それではどうぞ!
保育園、幼稚園の先生が大勢の子供の世話をするのってどれだけ大変なのだろう。
全員を一つの場に集合させること。一人一人の性格を見極めること。それは必ずしも簡単なことではないだろう。
何で急にこんなこと言ったかというと、今日のお仕事体験が保育士の体験だから。
因みにこの体験にはルールーも来ている。はながどうしても連れて行きたかったらしい。
「皆さんには私達と一緒に一歳児の面倒を見て貰うわね」
一歳児か〜……。正直、僅かだが言葉を使える三歳児辺りが良かったのだが、欲を言ってはいられない。
まあ、一歳児でも挨拶とか簡単な単語くらいは言えるし、何より可愛いから問題はないけどね。
その後は、皆が楽しく仲良く触れ合っていた。
はなは何故か1人の男の子とはぐたんに頬を引っ張られている。
それを目撃したルールーはその子に興味を逸らせるために、折り紙で大量の鶴を折って見せた。
「ハァ、ルールーありがとう〜」
「別の事に興味を持たせるのも一つの方法ですので。そうテキストに書いてありました」
「そのテキストって市内で出版してるやつ?あの栄養学のページ、凄く面白くなかった?」
お前ら保育実習ガチ勢かよ。
明日体験するからっていつもよりちょっと早く寝た俺が逆に情け無く思うよ。
「分析としては、やや浅く感じました。栄養とは必要最低限のエネルギー補給のことです。もっと深く分析すべきだと思います」
面白くなかった、ということだろうか。
さあやはあまりにも正直なルールーを不機嫌そうな表情で見つめていた。あいつあんな顔すんのな……。
「すずかちゃんは、あのピンクのぬいぐるみが好きみたい」
「正確には、ぬいぐるみの赤い鼻を気に入っています。目線を見れば分かります」
「うっ……あっ、ちいちゃんはあの絵本を読んで貰うの好きね」
「正確には、絵本を読んでいる保育士さんの表情が楽しいんです」
「いいえ、声のトーンですわ!」
何でそんなにマウント取ろうとしてんだよ。
去年から一緒のクラスだけど、さあやってただ真面目で優しい子だと思ってた。俺たちは唖然としながら2人を見つめていた。
「せいたろうくん、この格好をすると喜びます」
「違ってよ!正確にはこうきて、こうきて、こうよ」
「いいえ、この動きです」
「違うわ。この動きからの連続ですわ」
あのさ、さっきからさあやの口調がおかしくなってない?何でお嬢様口調なの?
「さあや、せいたろうくん、ポカンとしてるよ」
場の空気を和ませようとはなが止めに入る。
しかし、さあやは何も返答せず、ゆっくりとこちらを振り向く。
「……少し黙っててくださる?」
「は、はい……!」
振り向き様に言われた言葉にめっちゃ怯えるはなさん。
そりゃそうだ。満面の笑みで黙ってろなんて言われたら怖いに決まっている。
でも、誰かが止めないと変な空気は続くばかりだ。しょうがない、俺がフォローするか。
「あ、あのさ、この何とも言えない状況を何とか「す こ し だ ま っ て て」すいませんでしたぁぁぁ!!」
「よろしくってよ」
うーん、これは変に止めずに見守っていたほうがいいのかもしれない。
「ひょっとして、さあやってものすごく負けず嫌いなんじゃないのかな?」
「えっ?私、今までそんなふうに感じたことないけど……」
「はなじゃ自分と張り合うようなレベルになかったとかじゃねえの?」
「めちょっく!」
☆
さあやvsルールーとかいう何とも言えない闘いは数分後、何とか終わることとなった。
はなたちが外で赤ん坊を高い高いをしているときのこと
「わ~お!それええな。俺も俺も」
「ハリーは大人でしょ」
「大人かて飛びたいん時はあるんや!オレも~オレも~」
まあ元は小動物だからそういう経験してみたいっていう気持ちは分からなくもないが、その格好で言われるとなあ……。
ハリーが高い高いをせがんでいると、側にいたルールーは何も言わずにハリーを抱えて……
「おおきn……って、うわぁぁぁぁぁ!!!」
思いっきりぶん投げた。
ありゃ大気圏まで行ったな。ワンチャン酸素不足で窒息死するぞあいつ。
「何でぶん投げたの」
「これも高い高いの類だと思ったのですが」
「赤ん坊ぶん投げる大人が何処にいるんだよ」
数秒後、ルールーは落ちてきたハリーをキャッチし、ハリーは「子供の頃は宇宙飛行士やった」という唐突な発言を残し、室内へと戻ろうとした。
が、その時、背後から怪物の唸り声が聞こえた……
「オシマイダー!!」
「今の声って……」
振り向くと、そこにはオシマイダーが暴れていた。
「あぁもう!赤ちゃんがお昼寝するって時に〜!」
はなたちはブツブツと文句を垂れながらプリキュアに変身する。
それにしても、ルールーは俺の側にずっといるし、あいつが出したって訳ではないのかな。他にも来てるとなると結構面倒だ。
「よォ、ルールーちゃん」
「……これは貴方が仕向けたものだったのですか。ユーリ様」
「ああ、たまたま通りかかったらお前らがいたのと、トゲパワワが感知されたからな。つーか、お前なんでこんなところでおままごとしてんだよ」
「おままごとではありません。これもキュアエールの調査です」
あのさ……何で敵同士が俺の側で会話してんだよ!変に動けないからどっか行ってくれよ。
そんなことを思いながらソワソワしていると、エールが突然室内に入っていく姿が見えた。
「はな、何してんの?」
「赤ちゃんたちが泣き出して……それにおむつも変えなきゃだし……」
「はぁ……そういうの俺がやっとくから、今は敵に集中!」
「ご、ごめんね……!」
面倒なこと任されたけど、やるしかないよな。
俺はエールとバトンタッチして室内へと入っていく。
案の定、泣き声のオーケストラだ。そりゃ、あんなデカイのが目の前に現れて泣かない子供はいない。
「よしよし、大丈夫だからなー」
一方、エール達は子供達を俺に任せたものの、やはり気になって敵に集中出来ていない。
やがて、オシマイダーがこちらに突進し始めてきた。
「こ、こうなったら俺が意地でも止めるしか「ダメ!」えっ……?」
俺の目の前には、ルールーが子供達を庇おうと仁王立ちする光景。つまり、敵が敵に立ち塞がるという光景が見えていた。
「ルールー……!」
「あの野郎……」
「プリキュア、早くオシマイダーを!」
「う、うん!」
動きが止まったオシマイダー。その内に、トリニティコンサートでオシマイダーを浄化させるのであった。
☆
ルールーside
何故、私はあのような行動を取ったのでしょうか?
子供達を守りたかったから?プリキュアが子供達の影響で苦戦していたから?考えれば考える程、私は理解できなくなっていた。
「……おい」
近くで聞き覚えのある声が聞こえた。ユーリ様が怪訝な表情をしながらこちらに向かってくる。
「何で俺の邪魔をしやがった。まさか、寝返った訳じゃねえよな?」
「そうではありません。ただ……」
その後の言葉が出てこなくなった。自分でもあの行動の意味が分からないのだから。
「まあ、今回のことは無しにしといてやる。だが次同じ誤ち繰り返したら……分かってんだろうなァ?」
「……はい」
「ったく、機械人形ごときに邪魔されるなんてツイてねえな……」
そう捨て台詞を吐いたユーリ様は、すぐにこの場から姿を消した。
いつもなら何を言われようが、アンドロイドだから何とも思わないのだが、この時だけは何処か不満を持っていた。
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