HuGっと!プリキュア ~運命の白黒~   作:イタチ丸

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第8話 私は諦めない

〜クライアス社〜

薄暗い室内の中、今日も私は画面とにらめっこ。

人間の場合、この行動は視力の低下といった悪影響を及ぼしますが、私はアンドロイドなので問題ありません。

 

「ルールーちゃ〜ん」

 

何処かから聞こえる、私を呼ぶ声。

その声の主は、クライアス社の課長、パップル様でした。ご機嫌な様子で私に近づいて来ます。

 

「今日って暇だったりする?実はシーカレに誘われちゃってさ〜、今日の仕事代わってくんない?」

「シーカレ…私の登録情報にない言葉です」

「彼氏よ、彼氏。仕事も大事だけどやっぱLOVEも大事じゃない?その辺、同じ女子なら分かるでしょ?」

「…申し訳ありません、理解不能です」

 

とはいえ、部下たる者は上司の命令には絶対従わなければなりません。私は依頼を引き受けました。

 

「まあ、そういう事だから。よろしくちょんまげ〜」

 

そう言い残し、課長は退社して行きました。

本当はもう少しこの"資料"を読んでいたかったのですが…。さて、早速参りますか。

 

「プリキュアの分析は完了済み。排除成功確率99%」

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「さあや、やっぱり元気無かったね…」

 

確かに今日のさあやは終始暗い表情だった。

どうやら原因は昨日の下校中に起こった出来事だそうだ。俺はその時間、仲の良い後輩との用事が出来たためみんなとは帰れなかったのだが、簡単に説明すると

さあやのライバルみたいな存在の人物が現れる→そいつは野菜少女のネギ役だった→さあやの母親は大女優薬師寺れいらだと告げられた(何で今まで気づかなかったんだろう)→2人は今度舞台のヒロイン役のオーディションを受けるらしい→今に至る

という流れである。多分さあやが元気なかったのはオーディションに対するプレッシャーなんだろうね。

 

「はぐたん。上手上手」

「ん、何これ。アクセサリー?」

「せやで。これええやろ。可愛いハートのアクセが作れるんや」

 

アクセってこんな簡単に作れるんだ。形も良く整ってるし、店で売っても良いんじゃないのこれ。

 

「よし、出来た!これをさあやの所へ届けに行こう!」

「え、そっとしといた方が良いんじゃないの…?」

「でも、さあやの顔見てたら放っておけなくて…!」

 

…まあいっか。誰かを全力で励ます人物こそが野乃はなだしね。

俺達はさあやを探しに心当たりのある場所へと探しに行った。

向かったのは木の陰に隠れた泉のような池。運良くそこにさあやはいたのだった。

 

「ここはどこ…?私は誰…?分からない…暗くて何も見えません…。それでも…私の道は、私が開かなくては…!」

 

目の錯覚だろうか、さあやの背中に天使のような翼が生えているようだった。だが、そう見えたのは俺だけではなかったようで。

 

「天使さま…?」

「はな!?ほまれ!?それにカズくんも…!」

「悪いね、邪魔しちゃって…」

「今の何!?」

 

おい、俺今シャベッテン=ダロウガ(1966〜2010)

 

「天使が本当に居ると思ったら、さあやだったの!天使がさあやで、さあやが天使で!あ~もうなんて言うか!」

「ありがとう。今度のオーディション、地上に降りた天使の役なの」

 

だから翼生えてるように見えてたのか。にしても演技力凄えよ、演技っていうか本業でしょあれ。さあやが天使だから現在進行形でプリキュアやってるんでしょ?(頭悪そうな人の発言)

 

「ワンモア!ワンモア!」

「く、暗クテ何モ見エマセン!」

 

…あれ?めっちゃ下手くそになった。誰かいる時はダメってこと?

 

「色々考えすぎちゃうのかな…?この人は私に何を求めてるんだろう、何が正解なんだろうって」

「でも、あのCMのさあやはそんな風には見えなかったけど」

「確かに、昔は何も考えず役になりきる事が出来たの。でも…私は母のようになりたいのか、それとも…。段々、色んな事が分からなくなっていって…」

 

親が出来ると子供も出来る。今の世間じゃそういう感じだと思っている。本人の気持ちも知らないで周りがああだこうだと励ましてくる。別に励ますなとか言ってる訳じゃないけど、それがプレッシャーになるって事を考えて欲しいとか思ってる。正直、はなのこういう行動も理解出来ない。何でそんなに相手の事を深く考えるのか…。その行いは正しいのかもしれないけど、何故正しいのかが分からないでいる。単に俺が捻くれたクズ野郎だからって事かもしれないけどね。

 

「冷たっ!何!?」

 

俺が考え込んでいると、いきなりはながさあやに思いっきり水をかけた。

 

「さあやがこ~んな顔してたからさ」

 

…笑ってあげた方が良い?はなの変顔が誰だこいつ状態なんだけど。

すると、はなに続いて、ほまれも水をかけ始めた。

 

「わぁっ!ちょっと!ほまれまで…!」

「ねぇ、さあやはどうして、オーディションを受け続けてるの?」

「きっと…自分の気持ちが分かりたいからだと思う。答えが分からないまま、諦めたくない」

「別に悩めばいいじゃん。私たち、傍に居るし」

 

さらっと返してるようにも見えるがさあやにとっては自分を勇気付けてくれるような発言だろう。段々と表情が明るくなってくる。

取り敢えず一件落着。女子達は楽しく水を掛け合っていた。さてと、俺は木の陰で腰を下ろして3人を見届けるとしま…

 

「えいっ」

「え、ちょっ、何すんのさ」

 

バシャーッと思いっきり水をかけられた。結構濡れたんですけど。

水をかけた犯人はほまれだった。

 

「何でそんなつまんなそうにしてんの?ほら、早くこっちおいでよ」

「いや、俺があの輪に入るもんじゃ…!」

「いいから、早く来るの!」

 

思いっきり腕を引っ張られる。こいつ、意外と握力あるから痛い…!

 

「ったく、仕方ないな。でも、やるからには俺も容赦しないから…!」

 

最終的に俺も水かけ合いに参戦することとなった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

翌日、さあやのオーディションが迫ってきた。

 

「ここからは1人で大丈夫」

「応援しとるで」

「これ、はぐたんとみんなで作ったの。皆んなお揃いのやつ」

 

そう言ってはなはアクセサリーをさあやに渡す。水遊びの所為で渡すのを忘れてたらしい。

一応俺も付けてるんだけど、ハート型だから小恥ずかしい。

さあやは俺達に礼を言い、早速アクセサリーをつけると会場へと向かった。

その数秒後、会場から騒めきの声が聞こえる。大女優の娘だなんだと誰かが集中力を切らそうとする発言をしたんだろう。

 

「ほまれ。あれ、やろう」

「うん」

「お前ら、何するつもりや…?」

 

はなはミライパットを使い、はなとほまれの二人がキャビンアテンダントの姿に変わった。

ハリーに問われれば、何かを企んでいるような悪い顔になるはな。そして2人はオーディション会場へと向かった。嫌な予感しかしない…いや、それ以外何を感じれば良いの。

 

「はぁ〜、私もうダメ〜…」

「これは、可愛いもの欠乏症…!このままでは命が危ない!」

 

予感的中。茶番ていうか、何してんの?もはや緊張という空気の場をぶち壊してるし。てか、参加してないの俺だけかよ。

 

「違う!すぐに出ていきなさい!」

「「ごめんなさい!」」

 

ほら言わんこっちゃない。いやまあ、さあやの緊張を解すためにやったってのは悪いことじゃないんだろうけどさ。

俺がそんな事を考えていると、いきなり物凄い轟音と揺れが、俺達を襲う。オシマイダーが現れたのだろう。すぐさま現場へと向かった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

ルールーside

「現れましたね、プリキュア」

 

思っていたよりも早くプリキュアが私達の前に立ちはだかりました。

今回のオシマイダーはトゲパワワを多く感知したお陰でより強力なのを発注出来たはず。それにプリキュアのデータは既に分析しておりますから。

キュアエール。力はそれなりにありますが、貴女の動きは直線的で読みやすい。

キュアエトワール。貴女の身体能力は群を抜いている。だけど、思いがけない出来事に対して非常に脆い。

そしてキュアアンジュ。貴女の戦闘能力は最も低く…防御技も使った所で私のオシマイダーで破壊可能…分析通りです。プリキュアはあっけなく瀕死状態へと陥りました。

 

「トドメです。オシマイダー」

 

そう言うと、オシマイダーは容赦なく痛めつけていきます。ここまでやれば排除完了は確定…のはずでした。

 

「キュアアンジュ…もう諦めたらどうですか?」

 

彼女がバリアを貼って自分を、そして2人を防御したのです。

自分の弱さ、自分の限界というのを理解しているはずなのに、何故…。

 

「私は諦めない。何故なら…!三人を守りたい気持ちは!誰にも、負けない!!」

 

そう告げながら、再度バリアを貼るキュアアンジュ。

何度やっても同じ…

 

「いや、先程と威力が桁違い…!?」

 

オシマイダーはその強さに耐え切れず吹き飛ばされてしまい、やがてキュアエールにとどめを刺されてしまいました。

 

「私が負けるなどあり得ない筈なのに…」

 

どうやらデータを再分析する必要があるようです。

私はすぐさま会社へと戻ろうとしました。が、少し気になった人物を発見しました。

 

「あの青年…」

 

姿形を見るのは初めてなのですが、彼の目を何処かで見たような…私の登録情報に彼を新規登録しました。今後は彼とプリキュアを再分析することに専念しますか…。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「折角応援してくれたのにごめんね。合格できなくて。ちょっと役からズレちゃって…」

 

残念ながらは不合格だったそうだ。大変に失礼なこと言うけど大女優の娘だからって忖度してくれると思ってた。人生そんなに甘くないよなぁ。

だが、本人の顔色は曇っている事は無く、寧ろ清々しかった。

 

「でも、オーディション受けて良かったって思ってる。女優になりたいかはまだ分からないけど、自分の心をキチンと見つめて、頑張ろうって思えたから」

 

自分の納得のいく演技が出来たからそれで満足って感じか。今日のさあやは、力としてもそうだけど精神面としても昨日とは別格に思うほど成長してる気がする。人の成長が見れるのって言葉に表せないけど、何か良いね。

 

「ほまれ」

 

急に聞き覚えのない声がする。ん、待って、嘘ついた。聞いたことのある声…。

 

「やっと会えた!」

 

そう言うと、ほまれに抱きついた。抱きついた奴の髪色は金髪、韓流スター並のイケメン顔…。

 

「…えっ嘘でしょおい」

「君も久しぶりだね。カズト」

 

な…何…何で…。

 

「何でお前がおるんじゃあああああ!!!」

 

 

 




今回は敵視点も書いて見ました。伏線といいgdgd過ぎますが。
次回からオリキャラ登場の予定です。オリキャラ紹介とか入れとくのもありかも。

それではまた次回!
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