無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:地味に地道に着々と力を付ける。大体いつもの事。

今章も週一投稿を継続していきたい心持ちで。
それでは本編をどうぞ!


第五十四話 クリスマス・いつも通りの天地風景

□【火炎亜竜】ヘルファイスト・ガーネイト・フラムス

 

 <遺跡>。

 それは、古き旧き人の民。先々期文明時代の人々がこの世界の各地に残した史跡。

 今の人型範疇生物達の文明とは比べ物にならない程に人々の文明が発達し、世界を――我らが竜族を除いて席巻していたとも言われている、古の時代の産物。

 その建設に使われている素材や技術、内部に収められているかの時代の物と思われる数々の物品に様々な媒体で残されている知識等――何処を取っても、宝の山だと、そう人々に言われる場所だ。

 

 そこに収められている様々な形の宝物は、我ら竜族であっても永き歴史の積み重ねを感じられる物であろう、という事は知識として知っている。

 何故なら、長命を誇る我ら竜族、その中でも我が尊敬し憧れている天竜種の王が一体、〈UBM〉の中でも頂点である神話級に在らせられる【輝竜王 ドラグフレア】様であっても、千年の齢を重ねていないのだ。

 先々期文明時代の時から、二千年も前から生き残っている者なぞ……多くの亜種と長命を持つ竜族の中でも数えられる程度にしか居ない筈だ。

 故に、そこに収められている数多の物はこの竜族であっても希少であると言い切っても何の問題もない物であるのだった。

 ……もしかしたら、竜族の中でも人型範疇生物達を真似て<遺跡>の攻略を行おうとしている者が居るかもしれないくらいには。

 もっとも、後述する<遺跡>の守護者の中には我ら竜族の模して創られた生命(ホムンクルス)やらそもそも何らかの理由で同族が居たりする事もあるのだが……嘆かわしい事である。

 マスターには何故か首を傾げられたが、まぁ良い。

 この話で重要なのは、そこではないからだ。

 

 

 そう――当然の様に残された数多の<遺跡>には守護者が、防壁が、罠が、数多く種々様々な<遺跡>の防衛機構が待ち構えていると、そういう話だ。

 如何なる技術によってか、神話級金属(ヒヒイロカネ)を越える硬度を持った防壁や隔壁に、魔法の錠と機械式の錠が付いているだなんて序の口も序の口。

 <遺跡>の入り口自体が自然的・機械的・魔法的あるいはそれらの複合的に迷彩隠蔽されている事も多く見つける事すら困難で、外部よりの侵入者に対する罠もそれらあらゆる要素を併せ持った物である事が多いのだ。

 古典的な落とし穴や致死性の毒ガス等、攻勢の罠であれば致命の罠(デストラップ)である事は数知れず、何らかの異常が察知されれば即座にその<遺跡>の守護者を呼ぶアラームトラップ等も代表的な罠であろう。

 時にはまるで侵入者で実験でもしているのではないかと思う程の奇想天外なトリックを使った罠等もあり、場合によってはその様な罠も識者達に高額で売れるのだから分からない物だ。

 <遺跡>の守護者――ガーディアンに至っては本当に選り取り見取りと言った所だ。

 機械式のガーディアンに魔法式のゴーレム、罠と連動させた自律式の兵装と言った物があれば絶望の怨念を漂わせた不死者(アンデッド)や実験生物の様な歪な相手が出て来る事もある。

 そうかと思えば場所によっては我ら竜族を含む普通のモンスターが<遺跡>内に巣を作っていて守護者代わりをしている所もあるというのだから驚きだ。

 

 ……何故、程度は違えど見つかっている<遺跡>という<遺跡>の悉くに、その様な防衛機構が備わっているのかは、識者達の間でも意見は分かれているらしい。

 しかし、その多くの防衛機構達が、実に、実に多くの強欲なる冒険者達の障害として立ち塞がり、そして屠ってきたと言うのは厳然たる事実なのだ。

 

 ――先程も語った様に、手付かずの<遺跡>を見つけ、その中に眠る多くの宝物を手にし、巨額の富を得る者が居ると言うのは、紛れもない事実だし、その一攫千金の夢が多くの<遺跡>へチャレンジする冒険者達のモチベーションとなっているのもまた事実だろう。

 だが、忘れてはならない。

 

 それが可能なのは誰よりも早くその<遺跡>を見つけ、未だ誰の手垢のついていないその<遺跡>を、あらゆる防衛機構が生きたままであるその<遺跡>を探索し、踏破し、攻略しそして生還しなければならないのだ。

 その難易度たるや、想像するだけでも途方もない事が理解できるだろう。

 そして、それは何も先駆者だけではないのだ。

 先駆者が進めなかった先を、先駆者が見落とした物を見つけ、探り、一攫千金を目指す第二陣以降の冒険者達もまた――未知のお宝を求める限り、<遺跡>の洗礼を味わう事になるというのも当然であると言えるだろう。

 

 

 そう、例えば。

 

 今我らの眼前に対峙している、巨大な寸胴型のゴーレムの守護者の様に――――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼前に金属巨人――全長にして4メテルもの体躯を誇る巨大円柱、【鍛金之守護者(アロイ・ガーディアン)】が迫る。

 赤銅色の総身に幾何学模様が刻まれた、古の時代の守護者――とでも呼称すべき存在。

 如何にして床面を移動しているのかも判然としないその守護者が――亜音速で以て二体も並べない程に狭い通路を通せんぼしている。

 

 

『《ブレイズクロー》ッ!!』

 

 先陣を切るのは、《人化の術》で人型範疇生物の姿を取った我。

 赤熱した右腕を勢い良く叩き付ける。

 ――が、レベルアップしてすら身体系ステータスは亜竜級の平均よりも多少はマシ程度しかない我のSTRでは、スキルや魔力による強化をしても尚、【鍛金之守護者】は傷一つ付かず、小動すらしない。

 そして、我よりも早い速度で邪魔者を排除せんとその体躯を我の身体に――

 

 

「そこっ! 《斬魔剣》――!」

「シッ――!!」

 

 直前、一瞬で【鍛金之守護者】の懐に潜り込んだマスターとカシミヤが、ほぼ同時に、完璧な動作でその胴体に剣戟を喰らわす。

 

 しかし、渾身の力を込めたその二振りの刃は甲高い金属音を立てるのみに留まり、僅かな、本当に僅かな傷が付く程度のダメージしか与えられなかった。

 ……亜竜級であれば、相手次第では純竜級のモンスターすらも一撃で首を刎ねる二人の刃の一撃であっても、敵を、【鍛金之守護者】を倒すには至らない――――

 

「ちっ!?」

「く……」

 

 直後にマスターは《縮地(抜刀)》で、カシミヤが足元の魔法陣により瞬時に後退して轢かれない様にする時には我も既に後退していた為、事なきを得た。だが……

 

「ちょっとちょっと、カシミヤ火力が低いんじゃなーい!? ほら斬鉄くらい出来ないかなっ!?」

「火力を出すのは其方の役割でしょうっ。残念ながら()()は鉄よりも硬いみたいなので無理でした。……本当に厄介ですね」

 

 二人――いや、我も入れて三人で後方に向かって前進しながら、唸る。

 

 

 数十秒の戦いを経て尚、こちらも未だに疲労の様子はないが、ゴーレムの類である相手の方はそれ以上に万全の状態のままだ。

 ……基本的な事はマスター達に任せていても尚、本当にこれを倒せるのか少し不安になる程に。

 

『――どうする、マスター。流石に厳しそうだが、そろそろ撤退するのも、我はありだと思うが……』

「……冗談。あれくらい、一瞬で倒して見せるとも!」

「ほう。それではお手並み拝見と行きましょうか」

『ま、マスター? 本当にやれるのかっ!?』

 

 強敵を前にしてのマスターの威勢の良い発言に流石に驚愕しつつ尋ねる。

 ……何せ、これまで戦ってきて分かった事だが、眼前の【鍛金之守護者】の力は――特にマスターやカシミヤの様な者では、非常に相性が悪いのだから。

 それこそ、もしかするとこの国にはそこそこ多いマスター達の様なAGI(速度)型剣士を狙い撃ちにしたかの様に。

 それと言うのも、常であれば、あの二人であれば圧倒的なAGIと戦闘技術から繰り出される一閃――つまり、《剣速徹し》を用いた戦法を得手としているのだが、あの敵はそれを完全に無効化しているのだ。

 超防御力に、スキルにより何重にもダメージ量を減らしているのか下手な攻撃は全く徹らず、あの幾何学模様のせいか魔法防御力まで非常に高い。

 更に、円柱状と言う形状が何よりも厄介であり、総身を金属で構成されたその形状のあの敵には――()()()()()()()()()()()()が基本的に存在しない。

 つまり……あの二人の主力である《剣速徹し》による攻撃が全く通用しないのだ。

 そんな対処法ってあるのか!? とも思うのだが実際にあの二人がまともに手出しできなくなってしまっているのだから有効なのだろう。

 しかし、一体マスターはそれをどうやって――

 

 

「――せぇいッ!」

 

 そう思考している間にも、マスターは亜音速機動にて【鍛金之守護者】に接近し、いつの間にか《瞬間装備》によって剣をアイテムボックスに仕舞いながらも――その横腹(?)に渾身の掌底打ちを繰り出した!

 

 ……しかし、当然ながら武器の攻撃力を無くし、スキルすら使っていないマスターの攻撃では全くダメージを与えられない。

 斬撃が効かないなら打撃で――という安直な発想、ではない。

 同等の速度で前身して来たマスター――の、影分身が轢き潰され光の粒となって霧散する。

 それと同時に、影分身よりも数歩後ろから出現したマスターの本体が出現。そして――

 

「そ――れっ!!」

 

 ――再度【鍛金之守護者】の横腹に掌底打ちを、繰り出したッ!!

 

 ……………………マスター??

 

 

 

 ……一瞬だけ凄く残念な気持ちになってしまったが、マスターの攻撃は()()()()ではなかった。

 《ウィンドブロゥ(吹き飛ばし)》。マスターが使用できる風属性魔法の一つ。

 その効果は単純明快。吹き出す暴風によって対象を吹き飛ばす、ただそれだけ。

 直接的にダメージを与える魔法ではないが、当然吹き飛んだ結果次第では物理的にダメージを負う事もある。

 しかし、基本的にはダメージを目当てに使用する魔法ではなく、本来は仕切り直すのに使ったり、敵陣の隊列を乱すのに使えるくらいだが――

 

 【ラスリルビウム】の力で増幅されたマスターの《ウィンドブロゥ》の威力は他の術者が使うそれとは一味違った。

 掌底と共に圧縮して繰り出されたそれは――どれ程の重量かも分からない、4メテルもある金属の塊の【鍛金之守護者】を、一瞬だけ浮かび上がらせ、横倒しに倒した。

 

 ダメージがないのは変わらないし、【鍛金之守護者】も即座に起き上がらんと背部に魔法陣の光が煌めき始めている。

 だが――

 

 

「――なるほど。これなら流石に行けるようですね」

 

 その一瞬後に、大長刀を《瞬間装備》したカシミヤによって、その総身は底部だった場所から真っ二つに斬り裂かれていた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー。流石に今のはきつかったね。結構魔力(MP)使っちゃったよ」

『全面的に同意だ、マスターよ。あんなのが何体も居たら我も持たない』

「僕も普通に刃が通らない相手は厳しいですね……大きさも、あれ以上となるとまともに斬るのも難しいですし」

 

 戦闘が終わり、戦利品(ドロップアイテム)と光の塵になって消えていった【鍛金之守護者】を前に溜息を吐きながら雑談を続ける。

 実際に、先程の戦闘は傍目で見るよりは危ない物であった。

 【鍛金之守護者】の速度(AGI)、重量や転倒に対する耐性や復帰力が高ければ、或いは一つでも遠距離兵装を積んでいれば、相性の差こそあれ天地でも上位の実力を持つ<マスター>二人を相手にしても尚勝機がある程度には。

 ジーニアスの方も二手目、三手目くらいまでは用意していたが、どれも、実際に通じるかどうかは定かではない物ばかりだった。

 果たして、再度戦った時はどうなる事か……

 ……尤も、それらも彼らが無事勝利した今では全く意味のない想定ではあるのだが。

 

「それにしても、こんなガーディアンが居るのは想定外じゃないですか? 少なくともギルドの予想ではここには大した物はないだろう、と言われていたと思うのですが」

「実はあのくらい強いガーディアンがディフォルトでした! ……ってのは流石にないよねぇ?」

「……それは凄く、凄く嫌な予想ですね。他の<遺跡>の話からするとない筈ですが……」

 

 戦利品――この<遺跡>の外では見た事もない様な金属、【グローインゴット】や【ブリガン】等をアイテムボックスに収めながらもそうぼやく。

 

 だが、何も悲観ばかりしている必要は全くないのだ。

 何せ、先へ続く道を守っていたガーディアンは此処に倒された。

 ならば、この<遺跡>に遺された宝物ももう直ぐ近くだろうという物だ!

 遺された物次第では億を優に超える事もあるという<遺跡>探索者の夢が、直ぐそこにあるのだ!

 と言うか、あれ以上のガーディアンが居ると言うのはちょっと想像すらもしたくなかったからだ!

 

「さて、それじゃそろそろ気を取り直して、奥に」

 

 VIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII―――――!!!! VIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII――――!!!!!!

 

 VWWOOOOOOOON  VWWOOOOOOOON  VWWOOOOOOOON  VWWOOOOOOOON  VWWOOOOOOOON

 

 

「……奥に、行きたいと思うんだけどー」

「ジーニアス。どうやらそれは無理の様では?」

 

 一早く、《刹刃圏》で奥より来たる新たなるガーディアンの存在を把握したカシミヤが、そう呟くのも仕方のない事だったであろう。

 

 不可思議な駆動音を鳴らしながら奥の暗闇から現れ出てきたのは。

 

 

 ――2体ずつに並んだ計4体の【鍛金之守護者】だったのだから。

 

 

「…………」

「…………」

『…………』

 

 

 

「撤退いぃぃ――ッ!!」

 

 

 たまにはこういう日も……ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

12月24日(木)

【<Infinite Dendrogram>公式季節イベント開催中!】

【現在、『クリスマス』イベント開催中! 冬の祭りに乗じて現れたモンスターを討伐し、君もサンタになろう!】

【クリスマスポイントを集めて景品に交換! また、ポイントはクエストでも集められるからこの機会にクエストも受けてみよう!】

【国毎でポイントを累積させれば、更に新たなモンスターも……?】

 

 ハッピーメリークリスマース!

 そんな訳で、今日はクリスマスイブにして、デンドロ内でもクリスマスイベント開催の日だよ!

 …………いや、昨日までの日記に全く書かれていなかったのは忘れていたという訳じゃないんだよ?

 そもそも、僕の主観的に今日、今年のこれが初めてのクリスマスになる訳なんだし、そもそも詳しく知らなかったんだから忘れるも何もないもんね!

 だからこれも仕方のない事だよね?

 

 昨日、カシミヤが本当に今日<遺跡>に行くのかしつこく聞いてきたのはこういう事だったとは……う、うーん。娯楽書籍とかで知識としては知っていた筈なのに、不覚。

 ま、まぁこういうミスもたまにはあるよね。

 

 さて、ハロウィンイベント以来の、実に二ヵ月弱ぶりの公式イベント、一足先に大イベントをやっていた天地の<マスター>としてはあの討伐作戦の後で本当に良かったけど、それでも大多数の<マスター>からしたら待ち侘びていた公式イベントだね。

 改めて約二ヵ月弱ぶり、って言うとやっぱり他のオンラインゲームと比較してイベントの機会本当に少ないよね。

 その分デンドロの世界でも現地のお祭りとか色々イベントがあるのだけど、それはともかく。

 今回のイベントはいつも通りのポイントを集めて景品に交換する物で、期間もいつも通り丸二日なんだけど……その先はちょっといつもより複雑になっているみたい。

 

 まず、いつも通りイベントモンスター……サンタをモチーフにした様なあれを討伐してポイントを稼げるんだけど、今回はそれに加えて様々なクエストを完了する事でも相当量のポイントが手に入る様になっているのだ。

 人によっては余裕で討伐よりも稼げるくらいに。非戦闘職の人のイベント参加を狙っている……のかな?

 ちなみに、景品や戦利品として手に入るサンタ装備を装備するとこのイベント期間だけ入手ポイントが増加するギミック付き!

 ……ここだけなんか普通のオンラインゲームっぽいね!?

 

 更に、追加で国毎……? で、累計ポイントに応じてボーナスモンスター的なのが出る様になる……んじゃないかなぁ!

 少なくともこの日記を書いている時点ではまだどの国でも出現していないからちょっと何とも言えないんだよね。

 ちょっと運営ー! この期間のイベントで後段追加とか本気なのかなー!?

 

 ……というちょっとした愚痴は置いておいて。

 今の時期は神造ダンジョン篭もりの人がすっごく多い天地では……果たしてどうなんだろうね?

 神造ダンジョンにもサンタが湧いていると良いんだけど。

 

 それはともかく、当然ながら僕達は積極的にイベントに参加する事にした。

 <遺跡>? そんなの何時でも挑戦できるんだから後でいいんだよ後で!

 ……年末年始にも何かしらイベントはありそうではあるけど、まぁもう冬休みに入って余裕もできるだろうしね。

 学校も明日は午前だけ、終業式だけだし、さて今日明日でどれくらい稼げる事かっ。

 

 そんな訳で、早速だけど僕とカシミヤはイグニスに乗って将都に向かう事に!

 慶都は<マスター>人口が過密過ぎて、フィールドのサンタも街中のクエストも<マスター>で飽和状態で、冒険者ギルドも各専門ギルドもクエストを求めて来た<マスター>達でパンクしそうだったからね……

 あの調子じゃまともにクエストを受けるだけで時間を喰いそうだったから仕方ないかな。

 その慶都から近くて、天地では珍しい術師の都という特徴のある大白宮も多分慶都程じゃなくても似た様な状況になってるんじゃないかと思ったから、結局そうなったんだよね。

 流石に良く知らない街で効率的にクエストを達成したり周囲で戦うってのは難しいからね……

 考えてみれば、将都は滞在している<マスター>の数と比べてもやっぱり凄く規模も大きいし、人も多いからクエストも多いだろうし。

 まぁ、その滞在している<マスター>達の大半は<修羅の奈落>目当てだし……とは言っても、流石にこんなイベントならその<マスター>達も結構な数がイベントの為にクエスト目当てに外に出て来ると思うけど。

 

 …………と、そう思ってたんだけど、実際に将都に言ったら予想以上の数の<マスター>が<修羅の奈落>に篭もったままなんだとか。なんでさ!

 どうやら、神造ダンジョン内にも数は少なくてもイベントモンスターが湧くのと、戦利品の納品関連のクエストでこのイベントを乗り切る心算らしい。

 マジでー……? 割とクエストで手に入るポイントの方が効率良さそうなのに。

 と、そんな驚きもあったけどさておき、本番は明日学校から帰って来てから、という事で今日は将都でのクエストもそこそこにログアウトするのだった。

 

 

 

 ――あ、もう一つ重要な事があったんだ。

 なんと、将都の冒険者ギルドに新たなガチャの筐体が置かれる様になってたんだよね、やったあ!

 どうも、<修羅の奈落>篭もりの<マスター>達によって産出されて冒険者ギルドにいつもお世話になっているから、と安価で売られた結果なんだとか。

 これで冒険者ギルドに更に人を呼ぶとか、自殺行為では? と思わないでもないけど僕は普通に嬉しいので気にしなーい!

 これは良い物、きっと良い物が出るよね!

 

 

 クリスマスガチャ!:

 D 【魔晶石(小)】

 D 【防護マスク】

 F 【レシピ:おにぎり】

 F 【HP回復ポーションLv2】

 F 【調味料セット】

 F 【ダーツセット】

 E 【ショートソード】

 D 【掃除セット丁】

 F 【果物ナイフ】

 D 【シニョンキャップ】

 

 なんでさー!? クリスマスプレゼントになってくれても良いのに……!

 

 

 

 

 

 

 

 

12月25日(金)  

 終業式、完了!

 うん、学校では特に大きなイベントもなく、ちょっとクリスマスっぽい雰囲気になっただけで終わったね。……これが普通だよねリアルなら。

 結局そんないつもとは少し違った筈の雰囲気なのに学校で絡んで話せたのはデンドロ関連の友人ばかりというのが何とも悲し――くもないのが困りものだよね?

 それでも桑木さん繋がりで少しずつ話す様になっているのだから、進歩してはいるんだけどねぇ……

 

 まぁ、そんなちょっと悲しいリアル事情はともかく! これから冬休み、また長期休暇が始まるのだ!

 多分この冬休みもデンドロ漬けになるけどね……僕はもうその覚悟は済んでいるっ!

 ……すっごくだめ人間っぽーい!

 桑木さん達のグループもこの冬休みで結構力を入れて活動するんだとか。

 国が違うから分からない話も多いけど、楽しそうで何より。

 ……グランバロア、早く行ってみたいなぁ。

 

 で、学校から帰ってきて、明日香が買ってきてくれたクリスマスケーキ(流石に手作りはしないらしい)に舌鼓を打って、少し内輪で盛り上がって……諸々を終えた辺りで今日も早速だけどデンドロにログイン。

 今日はクリスマスイベント後半……にして、クリスマスイベント本番!

 クリスマスにゲームのイベントに注力するとか間違ってるだろとかネット上では良く言われるけど、うん。気にしない気にしない。

 ……こんな僕でも明日香と勝にクリスマスプレゼントを贈ったりはしたんだけどね。喜んでくれるといいんだけどなー。

 

 さて、それでデンドロでは……昨日からに引き続いてカシミヤと一緒に将都を中心にクエストを高速でこなしていく日々になった。

 僕らは学校に行っていた分の遅れがあるからそこまで稼げないかもしれない、と思ってはいたんだけども。

 まぁ街中で受けられるクエストなら僕らの探査能力や機動力を越えられる<マスター>は早々存在しなかったという事もあって、結構クエストは達成する事が出来たのだ!

 やったね!

 ……狩りの時もそうだけど、探査系って本当重要だよねぇ。

 

 あ、いや。やっぱりそれ以上に他の天地の<マスター>に脳筋が多かったのも理由の一つかもしれない……

 僕達がログインした前後から、天地でも昨日アナウンスされていた新しいイベントモンスターが出始めていたと言うのもあるけど、街の外での熱狂っぷりも凄かったからなぁ。

 クリスマスらしさとは一体……

 ちなみに、追加されていたモンスターはミミックみたいなプレゼント袋系のモンスター、まぁ今までのサンタよりもポイントが高いモンスターが追加されていたのと――噂ではイベント限定っぽい〈UBM〉も出現していたとか居なかったとか。

 基本的に街中でクエストを中心に、依頼で外に出た時だけ索敵でイベントモンスターを倒す、ってサイクルでやってた僕達には全く関係なかったね……!

 

 そんな感じで盛況? だったクリスマスイベントも終了!

 ポイント交換の猶予は今回も一週間くらいあるから、また掲示板とかインターネットである程度詳細掴んでから悩むとしよう。

 普通にカジュアル勢もガチ勢も交換してそうな【サンタ帽子】とか、大丈夫なの? と聞きたくなる氷でできた小舟の【聖夜の雪舟】とか面白そうなのは色々あるし、他にもいつも通りの金属のインゴットとか消耗品類もずらりと並んでいるし、こういう時間も楽しみだよね。

 それにしても……なんというか、凄く、凄くまともなイベントだった!

 イベントらしいイベント!

 いやまぁ、前回のハロウィンイベントだって多分まともと言えばまともではあったんだけどもっ。

 運営に毒されている、のかな……!?

 

 あ、ちなみに余談だけど僕らのポイントは全体で見てもそこそこ高い方だったらしい。いぇーい!

 何を交換しようかなー。

 ……まぁ、極一部の、多分デンドロ内でずーっとイベント繰り返し続けていたような人達には遠く及ばない様なポイントなのは、言わずもがななんだけどね。

 

 

 メモ:明日香、勝。プレゼントありがとうー!

 

 

 

 

 本番の、クリスマスガチャ!!

 E 【匂い袋】

 E 【鉄の鶴橋】

 D 【ジェム-《チェインバインド》】

 C 【ミスリルバレット・セット】

 E 【山の幸セット】

 F 【屑鉄のインゴット】

 F 【松明】

 C 【食器セット甲】

 B 【上級契約書】

 F 【砂鉄】

 

 当たり……これは当たり……?

 

 

 

 

 

 

 

 

12月26日(土)

 今日からっ、冬休み本番っ!!

 ……まず今日は、昨日までは学校とか、クリスマスイベントとかがあったりしたから、午前中一杯使って三人で年末に向けて全力で大掃除をする事に!

 明日香も勝も明日は“組織”に出向く用事があるから、落ち着いてやれそうなのが今日くらいしかなかったんだよね。

 だから慌ただしくも今日やる事になった、んだけど……

 大掃除、って言っても大体明日香がいつもちゃんと掃除してくれているから、本当に午前の朝ご飯食べてからお昼までの時間で全て余裕を持って終わっちゃったんだけどね。

 苦労したのは███████████(検閲済み)くらい……かな?

 

 お昼ご飯を食べ終えてからは今日もデンドロにログイン!

 クリスマスイベントに参加して予定が大分ズレちゃったけど、今日こそは予定していた<遺跡>へ、準備万端整えて出立!

 

 ……ところで、ただ<遺跡>って言うとちょっと格好良くないんだけどどうにかならないかなぁ。

 同じ先々期文明時代の<遺跡>でも、ちゃんと名前が付いているのと付いていないのがあったりするけど、やっぱりただ<遺跡>ってだけだと他の<遺跡>と混同するんだよね。

 カルディナとかドライフとか、グランバロアとか、天地にもだけど、一国で複数の<遺跡>が見つかったりする事もあるんだし。

 やっぱり、最寄の街の名前を付けて慶都の<遺跡>、みたいに言うのが一番なのかな――と、日記を書いている時にふと思った事はともかくっ!

 

 さて、その予定していた慶都の<遺跡>だけど、冒険者ギルドで聞いた情報では先々期文明時代の居住区として扱われていた<遺跡>だ。

 山野の地下に埋まる様に敷設されていたその<遺跡>は居住区だという事もあり、非常に広々とした空間に、非常に数多くの部屋に区分けされており、更にその上で何故か罠やガーディアンも結構居るという話だ。

 ……なんで居住区に罠やガーディアンが配置されているのさっ!?

 どう考えてもそこに住む人達が不便でしょ!? 此処を創った人(フラグマン)は何を考えていたのやらだよ!

 

 居住区であるから、先々期文明時代特有の超技術により造られた兵器や武装などの期待もできず、探索の手間は極大。

 それでありながら煩わしいガーディアンや罠、隔壁等が先行く道を塞ぎ、地下であるから、何らかの成果が残されていても困るからと広域殲滅もできない。

 ……総じて、まだ中層程度までしか探索されていないのにも関わらず攻略する苦労に対して実入りが少なすぎるだろう、と断じられて殆どの冒険者から攻略を諦められている難関なのだ。

 それでも、国やギルドはそこで暮らしていた人達が残した書物や、あの<遺跡>内で自給自足する為のプラント等が残っていないか期待して探索依頼を残しておいていたんだけど――そこに僕らが颯爽と<遺跡>攻略を完了する手筈だったんだよね!

 

 

 ……<遺跡>攻略を完了する、手筈だったんだよねー……

 

 雲行きが怪しくなってきたのは、多分情報があった中層を抜けて深層に入り少ししてから。

 慶都の<遺跡>は、中層までは情報通り、中々の数のガードロボットやゴーレムが徘徊していたけど、それらは僕やカシミヤ、リンやイグニスの敵ではなかったのでこれは楽勝かな? と思っていたんだよね。

 そして、順調に広い広い<遺跡>を進んでいた僕達だったけど、幾つかの隔壁をクリアーして中層を抜けた後の事。

 蛇行する長い通路を進んでいった先で――いきなり一体のガーディアン、【鍛金之守護者】が僕らを熱烈に出迎えた時が決定的だったと思う。

 多分、道中の何処かで、何らかの認証に引っかかっていたんだろうね。

 相対した時点で、即座に独特な駆動音を響かせながら――僕らに即座に襲い掛かってきたのだから――!

 

 そのガーディアン、【鍛金之守護者】の何が厄介だったかって、系統としては典型的なタンク(耐久型)だったのは別に良いんだけど、多分【ヒヒイロカネ】まで使って実現されているあの炎熱耐性に硬度、刻まれている魔法陣による魔法防御力と――そして形状。

 狙った物ではないとは分かっているんだけどあの《剣速徹し》封じの形状はほんとーに面倒だった!

 割と力業で突破したけど、あれで球状だったら多分一体でもちょっとどうしようもなかったかもしれないね……

 本当に、あんなに厄介なガーディアンが居るとは思っていなかったんだけど――

 

 ――それをトリガーにしてか、更に先から複数体の【鍛金之守護者】がやってくるってのは反則にも程があるよね!?

 ぐぬぬ、結局それで慶都の<遺跡>の攻略は断念して逃げ帰る事になったよ。とほほー。

 先々期文明時代のガードロボットは化け物かー!

 いつかリベンジ、したいなぁ!

 

 

 ガチャ:

 B 【マナチャージクリスタル(小)】

 D 【スティールソード】 

 F 【レシピ:茶碗】

 

 久しぶりに普通に当たりだっ。

 

 

 

To Be Continued…………

 




ステータスが更新されました――――

鍛金之守護者(アロイ・ガーディアン)】:
 傍目で見ればただの幾何学模様が刻まれた赤銅色のどでかい円柱。
 その実態は先々期文明時代に化身に対抗する為に作られたガードロボットの試作品の一つ。
 その姿が円柱状である事はもしかしたら何らかの意味があるのかもしれない……

 神話級金属を含む多数の金属の合金、更には装甲の内部に収められている機械類や装甲表面に刻まれた無数の魔法陣により、非常に高い物理・魔法防御力と各耐性を備えている。
 それでありながら亜音速で行動する事が可能であり、本来であれば更に銃座や特製の大盾等のアタッチメントを装着、使用する事が可能なスペックを誇る。
 その本領は今話の様に単体で、単種で登場するのではなくなく、他の遠距離兵装で武装した兵器達と共に戦い、前衛として“守護者”としてその役目を果たす事だろう。

 今はもう、“守護者”として守ろうとした人も何もかもが居なくなっているが。


 ちなみに暫く後にめちゃめちゃ【バンテンイン】に粉砕された。



 【サンタ帽子】
 『頭装備』
 柔らかい素材で作られた赤色を基調としたサンタの帽子。
 人々に、そして自分に幸福を振りまく祝福が掛けられているらしい。

・装備補正
 装備防御力+10
 LUC+100

・装備スキル
 《聖夜の祝福》:パッシブスキル
 クエストを達成した時、手に入るクエストポイントとクリスマスポイントを1.5倍にする。
 ※『クリスマスイベント』期間限定


 はい、今話もご覧いただきありがとうございます!
 相性って大事だなぁ、という毒にも薬にもならない話ですね!
 デンドロでもっと公式イベントやっている所見たいけど何処かで挟んでくれたりしないだろうか……戦争終わるまでは無理か……
 次話もまた天地の捏造自然ダンジョンです!
 また次話もよろしくお願いします!
 
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