HuGっと!プリキュア ~運命の白黒~   作:イタチ丸

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第9話 ほまれの決断

休日、ピクニックに誘われた俺は一足早く公園に着いてしまった。こんな生温い気温の中どうしようか迷っていたのだが、ベンチに座って本を読んでいる俺の親しき後輩、津島綾介の姿が見えたので暇つぶしに会話をすることにした。

綾介は俺のしょーもない愚痴とかを最後まで聞いてくれる頼もしい奴である。正直、後輩に愚痴る先輩ってどうなのって自分でも思ってしまうが、本人は「気にせず、いつでも話し相手になりますよ」との事。

 

「若宮アンリ。中学三年生でありながらも出場したフィギュアスケート大会は全て優勝…輝木先輩といい、先輩の友人って凄い人多いですね」

「実を言うともう1人いるんだけどな。にしても、なーにが「ほまれを、ここに縛るのはやめてくれないか」だよ。カッコつけた上に勝手に俺らを悪者扱いするとかそろそろやばいと思うんだけど」

「…まあ、言い方うんぬんは置いといて、先輩たちと御二方とはいくつか差があると思うんですよね」

「まあね、そう考えるとあいつの言い方に過剰反応し過ぎか…」

 

少なからず、俺とほまれは居る場所の次元が違う。あいつは夢を持ってるけど俺は何一つ持っていない。だから、アンリの発言に苛立ちを覚えたんだと思う。

色々と考え込んでいると、遠くから俺を呼ぶ声がした。

声の主を探ってみると、此方に向かって手を大きく振っているはなの姿が。勿論、他の皆んなも集まっていた。

 

「んじゃ、俺そろそろ行くな」

「分かりました。では、また明日」

 

 

 

 

 

綾介side

 

「噂話なんて、カズトと君は変な趣味してるんだね」

 

先輩に別れを告げ、本の続きを読もうとした時、突然背後から声がした。明らかに俺に向かって言っているんだろうと思い、振り返ってみると若宮アンリの姿があった。

 

「他人の会話を盗み聞きするなんて変な趣味してるんだな、あんた」

「へえ、そういう事は遠慮なく言うタイプなんだ。まあいいけど…それより、君が話を聞いたところでどうするの?」

「別に何もしないし、正直あんたらの事なんてどうだっていい。俺はただ先輩の愚痴壺になれていれば満足だからな」

 

俺みたいな部外者が割って入るような事じゃないからな。俺は言いたい事を遠慮なく相手にぶつけた。

 

「けど、次先輩の事を『変な趣味してる』とか馬鹿にしたら許さねえからな…」

 

最後にそう吐き捨てて、俺はその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

ほまれside

ご飯を食べたり遊んだりとピクニック気分を満喫した私達は、しばらく自由行動を取っていた。その中で私とカズは例の件について話し合っていた。

 

「ねえ、私がモスクワに行くのどう思ってるの…?」

「んー…何だかんだで俺は行っても良いと思うよ。アンリの言ってた事は正直気に食わないけど、2人はちゃんと夢持ってるんだもんな。少なくとも俺じゃ届くことなんてない夢をさ。それに、お前が世界で活躍する姿見たいし…!」

 

そう言ってカズは私に励ましの言葉をくれる。でも、表情は笑顔だけど、内面は隠す事は出来なかったのかな、何処か寂しそうだった。止めてよ、そんな顔されたら私が気を遣わせてるみたいじゃん…。私は言いたい言葉が見つからないでいた。

 

「ほまれ」

 

いきなり声をかけられ、振り向くと後ろにアンリがいた。

 

「ボクはほまれがスケートをやめたのが凄くショックだった。やっと復帰したって聞いて本当にうれしかった、なのに…。ほまれと同じ世界を見られるのは、ボクしか居ないんだよ。あの子たちには無理だ。赤ちゃんの御世話をしたり、お店屋さんの真似をしたり、それって…今のボクたちに必要なこと?一緒に行こう。友達と遊ぶのは、引退してからでも出来る」

「そんな…」

 

いきなり、近くからボソリと呟く声が聞こえた。

見ると、ロッククライミングを登って私達の元へ来たであろうはなの姿が。

 

「立ち聞き?良い趣味してるね」

「ごめんなさい!思わず…」

 

はなは両手を合わせて謝罪する。

 

「まあボクも人のこと言えないか…でも、邪魔しないでって言ったよね?」

「でも、ほまれ、凄く困った顔してるから…」

「じゃあ君、ほまれの為に何が出来るの?」

 

私のために出来ること……はなはその問に笑顔で答えた。

 

「私、夢応援するよ。フレフレ、ほまれ!頑張れ、オッー!」

「ごめん、君って無責任だね」

 

アンリは睨みつけるような冷たい視線をはなに向けた。

 

「ちょっとアンリ!いい加減に…」

「頑張れって言われなくってもほまれは頑張るよ。応援なんて誰にも出来る。その無責任な頑張れが彼女の重荷になってるんだよ」

「いい加減にしろよお前…!」

「ちょっと、こんな所で喧嘩始めないでよ…!」

 

あまりな態度にカズはキレてしまい、アンリの服の襟を掴もうとする。私はその手をがっしりと抑えた。

 

「カズト、君はほまれの隣にいながら何かしたの、出来たの?どうせ君も彼女みたいに重荷になるような無責任な応援しか出来なかったんだろうね」

「…そうだよ、俺は所詮そんなのしか出来ない。今のほまれがいるのもはなやさあや、ハリーやはぐたんのおかげ。俺はずっとその後ろでコソコソと見守っただけだからね」

 

このままじゃきりがない、一体どうすれば…。そうだ!

 

「ねえ、皆んなに見てほしいものがあるんだ」

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

俺達はほまれに連れられ、スケート場に来ていた。

 

「何?見せたいものって」

 

不満げな、そして機嫌の悪そうな口調で問いかけるアンリ。

 

「アンリの言う事は間違ってないよ。ジャンプが飛べなくなったショックで…私、頑張れって言われる度に凄く辛かった。皆から応援される度にそんな資格ないって心がギュッとなって、私は一度、逃げた」

「分かるよ、そんなほまれを救えるのはボクだけだ」

「けど、私に新しい世界を見せてくれたのは…はなとさあや、そしてカズだから」

 

こうやって感謝されても、俺は素直に喜べない。陰でコソコソと隠れて、ほまれは勿論皆んなを見守っていた…というより他人任せの方が正しいかな。それなのに何であいつは俺にも感謝するのか、疑問しか浮かばなかった。

 

「はな、フレフレして」

「ほまれ…うん!!フレフレ、ほまれ、頑張れ頑張れオッー!」

 

さっきアンリが「応援なんて誰にでも出来る」とか言ってたけど、これは野乃はなという人物にしか出来ることのない応援だと思う。誰かの応援であんなに笑顔になるなんて早々ないよ。

 

「私はもう一度…皆の頑張れを背負って…!飛びたい!」

 

そう言ってほまれは自分自身のスケートを始めた。ほまれの姿はただただ美しく、さあやの時のような天使の羽が生えているようだった。

アンリもそんなほまれの姿に見惚れているようだ。

 

「確かに応援なんて誰にだって出来る、ただ頑張れって告げるだけだからね。でも、あんなに全力で応援出来るやつは然う然ういないと思うよ」

「何で彼女は誰かの為に…」

「その人を本気で信頼してるから、かな。応援されてる人も自分を信頼してくれる仲間がいるからこそ、今の自分がいる。今の状況、まさにそんな感じじゃない?」

 

面白いな。普段ここまで深く考える事なんてないのに、しかも自然と考えが口に出てしまう。俺もああいう感じに助けられたから、かな…。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「渋滞なんて、人生で最も無駄な時間よね」

「まあいいじゃねえか、お陰でミライクリスタルを奪う手間が省けたんだからよ」

「…何で社員でもない( ・・・・・・)あんたがここにいるのよ。ていうか、早く姿を見せなさいよこのインテリ男!」

「…いいだろ別に、俺だってプリキュアの力を間近で見たいんだよ。あのアンドロイドの分析をも覆すような奴らなんだろ?ほら、来たぞ」

 

うわ…今回は渋滞してる時に出て来たのかよ。周りにめっちゃ被害出そう。

てか、さっきから何であのおばさん一人でキレてんの?あっそっか、明るい未来を消すことが仕事とか言ってる奴だからついに人格までも…おっと、ここからは言わないでおこう。

 

「来たわね!プリキュア!さっさとやっちゃいなさい!」

 

パップルがそう言うと、すぐにオシマイダーが突進してくる。

だが、やっぱりこの手の技には慣れているようだった。すぐに回避し、背後から攻撃する。するたオシマイダーは前のめりに倒れた。

いや、隙だらけにも程があるでしょ。このデカ物といいおばさんといい学習しようよ…。

 

「もう〜何やってるのよ!私に無駄な時間は許されないのよ!」

オシマイダーが手古摺ってる事が余程不満なのか、焦りながらパップルはそういったのだった。

 

「無駄な時間…?」

「何なのよ?」

 

その言葉に反応したエトワールに対して、挑発をするパップル。

 

「人生に…無駄な時間なんか無い!」

「はぁ?無駄話は時間の無駄よ!」

 

無駄無駄うるさいな〜…頭おかしなるで。

 

「ほまれさん…あんな奴にそんな事言っても時間の無駄いひゃい!」

 

無言で俺の頬を抓ってきた。だってそうじゃんよぉ!グダグダ口喧嘩してる内にデカいのにやられるかもしれないし…!

俺の頬から手を離し、再度パップルの方へと振り返る。

 

「とにかく、私は…仲間と過ごす時間がとても愛おしい!」

 

エトワールからまばゆい閃光に包まれると共に、アンジュのハートフェザーとエトワールの新必殺技ハートスターでオシマイダーを吹き飛ばした。

 

「エール!!今だよ!!」

「フレフレ・ハート・フォー・ユー!」

 

エールの必殺技によりオシマイダーは浄化された。チャラ男の時は結構手強く見えたけどおばさんにチェンジした途端あっけなく終わってるって感じなんだけど。

 

「あんなデカいのをこんなあっさり…ふーん、中々やるじゃねえか。じゃ、次は俺の番だな…」

 

別の誰かの声が聞こえたんだが、気のせいか…。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

夕方、俺はもぐ公と散歩に行っていた。

今日のもぐ公は非常に機嫌が良い。一度目にした蝶を全力で捕まえようと走り回っている。機嫌が良いのは嬉しいけど、その分飼い主の負担が異常な程かかる。頼む、誰か飼い主とペットの感情を共有出来る物を発明してくれ。

 

「あっ、すんません」

 

走り回るもぐ公に夢中で偶然通りかかった人とぶつかってしまう。

俺は軽く会釈をしながら謝るが、その人はしゃがみ込み、もぐもぐの頭を撫でた。すると、持っていた本を落としてしまう。

俺はそれをすぐに拾い、差し出す。

 

「元気だね」

「はい?」

「とてもとても、美しい物語なんだ。その世界では皆が、明日への希望に満ちていた。人はそこを楽園と呼んだ。しかし永遠に続く煌めきは存在しなかった。美しい物語…」

 

ひぇっ、何かめっちゃ語り出してるんですけど。不審者っぽい顔には見えないけど、人は見た目で判断しちゃいけないっていうし…。

でも、凄い意味深な事言ってたよな。明日への希望に満ちていたとか。タイトルも書いてなかったし、帰ったらちょっと調べてみるか。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

翌日、今朝は昨夜の件について考えながら登校していた。

タイトルのない本はたくさん載ってたけど、昨日のは無かった。模様とかもちゃんと確認しとけば良かったわ。

その時、教室の扉が強く開かれた。そこには、珍しく焦っている綾介の姿が。

 

「先輩、ちょっと来てください!」

「どしたの、そんな焦って」

 

俺は大人しく綾介について行った。

え、何この人集り。てか女子多いな、人気俳優でも来たのか?

 

「今日からラヴェニール学園、スポーツ特進クラス三年の、若宮アンリです。よろしくね」

「「なんで!?」」

 

俺とほまれは同時に声を荒げた。

結局、ほまれはモスクワには行かないそうだ。それをちゃんと当人に告げたのに懲りてないんですかねえ…。

 

「ボクも、ほまれみたいに心の広がりを探したかったんだよねぇ」

 

するといきなり、アンリはほまれの頭を抱えて耳元で何かを囁いた。

俺らからは何を話してるか分からないけど、何かとんでもない事言われてそう。

 

「な~んてね!まぁ、人の為に頑張るなんて、ボクには向かないかな~」

 

突然そんな事を言う…もしかしてバレちゃった?

とはいえ、これから更に賑やかになるのか。悪くないんだけど、元から五月蝿いのが今後更に増すってことでしょ…?

 

「カズト、これからもよろしくね」

「うっせばーか」

 

 




前回予告した通りオリキャラが2人も登場しました。1人は姿を現していませんが。
次回は個人的に好きなえみる登場回です!夏までにはルールー回に行きたいところです…!

それでは!
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