっ。

 ……ある意味予想通りかもしれないけど、イーズは一瞬すごーくマイナスな雰囲気を醸し出していたけど、表情には出さないで我慢していた。重ねてごめんね!

 

 ちなみに、結局僕が抜けるのを引き金としてかパーティは今日で解散という事に相成った。

 ビッグマンさんは僕が抜けていなくても抜けていたかもしれないらしい。

 今回の件を敏感に感じ取っていたみたいで、自身のホームである北玄院に戻るみたい。

 忍者の里は若干北よりで、北玄院との距離もそう遠くは無いから、例の〈UBM〉の襲撃こそなくても何らかの影響は出るかもしれない、って危惧しているんだとか。

 カシミヤはカシミヤで今回の事件をきっかけに戦の気配を色濃く感じて何処かの戦場に潜り込みに行くんだとか。

 カシミヤってば本当カシミヤだよね……!

 イーズとカインの二人は……まだ今後どうするか決まってないみたいだけど、どうするんだろうね。

 後述の理由もあってまだ目標の金額には達していない筈だけれど。

 ……僕的にはこういう時に積極的に困っている所に恩を売るのが信頼を稼ぐのに良いと思うんだけどなー! 思うんだけどなー!

 

 

 さて、そうして狩りの終わりとパーティの解散が決定したら次にするのは――そう、戦利品の精算と分配だ!

 今回の狩りは時間的には前に<修羅の奈落>で狩った時と比べて、学校もあったから若干短かったけど、それはそれとして僕も成長して前よりも上の階層で狩っていた事もあって戦利品の合計金額は前回よりも3割増し、といった所。

 ちなみに、今回の精算の音頭はなんとビッグマンさん。意外な様なそうでもない様な。

 そして、それとは別に意外? だったのはイーズが自分から「MVP取っちゃったんだから取り分を特典武具の分(ある程度)差っ引いてくれ」って言ってきた事だった。

 イーズが一番お金欲しいだろうに……僕的には今回の狩りはイーズの為に企画した物だったし、別に等分でも構わなかったんだけど、流石に罪悪感が込み上げてきたらしい。

 そういう所嫌いじゃないよ! その内特典武具を使って荒稼ぎする術が……見つかるといいね!

 そういえば、【宝櫃】は今回の狩りでは鬼族や獣人がメインだったから良品が大量……と、思いきや素材や換金アイテムが多めだった。

 宝石類とか、鉱石類とかもね。なるほど、戦利品としての素材以外にも習性を考えてみるとそういうのを持っていてもおかしくはない…………のかな?

 まぁ、僕らとしても換金が楽なそれらのアイテムが多いのは嬉しいんだけどね。

 ……普通に鉱石とか宝石は、コテツの【カナヤマヒコ】からざくざく採れるから何か複雑な気分!

 そして、そんな中でも僕的に良さげだと思った装備品があったので、他に希望者も居なかったしイグニス用のお肉と一緒に買い取らせてもらった。やったー!

 その名も【邪鬼の籠手・ネイティブ】。名前も見た目も完全悪役な籠手だけど僕は天使だから何の問題も無いよね!

 有用な装備スキルに加えて闇属性耐性付き、これは間違いなくお得。

 

 そうして、精算と分配が終わったら今度こそパーティ解散。皆、お疲れさまでした!

 今日は精算だけで終わっちゃったから、明日は早速イグニス乗って大白宮に向かわなきゃね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月10日(木)

 学校で桑木さんに今回の忍者の里の事件について話題にしてたら、天地っていつも血生臭そうって言われた……

 最近(<マスター>増加後)は割と平和だった筈だから! ……多分ね。

 まぁ、歴史的に見ると全く否定できないかもしれないと思わなくもないけども!

 それでも、他国からの侵略とか強力なモンスター相手なら【征夷大将軍】の下に一致団結して戦ったという記録だって幾つもあるから……

 

 学校から帰ってきたら今日も今日とてデンドロにログイン!

 予定通りイグニスに乗って全速で大白宮へひとっ飛び。

 僕を乗せて飛ぶのも慣れて来たのか一日も掛けずに大白宮に到着。流石イグニス!

 デンドロ内時間でおよそ一ヵ月ぶりの大白宮だけど、やはり当然と言うべきか何処も彼処も大騒ぎ。

 霧影領からの避難民と思われる人々で人口も膨れ上がっていて更に誰も彼も落ち着かないみたい。それも当然だと思うけど。

 <犀合山岳地帯>を挟んでとはいえ、元々隣領、しかも同盟関係である事もあって避難民の人達と大白宮の人達の仲が険悪とかそういう訳じゃないんだけど、やっぱり故郷を追われて何も思わないなんてそんな事あるわけがないからね……

 

 大白宮に戻って、早速【陰陽師】ギルドに顔を出したら、いつもの沙羅(受付)さんがある程度状況を教えてくれた。やったあ。

 

 ――【陰陽師】ギルド、いや【陰陽頭】である泰央さんが異変を察知したのはデンドロ内時間で5日前の夜。

 暗号化された通信魔法による合図を受けた泰央さんはすぐに大白宮の都中のギルドやクランと言った各組織にお触れを出し、幾らかの指示を出した後側近の精鋭と即座に動ける<マスター>達をクエストで募って避難民達の保護の為に移動を開始。

 そこそこの大人数だった事からモンスターの襲撃や避難民への追撃なども予想されていたけど、結果として大過なく<犀合山岳地帯>で霧影領の避難民達との合流を果たした後は幾つかに分けて式神を霧影領まで飛ばしながらも即座に避難民達を護衛しながら大白宮に帰還。

 話を聞くところによると、避難民達は霧影領から四方に散り散りに逃げたらしいんだけど、距離的にも地理的にも領の関係的にもやっぱり大白宮を頼る避難民が最も多く、流石にその時点から他の方へ逃げた避難民達を探し出すのは難しかったみたいだね。

 で、そんな数が多い合流した避難民相手でも数多の<マスター>の力や使役された鬼や式神の働きもあって翌日には無事全員大白宮に保護できたみたい。

 ――そして、勿論話は無事に保護できて良かったねでは終わらない。終われるわけがない。

 まだ霧影領の大名である【超忍】の霧影朧さんの無事を確かめていないし、同盟の盟主として、いつの間にか姿が消えていた謎の武芸者集団と〈UBM〉から霧影領を奪還しなければならない。

 避難民達を大白宮に保護し、とりあえずの生活をできる程度に場を整えて一息吐いたならば当然、忍者の里、霧影領奪還作戦の始まりである。

 泰央さんが避難民を保護した直後から通信魔法で【巫女姫】を含めた比較的友好的な方々に連絡を入れ増援を頼み、大白宮に戻って来てからは都でも大々的に布告をして、十分以上の数の武芸者と術者を集め、そして大白宮や増援を寄こしてくれた領をホームしていた<マスター>達も集まり、それらを束ね指揮連携して――そしてつい昨日の日中にその奪還作戦が発動した所なのだ!

 

 

 

 乗 り 遅 れ た ー ! ?

 なんたる事、なんたる無様……!

 時間的に昨日の内に大白宮に帰っていればギリギリ参加できたかもしれないという事実が余計に僕に突き刺さる!

 悲しいなぁ……落ち込んでたら沙羅さんに励まされた。こういう時は優しさが身に染みるよね。

 

 まぁほらうん、奪還作戦に参加できなくても大白宮に戻って来た事には大きな意味があるから。

 避難民の人達の事についても、勿論奪還作戦に行った人達の事についても、いつ何時何が起きても直ぐに動ける様にここで待機しておくのは多分きっとおそらく間違いじゃない筈だから。

 ギルドも作戦に参加している人が多くてガラガラ状態で、クエスト請けてくれる人が居なくて困ってたっぽいし凄い助かるって言われたし、こうなったら僕も頑張るしかないよねっ。

 むしろ、そう。作戦でティアンも<マスター>も主戦力が抜けた今は治安維持とかクエストを含む各種業務が滞っちゃう事は簡単に予想できるしね。

 ……というか、普通に頼まれるクエストの量がすっごく多い!

 主戦力が抜けただけじゃなくて【符】等の物資もごっそり持って行ってるから後々の為のそれら各種戦闘用アイテムの補充も頼まれているんだとか……うわぁ。

 他にも冒険者ギルドや他の専門ギルドの方でも、大量の術師武芸者<マスター>が抜けている分、クエストが余り過ぎて困ってしまうぐらいなのだとか。

 ……うん。これは気を取り直して、頑張らないと! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月12日(土)

 今日も今日とてクエストで都中を走り回る一日が始まる……!

 

 ……と思ってたけどそんな事はなかった! 色々な意味で。

 何故なら、今日は凄く凄く久しぶりにコテツが帰ってきて合流する日だったから。

 苦節……デンドロ内時間で4ヵ月強も掛かってたんだね。長旅お疲れ様!

 改めて考えると、確かにコテツ自身のAGIは低かったけど、騎獣も居たのにこんなに掛かったんだね。世界は広い。

 そんな訳でまずは少しの間コテツの土産話を肴にして一緒にゆったりする事に。

 場所は何度かバイトでお世話になっている喫茶店。常連になると良くサービスしてくれる様になったからね……!

 ……そろそろお菓子作りも教えてくれないかなー? なんてね。

 本当に久々だし、腰を据えての近況報告、になるのかな?

 まぁ、リアルでのいつもの食事の時とかにも軽くではあるけどしてはいたんだけど、三倍時間とかもあるからこっちの方が時間を作りやすいからね!

 アスカともこうやってデンドロ内で話せたら良かったんだけど、流石にドライフと天地では無ー理ー!

 残念ながら通信魔法とか通信用のアイテムでも殆どの場合距離的な制限があるから、この距離はどうしようもないんだよね。

 上位の物なら隣国くらいは行けるみたいだけど、それを越えて大陸規模、世界規模の念話・通信となるとそっちの方向に特化された超級職や特典武具、エンブリオでもないと無理だと言われている。

 勿論僕は知り合いにすらもそんなの持っている人なんて見た事も聞いた事もないんだけどね!

 ぐぬぬ。そもそもの話としてエンブリオってば掲示板調べでは少なくとも全体の8割くらいは何らかの形で戦闘に貢献できる傾向になるって話だから、非戦闘系のエンブリオ自体凄く少ないんだよねぇ。

 ……コテツの【カナヤマヒコ】とか、レインの【エレクテイオン】とか、イダテンさんの【イダテン】とかヒースの【トート】とか、あとある意味では【タラスク】とかも入れると僕の知り合いでは非戦闘用のエンブリオ自体はそこそこあるんだけどねー? 

 

 さて、丁度少しは喧噪が落ち着いてきた頃に帰って来たのは運が良いのか悪いのか。

 クエストの量とかは昨日がピークだったからねー。

 とりあえず、まずはコテツが居ない間に摩耗しちゃってた武具達を順に預ける事に。

 ある程度は僕の気紛れで武器を替えたり、むしろガチャで出た武器を試したり魔法を主体に戦ってみたり小細工で遊んでみたり、後はリンやイグニスに任せたりして、結果的に摩耗は抑えてはいたから余裕がない訳じゃないんだけどもね。

 念には念を、一安心って奴だね。

 それと、戦利品とか各所で採取した素材等も渡して、代わりに渡されたのが、頼んでおいた弾丸と……【フラムウェイブ】と【アシッドダガー】。

 ウィップソード(連接剣)とソードブレイカーだ! やったあ!

 僕こういうの好きなんだよね……使いこなすのは難しそうだけどね。でも、だからこそ浪漫があるというか、そういうとこが好き!

 双方ともに【オリハルコン(伝説級金属)】で作られた、装備スキルも強度も充実した満足の逸品。

 作るの難しそうなのにこれだもの。これは僕も応えたくなるというものだよね。

 

 ……本当はこの後にも色々話してコテツから聞いた旅先での武勇伝を書き綴りたかったんだけど、他にも書く事があるし余白が足りなくなるから断念。

 謎の人物と希少鉱石(レアメタル)を使って取引して希少な【ジェム】や様々な情報を手に入れた話とか、何処から漏れたのか金の生るエンブリオと言っても良い【カナヤマヒコ】を狙った刺客が現れた話とか、場所に適応した【カナヤマヒコ】の新固有スキルとか一足先に必殺スキル習得とか!

 いいなぁ、羨ましいなぁ。僕の方も新技、その内コテツに自慢しなきゃ。

 

 その後は喫茶店を出て、コテツと別れてまた大白宮を歩きながら警邏(散策)

 一段落したらギルドに顔を出してまた人手が足りない所を手伝いに行く予定。……だったんだけど。

 うっかり警邏中に露店で琴線に触れる物を見つけちゃって散財して少し遅くなっちゃったけどまぁしょうがないよね。

 ほら、今の時期は家財を売ってでも今日を明日を生きる糧にしようとする霧影領の人達とか、そんな暫く大白宮に滞在していく予定の人達を狙って様々な必需品(ではないモノも含むけど)を売りに出す商人達で賑わっているし。

 ここで盛大にお金を使って経済に貢献するのも一人の<マスター>として重要という事で……

 まぁ、やっぱり後でコテツに怒られたんだけども、とほほー。

 

 それはともかく。そんな感じで今日も過ぎてログアウトする事に。

 

 ……うん、嫌な予感がすると思ったんだよね。

 その予感に従って今日もデンドロのニュースサイトを確認してみたら――

 『“忍者の里”奪還作戦、部分的に成功するも戦略的敗北!? 〈UBM〉の討伐には失敗、被害者多数!』

 ……どうやら、まだ修羅場は続く事になる様だ。

 それにしても、あのメンバーで失敗するなんて……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

■<???>【■■■■ ■■■■■■】

 

 

 ――くすくす、クスクス。

 

 ――あの腐れマヌケ、折角雑兵を貸してあげたのに、あんなに半端にしかやらないなんて、つまらなーい。

 

 ――独断専行してまであの結果って、情けなくなぁい?

 

 ――<マスター>がどうとか言い訳してたけど、言い訳するくらいなら時を待っていれば良かったのにねぇ?

 

 

 

 

 

 ――ああ、でも。

 

 ――その<マスター>達っていうのは、あの腐れマヌケが手古摺らされる程度には()()()って事でいいのかしらぁ?

 

 ――それなら――

 

 ――同じ様に、(ワタクシ)が遊んできても良いわよねぇ? くす、クスクスクスクスクスクス。

 

 

 ――

 

 ――

 

 ――

 

 

 

 

To Be Continued…………

 




しかしこの人造ハイエンド天災児、MMO的アイテム集めや散財(ちょっと気に入ったので衝動買い)に慣れ過ぎである。

ステータスが更新されました――――

 【邪鬼の籠手・ネイティブ】
 『籠手』
 黒く硬質な質感をした鬼の籠手。
 妖しげな邪気が出ている気がする……
 使う者によっては何よりも力を与えてくれるだろう。

・装備補正
 装備攻撃力+70
 装備防御力+150

・装備スキル
 《暗黒耐性》Lv5:パッシブスキル
 闇属性攻撃の被ダメージを30%減少させる。
 《鬼種の魔》:アクティブスキル
 種族:鬼である者のみが使用可能。
 MPを消費し続ける事で自身の物理攻撃力と魔法攻撃力を20%増加させる。

 ※装備制限:合計レベル400以上、ジョブレベル100以上

 【フラムウェイブ】
 『鞭・剣・特殊』
 【刀匠】、コテツによって作成された連接剣。
 連なった青い幾つもの刀身はまるで炎の揺らめきの様に見えるという。
 炎属性の魔力が籠められた魔剣。

 ・装備補正
 装備攻撃力+700
 装備防御力+100

 ・装備スキル
 《射程延長》:アクティブスキル
 武器本体が伸びる。
 《火炎蛇剣》:アクティブスキル
 MPを消費して発動し、刀身から火炎を吹き出し、更に発熱し威力を増強する。

 ※装備制限:合計レベル300以上

 【【妖精女王】様ライブプロマイド】(改名済み)
 『アイテム』
 【魔法カメラ】によって撮られた写真を現像した物。

 メモ:
 【妖精女王】様のファン初心者への布教用の一枚。勿論撮影許可は取って撮影した正規品だ。
 俺にできるお礼はこれくらいだ……金策に付き合ってくれてありがとうな!(イーズ)
 中々良い写真だね! レジェンダリアに行った時は僕もライブを見てみるよ。
 記念すべき? 観賞用の一つ目!(ジーニアス)

 
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