やっと続きを書いたんで、どうぞ読んでやってください!
感想もお待ちしております。
「……」
真っ白く、少しだけ広がった髪をみたソロはよろけ、二三歩後ずさった。どうして?僕の髪は黒かったはずなのに。
意味などわかるはずもないけれど、考えずとも答えは自ずと分かってきた。…あの出来事だった。自分に向けて放たれた沢山の石。確か棒切れでも殴られたような?
思い出すたび、ソロの身体の傷は一つずつ痛みを取り戻し、ソロをその場に疼くまらせた。
「あぁっ…あぁあ、い…い゛たいっ!あたま、いたいっ ほっぺもかたも、せなかもあしも…、おなかも、いたいよおぉ」
石と棒により散々に打ちのめされた身体。つい数時間ほどまえに受けた傷はまだ生傷で、まだ出血を続ける箇所もあった。腹に至っては内臓に損傷をきたす部分もあった。骨だって実は、数カ所折れていた。
このままでは貧血やらなんやらで危険な状態になってしまう。でもそんなことはソロにはわからない。だんだん冷えてゆく身体を両手で抱きしめ、気を失ったように眠った。
ソロが目を覚ますと、なんだか暖かい空気が体を覆った。…洞窟にしては妙に明るい。目をこすりながら起き上がる。身体は少し動かしづらかったが、前のようなものすごい激痛はかなり和らいでいた。身体にはオレンジ色の毛布がかけられている。
「おぉ、起きたかい」
その声に驚いて跳ね上がったソロが当たりを見渡すと、身体の大きな…まるでクマのような男が一人、炎を挟んだ向こう側に座っていた。
「…だれ」
喋ろうと空気を吸うと、肋骨がズキリと痛む。
ソロはそのとき、既に人間を信じられなくなりかけていたのだ。訝しげに、口数を少なくして相手に問いかけると その男はニコリと笑った。
「わたしかね?わたしはイケダって言うんだ。…わたしはこの近くまで探検にきていたんだ。そして、夜になったから寝床を探そうと洞窟に入ってみたら…君が倒れていたんだ」
「…そっか」
ふと、両手を見てみる。何か動かしづらいと思ったのだ。…すると、手には真っ白い包帯が幾重にも巻かれていた。左手はなんだか、首から布に吊られている。
「…ほーたい…」
「あぁ、君は随分とひどい状態で倒れていたからね。取り敢えず持っていた救急セットで応急処置をしておいたよ。左手は折れていたし、肋骨も足も折れている。動かない方がいい」
「…ふぅん」
既に「ありがとう」は言えなくなっていた。初めて巻かれた包帯を物珍しげに見て、イケダという男をじいと見る。
「…おじさん、おなかすいた…」
「そうだろう、君を見つけてからほぼ一日経つ。君は何も食べていないからね。…さて、じゃあカレーライスを食べようか」
イケダは炎の上で煮込まれていた鍋の蓋を開けた。すると途端にいい匂いがあたりに充満する。
「完全密封で早くできる鍋だからね、匂いも外には漏らさない」
「…ふぅん」
難しいと踏んだのか、ソロはふぅん、と一言だけ答える。
イケダはカレーライスとタッパに入ったご飯を合わせ、タッパごとソロの近くの高さある岩におく。信用し切っていない目でじっと見る子供に「食べなさい」と伝え、自分も皿に盛った。
「…どうしたんだい、…ああ、もしかして信用できないのかな?ではわたしから食べよう…ほら!」
「…」
口に一口放り込んだイケダは、こりゃうまいだなんていいながら笑って見せる。大きな身体に似合わず優しげな笑みに、ソロは知らず口を開いていた。
「…あぁ、手が動かしづらそうだね。わたしが食べさせてあげようか」
ソロは彼の言葉に口を開けたままこくんと頷くと、口元にきたカレーに息を吹きかけて食べた。
突如目を見開いたソロの頭を、イケダは優しく撫でる。…ソロにとっては数日ぶりのまともな食事だった。
「ふぅ、食べたね…それじゃあわたしはここで眠るよ。君も早く休みなさい」
「…うん、 おじさん…おやすみ」
その言葉にイケダは安心して目を閉じる。…暫くして、少し大きめのイビキが聞こえてきたところで…ソロはそっと抜け出した。
「…っ、ぅ…」
添え木を当てられてはいるが、折れた足は折れた足。腕も、所詮は折れた腕なのだ。
ソロの全身には非常な痛みが襲っているはずなのだ。なのに最初の呻き以外は一言も弱音を吐かず、脂汗を大量に吹きながら洞窟を抜ける。既に夜に差し掛かっていて、大きな満月がソロの白くなった髪を照らした。
「…おじさんと、いっしょにはいれない…いつか、うらぎるから。ぼくのほんとのすがたみたら、きっと…」
ぼそっとつぶやき、約一キロ離れた別の岩場に到着した彼は、運良く周りにあった草木を片手で広い集める。その岩場に入ると丁度いい窪みを見つけ、手頃な石で蔵のようなものを作り、そこに先ほど拾ってきた草木を並べた。…そして、よく寝ていたイケダの胸元から引っ張り出したライターとカンパンを取り出し、失敗して少しだけ火傷を負いながらライターで草木に火を付ける。 …このまま草を補充し続ければ火は持つだろう。
「…おじさんごめん、ぼくはひとりでいきるんだ」
つぶやいた言葉は、岩の間に吸い込まれていった。
カンパンももうほとんどなくなり、他の人間の住処に少しだけ近づいていたソロは、別の区域の残飯を漁りに行くようになった。足と腕、それに肋骨は、割とじっとしていたためにほとんど治っていた(ムー人の力だろうか?ソロの怪我は通常の人よりかなりはやく回復する)。残飯置き場で出会った別のガキどもと戦い自分がその中身を食べる。それを繰り返すうち、自然とソロの言葉遣いは短く冷淡に変化してゆく。それに伴い、少しでも強く見せようとして一人称も「俺」へと変えた。
既に捨てられてから2ヶ月が経とうとしていた。彼はこの2ヶ月でガラリとその印象を変えた。もうどこにも、母の愛を一新に受けていた彼はいない。見つかる度にいろいろなものを投げられ、前後左右から突然襲撃されようとも、彼は動揺一つしなくなった。
彼は、僅か4歳であるのに。
戦い、人を嫌ううちにソロは、ある道の駅に着いた。車通りが案外激しいが、天然の温泉があった。…そういえばもう3ヶ月近く風呂に入っていない。前まではこんなことなかったのに、と思いながら、人が適当に出入りするその温泉へと入った。
服を脱ぎ、そこにあった無料ランドリーへと放り込む。あとは勝手に動いてくれる。ソロは説明書に書いてあったことをきちんと読んでおいた。
マナーなのでシャワーで全身を洗う。…このときの、自分の身体を滑り落ちた湯が黒かったのは仕方がないことだ。
ようやくさっぱりしたところで、彼は温泉へと足をつけた。つい先月5歳になったばかりの彼の柔肌に、41度の湯は些か熱すぎたようだった。
「っ、あつい 」
文句を言いながらも全身浸かり、(この時下唇のしたまでお湯がきて焦ったが)身体がほてり始めたと同時にソロの目から一筋の涙が零れた。
「…なんだ…?」
まぁ、きっと汗だろう。
荒んだ心の悲鳴に蓋をして、ソロは風呂を上がった。
ちょっと長風呂だったためか、ランドリーにいれていた服はしっかり乾いていた。いまの洗濯機は手早く乾くから便利である。しかもシワはほとんどない。
「…どうするかな、…」
ソロが道の駅の中を見回すと、不思議なパンフレットがあった。
手にとって、読めない感じはすっ飛ばして中を読んでみる。
「むー…?」
カタカナでムー、と書かれたその文字を、ソロが読み取る。
なぞのたいりく、とルビが振ってあった。どうやら幻の存在らしかった。
「…おれも、ムー… …いってみるか」
そのムー大陸が見える場所は、今ソロのいる場所から数キロ先なだけであった。
はい!少しずつ今に近づいてきたソロ!次回からはもっとわけがわからなくなります(私は流星2を持っていませんので…はい、細かいことがわからないんです)
今後ともよろしくお願いします。