無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:Q・これ明らかに禁術的なあれでは? A・僕子供だから良く分からなーい(一目で理解、模倣した)


第八十六話 <準超級激突>後編

□天野 理

 

 

「所で理君に直裁の質問なんですが……<エンブリオ>のTYPE:ボディの特徴って何だと思う?」

「これはまた唐突で哲学的な問い……」

「哲学的かな……?」

 

 それはとある平日の夕餉の場での雑談。

 珍しくも明日香からの積極的な質問であった為印象に残っていた話だ。

 

全身(アバター)を<エンブリオ>で置換する特性――なんていう基本的な事、の話じゃないよね? 趣旨が知りたいなー!」

「あー、それはな――」

「隠す必要もないと思うけど……ほら、つい最近TYPE:ボディの存在が公になったと言うのは知ってますよね?」

 

 あっ(察し)

 ……つい先日、デンドロの掲示板のとある一幕をきっかけに急速に内外での話題を塗り替える程の大事件となった話だ。知らない訳がない。

 希少性、特異性。どちらを取っても間違いなくトップであろう新たな()カテゴリであるTYPE:ボディの話だ!

 そして、僕的には当たり前過ぎてそこまで意識していなかった既知のカテゴリの話でもある――!

 

「つまり、“組織”がいつもやってる(時勢を見ての)Wikiへの情報提供の参考にって奴だね。完全に理解した!」

「そこまで理解しなくてもいいんだけどね!? あ、あとふわっとした感じでもいいから、プライバシーにも配慮してね!?」

 

 難しい事を言う……

 

 TYPE:ボディの特性――それは勿論<エンブリオ>で置換する事で得られる様々な恩恵だろう。

 主に人間以外の種族になる者も多く、単なる異種族アバターとは異なりきちんと種族特徴も得られるという特徴もあるが――これは厳密には正しくはない。

 何故なら、ボディによるアバター置換は違う種族になりその種族特徴を得ている……()()()()()()()()

 例えば、種族:怪鳥になったボディの人は飛行できる事によって怪鳥の種族特徴を得たと自覚するかもしれないが、怪鳥の中には飛べない種も居ればそもそも飛行高度や実力に比する飛行速度の違いなど千差万別。

 例えば、種族:魚介になったボディの人であれば水中行動が可能であったとしても浅水域、深海域の違いもあればそもそも淡水魚と海水魚の違いもあるかもしれない。

 例えば、種族:ドラゴンになったボディの人であれば……論ずるまでもなく、一言で「ドラゴン」と言った所で種族特徴なんててんでバラバラで、これと言って断言できる物なんてある筈もなし。

 

 つまり、TYPE:ボディの人は種族変更と種族特徴を得ているという訳ではない――他の<エンブリオ>と同じ様に自らのパーソナリティに起因した固有スキルを獲得し、その上でボディの仕様として種族が変更されているに過ぎないんだよ!

 ……そもそも僕の【アダムカドモン】だってデンドロの本物の天使とは全く別の特徴だしね?

 

「でもまぁ、そんな当たり前(既知)の事はさておき――敢えてボディの<マスター>の特徴を言うとするなら、“自分の身体を粗末にできる”かなぁ?」

「「身体(ボディ)なのに!?」」

 

 そんなに驚く事だろうか?

 むしろこれも基本的な、当然の事だと思うのだけども。

 

 ――だって、それが可能なパーソナリティじゃなきゃ、自分の身体(アバター)を塗り潰すなんて事に耐えられる筈がないから。

 

 ふと、そんな会話をした事を思い出す。

 それは、きっと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■<龍都・闘技場>“龍帝祭”本戦準決勝 【高位従魔師(ハイ・テイマー)】ジーニアス VS 【尸解仙(マスターキョンシー)】迅羽

 

 

 (チィッ! やってくれるゼ!)

 

 ジーニアスが発動した閃光の魔法(フラッシュ・バン)によって迅羽が目を晦ますのは一瞬。たった一瞬だった。

 そもそも、迅羽はアンデッド(キョンシー)の特性として暗闇の中でも十全に視界を確保する事も出来る上に視界すらなくても空間探査の魔法を使う事で容易に五感を補う事画出来る。

 勿論、【盲目】に対する高い耐性も保有している為、ダメージはない。

 ないが――当然の摂理として、視界が光に塗り潰されるその一瞬。空間探査の魔法を発動する前のその一瞬だけは視界が効かなくなる。

 

 熱線の連射も、<エンブリオ>による長距離格闘戦も、全ては彼女が手動(マニュアル)で行っている事なのだ。

 ならば当然、僅かな視界が通じない間は攻撃を止めざるを得ない。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――しゃらくセェ!!」

 

 ――一閃!

 両の手の【テナガアシナガ】で遠心力に任せて僅かな時間差を付けて全力で薙ぎ払う。

 視界が効かないのは相手も同じであり、此方の隙を強引に作り勝機を掴もうとしているのだと予想し、その思惑ごと叩き潰さんと極大の質量を誇る大鎌の二撃を見舞う。

 しかし。

 

 (手応えがネェ! これも予想されてたか!)

 

 間隙の一撃を警戒し、【テナガアシナガ】による防御を瞬時に二重にする。

 直後。

 

 ――BANGBANG!!

 ――ドゴォッ!!

 

 銃声と、【テナガアシナガ】越しの大きな衝撃。

 ダメージは【テナガアシナガ】が完全に吸収した故に、殆どない。

 だが、視界が戻った後、彼女の前に居たのは――

 

「……全く、面倒ナ手を使ってくれるゼ」

「「「まぁ、同じ東方だし勿論知ってるよね? それじゃ、行くよー!」」」

 

 ――五人に増えた強敵、ジーニアスの姿だ。

 それぞれ二丁拳銃(ハンドガン)突撃銃(アサルトライフル)、槍、長剣、刀を携えて。

 同時に襲い掛かって来るのだった――!

 

 

 

 

 

 

 

 《影分身の術》――当然、ジーニアスに言われるまでもなく、迅羽も既知のジョブスキルだ。

 西方のジョブのスキルよりも詳しいと言っても過言ではないだろう。ステータスを分割した実体を持つ分身を作り出すスキル。

 

 魂胆は読めている。

 熱線も、長距離格闘戦も……距離を空けてこそその弾幕と縦横無尽の質量攻撃が活きるのだ。

 それならば、あらゆる手を用いて接近を狙うのは目に見えているし、幾度となく対処してきた手口だ。

 今回も分身で攪乱しながら本体が接近を狙うつもりなのだろうと、そう予想する。

 そう、予想は出来ていたのだ。

 

 (マジかよ。五体って事は分身のステータスは1/5、だったよナァ!? なのに、()()()()()()()()なんて笑えない冗談だゼ!)

 

 熱線の照射に、【テナガアシナガ】の重撃。それで近寄らせぬ様に。能力値(ステータス)の足らない分身を擦り潰さんと猛攻を掛ける、掛ける、掛ける――が、直撃しない!

 紙一重で回避し、その手に持つ武器で僅かに逸らされ、ギリギリで防がれ、後ほんの少し、ほんの少しの差で……倒せない。

 ステータスに圧倒的な差がありながら倒せない事に苛立ちを覚えて。

 

 ――そして、そんな状況でも、冷静に()()たのは果たしてどちらだったか……()()()

 

 

「「――今()!」」

 

 それは、非常に濃い闇属性を……【テナガアシナガ】を貫通できる可能性を秘めた刀を持ったジーニアスが迅羽を後一足で射程内に入れられる様になった、その瞬間。

 二人の合図と共に、二体の従属モンスターが動く。

 ――()()()()()()()()()と、()()()()()が、秘されし二体がその鎌首を擡げた。

 

 数多の光球(フォトン)の中に隠れていた光球、【ルミナスエレメンタル】のリンは光の奥義(グリント・パイル)を超える光線を狙い違わず守りに包まれていない迅羽の頭部を狙い。

 地中にその身を隠し続けていた、迅羽に震層と呼ばれる魔獣は――ジーニアスが踏み込むその一瞬を見切った合図を逃さず闘技場の地面を揺らした。

 常であれば暴雷の雷電攻撃の【麻痺】と同様に、敵手の足元を揺らして()()()()()()、それだけを己の役割とする者。

 ただそれだけに特化した仕事人が、完璧なタイミングで大地を揺らす――!

 

 しかし、その従魔達の奇襲に対して――天災児達は、更に先を行った。

 大地の唐突な隆起、それにより体勢を崩すその前に、ジーニアスの姿は瞬時に消え去った。

 直後、十数メテル離れた位置に僅かに体勢を崩した状態で現れるそれは《縮地(抜刀)》。

 踏み込みと同時に僅かな距離を超高速移動するジョブスキル。そして再度の《縮地(抜刀)》により次は他の分身とも同時に。

 

「――一歩おセェ」

 

 その瞬間、()()()()()()()()()()

 上級魔法の奥義を上回る程の威力の光線、それを微動だにせずに()()

 必要だったのは僅かな時間。自身の切り札を使用する準備を終える為の少しの、そして超高速戦闘では気が遠くなる程に長く感じるその時間。

 その意味で言えば震層は確かな仕事をした。

 ()()()()()()

 

 

 ――魔法の欺瞞や隠蔽はお前さんノ専売特許ジャねぇんだゼ

 

 その炎熱の正体は、()()

 塵球に一掃される地上ではなく、隠蔽を掛けた上で地下に無数に配した【符】を起点に発動する物!

 この黄河の闘技場で、観客は見慣れたであろう超級職のみに許されし極大の赤光――

 

 

「《真火真灯――爆龍覇》ァ!」

 

 

 

 【尸解仙】の奥義が。極大の火柱が、フィールドの大半を埋め尽くした――!!

 

 全力で放てば闘技場結界すら破壊しかねない程の極大の熱量が戦場を舐め尽くす。

 

 (――まだダ!)

 

 分かっていた事だ。()()()()()()()()()

 超級職にしか許されていない程の超絶の威力の火炎魔法にして奥義。ではあるが……不完全だ。

 まずは当然の話として、地中を起点に発動する事で地面を介する事で幾らかの威力の減衰が存在している。

 その上で、発動速度を優先した為に配す事の出来た【符】の数も万全状態と比べれば半分程度でしかない。

 

 ……勿論、その上でもカンストの戦闘職程度であれば二パーティ分を丸ごと殺し尽くす程の火力は十分にある。

 しかし。

 しかし、だ。

 

 (()()()()()()()()()()()()()()()!!)

 

 <エンブリオ(テナガアシナガ)>は必殺スキルの発動待機に入り、同時に空間探査の魔法を最速で発動。

 残っているのは3――否、1人だけ。

 内2人は範囲の外縁まで退避した物の結界の出力が足らずに焼き尽くされ。

 即ち、標的は強固な防御結界でその身を包んだ残る1人!

 そして……その必殺のタイミングを逃す迅羽では、ない。

 

「《彼方伸びし手・踏みし足(テナガアシナガ)》」

 

 その宣言は先の炎獄と比べ、余りにも小さく、静かに誰にも聞こえない声量だった。

 しかし、その効果は確かに発現し結界の中のジーニアスの心臓に狙い定まり命中し。

 

 ――そして三つの違和に阻まれて失敗するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふん、事前にある程度能力が割れていれば、当然()()はするよね?」 

 

 《彼方伸びし手・踏みし足》――空間跳躍(ワープ)攻撃はジーニアスには、複数の意味で通じない。

 それは、ジーニアス自身が的確な対策を立てていたというよりはむしろ相性に近い。

 そもそも何故空間跳躍攻撃が迅羽の切り札、必殺足り得るのかと言えば、その攻撃の特性その物が非常に強力であるからだ。

 

 何故なら基本的に……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。それが、世界の理だからだ。

 世界の理……システム的な仕様として、防御スキルは基本的に体表に沿って発動している為体内には全く効果を表さず、ENDによる防御力も最低限しか働かない。

 その上で重要臓器を一つ失えば即座に重篤で致命的な傷痍系状態異常を受ける事となるのだから。

 

 体内攻撃を防御する手段は極めて少なく、重要臓器を失う事を耐えられる者もまた殆ど居ない。

 故に必然。当然の必殺であるのだ――数少ない例外、以外は。

 

 例えば、【龍帝】。

 心臓と言う最重要臓器の喪失ですらも即座に再生する程の怪物を相手にしては、流石の臓器抜きも敵わない。

 

 例えば、ダメージ転嫁。

 それは迅羽にも既知の違和の一つ。

 且つて普通の術師系を相手に必殺スキルを発動した時に――STRと装備攻撃力を足した攻撃力による臓器を千切る為のダメージで【救命のブローチ】が発動してしまった際の事だ。

 これもまた世界の理として、何らかの方法で受けたダメージが転嫁された場合、転嫁された先はHPが減るだけであり……転嫁された元は本来受ける筈の傷すらも傷痍系状態異常すらも受けない、という。

 【救命のブローチ】で、《ダミー・ドール》で、《ノー・ペイン・ノー・ゲイン》で、《コロニー・フォー・ワン》で……そして、《ライフリンク(・・・・・・)》で。

 

 そして例えば――本来体表にしか発動しない防御スキルの発動箇所すら変える事が出来る、あり得ざる固有スキルとか。

 

 そして、最後の違和は――

 

 

 ――BANGBANG!!

 

 気配を消したまま放たれた《ハイブリッド・バレット》。

 【銃士】ですらないとは思えない程の速度と威力が込められたその弾丸が狙うのは迅羽――ではなく、二体の従魔(暴雷と震層)だった。

 炎獄からなんとか退避していた二体は自らが狙われている事すら気付かないまま、超音速に倍する以上の速度の弾丸にその身体を四散させられ光の塵に還る。

 その上で。

 

「《無風結界(カーム・フィールド)》!」 

 

 ――DOGOOOOOOOM!!!!

 

 闘技場のフィールド内を、極大の衝撃が走った。

 その正体は、超特大の――()()()()である。

 音による衝撃波を以て対象を破砕する攻撃。それが闘技場上を所構わず蹂躙しているのだ。

 無事であるのは、ギリギリで即興結界の展開が間に合ったジーニアス自身。

 

 そして……それを見過ごしていた迅羽だけである。

 

 

 

「――オイオイ。風はテメェの武器の一つじゃなかったのカヨ」

「君よりは全然余裕があるとも。()()、ね」

 

 一時的に《無風結界》を操作して……お互いにこの戦いの最後の会話に興じる。

 双方が多くの手札を出して、出して、出し尽くして……それ故に、自然と強者である二人は戦いの終わりを察知したのだ。

 してやられた、と思っているのは迅羽の方だろう。何せ先程の《影分身の術》は殆どが見せかけ(フェイント)。まんまと幾つもの手札を切らされてしまったのだから。

 それこそ、(幾つもあるが)切り札も含めて。だからこそ先程は最後に大技で葬り去ろうとしたが当然の様に防がれたのも苦い記憶となるだろうか。

 

 (まぁ、相手が悪いんだけどね。子供にしか聞こえない音(モスキート音)での小細工とか衝撃波とか、普通なら避けられない訳だし)

 

 最初の一撃の音や風の誤魔化し、リンの光線を防いだ光の屈折、そして音響爆弾。

 それを為したのは、当然東方の魔法系超級職である迅羽が総ての工程に丹精を込めて作成した最大の【符】による物。

 ――そう、迅羽が常に身に着けている、顔すら隠す程に大きな《変声符》に偽装した風魔法の【符】による額面通りの隠し札だった。

 

 元より【僵尸(キョンシー)】の系譜であり、【道士】系統との複合超級職の迅羽なのだ。

 ……キョンシーを作成・使役・強化する【()()()】系統に同時に就くのはある種当然の流れであろう。

 その流れで習得した風魔法の【符】の最大限の有効活用。

 自らの超級職の業である派手で超火力の炎魔法を見せ札に、不可視で便利な小細工に使える風魔法を隠し札にしたのだろう。

 数多の戦術に必殺の一撃。基本戦力も超越している迅羽だからこそ……小細工はより強く作用できる。

 

 

 ――ギシ、ギシ、ギシ、ギシ

 

 ――ミシ、ミシ、ミシ、ミシ

 

 ――ピキ、ピキ、ピキ、ピキ

 

 

「君のそれ、どうなってるのさ。泡立て器の数千倍ごつい感じになってるんだけどー」

「それはコッチの台詞だゼ。お前、身体の中から光の塵が漏れてるゾ?」

 

 

 準備は、整った。

 

 迅羽は両手武器を持つかの様に両の手を束ね、その先にあるのは【テナガアシナガ】を何百重にも折って曲げて束ねてを繰り返した異形の超長超重武器。

 薙ぎ払えば逃げ場のない殺戮が幕を開け、振り降ろせば大地が瞬時に攪拌され幾万の礫を撒き散らすであろう悪魔の爪。

 

 ジーニアスはまるで天使の如く全身を金色の光塵に包まれている様に見えるのは自壊の前兆だ。

 ――《マニュアル・エンハンス》。純粋リソースを糧にSTRとAGIに限定して数倍化する程の強化魔法は上級職では身に余るオリジナル魔法の産物だろう。

 だが、相手の手札を削ぎ落したこの局面であれば――

 

 

「――――」

「――――」

 

 そして、何方からと言う事もなく宣言すらなく。

 二人は同時に観客の視界から消え失せ――最後の決着を決め得る、大激突の衝撃だけが闘技場を駆け巡った。

 

 

 

 To Be Continued…………

 




 めっちゃそういう雰囲気出したり最後とか地の文で言ったりしながらこの後滅茶苦茶お互いに小技擦り合った。

ステータスが更新されました――――

《マニュアル・エンハンス》:魔法スキル
 なんかそれっぽく(ジーニアスが)名付けているがつまりは【付与術師】系統の強化魔法を自作した物。
 オリジナルスキルを作るのに当たって障害は色々あるが、個人的には領域を区切る結界魔法と基本的には数値(ステータス)を変動させるだけである強化魔法はアレンジや作成がしやすいのだとか。

 え? 自作強化魔法の暴走による危険性?
 アーアーキコエナーイ(魔力(MP)を十万とかの単位でシュゥッ!(持続回復魔法と同時行使(その純粋リソース何処から用意した?
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