HuGっと!プリキュア ~運命の白黒~   作:イタチ丸

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第6話 力のプリキュア

 

紅く染まった夕方の空、俺達はある小さな公園へと向かった。そこには、見慣れた姿が数名。

 

「何て声をかければいいのか正直わからなかった。もっとイケてる言葉を言いたかったけど、心がうーってなってフレフレしか出来なかったの」

「変なの。私はあんたみたいなのになりたいのに、皆んなあんたみたいな子好きでしょ?」

「そんなことないよ。おっちょこちょいだし、グイグイ行きすぎて引かれちゃうこと多いし、だけど私…なりたい野乃はながあるの。だから頑張るの!」

 

『なりたい野乃はな』か…。初めて会った時もそんな事言ってた気がする。

 

「私、ほまれさんの事好き。前よりずっと好きになった。私やはなちゃんに出来ない事が、ほまれさんには出来る。ほまれさんには出来ない事が、私達には出来る。私達、きっと凄く仲良くなれると思うの」

 

「ほまれちゃんは、どんな自分になりたいの?」

 

野乃さんがそう問うと、ほまれはいきなりブランコから降りて走り出した。

 

「やめてよね!そのほまれちゃんって言うの…なんか恥ずかしい…やめて」

「「「そこ!?」」」

 

あ、とうとう耐えきれなくなったか。そうだよね、今まで不良演じて誰とも関わらないようにしてたのに急にちゃん付けで接されると調子狂うよね。頑張った方だと思うよ、うん。

 

「やっぱりほまれさんじゃない?」

「いっそほまりんとか?」

「ほまちゃんとかで良いんじゃない?」

 

唐突な呼称の意見交換会で当人をいじり倒していく3人。

最終的に耐えきれなくなったのか、俺の頬を思いっきり抓ってきたのはここだけの話。

 

「輝木ほまれちゃんだよね?」

 

するといきなり、聞き覚えがあるがあまり聞きたくない声が聞こえた。

 

「オレちゃんはチャラリート。ナンパしに来ました~」

 

…ったく、幼馴染がナンパされてるとか気分が悪くなる。その上こいつは相当なクズ野郎だし。

チャラリートはほまれを縄で縛り上げれば、遠くへと飛んでいく。

 

「あの野郎…」

 

ただでさえ顔見てるだけで虫酸が走るってのに。俺は必死に駆け出した。

 

「あ、待って黒木くん!」

「俺達も追うで!」

 

街の方へと駆けると鳥型のオシマイダーが暴れまわっていた。周辺を見るとほまれの周りから黒い物体が溢れていた。

 

「それじゃああの怪物はほまれちゃんの…」

「…だろうな」

「ここは私達に任せて!」

 

野乃さんと薬師寺さんはすぐに変身し、プリキュアとなった。

2人が戦っている間、俺とハリーは走ってほまれの元へと向かう。

 

「ほまれ!なんちゅうこっちゃ…」

「そりゃあ、あのデカイの出すくらいなんだから…えっと、どうしよ」

 

変な黒い物体で囚われている所為で解放の仕方が分からない。相変わらず卑怯な手使いやがって。

 

その時、エールとアンジュは吹っ飛ばされた勢いでビルへと思いっきり叩きつけられる。

 

「モウ、トベナインダー…モウ、カガヤケナインダー!」

 

いきなり、オシマイダーから声がした。ほまれの心の内の悲痛な叫びだろう。

 

「もう…未来は無い…。もう…飛べない…」

「こわい…でも…」

 

いきなりそう呟いてはぐたんを見つめる。

もしかして、希望を取り戻したのか…?

 

「私は…私は…もう一度…飛びたい…!!!もう一度…輝きたい!!」

「うっ、眩し……!」

 

再び溢れる黄色の光。同時に目の前へ出現したミライクリスタルを掴み、プリキュアへと変身する。

 

「よっしゃああああ!!!!いったれえええ!!!」

 

ハリーが歓喜の雄叫びをあげる。

俺もそうしたいけどそういうキャラじゃないから…。

 

「輝く未来を抱きしめて!!みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!」

 

変身したほまれの姿は明らかに別人だった。多分、今俺が言える言葉は「カッコいい」の一言だろう。

 

「カズ、色々と迷惑かけてごめんね」

 

突然、エトワールが俺の肩に手を置きながら言ってきた。しかも、すごく優しい表情をしながら。

 

「…早く行ってこいよ。2人が待ってるから」

「…うん!」

 

何故か目を逸らしながらエトワールを見送った俺。まさか見惚れてたってことは…ないよな。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

その後、エトワールの登場によりオシマイダーは呆気なく倒された。

そして俺達は一度ハリーの家へと戻り、帰路につく。

 

「それじゃまた明日ね!ほまれちゃん!じゃなくて……また明日ね!ほまれ!さあや!カズくん!」

「え、えぇっと…私も、これからもよろしくね。はな、ほまれ、カズくん」

 

皆んなでそれぞれ下の名前を呼び合っている。別に良いけど何で俺だけあだ名からの君付けなんだよ。

 

「俺も言わないとダメなパターンだよな。えっと、はな、さあや、ほまりん、これからも宜し痛い痛い痛い!!」

「ねえ、私だけ呼び方おかしくなかった?おかしかったよねえ?」

 

またも頬を抓られた。抓られたというより捻られたの方が正しい。

良いじゃん、呼ばせてよこれ意外と気に入ってるんだから。

 

「でも嬉しい。一緒に居てくれてありがとう、さあや。カズも色々と迷惑かけてごめん」

「ひょれひゃっきも聞いた。ていうか、いいかぎぇん手をひゃにゃしぇよお!」

 

そう言うと、やっと手を離してくれた。

そしてはなが自分を指さしながらほまれに近づく。頭悪そうな顔してるのが地味に面白い。

 

「ありがとう、ののはな」

「えっ…?野の花?」

「いいじゃん。野の花、イケてる」

「ほんとに?イケてる!?」

 

凄いキラキラした目で問いかけるはな。ガチで言ってるのかギャグだと分かってあえてノッているのか分からない。

その後は「やったやった」と連呼しながら飛び跳ねていていた。どうやらガチだったそうです。

そして、ボシャンという水音と共に川へと落ちてしまった。おいおい、風邪引くよー?

だが、一同が一斉に笑い声をあげる。もちろん、俺もだ。

何か、この雰囲気良いね。友達同士で思いを共有してるって感じで。

こんなに笑ったの、久しぶりかもしれない…!

 

 

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