HuGっと!プリキュア ~運命の白黒~   作:イタチ丸

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第10話 ハイキングは危険?

今日ははな達と一緒に町内会の企画であるのびのびヶ原にハイキングに来ていた。老若男女大勢の人達がこの企画に参加していた。

 

「ハイキングだぁ~!よーし出発~!」

 

はなが楽しそうに走ろうとした時

 

「スト―――ップなのです」

 

大名のような仕草の如く突然呼び止められた。

振り向くとそこには一人の女の子がいた。どうやら足元に小石がある事に注意したらしい。

 

「ふぅ、あと一歩で石につまずいで、転んで坂を転げ落ち、泥まみれになったところだったのです」

 

めっちゃ小さい小石で大げさだと思うが、はななら絶対やり兼ねないならなあ…。

 

「まあ、親切ね」

「いや、心配し過ぎでしょ。こんな小さな石で」

「こんなとはなんですか!!ハイキングはとても危険なんです。ハイキングに行きます。お弁当を食べます。そしたらデザートのみかんが転がって、追いかけている内に迷子になって、二度と帰れなくなる。そんな未来が待っている……なのです」

 

この子の圧が強すぎて一同が言葉を表せない状態となっている。

その中でも少女の熱弁そっちのけの人物が1人。

 

「な、何なのですか…?」

「お人形さんみたい~かわゆいの~」

「えみるちゃ~ん!」

 

遠くからもう1人の少女が誰かを呼びながらこちらに向かってくる。

多分『えみるちゃん』ってのは目の前の少女のことだろう。

 

「ん?ことり?」

「あれ?お姉ちゃん来てたんだ」

 

あ、はなの妹さんだったのか。姉と違ってめっちゃしっかりしてそう。

 

「この子と知り合い?」

「うん、同じクラスの……」

「6年1組、愛崎えみるなのです」

 

6年1組……?あいつらのいるクラスかな……?

 

「クラスでハイキング行くことになったんだけど、えみるちゃん、集合場所あっちだよ」

「本当に行くのですか?ハイキングはとっても危険なのに……」

 

多分この子も初めてハイキングに行くのだろう。

俺もハイキングの第一印象は『登山と同類』だったから行くのに抵抗してたんだよな。

俺は一度えみるに問いかけてみた。

 

「なあ、あんたはハイキング行きたくないのか?その割には林間学校に行く時に背負うようなバカデカいリュック背負ってるけど」

「これは危険に備えているのです」

 

えみるはリュックの中を広げてみせた。

まず最初に取り出したのは緊急用のパラシュート……もうおかしいよねえ。いや、まだツッコミは抑えておこう。

次に出てきたのは何かを叩く用のハンマー……何でよ、もう突っ込みが限界を迎える。

やがて皆んなと遊ぶ用のトランプやシャベル、ロープ、塗り薬など

 

「なあ、俺ら無人島にサバイバルに行くのか?それともタワー並の高さの山でも登るの?ハイキングは命がけちゃうで?」

「そもそも行きたないんか楽しみなんかどっちなんや?あと何でカズは一瞬関西弁になったんや?」

 

あー、スッキリした、めっちゃスッキリした。ツッコミってこうも爽やかな気分にさせるものだったのか。

 

「絶対楽しいと思うんだけどな……」

「あなた、信用ならないのです」

「私!?」

「発言に根拠ない人は信用できません!」

 

そう言ってえみるは容赦なくはなのメンタルを削っていく。

だが、そんなえみるを手の平返しさせる者が目の前に

 

「は〜ぎゅ!は〜ぎゅ〜!」

「えへへ〜!なのです〜!はぐたんの可愛さは罪深いのです〜!」

 

ハァ……まあ、これで大人しく行ってくれるといいけど。

 

「あれっ?兄やんだ」

「ホントだ!おーい、カズ兄〜!」

 

何処かでめっちゃ聞き覚えのある声が。というか、毎日聞いてるんだよなこの声。

 

「6年1組でちょっと引っかかってたんだけど、やっぱいたのか」

「兄やんこそ、ハイキングとか行かない思てたわ」

「うんうん、休日はずっと家に引きこもって一日中ゲームやってるのかなーって」

「俺だってたまには遊びに出掛けるし、心はまだわんぱく少年だし」

 

俺の元へと近づいてきた少年二人。案の定、知り合いだった。

二人について軽く紹介しておこう。

まずは俺の事を『兄やん』って呼んでいる奴は横田 武史。関西生まれ関西育ちの根っからの関西人、九州弁も喋れるらしい。

もう一人のさりげなく俺の事をdisって来た奴は津島 翔太。綾介の弟である。女子かと思うほど憎たらしい(可愛らしい)顔立ちをしているが、こいつの所属している少年サッカークラブではエースストライカーのような立ち位置だそうだ。

 

「あーあ、カズ兄来るんだったらにーちゃん誘えば良かった……」

「いや誘っても来ないと思うよあいつ。集団とか苦手そうだし」

「めちょっくぅぅぅぅ!!!!」

 

ちょっと、俺が話してる所でやらかさないでくださいよ〜……。

こうしてハイキングのスタートはカオスな状態となったのだった。

 

「ずぶ濡れになるなんて、やっぱりハイキングは危険なのです……」

「河童で大騒ぎするからでしょ」

「あはは、やっぱりえみるは面白いな〜」

 

何だかんだで翔太たちと一緒に行くことになった。歩いていくと石橋が見えた。

 

「この石橋を渡るみたい」

 

さあやが地図を見ながらそう告げた。そうとなれば早速渡ろうとしたのだが

 

「ストップなのです」

 

えみるがそれを止めた。

 

「今度は何?」

「みんなで渡ったら、重さに耐えきれず崩れ落ちてしまうのです。きちんと渡れるか確かめる必要が……」

 

成る程ね、『石橋を叩いて渡る』ってやつか……。

石橋を叩いて渡る……ハンマーで。

ハンマー……!

 

「叩くなあああああ!!!!!」

「わ、ちょっと!何するのですか!」

 

俺は速攻でえみるからハンマーを取り上げた。

 

「……コホン、あのですね。そんな事したら橋が脆くなって逆に危険性高まると思うのですよ。木を倒す時だって斧で切り続ければ脆くなってやがて倒れるだろ?それと同じだと思う。たとえ崩れたとしてもこの川は浅いし流れも遅いから少し濡れるだけで済む。だから大丈夫、この橋は安全だ」

「そ、そうですか……」

 

涙目で俯いてしまったえみる。え、マジで?泣かせちゃった?俺そこまでキツく言ってないと思うんだけどな……。

 

「あの、何か、すんませんした……」

「あー、兄やん女子泣かせた〜」

「鬼!悪魔!カズ兄!」

「よしまずはこいつらの頭を確かめようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丘を越えた先に聞こえる美しい音色。

その音色はたった一つではなく、弦楽器と管楽器が纏まったような音色だった。

 

「あ、ひなせくん」

「うん?野乃さん、来てたんだ」

「ひなせくんもハイキングに来てたんだ」

「うん、こういう開けた所で演奏するの気持ちいいからね。さっきまでこの子と演奏してたんだ」

 

彼が指差した先には、青空を見上げながらヴァイオリンを弾いている少女の姿が。

 

「あ、美咲希ちゃん!ここにいたんだ」

「ん?あ、皆さんこんにちは〜」

「ことり、この子とも知り合い?」

「うん、同じクラスの東山美咲希ちゃん。ヴァイオリンが凄く上手なんだよ」

 

皆んなが楽しく談話している中、一人だけ浮かない表情をしているのが見えた。

 

「さあや、どしたの?」

「あの子、美咲希ちゃんの右足……」

 

ロングスカートな為、ほんの少ししか見えないが、確かに美咲希の脛の辺りに痣のようなものが見えた。

 

「うーん、どっかでぶつけたんじゃない?少し経てば治るでしょ」

「だと良いんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、今回の発注は俺にやらせろ」

「はあ?何であんたなんかに命令されなきゃいけないのよ。というか、社員でもないのに発注出来るの?」

「昨夜社長に伝授してもらってな。とりあえずあの猿共にするか……」

 

『発注、オシマイダー!』

 

 

 

突然地響きが聞こえ、振り向くと巨大な怪物の姿があった。とは言ってもそれが何かはもう察せるけど。

 

「あれって……」

「オシマイダーや!」

「俺は皆んなを安全な場所に連れて行く。奴の事は頼んだ」

 

そう言って俺はえみるをどこか安全な所に連れて行こうとした、のだが……

 

「私にも立ち位置取らせなさいよ」

「何で同じ類の奴にしたんだよ……」

 

目の前にもう一体のオシマイダーが現れた。俺達は敵に囲まれてしまったのだった。

え、ちょっと待ってよ。めっちゃこっち見てるし、そのキュウリは武器なの?大きく振りかぶってるんですけど。俺何も悪いことしてなくね?

 

「「オシマイダー!」」

「「させない!」」

 

オシマイダーが振り下ろしたキュウリをエールとエトワールが上手く止めた。

 

「いつもいつも、迷惑かけて悪いね……」

「早く皆んなを安全な所へ連れて行って……!」

 

俺達は出来るだけ遠くへと走って行った。

 

「ヒーローは皆んなを守るために、何処までも駆けつける……の!」

「『フレ・フレ!ハート・フェザー!!』あっ、河童の弱点は頭のお皿だよ!」

「了解、はあぁっ!」

 

アンジュの必殺技によって湖へと吹き飛ばされた二体のオシマイダーを、今度はエトワールが弱点目掛けて蹴り飛ばす。

最終的にキュアエールの必殺技で二体同時にオシマイダーは浄化されていった。

 

「あっさりやられちゃったじゃないのよ!あーもう、休日がぶっとびよ!」

「……まあいい。俺もまだまだ未熟者なんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあやside

 

何とかハイキングを終え、元いた場所へと辿り着いた私達。

ハイキングを終えたら皆んなと別れるのだが、私は一度ある人に尋ねるために探していた。

 

「何か忘れ物ですか〜?」

 

そう私に尋ねて来たのは美咲希ちゃんだった。ちょうど良かった。

 

「ううん、忘れ物じゃなくて美咲希ちゃんの事を探してたの」

「私、ですか?」

 

そう、ある人とは美咲希ちゃんの事だったのだ。

先程目撃した彼女の右足にあった痣、どうしても気になってしまっていた。何か事情があるなら、出来れば彼女の手助けをしたい、そう思って探していた。

 

「えっと、さっき皆んなと話してた時に、右足にある怪我がチラッと見えちゃって……。転んだにしてもあんな痣みたいになっちゃうかなと思ったから……」

「……っ!」

 

突然、自分のスカートの裾を引っ張るような仕草をする美咲希ちゃん。その表情は何処か焦っているようだった。

 

「……えっと、これは階段から落ちた時に思いっきりぶつけてしまって。大したことないので安心してください〜」

「……あ、うん。そっか。ごめんね、変なこと聞いちゃって」

「いえいえ〜。こちらこそごめんなさい、心配させてしまって……。それでは私はこれで」

 

そう言って美咲希ちゃんはスタスタと歩いて帰っていった。

何か違和感を感じる。階段から落ちて膝とか膝をぶつけるならまだ分かるが、脛なんてぶつけてあそこまで酷い痣なんて作れるのだろうか。表情も焦ってる感じだったし……。

でも、彼女がそう言うのならそうなんだろう。あまり深く追究するのは止めておこう、そう思いながら私は帰路に着くのだった。

 

 




いかがでしたでしょうか。
今回もオリキャラを数名出しました。この後オリキャラ紹介を挿入しようかと思っているのですが、いつ更新するかは未定です。
今更ですが、感想・評価・お気に入り登録をしてくれると非常に喜びます!

それではまた次回!
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