無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:実質金冠サイズの“空の王者”だよね byジーニアス

それでは本編をどうぞ!


第七十二話 爆裂・炸裂・大決闘!

□グランバロア・決闘海域 【勇士】ジーニアス

 

 

 

 ――グランバロア決闘ランキング第二十三位、エメラダ・オーシャンが率いるパーティ、登録名【紅の牙】団(旗艦名:【ヴェパル】)は速攻型のパーティである!

 

 初手にて【ヴェパル】の固有スキル、《アクア・フロー》を併用した他の追随を許さぬ速度の高速航行による衝角攻撃……否、接近(エンゲージ)により敵船を【ヴェパル】の固有スキルの射程内に捉え、回避不能にした上で固定メンバーの<エンブリオ>である【ムスペルヘイム】による殲滅火力で敵の船もメンバーもフラッグも問わず纏めて撃破する事を得意としたパーティだ。

 

 基本方針がはっきりしていてシンプルな点、シンプルに性能を発揮できる<エンブリオ>だからこそ高出力である点。

 リアルでも繋がりがある(と思われる)固定メンバーの<マスター>が複数居る為戦力が安定している点、“傭兵”の使用に躊躇いがない点。

 基本戦法が少人数で完成している為、他メンバーで戦法の拡張が容易な点、<マスター>オンリーパーティで船も<エンブリオ>である為総合基礎性能が高い点。

 戦法が割かし派手で見応えがある点、戦法の都合で塩試合になりにくい点……

 

 等々、複数のプラス要素があり観客たち(海の荒くれ者共)の人気もその順位としては高い部類に入る一団だ。

 勿論マイナス要素となる点も幾つかはあるが……それはさておき、その一団は正真正銘の現役ランカーとして戦っていけるだけの要素を兼ね備えていると言って良いだろう。

 

 だが、それらの戦力としての要素は確かに大国の中でも上位たるランカーとして重要ではあるが――決闘ランカーとなる為には、もう一つ兼ね備えなければならない要素がある。

 

 極論を言えば<マスター>としての戦力(<エンブリオ>)でただゲーム的にモンスターの討伐を繰り返すだけで成れる討伐ランカキングや、下級<マスター>だけの有象無象でも数十万も居れば列席できるクランランキングとは、決闘ランキングは全く毛色が違う。

 何故なら決闘ランキングとは決闘における最上位……惰性でも成れる他のランキングとは違い、()()()が絶対的に必要とされる、数多の決闘への挑戦と勝利の果てに得られる、()()()()()()()()()()なのだから。

 類型ポイントが重要視される他二つのランキングとは違い、一戦一戦の勝敗で容易くランキングが変動するし、させる事ができる唯一のランキング(国有数の実力者の証)なのだ。

 

 そのランキングに身を置く者には停滞は決して許されない。

 日毎日毎の戦いで切磋琢磨し、自らのランキングを死守しなければ、待っているのは急転直下の転落劇だ。

 調子が悪かった、運が悪かった、対策(メタ)された、装備アイテムやスキルが万全ではない、妨害されて決闘場に辿り着けなかった――そんな軟弱な言い訳など何の意味もない。

 油断も偶然もマグレもなく、やり直しも利かないただ一度の戦いで敗れれば容赦なくランキングは下落し、そしていつしか蹴落とされる小さな修羅の道。

 それが決闘ランキングと言う物なのだ。

 

 歩みを止めず学びを止めず、その位置(ランカー)に居座りたいのであればランキング防衛戦に敗北は許されないのは勿論の事。

 その初志、挑戦心を忘れるべからず。

 つまり――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の戦いも負けられない、って事だね。まーかせて、頑張るよー!」

 

「やっぱりジーニアス君、狩りの時もそうだけど決闘になると露骨にテンション上がるよね。天地脳……」

「頼もしいは頼もしいんだから良いんじゃない? 昨日も活躍してたんだし」

「えー、楽しければいいんじゃないのー?」

「善哉。実力を発揮できないよりは良いでしょう。――今回は相手も相手ですので」

 

 海上、【ヴェパル】の甲板に<マスター>達が集い、雑談に興じていた……訳では、勿論ない。

 <マスター>特有のその華やかであったり特徴的な見た目や和やかな会話とは裏腹に場の空気は鋭く、戦意に満ち溢れた物だ。

 だが、それも当然だろう。彼らは全員が全員仲良しこよしで集まって談話しているのではなく――戦闘前、それもランキング戦を直前に控えた鼓舞激励、開戦に向けての号令の為なのだから。

 

 集まったメンバーも、見た目に反して“傭兵”等も含め、百戦錬磨の猛者達ばかり。

 勿論戦力が高いと言うだけで勝てる程ランキング戦は甘くなく、だからこそ、グランバロアでの決闘では一パーティを率いる“頭目(リーダー)”という形で代表者が中心となって連携して戦闘に当たる必要がある。

 そして、このパーティも――

 

「さて、遅刻欠席はなくて何よりね! 分かっていると思うけど今日は防衛戦じゃなくてこっちから吹っ掛けた挑戦よ。上位ランカー相手だけど相性は悪くないわ! 作戦通りにやればきっと勝てる! ――さぁ、そろそろ時間よ。盛大にやってやりましょう!!」

 

「「「「イエス、キャプテン!」」」」

 

 ――船長の号令と共に即座に戦闘態勢へと移り、直後の戦闘へ向けて機敏に行動し、準備と配置を終える。

 見据えるのは海上決闘場の遥か反対側、未だ豆粒程度にしか見えぬ敵手の船。

 彼ら彼女らを以てしても格上の決闘ランカー。グランバロアの有名<マスター>達の中でも格別の超破壊力と技巧を有する傑物。

 

 グランバロア決闘ランキング第十位、“人間爆弾”醤油抗菌との決闘が始まる――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ブリーズ》っと」

「《コードⅦ:フォローテイル(追い風)》」

「《原初の魔法:撃ち貫く魔砲》、いっけぇー!!」

「《スプリットブラスト》、《スプリットブラスト》、《スプリットブラスト》ぉっ!」

 

 決闘開始直後、【紅の牙】団がまず行う事は――当然、即座の接敵の為の一手。

 【ヴェパル】の猛加速に更に追い風と重ね、超射程でも届く高威力の魔力の砲撃に、砲火の弾幕による牽制。

 更に一人は海中で潜行し【ヴェパル】と同種の海流操作の固有スキルを発動し【アプサラス】の分体を敵船周辺に向けて解き放つ。

 

 未だ距離がある。有効な攻撃は魔力を大量に使用した魔法の砲撃くらいだが……それ以外が大して仕事をしていないという事では勿論ない。

 何故ならば―― 

 

「――敵船発射、来るよっ!」

 

 当然、敵の行動(攻撃)も来るのが決闘と言う奴だからだ!

 

 【ヴェパル】と比べて二回り以上巨大な戦艦級の敵船にずらりと並べられた砲塔は全てオーダーメイドの特製品。

 通常の巨砲や対空攻撃用の高射砲の他にも、まるで砲とはとても見えない様な艤装が並ぶ敵船だが――それら全てが致命の攻撃を放つ魔の砲塔であると言う事は決闘に参加している者らだけではなく、観客達も理解していた。

 

 ジーニアスの放つ警告の言葉の直後にそれらの砲門は一斉に火を噴く――否、()()()()()

 数門の巨砲から放たれた人一人は呑み込めるかという程の大水球が。

 中型の砲門から連射された氷の弾丸が。

 自在に軌道を変えるホースの様な砲塔から高圧の水流が。

 大型ポンプ型の砲塔が大容量の水を噴射して来る――!

 

 その水らは毒でも酸でもなければ海を周囲を汚染する危険物質という訳でもない。組成的にはごく普通の海水混じりの水でしかない。

 その全てが、極大の火力を持つ液体爆薬となっているという事を除けば!

 

「耐衝撃体勢――――っ!」

 

 

 ――DOGOOOOOOOOOOM!!!!

 

 

 

 巨水球と炎球の弾幕の激突の瞬間――空間が揺れ、大気が震え、海が蒸発する程の大爆発。

 一時的に中型船では転覆する程の大波が生じる物の即座に海流操作で波が打ち消されて。

 

 

 ――BBBBBBAANG! DOGOOON!!

 

 

 砕けた氷の弾丸のその中に収められていた(液体爆薬)が露出し、時間差で連鎖爆発。

 更には、砕け切らなかった氷も周囲の海に散乱し……疑似的な機雷地帯が形成される。

 

 【紅の牙】団も勿論負けじと船を進める。

 その間にも【ムスペルヘイム】の火砲が、備え付けの質量砲撃が連射されるが、敵戦艦の交互に放つ水砲と火砲と衝突し、どちらも大きな戦果を上げる事はない。

 ……否、受ける衝撃の量からして、流石に被ダメージ量自体は【ヴェパル】の方が分が悪いくらいだった。

 

 

「浸透爆破はなし、でもフィッシ君さんは爆発の衝撃のダメージが大きくて脱落間近みたいですっ」

「引き上げてる暇はないわ! うろちょろして囮になって貰いましょうっ! ステファちゃんはマジックミサイル(誘導魔力弾)に切り替えお願い、弾幕の密度を上げて突撃するわよ!」

「キャプテン、フラッグ奪取は失敗だよ。隔壁とスプリンクラーで船の一角ごと道連れにされたっ。数を増やして処理能力飽和させてくるよ!」

「お願いね! 後は――」

 

 ――BAANG! BBBAAAAANG!!

 

 爆発、衝撃。

 高速航行を続けていた【ヴェパル】の()()

 そこで【ムスペルヘイム】の発射直後の砲火が引火し、小規模の爆発が連続して起こった。

 爆発の規模こそこの戦闘中最小だったが……その距離と爆発の場所から、衝撃が直撃する!

 

「くっ――情報!」

「キャプテン、多分あれだと思うけど――いやあれでいけるのっ!?」

 

 既に相対距離は数キロメテルもない近距離で、敵船の戦艦の全容が詳細に見える距離。

 そして、通常の視力では見えなくても、スキルにより強化された視力を持つ者では見えた事だろう。

 

 戦艦の高射砲に見える砲塔の内の幾つか。その砲身の先には何やら器具が――()()()()()()()()()()()が取り付けられており、そこから水とも思えぬ程微細な粒子が噴霧されていた事を。

 

 ――BBBBNG! BBBBBBBBBAANG!!

 

「ちょ、まず――」

「《コードⅡ:シェルター》」

「ひゃあああ――っ!?」

 

 即座に結界や風の障壁等の防御壁が形成されるも……足りない。

 如何な彼らとて自分や周囲の味方を物理衝撃から守る程度は出来ても――【ヴェパル】全体を覆い包む程の十分な巨大な防壁を作る事は難しい。

 連続し、継続する爆裂の嵐。直撃のダメージは軽くとも衝撃で船の総身は軋み、削れ、歪み――

 

 防壁にリソースを注いだ事で弾幕の密度も薄れた彼らに勝機は殆ど残されていなかった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

2/8(月)

 学年末テストが間近に迫ってきているらしい! ……テスト、テスト。うーん。

 桑木さん達に勉強法とか聞かれたりしたけど、実際学校の授業と宿題以外で勉強してないから答えようがないんだよね。

 テスト、定期考査は日々の学習の効果を測定する為の物なんだから皆のありのままの力で勝負するのが筋じゃないかな――って一瞬考えたけど、無いと思うけど万が一桑木さんの家の方針厳しそうだし、最悪デンドロ禁止とかもありえちゃうんだとか……これは放っておけないね。

 微力ながら何か僕も勉強法を考えないとっ。

 

 そんな学校での一幕があって――考えるにせよ何にせよデンドロの三倍時間は有用。なので早速今日もデンドロにログイン。

 やっぱり平日も食事の団欒とかちゃんとしてればフルでログインさせてくれる勝や明日香が特殊なんだねっていう今更な感想はさておき。

 【嵐竜王】の戦果を報告したらすっごい不思議な生き物を見る目で見られた。なーんでぇー……?

 ……まぁいいか! 無事戦果は渡せたと思うしね! 

 

 それはさておき――来たよ来たよ漸く来たよ、グランバロアへの所属国家変更手続き完了報告っ。

 デンドロ内時間で軽く一ヵ月弱くらい掛かってて、正直忘れられてたのかと思ったよ。

 ……全国旅して回りたいからって一応ある程度の滞在スケジュール的なのはコテツの話やWikiを参考に組んでたんだけど、危うく手続き完了前に次の国に行く事になるんじゃないかーなんて思っちゃったよ。

 なんでこんなに遅れたんだろう――って、間違いなく前国が天地だったからだよね……

 これだから国際情勢って奴はっ

 天地も、グランバロアも、良い国だと思うんだけどなぁ……Wiki評ではどちらも極限の国で同じ穴の狢扱いなんだけどねっ。

 環境に根差した極限状態というのも同じだからね。

 モンスターや〈UBM〉という分かりやすい共通の敵が居るのにこれなんだから、やっぱり政治は分からない……

 

 まぁ、分からない政治は置いておいて。

 これで僕も、出国するまでは立派なグランバロア人!

 公共施設がマスター割で使えたり、ティアンだと普通に一生ものの買い物であるグランバロア製の船なんかも割引で買えちゃったりするのだ。やったね。

 ……まぁ、海棲モンスターが嫌と言う程に蔓延るこの海で通用する性能の船だからね。色々な性能が現実の船とは比べ物にならないよね。

 価格だって勿論そう。現実の船だって結構なお値段するからねー……魔力を使って機関を採用している物も過半数以上あるから必然的に、ね。

 新人<マスター>で船問題解決できない人は大体四大船団のどれかに船と船員丸ごと借りて大きな借りを作るのがありがちな洗礼なんだとか。

 

 さて、そんな船事情だけど――僕は天地で稼いだお金がまだまだあるからね。エメラダ達がログアウトした後に早速買いに行っちゃったよ。

 最大六人用の合金素材の小舟、だけど魔力を使用しての加速機構の性能やシンプルに高い船自身の基礎性能、そして何よりそこそこ高性能な【マナカートリッジ】が二個と更に専用の【アイテムボックス】がついてマスター割が利いて合わせて千万リル、お安い! これは買いだよねっ。

 

 ……まぁ、本当に安いよ。割引やセット販売してこれって言うのは。

 船の素材だけで大幅に赤字だと思うんだけど――それはそれとして迷彩やレーダー、気配遮断用の機能がなくてしかもそれらを搭載するだけの拡張性もないんだから仕方ないんだけど。

 不良債権扱いだった……この小舟で海を行くんだから、そりゃそれらは必須なんだよね。

 多分この船の運用者、まともに扱えるのは並居る海棲モンスターを十把一絡げにできる実力者か、あるいは膨大な魔力を注ぎ込んで加速機構で逃げ切れる人。どちらであってもほぼ超級職前提の船って事だろうね。

 この国の場合超級職の人とか速攻で国に囲われて総合的にもっと良い船を与えられたり大型艦を任されたりしそうだから、それで売れ残っちゃったんだろうなって……

 船に限らず、上を想定して作ったらそういう事もあるよねって。

 そして、そんな悲しいアイテムの報告ばっかり投稿される掲示板のスレもあるんだとか。

 

 ――何せ、<マスター>なら<エンブリオ>の固有スキルで一般的には不良品と言われる様なモノでもデメリットを無視して運用できるって例がそこそこあるからね。僕の固有スキルなんかは特にね!

 この船も僕なら自前で索敵も迷彩もできるし、《全主権限》のお陰で僕が特殊装備品枠に装備すれば、船だってなんだってある程度は僕のスキルが使用できる――船ごと気配を消すなんてお茶の子さいさいにできるんだから。

 魔力だってあるから普通に加速機構をふんだんに使ってもいいしね。世間では評価されなくても僕が評価するよ!

 うん、本当に良い買い物をした。命名権も貰ったから格好良い名前を考えないとねー。

 

 

 ……まぁ、いくらサイズの割にはかなり高性能でもグランバロアの決闘だと活躍はできないんだけどね。

 砲もなければ障壁も防御機構もなく、サイズ的にも六人ぎりぎりだからその上で戦闘なんて出来る筈ないからー……

 速攻で接近して飛び移って白兵戦、とかなら出来そうな気はするけど、こっちの小舟に残されたフラッグを守り切るのが多分無理だからね、残念。

 

 ――まぁ、明日からはそんな今日買った船とは全く関係なくグランバロアの決闘に便乗して参加させて貰うんだけどねっ。

 しかもランキング戦に。予定通りエメラダの船の一クルーとしてね!

 天地を出てから、そして他国での初めての決闘、腕が鳴るよね。

 頑張るぞー!

 

 ガチャ:

 B 【ファランクスシールド】

 C 【消魔の守護石】

 F 【沼水】

 F 【鉄片】

 E 【ロングソード】

 

 【ファランクスシールド】は同じパーティで同じ盾を装備すると割合で防御力が上がるんだって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2/9(火)

 昨日ああいう話した直後の抜き打ち小テストっ。学年末が近いから先生方も容赦ないのかな。

 僕の辞書に油断と言う文字はそんなにないよー!

 

 さて、今日は昨日も書いた通り決闘だよっ。ふふふ、テンション上がるよね。

 しかも実は明日も決闘の予定が入っていて、連日決闘なんだよね。

 今日の決闘が下位ランカーからの防衛戦、明日の一戦は上位ランカーへの挑戦。天地とは別の意味で環境がヤバいこのグランバロアの決闘も勿論ヤバいだろうね!

 いや、実際にヤバかったと言うか……この日記を書いているのはもう早速今日の防衛戦は終わった後だけど、知識では知っていはいたけど本当に天地とは大違いなんだよね。

 

 まず、グランバロア決闘での特殊ルールとして――決闘の代表は船長(パーティリーダー)である事。

 船長の所有する船と船員(パーティメンバー)同士で行う戦いである事――実質的に殆どそれ以外にルールのないフラッグオアシップを奪取あるいは撃沈したら勝ちっていう凄いパワーバトルなんだよね。

 標準的な決闘を知っている身からするとこれが公式のランキング戦って本当に成立するのか不安になるくらい凄いルールだよこれ……出力勝負になったりしないのかなって思うくらいには。

 一応、可能な限り死者を出さない様に配慮するというのもあるけど、そこそこの確率で“事故”は起こり得るだろうし……って、天地の野試合もそれは同じかな?

 そして、ルールがそんなに違うからこそ、決闘環境その他諸々の違いが随所に発生したりするんだよね。

 

 まず一つ目として……決闘ランカーの内過半数はクランランキングのランカーも兼ねている、という点。

 グランバロアの決闘のルール的に船長だけではなく、船員も参加する船単位の決闘、であるからこそ船と船長だけではなく船員の質も時には船長以上に大きく勝敗に寄与する事になる。

 実質的なパーティ戦だからこそ、固定メンバーを募れるクランや固定パーティで繋がった関係は間違いなく強いんだね。連携的な意味でも、シナジー的な意味でも。

 あと、パーティ単位の戦闘だから極論を言えばパーティ枠でキャパシティに収まらないレベルの戦力の従属モンスターを使っても良いし……【指揮官(リーダー)】系統のジョブでパーティ強化、パーティ人数増加を行うのも凄い有用なんだよね。

 というかエメラダがこのタイプ。上級職の【司令官(コマンダー)】の《部隊指揮》で人数が二人増えるだけで――<マスター>が二人増える事で受ける恩恵は語るまでもないからね。

 そしてこれも必然の事かもしれないけど……ルールがパーティ戦である以上、パーティの枠は埋めるのが大前提だけど、有用な戦力になれる人が決闘の参加者皆々に居るとは限らない。

 だから個人の戦力として船員用の傭兵という稼業が流行ってたりするのは結構面白いよね。実質的に傭兵としての価値が他国での決闘ランキングみたいになっているのが興味深いね。

 固定メンバーと比べてシナジーとかは考えようもないけども、その上で己の戦力を売り物に出来る程の強者なのだから然もあらん、だね。

 

 他には、これは天地が特殊だっただけではあるけども――船、船長、そして船員達……その総合力が要求されるが故にか、グランバロアの決闘はほぼ<マスター>の物となっているのも天地との違いだよね。

 それでも、天地以外の他国と比べたらまだ船員として参加しているティアンの人も含めてティアンの比率がある方なんだとか。操船して戦う以上技巧的に一日の長があるのは事実だしね。

 ……まぁ、それはそれとしても基本的にはやっぱり決闘結界がない以上、致命的な攻撃を受けても復活できる<マスター>やTYPE:チャリオッツ系統の独壇場だと言うのも事実なんだけども。

 国の施策で格安で船を修理できる、って言っても他のゲームでいう耐久値的な完全に数値上だけの存在じゃないってのが痛いんだよね。数値上は元通りに出来ている様に見えても破損と修理を繰り返す度に確実に歪みが蓄積されていく事になるんだから。

 更に複数の<エンブリオ>による理不尽固有スキルのシナジーまであるのだから、むしろそれに抗せているティアンの人達が凄いという案件なんだよね……やっぱり天地の同類なんじゃないかな!

 

 さて、それがこのグランバロアでの決闘の基本なんだけど、我らが船長エメラダ・オーシャンの方針はと言うと――うん、前述した通り《部隊指揮》を活用した総合火力を押し付ける速攻戦術だね。

 固定メンバーの二人と、馴染みのある傭兵船員を雇って白兵戦の短期決戦をするタイプ。

 海中からの攻撃は【アプサラス】で牽制して、海上は【ムスペルヘイム】の弾幕を張り続けてる間に【ヴェパル】の最高速で接近攻撃を仕掛け――傭兵達は各々で高度な柔軟性を持って臨機応変に対応して貰う、それで勝ってきた子なのだ!

 

 ……そんなシンプルなので勝てるの!? って思うけど事実勝ってきているし今日も普通に勝ったんだよね。やったあ。

 まぁ、多分絡繰りは友人で馴染みだと言う傭兵の人の優秀さ――だけではなく、三人の<エンブリオ>、もっと言えばTYPE:アドバンスが変な働きしているんだろうねって。

 【ヴェパル】に接続するアドバンスだからか、各々の<エンブリオ>を通してただでさえ全員ほぼMP特化ビルドのMPを実質共有しているんだね。

 ……それだけじゃない強化が乗ってる気がするけど、ちょっと分からなかったなぁ。まぁ明日の決闘の時にまた考えようっと。

 とは言え、明日は格上のランカーへのランキング戦の挑戦。そんな余裕があるかは分からないけどね。わくわくするね!

 

 決闘の後処理が済んだ後は近場(そこそこ遠海)で久しぶりにソロでレベル上げの狩りに出る事に。

 決闘も何時間も使った訳じゃないし、エメラダ達はログアウトした後だからねー。

 折角船――【天の光号】も買った事だし、今までグランバロアでは【嵐竜王】の時以外ずっとエメラダ達と一緒だったからね。

 今日の防衛戦では使わなかった秘密兵器の練習も兼ねての狩りだったけど、やっぱり人間は泳ぎじゃ海棲生物には到底勝てないなって確信したよ。

 海中だと下手に泳ぎ回るより固定砲台に徹するか罠を張る方が効果的、と……うん、収穫は悪くなかったね!

 

 ……久しぶりの一人での長時間の狩りで少し夢中になってたのも含めて、何となく天地の日々を思い出す一日だったね。

 

 メモ:

 【レギオン・フィッシュ】

 下級の群体系モンスター。実際は凄く小さな小魚の群れなんだからふしぎな力で結びついて、一体の魚類モンスターになっている奴。

 《看破》で見てもシステム的には一体のモンスター扱いなのが不思議だよね。多分リソースとか生命力とかそういうのを群れで共有するスキルがあるんだよ。【ゴブリン】とかもそんな感じのスキル持ってるしね。

 

 【バブルジェリー】

 下級モンスター。毒を持ってないタイプのクラゲ。でも水属性魔法は使ってくる。

 割と視認性が悪いから感知系スキル持ってなかったりする慣れてない人は不意打ち喰らいそう。

 

 【レッサー・フィッシュ】

 すごーく数が多い下級モンスター。レッサー(下位)なフィッシュって言うけど言う程雑魚ではない。

 AGIが高いタイプとは言え所詮下級モンスターの範疇のステータスだ、と言えるのは陸上で戦うモンスターである場合のみ。海中だと発揮速度は体感で10倍はあるよね。

 その癖毒持ちや属性持ち等の亜種や数十から数百匹規模の群れがある時もあるし、総じて恐れ知らず。

 

 【ソード・フィッシュ】

 上級モンスター。DEXとAGIが特に高いけど全体的に物理型ステ。……数が少なくて遠距離攻撃もないから楽勝だった。

 大型に成長し切った個体は《剣速徹し》にも似たスキルを習得して並の漁船なら一刀両断できる脅威になるんだって。

 

 【亜竜竜魚】

 亜竜級モンスター。竜魚(アロワナ)? ENDが高めでバランス良く全ステ高め。個体によって地・海属性系統魔法を使う。

 亜竜級モンスターだけど群れで生活、狩りも行っていて普通以上に厄介。多分あの辺りの海域では一番の難敵なんじゃないかなって。

 

 【亜竜魚竜】

 竜魚じゃない亜竜の海竜種。水のブレスは吐くけど亜空間タックルはして来ないよ!

 海ではモンスターのサイズは脅威度の指標の一つだけど……速さが足りない!

 

 ガチャ:

 E 【沢の幸セット】

 E 【SP回復ポーションLv8】

 C 【快癒万能霊薬】

 E 【白んだ魔眼】

 D 【エメンテリウム】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2/10(水)

 やーらーれーたー!

 やっぱり上位ランカーの壁は分厚い……

 

 今日は初めてお昼休みの時間中の小勉強会みたいな物に参加したよ。

 デンドロでは指導役もやった事あるけど、やっぱり勝手が違うよね。教え方あれで良かったのかまだ確信が持てないよ……センススキルでの補助もしてくれないしねっ。

 とりあえず時間も余りなかったからテスト範囲で使う公式を繰り返し覚えて貰って重要性を理解してもらった……貰えたのかはともかく、それくらいっ。

 暗記系は関連付けで覚えて後は自分で記憶して貰わないと……頑張れー!

 

 さて、そんな学校での一幕もあったけど帰ったら待ち遠しかったデンドロでのランカーへの挑戦!

 決闘ランキング十位の高位ランカーの人への挑戦だったんだけど――敢え無く敗北、ぐぬぬ。

 エメラダ達もそうだけど、やっぱり天地とかの決闘と違ってこの大味なグランバロアの決闘だと<エンブリオ>個々の出力やシナジー等、あとは環境に即しているかってのが凄い重要過ぎるね……

 あるいは性能が少し尖っていたとしてもパーティ戦だからフォローしやすいと言うのも一因かも。

 

 ……いやぁ、それでもあの【アブラスマシ】はグランバロアなら際限なく応用できそうってのが凄い強い奴だけど。あれで牽制してなかったら海中海水爆破や船底爆破までできるんだから洒落にならないよねぇ。

 というか、ジョブスキルによる船舶・砲門強化されるのも厳しかったけどあれ本人が前衛系ジョブで固めても真っ当以上に強い奴だよね多分。

 <エンブリオ>の出力や相性だけじゃなくて動きもステータス以上の物だったし、場所が悪かったとはいえまさか影分身の僕がやられるとは思わなかったよ……くぅ、リベンジしてやりたいね!

 

 ……まぁ、【ヴェパル】が撃沈されちゃったからどうあがいても暫くは無理なんだけどねっ。

 エメラダ曰く、【ヴェパル】の修復時間はデンドロ内時間で約五日だとか。明後日ログインする頃には修復されてるくらいだって。

 グランバロアの決闘参加<マスター>は自らの<エンブリオ>の修復時間に自ずと詳しくなるという悲しい知識を得ちゃったね……ティアンの人や普通の船ならともかく、<マスター><エンブリオ>相手ならこっちも相手も皆遠慮なく全力全開だからねっ。

 やっぱりグランバロアも修羅の国なんじゃないかな!

 

 さて、そんな決闘の顛末の後の事だけど、そういえばエメラダ達って決闘で【ヴェパル】が壊れた時ってどうしているんだろう? って思ったら元祖【紅の牙】団(エメラダ達の部下の人達)が所有している中型の巡洋艦を使う様にしてるんだって。

 勿論海賊船団の正規船だから市販の並の戦闘艦よりも高性能だけど、それでも【ヴェパル】には大きく負けてるんだよね。

 これは【ヴェパル】の、<エンブリオ>の性能の高さに驚嘆すべきか。それともスタンダードな海賊船団の一船舶で代替できる程度の高性能艦が無数に配備されているグランバロアの戦力に驚嘆すべきか迷う所だね。

 ともあれ、明日明後日明々後日くらいはこの船でランカーとして引き受けた依頼に取り組む予定なんだとか。

 決闘に参加しに来た実力者の決闘ランカーにすかさず依頼を割り振ってくる、本当強かな国だよね……良い意味で。

 

 そんな決闘ランカー、エメラダが頭目を務める海賊船団所属御一行(僕含む)に任された依頼は――とある海賊討伐、というか捕縛任務。

 ……かなり大規模な海賊団で、主に海洋資源の略奪、並びに違法奴隷売買をしているヴィレッゾ海賊団が今回の標的だ。

 グランバロアの海賊船団は実質的に私掠船だからこういう海賊団とは全くの別物なんだよねって。

 僕としては単純な賊討伐ならいくらでも。頑張るよ!

 それにしても、この海の環境で後ろ盾もなしに自分達の腕っぷしだけで海賊行為するって割と凄いよね……

 

 ガチャ:

 C 【太陽石の原石】

 D 【アイアンランス】

 F 【ゼロピー】

 F 【ガラス玉】

 F 【白紙の日記帳】

 

 

 

 To Be Continued…………

 




ステータスが更新されました――――

《ソニックウェイブ》:魔法スキル
 ジーニアスが改造した上級の風属性魔法スキル。
 本来は風による衝撃波を放ち近距離の対象の体勢を崩したりノックバックさせる為の魔法。
 これを指向性を保ったまま距離と威力を増幅する事で海中での攻撃魔法として十分以上に使用出来る様に改造した。出来た。
 実際は超級職レベルの魔力がなければ威力が足らない事だろう……ジーニアスの場合はそれに加えて《極光剣》による非常に高い威力の上乗せがあるのだが。
 威力だけを更に増して爆雷の真似事の様な事も出来る(要反動軽減用の結界)

【天の光号】:特殊装備品
 ジーニアスが買った小型船。硬い、早い、強い、安い!
 サイズの割には、という但し書きが付くが基礎性能自体は最精鋭船と遜色ない仕上がりを見せる逸品。
 普通ならそれだけで通用する程グランバロアの海は甘くない。
 なおシステム的に特殊装備品として装備された状態の【天の光号】は普通に航行してるだけでも亜竜級の海棲モンスターを轢き殺し(剣速徹し)てミンチにする。
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