無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:黄河国力ステ、別に高い事が良い事ではない特殊性以外B以上とか強国過ぎない?(実際強国ではある

それでは本編をどうぞ!


第八十話 ソロ狩り山狩り・敵手狩り

□■<赤石荒原> 【ゴブリン・マイナー(ゴブ吉)

 

 

 

 ――BBBBBOMB! DGOOOOMB!!

 

『ふははーなぎはらえー』

『うむ! リンよ、もっと獲物(モンスター)の在処を探るのだ。もっと(リソース)を得なければな!』

『あいあいさー!』

 

「いやぁ始めはどうなる事かと思ったけど、イグニス達も凄く意欲的にやってくれてる様で何よりだね」

「安全にそこそこの狩り場で素材と戦利品(ドロップアイテム)を稼げるんだから全く文句はないな……この騒音でモンスターが集まって来なければ、だが」

「今の所、目視範囲内にモンスターの姿や気配はありません。暫くは採取に集中しても大丈夫かと」

『リンの光学探査は隠蔽系に弱いから魔力探知もすると良いと思うのだよー……聞こえてないと思うけど』

 

 

 オッスオラゴブ吉!

 うっかりテイムされて売り飛ばされた先での初仕事は圧倒的弱者の身でありながらやべえ狩り(爆撃連打)の最中での採取任務だったぜ!

 先にあの世へ逝った仲間達よ。オラも近い内にそっちに行きそうだぜ……

 

 

 ――此処は龍の国(黄河帝国)北部、<赤石荒原>。

 荒原と呼ばれるだけあって植生は豊かではないものの、海風や寒風、そしてやや豊富な自然リソースの影響もあってこの付近では珍しい素材が採取できる。

 また、多少歩いて探せば鉱物や石素材等もそこそこ手に入るのだと、だから採取採掘に適しているオラにも頑張って欲しいと今の主(コテツ)は言っていた。

 ……そこに生息する獰猛なモンスター達の事はスルーした(言わない)ままでな!

 

 この周辺に出るモンスター達は、弱い方の部類のモンスターでさえオラでは一対一ではとてもではないが瞬殺されるだけだ。

 採取しか取り得のない一介のゴブリンではそうなるのも当然だ。

 そして、生産型の主とその仲間(ジェーン)、そして奴隷(サラ)だってそうなる筈だ。常識的に考えれば。

 だから、常識外れなのは――

 

『いいかんじのむれはっけーん。きょり172、ほうがくはひかりのさきー』

『応。然らば早速向かおうぞ――』

 

 

 奔る光芒、空を飛ぶ赤竜――自分よりも、そしてこの付近に居るモンスター達よりも尚強い力の気配を漂わせる怪物達の事だ。

 所謂、純竜級……そして、それに近い実力を持った従属モンスター。

 贔屓目に見ても(失礼だが)主に従えられる格ではない様に思える。……主、純粋な生産型だから従属キャパシティはオラを入れるので精一杯らしいし。

 だが、実際にあのモンスター達は主が持っている【ジュエル】から出て、明らかに協調して行動している事が分かる。

 これは一体――

 

『ちょっと、ちょっとちょっとそこのゴブリンさん? 暇してるなら通訳くらいしてくれても良いのでは?』

『ヌ……?』

 

 そんな黄昏ている時に声を掛けてきたのは、主たちに侍っていたもう一体の従属モンスター……こちらも明らかに不釣り合いな実力を持っているであろうと察せられる地竜。

 確か、主たちにはセレネと呼ばれている者であった筈だ。

 

『通訳よ通訳。ご主人と違ってコテツ達は《魔物言語》持ってないから会話が通じなくて難儀してるのだよ。貴方もゴブリンならそれくらいできるだろう?』

『……何処の常識ダそれハ。オラハ《人間範疇生物言語》ハ話せナイゾ』

『えっ……えっそうなの? そ、そうだったんだ……』

 

 その会話の後に、体躯と実力に見合わずしょぼくれた気配を出す地竜。 

 ……まぁ、ゴブリン族に伝わる物語でもそういう役割をしているゴブリンは多いから仕方ないが。

 確かに、ゴブリンを始めとした鬼族はその容貌が人間に近い故か、それとも職能に近い力を持っているからだろうか。

 だが、《人間範疇生物言語》はモンスターの中でも特に高い知能と人間範疇生物との関わりがなければ習得できないレアな技能だ。

 当然ながらテイムされるまでは一度も人間と会った事すらないオラが話せる訳がない。

 

『以前会ったゴブリンは会話出来る様だったのに、まさか嘘を吐かれてたのか……ま、まぁいいか』

『そもそもオラ暇ではナイカラナ……!』

 

 ちなみに、現在進行形で主たちと一緒に戦利品の回収や付近の採取採掘に勤しんでいるが……い、忙しい!

 上のエレメンタルとドラゴンの移動速度が速いのもあって休む暇すらそんなにない。

 ……と言うかオラは爆撃の余波であろう付近の熱波が辛い。オラ以外全くそんな様子を見せないからどうしようもないのだが!

 ゴブリン種のヒエラルキーの低さよ……

 

 だが……ある種では、その程度の辛さなのは幸いなのだろうか。

 これが以前の群れであれば、そんな辛さでヘタれるより先に、周囲の警戒をしなければならなかった。

 人間範疇生物であれ、非人間範疇生物であれ。ゴブリンにとっては絶死の脅威に変わりはない。

 仲間以外の物音や気配に怯え隠れ潜む様に暮らすよりは……今の様に、強者の腰巾着をする方が何倍もマシなのであろう。

 少なくとも、生命の安全さに関しては。

 いのちをだいじに、本当に重要。

 

『そういえバ、()()()ト言っテいたガ、オラの主たちとハ別なのカ?』

『あれ、コテツ達から聞いてなかった? 私達は一時的に貸与されているだけで本来のご主人はジーニアスと言うの』

 

 ジーニアス――名前は確かに主たちから聞いた記憶がある。

 ……確か、主たちが保護者をやっている子供だと聞いていたのだが。

 普通に危険なフィールドに子供は連れて来れない、という理由だと思っていたのだが(なお従属モンスターは容赦なく連れて来られる)。

 しかし、セレネ某に話を聞いてみた所別にそういう訳でもないらしい。と言うか<マスター>なら子供でも大人と変わらない力を得られるとか。

 <マスター>って凄い。

 

 ……尤も、話を聞いていくにどうやらその認識も誤りの様だが。

 <マスター>ジーニアス。主たちのパーティの一員……と言うよりも実質的にこのパーティは主であるコテツが作った、ジーニアスを支援する為のパーティなんだとか。

 過保護過ぎる……と思わないでもないが、実際はそうした方が色々と都合が良いのもあったのだろう。

 ジーニアスは、主たちとは違って純粋な戦闘職だからだ。

 

 オラ達の常識からすれば子供が戦闘の矢面に立つなんてあり得ない事の様に思えるが、<マスター>であるジーニアスは<エンブリオ>の力もあり、その実力は途轍もない物であるのだとか(コテツやセレネの贔屓目だと思いたい)。

 非戦闘職が戦闘職を支援し、戦闘職が非戦闘職に守護や恩寵を与える。実にスタンダードな関係であるな!

 

『スタンダード……まぁ、ご主人の実力を考慮しなければスタンダード……』

『ほほウ。具体的にハ?』

『あのイグニスとリンが()()()を理由にご主人の為に全力で糧稼ぎに張り切るくらい……かな?』

 

 なにそれヤバい。

 上で暴れている二体、その内現在進行形で遠方のモンスターの群れに爆炎を連打している火竜の実力は控えめに見ても純竜級は硬い所だろう。

 それなのにそれでもまだ実力が足りないと……?

 

『ご主人達、<マスター>と違って私達は死んだら蘇らないからそれで気を遣わせるのが嫌だ、と言うのもあるらしいけどもね』

『ふム、そういう物カ……?』

 

 ゴブリンの命は軽い物だからそこら辺は実感しにくい。だが、大切に思われているのは良い事だろう。お互いに。

 ちなみに、現在当のジーニアスは別行動で龍の国の各地にある霊山へ修行(経験値稼ぎ)に行っているらしい。

 いや、この龍の国の霊山、霊峰って普通に特級の危険地帯ではないか!?

 亜竜級のモンスターが当然の様に屯し、純竜級のモンスターさえ珍しくないと聞くが……え、一人で!?

 

『まぁ、ご主人に限って敗走はしないとは思うけど……むしろ、主の方が何か仕出かさないかの方が私は不安だけども』

『……いヤいヤ。いくラなんデモ霊山で余計ナ事なンテ――』

『主、先日は海の国(グランバロア)で自分から【竜王】に向かって行って大打撃を与えていたからな……私は静止したのに』

『――――』

 

 ……ここは()()()なのだぞ? まさかそんな……まさかな?

 霊山は大抵それを象徴するかの様に神聖な龍の宝物獣が居ると言うが……いや、流石にないだろう。ないと思いたい。ないと言って欲しい。

 

 

『流石ニそれハ――』

『あっボーナス』

 

 

 ――――――――!!

 

 ――音が消えた。

 何が起きたのかオラの身では分からない。だが――その原因が、直ぐ傍で静止している()()()()であるという事だけは理解できた。

 僅かな衝撃と風圧。オラに近く出来たのはそれくらいだった。

 

「――――」

「―――」

『――。――』

『――』

 

 声を出そうとしても、音にならない。

 どうやら何らかの効果で音が打ち消されている様だ――が、オラ以外にはそこまで大きく動揺している様子はない。

 むしろ、鉄球と主達の間に浮かぶ三つの大盾……《自動防御》の付与された魔法盾を見る限り、どうやら予期していた事態の一つではあったのだろう。

 ……人気のない所に生産職と非戦闘員が集まり、護衛は動きの鈍そうな地竜が一体、となれば確かに検討が付く物だが(上空で暴れているのを考慮しなければ)。

 物取り――それも、主たちを<マスター>であると見込んでその戦利品(ドロップアイテム)を狙う襲撃者(PK)達の攻撃だ――!

 

『―っ!』

 

 その攻撃に対し、オラは――即座に身を屈めて事態の推移を、己に矛先が向かない事を祈りながら待つしかできない。

 ……しょうがないのだ。オラは一介の【ゴブリン・マイナー】なのである! 戦闘能力なんて普通の【ゴブリン】に毛が生えた程度しかないのだ!

 これは従属モンスターとしての仕事の放棄……という訳ではない。そもそもオラが買われた時からそんな事(戦闘能力)は期待されていない。

 むしろ採取物を守る為に何かあったら自身の生存を重視しろと言われているのだ。主がこの世界から消えたら自動的に【ジュエル】に収納される様になっているからそれが一番確実なのだ。

 決して戦いが怖いからとかそういう理由はまぁ7割くらいあるがこれも主の命令を守った結果でもあるのだ。仕方ないよね。

 

 勿論、可能であれば今後のオラの為にも主たちが勝利する事が望ましいが――

 そう思い視線を上げるオラの視界に飛び込んできたのは……つい数瞬前と違い、激しく動く鎖と鉄球だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 如何なる力によってか、何にも触れ得ぬままに凄い勢いで巻き取られた鎖が塊となってその体積を大きくさせていく。

 鎖の先は真っすぐ伸びた状態のままでその先に鎖を保持している者が居る事を感じさせるが――僅かな抵抗すらさせていないのではないかと思う程の速度で鎖は巻き取られる。

 

 あるいはこのまま襲撃者ごと巻き取れるのではと期待し――しかし数秒後その期待は脆くも崩れ去る。

 鎖と鉄球が光の塵となり、消え失せたのだ。

 

『――おォ!?』

 

 それと同時に、一陣の風が吹いたかと思えば音が復活している。

 やはりあれは敵手の攻撃の一部だったか――とは思う物の未だオラは驚愕以上の口を挟まず動きを見せないままだ。

 ――戦闘はまだ終わっていないからだ。

 

 ――BOOOMB!! CDGOOMM!!!!

 

 遠方で大きな爆撃の音が聞こえる。

 視線を凝らすと鎖が伸びていた方向の遥か先に小さな豆粒の様な人影が爆炎に巻かれているのが微かに見える。

 人影の数は3。爆炎と爆撃に対して蒼白い障壁の様な物を展開し何とか凌いでいるのだと理解できる。

 そもそもここはモンスター蔓延る<赤石荒原>。仕事中のモンスターの襲撃は一応でも予想していたのだろう。

 それにしては動きが何処かまごついている様な気がするが……もしかしたら先程の鎖と鉄球でモンスター(イグニス)に反撃したいと思っていたが先程の攻防の影響で出すのに何らかの問題があるのかもしれない。

 

 障壁……防御魔法の光に更に回復魔法の光の様な物も見える様になった。相手方はどうやら持久戦で何とかする心積もりの様だ。

 純竜級のイグニスの攻撃を完全にとは言わなくても防げる彼らはオラの予想よりも相当に強い実力者だったのかもしれない。

 

 

 ――そんな彼らの敗因は、自らが狙っていた()()()()を放置した事だった。

 彼らがイグニスの爆炎を相手にしている間に主たちが取り出し装備するのは――オラでは保持する事も難しい程に巨大な機械連弩(マシンクロスボウ)

 三基の先端は《自動照準》により僅かにブレる事すらなく敵手達の方を向き。

 

 ――パシュシュシュシュシュシュシュ

 

 軽く風を切る音と共に連続して鋭矢が射出された。

 直後に、三つの敵手の人影の内二つが倒れる。

 それと同時に防御魔法も回復魔法も切れ

 

 ――DGOON!

 

 見計らったかの様なピンポイント爆撃と光芒を防ぐ間もなく……吹き飛ばされ、三人とも視界の先で光の塵と化す。

 

 ……数秒後、上空で三度白い光が明滅する。――光のエレメンタルであるリンの、作戦完了の合図だった。

 これでようやくオラも気を抜ける……よな?

 こんな事が何回もあったんじゃ命がいくらあっても足りないのだが……

 

「ご主人様、相手方への《看破》は成功しました。名前とジョブと遺留品(戦利品)があれば特定は容易かと」

「良くやったサラ君。早速追撃(根回し)の準備を……と、ジーニアスの従魔を預かっている最中だから自重しなければね」

「そういう事を気にする子でもないと思うが、まぁいいか。ならば精々戦利品は有効活用させて貰うとしようか」

『相手がこの程度の実力ばっかりなら楽でいいんだけどなぁ……ゴブリンさんもそう思わないか?』

『思わナイが??』

 

 ……オラ、今後もこのパーティの従属モンスターをやっていけるのだろうか……

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

3/4(金)

 待ちに待った週末、半日登校、狩りの支度は準備万端……そう。即ち今日は絶好の狩り日和!

 予めある程度的を絞ってピックアップしておいた幾つかの霊山で狩りをしていくよ。

 結局絞り切れずに幾つかの候補の中から《易占》で占って決めたんだけどね。

 ……うん、まぁ僕も黄河の狩場はそこまで詳しくないから仕方ないよねっ。

 

 ――そういう訳で、今日やって来たのは龍都から南東に(徒歩で)約二日程の距離にある霊山、<薬霊山>だよ。

 黄河に数ある霊山の中でも特に自然豊かでモンスターも多い事で有名なんだとか。それも特徴のある、ね。

 その特徴とは山の名前の由来でもある薬……ではなく、毒。

 まぁ、薬なんて毒の良い所だけを利用してる様な物だし歴史の中で同一視された結果や生存競争(近年)の結果そうなっていったんじゃないかなーって。

 この<薬霊山>も、そこに住まうと言われる〈UBM〉、【青竜王 ドラグブラウ】も千年以上前から存在しているらしいから多分割と近所にある汚染地帯、<法渦森林>は関係ないと思いたいよね!

 

 さて、<薬霊山>はそんな環境だから毒蟲、毒花、毒茸がモンスターも採取アイテムとしても一般動物としてもうじゃうじゃいるし、魔獣や動物の類でも毒を持ったのが跋扈している。

 ある意味危険度では汚染地帯以上、だから間引き依頼とかもなくてモンスターが自然のままに繁殖し放題なんだよね。

 そんな状態で放置してモンスターの大暴走(スタンピード)は大丈夫なのか、とは思うんだけど毒持ちであるが故の相互作用とか縄張りにしている【竜王】とかが自浄作用として働いて結果大挙として山を降りる、という事はないんだって。

 自然の神秘って凄いね……まぁそういうのが他の霊山でもあると言うんだから黄河のティアンの龍信仰に拍車が掛かるのも納得だよね。

 ――まぁ、僕的に重要なのはそこそこ良い格のモンスターが多くて(〈UBM〉以外は)狩るのに制限が特にないって所なんだけどね!

 間引きクエストを始めとした討伐クエストこそない物の、霊山の名前の通りこの山で採れる素材の多くは有用な薬の材料に出来るから、納品はそこそこ高価になるというのは美味しい所。

 そもそも毒とモンスターの二重苦で採取しに行ける人が少ないからそうなるのも已む無しって所だよね。

 僕は【練体士】の《練技・身体賦活(アンチボディ)》による病毒耐性の大バフと《全主相応(オールド・アヴァター)》の耐性の合わせ技があるから無問題だけどねっ。

 【練体士】のバフって基本低消費短時間バフだから、普通の【練体士】系統の人は多分無理だけどもー……僕の膨大なMPを以てすればスキル1つを常用するくらい全く問題がないんだよ!

 

 そんな心算で<薬霊山>に来た訳だけど――濃い、全体的に霧が凄く濃いよこの霊山!

 視力強化スキルを合わせても100メテル先は全く見えない、多分視力強化スキルなしだったら10メテルも見えないんじゃないかってくらいの濃霧が霊山全体を覆いつくしている。

 霧が掛かっているとは聞いていたけどこれ程とは……事前情報ではこの霧もそこそこの神経毒らしいんだけどそりゃ対策できない人は来られないよね……

 当然、此処に生息しているモンスター達は耐性を持っているんだろうけどこれじゃそうでない人が来るのはそりゃ難しいだろうねぇ。

 ……ある意味、イグニス達をコテツに預けておいて良かったかもしれないね。僕の付与魔法じゃそこまでの他者耐性バフはできないからね。

 

 元々はそういう考えじゃなくて双方共に効率良くレベル上げする為だったんだけどね!

 経験値配分のシステムが悪いよーと、までは言わなくてもやっぱりもっとレベル上げの方法欲しいよね。

 ともあれ、再会する時の為に僕もレベル上げ頑張らなきゃね。

 最初の目標はこの<薬霊山>、間引きレベルで狩りまくってやるんだー!

 

 メモ:

 【猛毒翼竜】

 亜竜級の中でも上位のいわゆるワイバーン。ワイバーンとドラゴンには大きな差があるんだよね……

 爪と尾針に名前通りの猛毒がある通常のワイバーンより危険な種。麻痺毒だからリオス種とはまた別物なんだよねっ。

 

 【女王劇蜂】

 正直今日の狩りの時間はそこそこの割合でこれの巣潰しの時間だった純竜級の中でも厄介な魔蟲。所謂“女王”系統。

 “女王”系統は多少のコストで下位眷属種をインスタント生成する能力を持つモンスター系統の通称で特に魔蟲に多いんだよね。

 そしてこの【女王劇蜂】が生むインスタントビーの類は当然の如く毒持ち……しかも累積させて深化を狙ってくるひっじょーに厄介な相手。

 しかもインスタントじゃない配下の蜂を使って巣の近くで待ち伏せ奇襲とかも企てる知性持ち。飛行能力や速度も相まって面倒な事この上ないよね。

 ……その分収穫は大きかったんだけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3/5(土)

 今日は昨日に引き続き<薬霊山>でソロ狩りの日。

 ふと思ったけど、誰ともパーティを組まずに、イグニスやリンの助けすら借りずに完全にソロで狩りをするのっていつぶりだろうね……本当に久しくない気がするよ。

 やっぱり結構頼っていたのかなーって事が実感できるよね。特に死角の警戒とかさ。

 常に探査魔法を行い続けるって訳にも行かないからね。……できない訳じゃないけど、消耗とかを考えたらね。

 離れて分かる有難さという奴かな……いや、離れてなくても分かってはいたけどもね!?

 

 そして――それと同時に、完全なソロでしか得られない空気、雰囲気と言うのもあると実感したよね。

 自分で言うのも何だけど、ぴりぴりしている……って表現で良いのかな?

 ひりついていると言うか、緊張感があると言うか……まぁそんな感じ。

 ……最初の最初の時はこれがデフォルトだったんだから、本当に皆には楽させて貰ってたんだよね。

 でも、この緊張感も時には重要、必要になるから、今回の狩りで今後も皆と一緒に居る時でも意識してこうできる様にならなきゃね。

 僕は学習する天才だからね、これくらいはこなしてみせるとも!

 

 ――まぁ、昨日今日の狩りで大体生息モンスターの脅威度は見切ったから明日以降はかなーり楽に狩りできる予定なんだけどね。

 うん、毒を主武装にしている分素のステータスは純竜級には届かない程度のモンスターが多いんだけど、僕の耐性なら殆どの毒は抵抗出来るからねぇ。

 だから、警戒すべきなのは花粉とか霧に含まれる微弱な毒の吸入や数を頼りとするモンスター達による毒の累積による耐性の突破。

 あるいは本当に極僅かに居る僕の耐性を素で突破できる強度の猛毒持ちや素のステータスが普通に高いモンスターとか。

 勿論、それらに対してだってこの二日でもう対策済みだ。

 微弱毒の吸入程度ならば僕の使える浄化魔法でも除去出来るから定期的に使うだけで良いし、数で押してくるモンスターには《防御結界》による物理的な遮断を行えば問題ない。

 ステータスや毒が素で強い強敵は、本当に数が少ないし、むしろそういう相手の方が“修行”には打ってつけ、だよね。

 ……僕的にもうちょっと数が居てくれても良いと思うんだけどなー。【宝櫃】の稼ぎとかはより強い相手の方が効率が良いしねー。

 まぁ、経験値効率と金銭効率は割と択一だから仕方ないんだけどねー……

 その点で考えると毒素材の採取や純竜級モンスターがいればそこまでの実力でもない群れ為すモンスターも居るこの<薬霊山>はかなり効率が良い狩場ではあるんだよね。

 総合的な難易度がかなり高いのもあるけど、嬉しい誤算。どうやっているのかは全く分からないけど流石は《易占》だよね!

 

 ……とは言っても、昨日今日良い感じで狩れてたのはその難易度故に間引きする人も居ないせいでモンスターが跋扈してた影響は大きそうなんだけど。

 既に体感できる程にはモンスターとの遭遇率減ったからねぇ。とは言え、僕単独でそこまで殲滅できたとは思えないから、多分()()を察知して身を潜めてるのが増えてきたって所だと思うけど。

 それでも、多分後数日もしたら他の所に移る必要がありそうだよね。

 つまりは次の狩場も早めに選定しておかなきゃ、だね。

 今から考えるのは大分気が早いけど、一面砂漠のカルディナではモンスター狩りをメインに活動するのは難しそうだから、最後の一職以外はこの黄河で、もっと言うならこのソロ狩り中にレベルを上げ切っておきたいからね。

 ソロなら汚染地帯に足を運ぶのもなしではないけど、さて、どうしようか……

 贅沢な悩みではあるけど、こういうのを考えているのがゲームをする時は一番楽しいよね。

 

 メモ:

 【臭毒鮮花】

 毒性の植物系モンスター――ではない。でもモンスターよりも手強かった悪臭の主。

 基本パッシブで感覚強化してある僕に悪臭は特攻なんだよ……

 高位の強壮剤とかSP回復ポーションの素材に使えるらしいから一応採取。《影分身の術》は便利だよねって。

 

 【デッドリーポイズンスライム】

 名前の通り致命的な毒液(デッドリーポイズン)で形作られたスライム。地味に純竜級の強者。……AGIは低いから楽勝なんだけどね。

 でも名前でも強く主張しているその総体を構成している毒だけは注意が必要。つまり奇襲だけは絶対に避けろって事だね。

 主食は他のモンスターの毒液。主な活動領域は地中。……僕が遭遇した個体はなんで地上に居たんだろう……

 

 【静粛蜘蛛】

 小指サイズの小さな蜘蛛。<薬霊山>では珍しく毒を使わないタイプ(毒耐性あり)。

 小さくても群れず単独で活動して糸で獲物を絡め捕る系の蜘蛛。ただし現実の蜘蛛と違って亜竜級くらいなら動けなくなるくらいの糸の丈夫さと粘着性。

 その長所一本でここを生き抜くあの動きは匠の技だったよね……いや、実際AGIとDEXが超高いタイプなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

3/7(月)

 【悲報】家に帰って早速ログインしたら【青竜王 ドラグブラウ】が出待ちしていた件。

 待ち伏せ!? リスキル!? 山中の洞窟に居る筈じゃあ!? って混乱したけど敵意はないみたい。

 焦ってぶっぱしちゃいそうになるからやめて欲しいよね……天才の僕だって驚きくらいはするからねっ。

 ……流石に準備も無しに古代伝説級以上の〈UBM〉に挑むのはまだ難しいし。

 

 それはさておき、僕を驚かせてくれちゃった【青竜王】曰く、たまたまた僕がログアウト、ログインしたその地点に居たという訳ではなく実際に僕を狙って出待ちしていたんだって。

 <薬霊山>のモンスター達の間引きと言う本来<薬霊山>のヌシたる【青竜王】がやるべき仕事を代行してくれちゃった僕への労い(?)の為にね!

 ……いや、そう言われても反応に困るんだけども。別に【青竜王】の為に狩りをしてたって訳じゃなくて僕自身の都合でやってただけだしね。

 むしろ間引きをしてなかった事でここ数日割と美味しい思いをさせて貰っていたくらいなんだけども。

 ちなみに、【青竜王】が間引きをしていなかったのは何か重大な理由があったからと言う訳でもなくて、“まぁまだ間引きはしなくても良いだろう”というだけの理由だったらしい。

 こ、この【竜王】。見た目に寄らず怠惰だなぁ……見た目は、神話にでも出てきそうな綺麗な龍なのに!

 ……うん。まぁ、そりゃ環境や生息数からしてもまだまだ大暴走(スタンピード)には程遠いかもしれなかったからそれはいいんだけどねっ。

 

 でも――それはそれとして、【青竜王】の仕事を代行したと言う事で労ってくれると言うなら、遠慮なく報酬を要求しちゃうけどね!

 別に僕はがめついつもりは全くないけど、折角相手もそんなテンションみたいだったからこれは乗らないのはむしろ相手に悪いと言っても過言ではないからね。

 あと単純に【竜王】がどんな報酬をくれるのかすごーく気になったし!

 

 ……そんな雰囲気で「望む物を言うが良い」って言われたから素直に「僕がもっと強くなる為の何か知ってたら教えて!」と返したら「それは我の管轄外だ」って言われた。

 黄河の伝承にそういうのがあったからいけるかなーって思ったのに、管轄外とかあるんだ……

 ちなみにそういうのは【虹竜王】とか【災知竜】の管轄らしいよ。本当にそういう管轄があるのが既に驚きだよね。

 

 ――そんな問答の末にどうなったかと言うと、【青竜王】から追加でクエストを……所謂お使いクエストを依頼される事になったんだよね。

 具体的には【青竜王】が指定した幾つかの場所へ行って言伝を頼む、と。制限時間はなくゆっくりでも構わない、と。

 つまりは【青竜王】の管轄外だから管轄内の【竜王】の所へ紹介してあげるよ! って事だと思う。随分と持って回った言い回しだったけどね。

 この僕を小間使いにするとは良い度胸だよね……まぁ請けるんだけどね!

 知性ある〈UBM〉からの依頼を突っぱねるより請けた方が面白そうだし実際紹介相手――【虹竜王 ドラグイリス】の事も気になるしね。

 それに何より、【青竜王】の言葉通りここ数日の<薬霊山>での狩りで随分モンスターが減ったみたいだからどの道今日明日には狩場を移すつもりだったからね……

 ソロ狩りで集中してたから、予定以上に狩りに熱が入っちゃったからね-。

 そういう訳で明日から黄河内の各地にメッセンジャーとして使い走られる事になるよ、ひゃっほい。

 まぁゆっくりでも良い、と言われているんだから狩りながらの道中になるんだけどね。

 グランバロアでは大体掃海ばっかりでクエストって感じじゃなかったし地味-に天地以外でのこういう形のクエストは初と言えるかもしれない。

 頑張るぞー!

 ……まぁ、ここを離れる前に一通りの採取とかを済ませてからなんだけどねっ。

 

 

 To Be Continued…………

 




ステータスが更新されました――――

漢方術師(ドラグマンサー)】:錬金術師派生複合系統上級職。
 その名の通り毒と薬(ドラッグ)を専門に扱う黄河特有の【毒術師】系統と【薬術師】系統の複合レア上級職。
 就職できるジョブクリスタルが極端に少ない事や就職条件の難しさ――デンドロ世界の薬と毒の知識を相当量修学する必要がある――から就職者が非常に少ないレア上級職。
 その条件上<マスター>で就いている者の数の少なさから話題に上る事は少ないが、就職条件の難度もあって性能は優秀。
 毒を薬に、薬を毒に変えたり薬と毒の性能を向上させる基本スキルは勿論の事、薬毒生成スキルも高水準の物を習得できる。
 尤も、その優秀なスキルを発揮する為には薬毒の素材となるアイテムが必要不可欠。
 ……勿論、自力採取には限界がある為その多くを市場で賄う事となる。
 そうして市場は回っていくのだ……
 
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