無限の世界のプレイ日記   作:黒矢

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前回のあらすじ:あの後滅茶苦茶小技の応酬に付き合った結果優勢だったのに引き分けた
それでは本編をどうぞ!


第八十七話 邂逅の未来と・エピローグ

3/20(日)

 楽しい楽しい“龍帝祭”も昨日で終わり、今日は現実でもデンドロの黄河でもゆったりとした休みの日!

 ……という訳ではなく、二周年記念祭典から続くお祭りが終わり、また新たな日常へと戻る為の区切りの日的な扱いの祝日らしいよ。

 大半の片付けは昨日の内に終わってる筈なんだけど、まだそれが終わってない人や所があったり。

 そしてそんな人達を助ける為の清掃のボランティア……じゃない、依頼があったりするんだって。

 そういう日を挟む事できちんとメリハリを付けて気を引き締めさせる手法――ってコテツとかが言ってたよ。

 流石七大国家の中でも大国の黄河はそういう所がしっかりしてるよねっ。

 

 さて、そんな日なのだけど……折角なので僕も後の祭り(誤用)依頼のお手伝いに参加する事にしたよ。

 こういう機会には可能な限り相乗りさせて貰ってイベント感を楽しんで行きたい……と言うのも勿論あるけれど。

 それ以上に――僕は今回の“龍帝祭”の立役者の一人だと言っても過言ではないからね。

 何と言っても、栄えある龍帝祭の暫定順位(引き分けによる)3位様だもんね! こんな大きな大会で結果を出せたのは凄い事だよっ。

 ……まぁ、対戦相手の【尸解仙】の迅羽は暫定順位2位なんだけどね。引き分けなのにね!

 これがランカーとしての優遇処置……旅人系<マスター>との圧倒的な差という奴だね。う、羨ましくなんかないよ!

 ほら、リンティウスさんとの3位決定戦も凄かったからね。別に何の問題もないんだよ!

 ……そりゃ多少は賞金が惜しくなかったと言ったら嘘だけどもっ。

 黄河にやって来た直後の時と比べれば金回りは良くなってるからねー。黄河ではそこそこしっかり狩りしたしね。

 

 と、まぁそんな大会での後ちょっとの所でノリを優先した悔しさはともかく。

 僕が受けた依頼は二つ。一つ目は冒険者ギルドでの事務仕事や受付の手伝いだね。

 内容自体は冒険者ギルドの平常業務の一つなんだけど……今はその冒険者ギルドの職員の人も多忙を極めている最中。

 だから、監督役の数人以外は僕みたいな短期依頼の雇われで平常業務を回しているって事だね。

 そうじゃなくてもこんな日だから平常業務自体が忙しい日だから仕方ないよねー。

 ちなみに本来の職員の方々が何をしているかと言うとそれも当然、今回のお祭りに関しての事。

 冒険者に所属している人員の評価再編だったり、予選の各地のミッションの進捗や報告に際して分布や自然への影響の査定、それらをまとめ國への報告や何か問題がある様ならその対策の考案等々……

 うん、国の首都の冒険者ギルドなだけあって規模が大きいのは良いんだけどそういう仕事もしなきゃいけないのは大変だよねー。

 

 ――とは言っても、そんな冒険者ギルドに所属しているだけあって皆優秀だから、デンドロ内時間の1日もあれば通常業務に戻れるくらいには有能なんだけどねっ。

 本当優秀な人達だよね。だからこそそんな人達でも助っ人を雇わないといけない程のお祭りの繁忙が凄いという話でもあるのだけど――午後に受けた二つ目の依頼が正にそれの最たる物だったんだよね。

 

 そんな今日受けた二つ目の依頼はそう、護衛依頼だね!

 ……と言うのも、現実時間が日曜前後なのも相まって時間を持て余している<マスター>が沢山居る事から、戦力的に頼れる<マスター>が多く居る内に安めに護衛を頼んで安全に帰ろう、と言う人が多いんだよね。

 これも<マスター>の研究、マスター学が進んでいる事の成果だと考えるとちょっと感慨深いよね……まぁ今の時期だと春休みの学生とかも多いからちょっと当てにならないかもだけども。

 あ、ちなみに戦闘力がある<マスター>の人は可能な限り街道沿いで見かけたモンスターは討伐する様にも言われるよ。お祭りの前後だから必然的に移動する人が多くなるから安全の為にも、ってね。

 それで特別報酬が良くなる、とかはないんだけどこの時期に護衛依頼を受けて完遂すれば冒険者ギルドからの覚えは良くなるだろうね。

 

 もっとも、僕達が護衛依頼を受けたのはそういう理由じゃないんだけどね。

 ――そう、僕らが護衛依頼で向かうのは黄河、龍都の西。商都。

 ()()()であるカルディナの、最寄りの都市にして最後の準備を整えられる都市でもある――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3/21(月)

 そこまで長くはない旅路の先に――龍都から商都へ到着!

 コテツもジェーンも商都は黄河で一番縁がある都市だって言ってたし、僕も以前【虹竜王】に会いに行った時に来た事があるから迷う余地はないね。

 勿論、護衛依頼の方も傷一つつけずに完遂だよ!

 まぁ、他の<マスター>やティアンの武芸者の先達の仕事か道すがらのモンスターもそんなに出なかったし、僕らでなくても問題は無かったと思うけどねー。

 

 さて、そんな経緯で到着したこの商都は黄河の中でも有数の大都市の一つでその名前の通り黄河最大の商業都市でもある。

 その理由は言わずもがな、黄河の西――中央大陸の中でも最大にして中央に座す商業都市連合カルディナとの国境に最も近い陸路の輸出入の動脈となる重要な都市だからだね。

 以前来た時もそうだったけど、まだ祭りの余韻も僅かに残っているのもあってか人々の活気は上々。

 むしろ祭りからこの都に帰って来た人や他の国へハシゴしに行く人――つまり僕らみたいな人を標的にしている人も大勢居る様だ。

 

 そう、黄河で一番参加したかった“龍帝祭”への参加を終え、他にも黄河でやりたい事を概ね終えた僕達は次の国、カルディナへの舵を切る事にしたのだから!

 むしろ瑞光と出会えたという望外の幸運もあった事を加味すればかなり上手くやれたと思うよ。龍帝祭も3位だったしね!

 瑞光はアンデッドでもある迅羽との戦いでは出せなかったけど、リンティウスさんとの戦いではイグニスと並んで第二第三の主砲として活躍してくれたしね。やっぱり頼りになるー……今後もよろしくね!

 <蜥血集落>で教わった鍛錬も悪くないし、ジョブも残り一枠を残してカンストした。

 だから後は、次に行くのはカルディナなんだから、でもやっぱり賞金がちょっと惜しかったなーって言うのと……結局【虹竜王】に言われた回復魔法はそこまで上達出来なかったかなって所くらいかな?

 《治療符》の効果と持続時間を圧縮して使いやすく実用的にしたりは出来たけどー……この程度で“習熟”とはとても言えないよね。

 とりあえずは予定通りジョブを埋める事にするけど、それでも可能な限りの鍛錬と習熟は諦めないで行きたいよね。

 まずは安直に、カルディナなら回復系統のマジックアイテムも流れてきてるだろうし、何か良いのを見繕えたりしたらいいんだけどなー、って思うんだけど。

 さて、良いのが見つかるといいんだけどね!

 

 と、まぁそんな意気込みは良いんだけども……今日は商都に到着して少し店々を見て回った後で、ジェーンを残してログアウトする事に。

 急ぐ旅でもないからそこまで問題でもないんだけど――ううん、急ぐ旅ではないからこそ、その節目でもある今はリアルの方を優先しなきゃってね。

 何せ春休み――って言ってもしなきゃいけない事は、僕には山程あるからね!

 まず一つ目と二つ目が学校関連。新年度、五年生に進学するに当たっての準備や確認と春休みの宿題を終える事だね。

 新年度に向けての準備は勝や明日香と一緒に確認しながら手早く終わらせたし、宿題はそれこそ簡単に解けるんだけどねっ。

 でもいくら簡単に解けるとは言っても手を付けなければそれは解けないのと同じなのだから、こうやって纏まった時間を作って宿題を消化していくのだ!

 ほら、一応僕は模範的な生徒でもあるからね。こういうのはしっかりやらないとね!

 今日の所はそんな感じで、学校の準備をしながら明日以降に備えていつもよりちょっとゆったりとした感じで過ごしてたんだね。

 

 ――そう、明日からは半年とちょっとぶりの“組織”の病院での定期検査の時間が待っているからね!

 今回も春休み、大型連休に合わせてやって貰う事になってたからデンドロ等からは少し離れて検査に臨む事に。

 とは言っても、前回も特に問題はなかったみたいだし、あれから何か問題が起きる様な異変もなかった……無かったよね? だから今回も大丈夫だとは思うんだけどねっ。

 ネットサーフィンでもしながら、カルディナでの旅を夢想しつつ、いざ行かん、ってね。

 

 

 

 

 

 

 

3/23(水)

 デンドロよ、僕は帰って来た――そんな訳で、定期検査明けで丸二日ぶりのデンドロをやってた日だよっ。

 病院での定期検査は前回と比べてもとてもすんなり終わったから、一日半程度で終了だったね。

 まぁ、前回の定期検査は退院後初の検査だったからあんなに時間が掛かっていたのだ、と言うのは言うまでもない事かな。

 最初はちょっとだけ警戒されていたらしいデンドロでの健康被害も、これだけ長期間やってても全く兆候もないし、勿論他の検査でも特に異常なし。

 つまり僕は健康健全な一般小学生である事が証明されたという事だね!

 ……いや、世間一般的にデンドロにうつつを抜かしまくっている子供が健全かと言われると返答に困るけど、僕だって学業に支障が出る程やってる訳じゃないんだから問題ないよね?

 ほら、デンドロも今じゃすっかりそこそこ大きな社会現象になってるし、桑木さん曰くもしかしたらデンドロ部が出来るかもレベルだって言う噂もあるみたいだし。

 ……部活にまでなるかもって事は先生達も相当数やってるんだろうね。部活内容次第では僕も入ってみたいかも……という噂話はさておき。

 

 そんな健康優良児である僕が家に帰って来たのが夕方頃、デンドロにログインしたのが夕食後。

 既に中々良い時間だったけど、幸い今は春休み。時間はたっぷり使えるんだから、たっぷり準備するに越した事はないんだよねー―

 ジェーンとの早速の合流の後は当然の如く商都での物資調達と準備の時間。

 何せ、新たな国に行くのだから準備は当然必要なんだけど、その対象がカルディナ――一面砂漠の中の国家だからね。

 グランバロアの大海原と比べたらそりゃまだマシかもしれないけど、大砂漠だってあらゆる面で相応の用意をしないと都市から都市へ行く事すら出来ない極限環境だからね。

 大量の水分に携行食、日除け風除け防塵防寒防暑に正確な位置方角を探る道具に、それに当然砂漠に潜む数多のモンスターに対する備えも必要。砂漠を渡る為の従属モンスター用の装備も忘れちゃいけない。

 本当は靴も砂漠用の専用のブーツを買った方が良いんだけど、僕には【双星脚甲 エメル・リンデル】があるから、他の方策を考えないといけないのもあるしね。

 ちょっとお高いアクセサリで防塵するか、風属性魔法で何とかするか――緊急時の事とかも考えれば魔法で何とかした方が良さそうだよね。買うべき物は他にも色々あるし。

 準備した物を収納する追加の中型の【アイテムボックス】を全員1つずつ、更にその【アイテムボックス】の空きに水袋を入れられるだけ買えるだけ――

 ……カルディナに滞在歴がある筈のコテツとジェーンも真面目にこういう準備を欠かさない辺りが砂漠の脅威を物語ってるよねー。

 勿論僕も異論はないんだけどね。うん、どんな作品でも砂漠はかなりの難所だったりするからね。

 

 ――そして、それと同時にカルディナと言う国は多くの<マスター>からある種の浪漫とまで言われているんだよね。

 割高とは言え全ての国の特産品が手に入る世界最大の商業国家、所属<マスター>に対する優遇措置も厚く、それでいて地理関係から他国へのアクセスも可能。

 砂漠のモンスターは手強い相手も多く、そしてお約束に漏れず<遺跡>の類や自然ダンジョンも多く、更には神造ダンジョンである<貧富の墳墓>まである。

 人によっては砂漠の斜陽の風景やオアシスを中心として活発に生きる人々の情景も高評価されている、いわゆる通の<マスター>にお勧めの国との評判なんだよね。

 

 当然、僕も一通りの情報は確認していて――とても楽しみにしている訳だね。

 多くの<マスター>曰く、“欲深の国”。それに倣う訳じゃないけど僕もいくつも目当ての物がある楽しみな国という訳だ。

 黄河でも良い感じに旅して見て回る事が出来たし、カルディナでの旅路も頑張って行こう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

□<黄砂荒野> 【高位練体士(ハイ・エンハンサー)】ジーニアス

 

 

 黄河の最西端、僅かな岩と石と植物のみが立ち並ぶ、見晴らしの良い荒原。

 セーブポイント(安全地帯)からも遠く離れ、それ故に相応に上位のモンスター達が闊歩する危険地帯にして、隣国カルディナとの国境地帯。

 モンスターから隠れ潜む事も難しいこの荒野であるが……現状、その見晴らしの良い周囲を見渡す限りモンスターの姿形も見えない。

 まるで恐ろしい外敵から逃げ隠れするかの様だ。相応に実力があって知性もあるモンスターは当然の権利かの様にそういう事をするから困る。

 そんな<黄砂荒野>を悠々と、何者も寄せ付けない様な雰囲気(魔力)を纏いながら闊歩するのは三つの馬影だ。

 

 ――そう、即ちカルディナへと移動しようとしている僕達の事だね!

 

 

「うんうん、良いペースだね! 惜しむらくはあまりモンスターと出くわさない事くらいで」

「いや、それは明らかにその子(瑞光)に他のモンスターがビビっているからじゃ?」

「確か一つの山のヌシだったんだろう? この魔力と威圧感では仕方ない事さ」

 

 むしろモンスター除けとしては非常に優秀さ、と声を投げかけるコテツ。

 それに対し、僕の騎獣になっている瑞光は当然だ、とでも言う様に嘶きを返す。

 

『此処、国境地帯にして環境の変わり目に住むモンスター(非人間範疇生物)は得てして適応力、知性、そして危機感知力が高い傾向にあるからな。そうでなくば生き残れないのだ。致し方あるまいよ。己程の実力があれば、当然だがな』

「そっか、なるほどねー……生き残る為にあっちも大変なんだね」

 

 まぁ、僕は折角これからカルディナに行くんだから、戦利品(軍資金)は稼いでおきたいという気持ちもあったのだけどそれはさておき!

 

 ともかく、僕らはそんな風に黄河からカルディナへの旅路を進んでいるのであった。

 コテツとジェーンの馬型従属モンスターと瑞光への装具も、長い期間砂漠を渡る為の準備も万端だ。

 空は雲一つなく晴れ渡っており、商都を出発してからの旅程にも問題はなく、実に順調に進めてきている。

 新たな国へ向かうこの機会にあって雑談の種は尽きず、二人のカルディナあるある話を聞いて更に期待に胸を膨らませる――そんな最中であった。

 

 視界の先に見える景色に変化が出来たのは。

 

 空にはいつのまにか僅かずつ雲が差し、彼方には砂塵が渦巻く様子が見える。

 瑞光達が踏みしめていた硬い砂土は少しずつ柔らかな砂の成分が増していく。

 肌に感じる気温は更に温度を増し、【サーマルマント】や【サーマルリング】が無ければ著しく体力を奪われる程だろう。

 

 その変化、その境目こそが――<黄砂荒野>と<オルドース砂漠>の境界線。

 そして、龍の国黄河と、商業都市カルディナの国境線なのだ――

 

 

「……! いよいよみたいだね、カルディナ!」

「ああ、あそこを越えればマップの表記も変わる。正真正銘カルディナの領地に入る事になる」

「最初に目指すのはカルディナ南東、<迷宮都市エルトバウル>でいいんだろう?」

「うん、もっちろん!」

 

 カルディナ――新たな、次なる国を目前にしてテンションを上げる。

 そしてコテツの確認に、再度頷く。

 

 ただ最寄りのカルディナの都市を目指すのであれば、あるいはカルディナ最大の都市である<商業都市コルタナ>を目指すのであればこのまま一直線に西進するべきだ。

 あるいはカルディナの首都であり、僕も絶対行ってみたいと思っている<ドラグノマド>へ足を進めるにしてもその進路は北よりにすべきであり、全くの別方向だ。

 

 しかし。しかし、だ。

 僕がカルディナに行くに当たっての一番の楽しみ、一番の目当ての場所。

 それは<迷宮都市エルトバウル>が最寄りの、多くある自然ダンジョンの内の一つ。

 ――今は地上になき御使いと邂逅できる、唯一と言っても良いらしい場所。

 

「目標は――<()()()()>。全力で、期待して向かって行こうー!」

 

 確認されている中で、唯一野生の天使種族が生息していると言われるその場所へ。

 一直線に向かうのであった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□カルディナ・<天の回廊>

 

 そこは、幾つもの階層と区画に分けられた古の――先々期文明時代の人々を収納していた、大型居住施設の一つであった。

 多少の魔力を供出する事で人々が暮らすに十分な程の諸々を供給・生産する事が可能な、優秀なプラントだったのだ。

 

 そう、居住施設や保養施設として、プラントとしては、優秀だったのだ。

 

 大陸のド真ん中であり、最たる外敵も未だ飛来していなかった時期に作られたこの施設とそこに住む人々。

 彼らは当然の様に後に彼ら先々期文明時代の全てを滅ぼす“化身”達の侵攻を前に然したる障害ともならずに滅び去った。

 防衛戦力もなく、対策設備もないこの施設はその時、完全に終わりを迎えた。

 此処に暮らす人々は悉く死に絶え最早骨すら残らず、此処を運営していた機械群は“化身”達による攻撃と劇的な環境変化により僅かな復元すら不可能な程に壊れきった。

 後の時代の人々が、<遺跡>探索にと専門のジョブに就いた面々を派遣しても、隅から隅まで完全に探索し尽くしても……現在を、未来を生きる彼らが活用できる物は何一つ残ってなかった。

 その筈であった。

 

 

 しかし、今は違う。

 何らかの意志によるものか(些細なバグによって)、その最奥の礼拝堂に一体の天使が降臨してからは。

 

 

 

「――…………」

 

 その礼拝堂で今、女性の姿をしたモンスター(天使)が手を組み、瞼を閉じ、瞑想に浸っていた。

 純白の聖衣を身に纏い、輝く青髪に均整のとれた身体は、正に人々が想像する天使その物の似姿だろう。

 

 しかし――力を持つ者ならば理解できるであろう。

 それがただ美しいだけの存在ではない事を。

 膨大なリソースをその内に秘めた、神話に語られる程の力を持つ怪物(〈UBM〉)である、という事を。

 彼女こそが、この地に現れた最初にして契機となった一体目であるという事を。

 

 果たしてその彼女はこの場所(礼拝堂)で、祈りを捧げているのか、それとも思索を拡げているのか。

 

「――どうやら、新しい同族(仲間)が近くにやって来ている様ですね」

 

 正答は、後者。

 如何なる感知能力によってか、未知の同族の存在を察知し、()()の準備を始める。

 その邂逅の先に何が待ち受けるのか、天使である彼女も分からないまま。

 

 

 ――かの天使、【慧天一碧 アウクレイシア】と、唯一天使の身体(ボディ)を持つ<マスター>、ジーニアスの邂逅はもう少しだけ先の未来であった。

 

 

 

 To be Next Episode…………

 




ステータスが更新されました――――

《ウィンドブロゥ》:魔法スキル
 典型的な風属性の下級魔法スキルの一つ。
 瞬間的に強烈な風を生じさせる魔法で《ウィンドハンマー》の様にダメージを与える類の魔法スキルではないが、出力が高ければ高い吹き飛ばし(ノックバック)性能が魅力となる。
 また、それとは逆に出力を低めに行使する事で自身の身体や装備に付いた砂や塵、その他軽量の極小物質を吹き飛ばす事も可能。
 もっとも、適切な出力の調整を行える術者がまず少ないという如何ともしがたい事情があるのだがそれはさておき。
 ちなみに、他属性でも火属性で焼き払ったり水属性で洗い流したりする事で同様の事は可能とされている。
 各々に一長一短がありどの属性を用いるかは術者の好みとなる……が、この用途であれば概ね風属性が一番の人気であるのもまた事実なのであった。


 ――はい、今章も最後までご覧頂きありがとうございました!
 話数も日数もグランバロア編と同じくらい掛かっちゃいましたね。
 更新の方は不定期だったけどもジーニアスの旅路は中々に順調に〆られる事となりました。
 だがしかし、諸国漫遊編第三章、原作でも色々とアレなカルディナ編では一体どの様な冒険となるのか……乞うご期待です!

 そういう訳で例によって新章再開にはもう暫くお待ち頂きますがご了承ください。
 原作では絶賛僕好みの多くの<マスター>達の乱闘の様相と相成ってるので其方を一緒に楽しみながらお待ち頂きますよう。
 それでは、もし良ければ次章以降も見て頂ければ幸いです。ありがとうございました!
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