人里の入り口で霧人とアリスは待ち合わせをするも、霧人はそれに遅れ怒られてしまう。
そして、アリスは霧人に霧人が倒れていた所を助けた人物の所へ案内される。だが、そんな中霧人はまだ半信半疑の部分は存在していた。魔法、能力、妖怪、そして幻想郷の存在を。そんな中、霧人はアリスの案内で霧人が倒れている所を発見した少女、霧雨 魔理沙の家に連れられ、互いに顔を合わせる。
そして、霧人の消えた記憶を辿る物語は幕を開けたのだった………
アリス「えっと、おほん。とりあえず挨拶は終えたし、消えた記憶をどうやってその穴を埋め合わすのかしら?」
そう、この件において、いくらどれほどの目標があろうと最終的に立ちはだかる壁は「記憶」なのだ。
この件は、霧人の消えた記憶探しでもあり、単なる冒険をすれば良いわけではない。どんなに幻想郷を巡ったからって、勝手に記憶が戻るなんて都合の良い話は無いのだから。
魔理沙「んー……私的には[紫(ゆかり)]はどうだ?もしかしたらあいつが連れてきたんじゃないのか?」
アリス「それはあるかも…ね。」
会話を聞いていると、なにやら名前らしき単語が出てくる。
紫……アリスの反応からしてもおそらくその人(?)が連れてきたのだろう。
アリス「でも記憶は?彼女の能力は[境界を操る程度の能力]よ?到底霧人の記憶については関係無いと思うのだけれど……」
魔理沙「なら[レミリア]はどうだ?」
アリス「あの[吸血鬼]が?」
また聞きなれない名前らしき単語が出てくる。
魔理沙「あいつの能力は[運命を操る程度の能力]とかなんかだったよな?」
アリス「…まさか、あの吸血鬼に頼んで霧人の過去の[運命]を見てもらおうとでも?」
どうやらそのレミリアという吸血鬼なら霧人の失った記憶の部分の運命を見てもらい、それで記憶を取り戻そうとするようだ。
霧人「(紫?レミリア?なんなんだ…全く話についていけない……)」
アリスと魔理沙は先ほどの会話から簡単について行けているようだが、霧人にとってはさっきから運命やら吸血鬼やらと、まったく話についていけない。おそらく、その紫という人物とレミリアという吸血鬼なら霧人についての記憶を知っているのだろう。
魔理沙「…霧人ー?大丈夫かー?」
霧人「……ぜんぜん話についていけないです……」
アリス「でしょうね…能力とか幻想郷についても半信半疑のあなたがそう簡単についていけるとは思えないわ。」
呆れた表情で言いかける。
魔理沙「とりあえず、教えておいたほうがいいよな。あの二人については。霧人はどうだ?」
霧人「…お願いします。」
アリス「分かったわ。まずレミリアからね。レミリア・スカーレット、さっきから言っているとおりに吸血鬼なの。彼女にも私みたいな能力もあり、能力は[運命を操る程度の能力]
もう少し説明すると、この幻想郷にある赤い館、[紅魔館]の主人でもあるの。」
霧人「へぇ……」
そう聞いてみると、どのくらいの威厳やカリスマ性があるのかと少し考えてみる。恐らく、紅魔館という館の紅魔とは吸血鬼のことであるのだろう。その主人と聞くと、やはりレミリアという人物は吸血鬼なのだろう。
アリス「あとは、これはあまり知らなくてもいいだろうけど、とりあえずもう1人説明するわ。」
霧人「誰を?」
魔理沙「紫のことだろ?」
アリス「えぇ。八雲 紫(やくも ゆかり)この幻想郷を作ったともいえる人物よ。」
幻想郷を作る。言わばかなりの重要人物でもあるのだろう。だが、霧人には分からなかった。妖怪とは人間を苦しめる立場であるのに、その妖怪が生ける場所を紫という人物は何故作ったのか。どんな思いを込めて作ったのか。霧人には分からなかった。
霧人「幻想郷を……か。でも、その紫という人はなんで妖怪のいる幻想郷を作ったんだ?」
アリス「……」
真剣な表情で黙り込む。
霧人「妖怪ってさ、人間を困らしていたんだ。でも、その妖怪を何故住める場所として幻想郷を作ったんだ?」
アリス「さぁね…彼女の思っていることは私たちみたいな凡人には到底理解できないでしょうね。」
霧人「そう…か。」
霧人はふと思う。もしかしたら、紫という人物は妖怪と人間を分別するために幻想郷を作ったのではないのか。霧人のいた世界は文明は発展し、技術能力はかなりの物とは覚えている。そこで過ごしていた記憶もある。だが、何故記憶の一部が無いのか、それは分からないことであった。
魔理沙「でもさ、なんで幻想郷を作ったとかなんてさ、霧人の記憶には関係してないだろうから気にすることないだろ。」
アリス「それもそうね。」
霧人「………」
またさらにふと思う、というより思い出す。数秒前、霧人は人間の住む人里を知っているのだ。それだと人間と妖怪を分けるという一つの考えには矛盾が生じる。だからまずそんなことはないと考えるのが妥当だろう。
魔理沙「……霧人?」
霧人「……ん?」
ふと真剣に考えてしまっていたのか、周りが見えていなかったようだ。
アリス「まさか……なんで幻想郷が作られたのかとか考えていないでしょうね?」
霧人「………」
意表を突かれたのか固まってしまうと、魔理沙は
魔理沙「アッハハハハ!」
ものすごい笑顔で思い切り笑い始める。その横でアリスはものすごい呆れながらため息をついている。
魔理沙「ちょ……おま…記憶と…関係もしてないだろう…ことを…真剣に……!」
腹を抱えながら思い切り笑っている。相当つぼだったようだ。
アリス「あなたねぇ…そんなことを真剣に考えてもいつまで経っても切りが無いわよ?」
霧人「……だな…」
かなり恥ずかしい思いをしているのか、声がかなり縮こまっている。自分でと馬鹿らしく思えてきたのだろう。
魔理沙「いやぁ〜…笑った笑った…あー苦しい……」
やっと笑いがとまる。恐らくかなりの時間笑っていたのだろう。
魔理沙「さてっと、こっからどうするかだな。」
アリス「とりあえず紅魔館に連れてってみれば?」
すると、少し真剣な表情になり、
魔理沙「……危険じゃないか?アイツは何を突然やってくるか分からないんだぜ?下手したら気に食わなくて殺すかもしれないぜ?」
霧人「えー……」
何そのわがままな…と思う。紅魔館という館の主人としてそれは大丈夫なのか?とふと思う。
アリス「だったら守ってあげればいいじゃない。」
まるで他人事かのように話す。
霧人「?アリスは行かないのか?」
アリス「なんで私まで行かなければならないの?」
まさかの質問を質問で返してくる。その発言で霧人の考えは詰まってしまう。
魔理沙「まぁ、そうだな。元はと言えば私がアリスを勝手に巻き込んだようなもんだしな。」
アリス「本当よ…魔理沙が見知らぬ人間の男性を引きずりながら連れてきたから驚いたわよ……」
魔理沙「仕方ねぇじゃん!箒に乗せるにも気絶してたんじゃ落ちるかもしれねぇし、第一担いで家に行くほど私は筋力はねぇし、まだ私の家からは割と距離あるし、それにこいつ(霧人)が倒れていた場所がお前の家に丁度近かったからお前の家に連れてきたんだよ!」
必死の言い訳である。ふと霧人は苦笑する。
魔理沙「なーにが可笑しいんだよー…」
霧人「いや、意外と乙女なんだな、と思ってさ。」
すると胸を張り、強気な顔で。
魔理沙「そうだぜ!これでも私は乙女なんだぜ!!分かったかぁ!」
と言いながら力強くアリスを指差す。
アリス「そうね。乙女(笑)ね。」
魔理沙「一言余計だ!!」
霧人「違うのか?」
魔理沙「おまえら………」
ちょっと傷ついたのか、少ししょんぼりとする
魔理沙「ともかく!私1人じゃ心もとねぇし!霧人を守り切れるか分からないんだよ!」
話を切り出すかのように力強く言うも、少し泣きそうである。
霧人「…なぁ、その台詞ってさ、俺と君……立場逆じゃないのか?」
魔理沙「なんだよー…私じゃあ頼り無いってのか?」
少しいじけたように頬を膨らませながら言う。それに対し霧人は
霧人「だってさ、か弱い乙女に守られる男ってどーよ?」
と言うと
魔理沙「お前なぁ…私を乙女と思っているのか思っていないのかが分からないんだぜ……」
霧人「その中間じゃないのか?」
魔理沙「じゃあ、なんて言うんだ?」
アリス「そうね……女?」
霧人「そのまんまだな……」
と、かなり話がそれかけているところで魔理沙は話を戻す。
魔理沙「ともかくだ!霧人と紅魔館に行くのに1人じゃ心もとないんだっつ!」
と言っても、アリスは嫌だと言っている。言わばアリスはただ巻き込まれただけ。霧人の記憶の事情を知っていえど、それでもアリスは巻き込まれたという立場があっているのだ。
アリス「それだったら、[霊夢]に頼めば?」
話を進めていると、また聞きなれない名前らしき単語が出てくる。
霧人「霊夢?」
魔理沙「あぁ、まだ言っていなかったな。まぁ、霊夢の紹介については紅魔館に行く時に教えるからさ。」
霧人「?今日は行かないのか?」
と言うと、横からアリスが警告をするかのように
アリス「あなた……吸血鬼って知ってるわよね?」
吸血鬼とは、その名前の通り人間の生き血を好む悪魔的存在、
No life king(不死の王)である。
霧人「もちろん。」
霧人のいた世界には吸血鬼は存在しないが、映画などで知ることはできるようで、霧人は知っていた。
アリス「じゃあ、今の時刻分かる?」
霧人はふと時計へと目をやると、時間は16:45を指していた。
霧人「…もう夕方か。」
思えば、この日は霧人は気絶から目が覚めてからいろんなことが起きた。目が覚めたら見知らぬ世界、霧人がいた世界には存在しない妖怪の存在を知り、この世界は幻想郷と言い、幻想郷の人里の人たちの服装によるちょっとした衝撃、ともかくこの日はいろんなことが起きていたせいか、時刻はすでに夕方を指していた。
アリス「その通り、夕方ということは夜を好む吸血鬼の活性化する時間帯に近い証拠なの。だから今紅魔館に向かえばあまり出くわしたくない吸血鬼とばったり出くわすなんて言う嫌な出来事が起きるのよ?それだけはいくら魔理沙でも御免でしょうね。」
長々と説明してくれたが、吸血鬼は朝日を嫌う性質があるのだ。
霧人「そっか、太陽の光を好む吸血鬼的にはとても好都合の時間帯に近いのな。それはさすがに嫌だな。」
吸血鬼を知っている霧人にとってはこういうことも知っているため、さすがに好ましくないようだ。
魔理沙「まぁそういうこった。どうする?いつ行く?」
霧人「いつでもいいのか?」
魔理沙「おう!いつも暇だしさ!」
そういうとアリスが霧人の耳元で、
アリス「霧人。」
魔理沙には聞こえないようにかなり小さな声でボソッと言いかける。
霧人「なに?」
アリス「これでも魔理沙は魔法使いでその上[霧雨魔法店]を開いているの」
霧人「つまり、働いていると?」
アリス「そういうこと。」
働いているのにも関わらず、暇ということは、森の中だからかとても人気がない上にまったく繁盛していないという意味か、単に魔理沙が自由人で、てきとうに森の中を探索しては魔法研究の材料を集めたりしているのだろう。
魔理沙「なんか言ったか?」
何かに感づいたのか、疑問を感じている表情でアリスを見る
アリス「別に?」
魔理沙「?そう…か?」
アリス「えぇ。」
魔理沙「ふむ……」
何か腑に落ちないような表情になる。コソコソと話したためか、どんな会話なのかと気になるのだろう。
魔理沙「まぁいいや、で?霧人はいつがいいんだ?」
唐突に話を戻す。
霧人「あぁ、魔理沙にとっても都合のいい時間でいいよ。」
先ほど「いつでも暇」と言っていたのに、霧人はそういう。「いつでも」ということは、魔理沙にとっての都合のいい時間は溢れるほどあるのだ。
魔理沙「じゃあ明日でいいか?」
霧人「あぁ。構わないぞ。」
魔理沙「じゃ!決まりだな!明日の朝に出ようぜ!」
アリス「結局1人で行くの?」
魔理沙「いんや、ついでに博麗神社に行って霊夢を拾ってくるさ。アイツも暇だろうしさ。」
お前が言うか、と言いたくなるも、霧人は本音を抑える。だが、
アリス「あなたが言う?」
霧人の抑えていた本音をアリスはさらりと言う。抑える必要も、隠す必要もないと感じたのだろう。
魔理沙「……否定はしないぜ。」
否定はしないようだ。実際にそうだ、と魔理沙自身も分かっているのだろう。
霧人「(そこは抑えようよ…アリス…)」
アリス「?どうしたの?霧人。」
霧人「…なんでもないよ。」
アリス「?」
先ほど魔理沙のした腑に落ちないような表情を今度はアリスがする。
魔理沙「ま!そういうこった!改めてよろしくな!」
と言いつつ手を伸ばす。
霧人「こちらこそな。」
伸ばした手を掴み、握手をする。
夜……魔法の森にて……
霧人「ふぅ、アリスって料理うまいんだな。」
アリス「そう?」
あの後、一通り会話を終わらしたら魔理沙が「それよりアリス、腹減った!なんか作ってくれ!」と言ってきたので、人里に立ち寄り、再度買い物をしたあとまた魔理沙の家に戻り夕食を終わらしたのだ。
霧人「それにしても、いつの間にか夜だな。」
アリス「そうね。少し時間を過ごしすぎたのかもね。」
時間はすでに19:00を回っており、周りは電気が通っていないためか真っ暗で、視界もとても悪い。ゆういつの明かりが月の光のみである。こんな時に妖怪と遭遇したらどうなるのだろうかと少々不安になりつつも魔法の森からアリスの家へ戻るために足を進めている。
霧人「見通し悪いな……」
森の中なためか、今のどこへ進んでいるのかが分からない上、どこに何があるのかも分からない。周りにあるのは木々のみである。昼間のあの明るさからの暗さとはとても考えにくい。
アリス「そうね…特に足元には気をつけてね……キャ!?」
と言った瞬間これである。何かにつまづいたのだろう。
霧人「っと。」
ほぼ反射的に反応し、アリスを腕で受け止める。
霧人「言ったそばからこれかよ……しっかりしてくれよ…」
アリス「ごめんなさいね、不用心で」
言ったそばからのこれであったため、とても恥ずかしいのか少しいじけ口調になる。ふとアリスの足元を見ると木の根に足を引っ掛けたようだ。
アリス「ってあら……?」
すると、僅かに刺す月の光を利用し、霧人の手を見つめ始める。
霧人「どした?」
アリス「………いえ、なんでも…ないわ……」
とても真剣な表情になりつつ、また歩みを進める
アリス「…(まさか……嫌でも……あれは……)」
アリスの家………
外が真っ暗になっているのか、アリスの家の部屋の一つが明かりを灯している。
アリス「………」
そこには眼鏡をかけながら真剣な表情になっているアリスがいた。部屋はどうやらリビングのようだ。そして、その側には紙にペン。何も喋らずに何か、陣のような物を描いている。
アリス「…できた…」
紙には一筆書きで書いた星にその周りを丸い円で囲っており、一筆書きで書いた星の上には到底読めないであろう文字が書いてある。いわゆる[魔法陣]である。
アリス「………」
何か念じ始めると魔法陣が光だし、星の中心からとても細長い糸のような物がでてくる。
アリス「……(私が人形を動かしているのと同じ糸……なのに陣形が違う上、見たことない術式……そんなことはあとで考えればいいわ……でも…)」
何かを深く考え込むような表情になる。すると、そっと口を開ける。
アリス「……どうして……」
何かに困惑したような表情で
アリス「どうして…こんな物と無縁のはずの……霧人の手に…?」
第五話へ続く…………