前世は管理局員だったけど、今世は安全に生きたい   作:落日

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1年以上かかってるんですけど…

書いてて思ったけど、設定とか理解できてない。
「この設定おかしくない?」とかあったら、指摘をお願いします。


教えようと思ったら、思い出しました

桜が舞い散る空の下。

この日、二葉達は晴れて小学1年生となった。

 

「姉さん!早く、早く!」

 

「分ーかったって。そんな急かさなくても、ちゃんと教えるって。」

 

一葉と二葉は、近くの公園に来ていた。

元々、人気の少ない公園だったため、人目をはばかるには良い場所だった。

しかし、それでも人はいる。

結界を張れば何のことは無いのだが、それは出来なかった。

 

(父さんと母さんにバレないようにしなくちゃ。)

 

二葉の両親は、魔導士だった。

強力な魔力を保有しているだけでなく、その魔力を自在に扱える人物だった。

二葉がそれを知ったのは、一葉に魔法を教えると約束した後だった。

いつも両親が何かを大切そうにしているのを見ていたため、好奇心に負けて見てしまった。

それは魔法の補助をしてくれる機械…デバイスだった。

デバイスを扱う…という事は、魔法を行使する職に就いていたという事。すなわちそれは、二葉と同等以上に魔法を扱えるという事だった。

そんな両親の近くで結界を張ろうものなら、すぐに察知されてしまう。

それは、『今世を安全に生きる』という目標をもった二葉にとって、とてもまずいものだった。

一葉にはバラしてしまったが、情報というのはどこから漏れるか分かったものでは無い。

例え、それが世界で1番信頼に値する人物だったとしても、その人物が情報を漏らさない確証はもてない。

 

「んー…もっとあっちの方でやろうか。」

 

「え?どうして?」

 

二葉なりの、人目を極力避ける上での提案だったが、一葉には伝わらなかった。

魔法を教えてもらう、というので頭がいっぱいらしい。

 

「父さんとか母さんにバレるかもしれないでしょ?『そんな危ない事させられるか!』って怒られるよ。」

 

「…うん。じゃああっちに行こう!」

 

両親にバレると困るのは二葉も同様なので、すんなり受け入れてくれた事に胸をなでおろした。

 

―――――――――――――――

 

「この辺がいいかな。」

 

周囲を見渡し、誰もいない事を確認した二葉は足を止めた。

 

「じゃあ約束通り、魔法の使い方を教えるよ。」

 

「うん!」

 

待ってました、と言わんばかりの返事に、二葉は多少あきれた。

 

「前にも言ったと思うけど、私は『魔力の操作の方法』は教えるけど、魔法そのものは教えないからね。」

 

「うん…それは自分で練習しろ…だったよね。」

 

二葉は、あくまで魔力の制御だけを教えると、以前一葉に伝えていた。

一葉の求めているような『魔法らしい魔法』は、二葉が使える魔法にはないし、使えたとしても、それだけ教えて暴走などされた日には目も当てられない。

故に、魔力制御の方法だけ教え、あとは自分の理想を求めていけばいいと二葉は判断した。

 

「まず、ちょっと触れるね。」

 

「?うん。」

 

二葉は一葉の首に手を当てる。

そしてゆっくりと自分の魔力を一葉の中に流した。

 

「っ!!」

 

一葉は、今まで感じた事のない感覚に思わず、息を呑んだ。

その様子を確認すると、二葉は手を離した。

 

「今感じたのが魔力。それを一点に集中させる事から始めよう。」

 

「今のが…」

 

一葉は呟くと、瞼を閉じて手を前に出した。

どうやら、手先に集めようとしているらしい。

 

(まぁ、それがすぐ出来れば苦労はしないんだけど。)

 

かつての自分を思い出し、二葉は溜息を吐いた。

 

「んー…うぅ…あっ、来た!」

 

「そうでしょう。そんな簡単には…え?」

 

一瞬自分の耳を疑った二葉だったが、ソレを見た瞬間、言葉を紡ぐことが出来なかった。

二葉の視線の先には、ポゥ…と一葉の手先に淡い緑色の光が集まり、小さな球体が構成されていた。

 

「出来たよ、姉さん!!」

 

「…嘘でしょ…」

 

呆然とする二葉と、歓喜する一葉。

そのシチュエーションが、二葉のかつての苦い思い出をフラッシュバックさせた。

 

「…」

 

「ね、姉さん!これ、どうすればいいの!?」

 

手先に集まった魔力の処理の仕方を知らない一葉は、二葉に助けを求めた。

しかし、かつての光景を思い出している二葉に、その言葉は届かなかった。

 

「…姉さん?…姉さん!!」

 

「っ!?あっ…な、なに?」

 

二葉の異常に気付いた一葉は、一際大きい声で二葉を呼んだ。

その声で、二葉はようやく戻ってくる事が出来た。

 

「これ、どうすればいいの!?」

 

「あ、あぁ!えっと…ぉー…その集めたのを、空中に撒く感覚で霧散させて。」

 

「え、えぇ!?そんな無茶な!?」

 

「…いや、出来るよ。…多分、出来ちゃう。」

 

「うぅ……うん…!やってみる!!」

 

一葉は再び瞼を閉じ、集中し始めた。

すると、集まっていた光が徐々に霧散し始めていく。

 

(…そっか…やっぱり…)

 

二葉はそれを遠い眼で見守っていた。

もしかしたら、何かが起きるかもしれないと。

その時は自分が守ろうと考えていた。

しかし、一葉は結局、言われた通りにこなしてしまった。

二葉が半月もかけて達成したことを。

 

「…やった…やったぁ!!」

 

己の成功を無邪気に喜ぶ一葉。

その姿は確かに微笑ましいものであったが、二葉はそうはいかなかった。

膨大な魔力量と、神に愛されているとしか思えない才能。

そのどちらも、二葉が幾度となく欲し、羨み、恨んだものだった。

成功したことは喜ばしいのだが、二葉は素直には喜べなかった。

 

「これで魔法が使えるようになるの!?」

 

一葉は興奮冷めやらぬ、といった勢いで二葉に尋ねた。

二葉の胸の奥がジクリ…と痛んだ。

 

「そ…う、だね…それを瞬時に出来るようになれば、上出来じゃないかな…」

 

「本当!?よーっし!」

 

言うが早いか、一葉は早速練習に取り組む。

まだ覚束ないが、それでも確実に感覚は掴んでいた。

 

「…っ…」

 

二葉はそれを見ていられなくなり、静かにその場を後にした。

 

―――――――――――――――

 

二葉は玄関を開け、「ただいま」と声を掛けた。

その声は、どこか暗いものが含まれていた。

 

「おかえり。…あら?一葉は?」

 

「あぁ…まだ公園。もう少し遊んでるって。」

 

二葉を迎えた母は、一緒に出掛けた筈の一葉が居ない事に首を傾げた。

二葉は努めて冷静に返事をする。

だが、親の目はそう簡単に欺けられるものでは無かった。

 

「…なにがあったの?」

 

「なにがって…何もないけど?」

 

問い掛ける母に、二葉はあくまで白を切る。

母親はどこか釈然としない表情を浮かべながらも、それ以上踏み込む事はしなかった。

 

(何もない…何もあっちゃいけない…)

 

二葉は自分を律するように、心の中で言い聞かせた。

 




相手に自分の魔力を流すとか出来るんですかね?
一応、普通は出来ない設定で書きました。
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