ペテル・モークに憑依転生!   作:ハチミツりんご

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本当にありがとうございます!!

これからも楽しんでいただけるよう頑張ります。

今回少し短めです。


いざ、エ・レエブルへ

「それでは、皆さん。お世話になりました。またいつか会える日を楽しみにしています。」

 

「ええ。いつでもいらしてください。何も無いところですが、精一杯歓迎させていただきます。」

 

ガッチリと握手を交わす村長とボリス。村長の後ろには、ギグやレイア、リリアラームをはじめとした、生き残った村の人々が見送りに来ている。

 

その中でただ1人、ペテルのみが見送られる側に立っている。

 

「ペテル、気をつけていきなさい。向こうでも【守護の聖剣】の皆様が付いていてくださるらしいが、迷惑をかけないようにな。」

 

「分かってますよ。変なことはしません。」

 

村長の言葉に苦笑するペテル。フランセーンからエ・レエブルに誘われた日から、耳にタコができるくらい何度も何度も言われたのだ。

 

流石に心配しすぎじゃないか、とペテルは思っているが、周りからしたらペテルは「村で最も強い戦士」でもあるが、同時に「8歳の子供」でもあるのだ。

 

それに、誰にでも優しく接し、村で育ったとは思えないほど礼儀正しい彼は、老若男女問わずに尊敬、信頼されている。

 

そんな彼が一時的とはいえ村からいなくなるのは、みんな心配なのだろう。

 

村の子供たちは、1人だけ街に行けるペテルが羨ましく、嫉妬の視線を送っているが。

 

 

「ペテル君、そろそろ出るので、ルンドの馬に乗ってください。」

 

「あ、はい。分かりました。」

 

ボリスから言われ、馬に飛び乗るペテル。ルンドクヴィストの馬に乗るのは、彼がメンバーの中で最も細身で軽いからだ。ロックマイアーも細身だが、彼の場合、全身筋肉なので見た目に反して結構重かったりする。

 

「ペテルー!気をつけていけよー!」

「迷惑かけちゃダメよー!」

「楽しんできなさーい!」

「行ってらっしゃい、ペテルくーん!」

 

 

 

「はーい!行ってきます!!」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「そういえば、ペテル君はなんで街に行くんですか?」

 

街に向かう途中、ルンドクヴィストが何気なくペテルに問う。彼とヨーランはほかの3人よりも長く寝ていたので、ペテルが付いてきた理由を知らないのだ。

 

「あれ?ボリスさんから聞いてませんか?」

 

「我らがリーダーは頼りになるんですけど、ちょっと抜けてるところがあるんですよ。」

 

ボリスに聞こえないように、小声でそんなことを言うルンドクヴィスト。そんな彼の言葉に笑いながら、ペテルが答える。

 

「いえ、元々ボリスさんに、次に村に来る時に魔法についての本を持ってきて欲しいって言ってたんですよ。そこにフランさんが誘ってくれたので。」

 

「なるほど、フランがですか。・・・しかし、魔法についての本ですか。どんな魔法についてですか?やっぱり攻撃系の魔法について?」

 

「いや、召喚魔法と、付与魔法についての本が欲しいんですよね。」

 

「付与魔法に、召喚魔法ですか。随分珍しいですね。」

 

ルンドクヴィストは驚いたような顔で答える。それもそのはずだ。フランセーンなどの力のある戦士は違うが、そもそも戦士職の人間は魔法をかなり軽視する。

 

その中でも特に付与魔法や召喚魔法は、代表的な攻撃魔法や回復魔法と違い、その力が分かりにくい。その為、「生活魔法と変わらない使えない魔法」などと言うような奴もいるほどだ。まぁ、そんなことを言っているやつは、冒険者ならすぐに死んでしまうのだが。

 

そんな魔法を、小さな戦士が学びたいと言っているのだ。驚くに決まっている。

 

 

「・・・その本は、基礎的な内容のものですか?それとも専門的なものを?」

 

「うーん・・・。なるべく専門的なものがいいんですけど、どれくらいですかね?」

 

「そうですねぇ。専門的な本は高いですから、下手すると金貨数枚だったりします。さらに、付与魔法と召喚魔法は軽視されやすいので、本自体が希少でしょうし・・・。倍以上してもおかしくないですね。」

 

「そんなに高いんですか!?」

 

ルンドクヴィストの言ったことは嘘ではない。専門的な内容のものを書くためには、それ相応の知識が必要になる。それだけの知識を持った人材は貴重であり、それを書き切れるだけの紙もまた貴重だ。

 

そんな中、魔法についての本は発行しているものが少なく、その中でも付与魔法、召喚魔法は特に少ない。必然的に、それらの専門書は価値が高くなるのだ。

 

「ど、どうしよう・・・。まさかそんなに高いとは・・・。」

 

「もしかして、お金足りないんですか?」

 

「かなりの金額を貰ったんですが・・・。金貨十数枚分は無いと思います。」

 

 

ペテルがもらった金額は、両親や村長、リリアラームから貰ったものを合わせておおよそ金貨5枚程度。村長から貰ったものは村のみんなへのお土産代なので、実際に使えるのはもっと少ないだろう。そう考えると、ペテルが高価な専門書を買うのは不可能だろう。

 

「じゃあ、残念だけどもっと安値のやつにするべきかぁ。」

 

「・・・そうですね。エ・レエブルについたら、魔術師組合の友人に安値でそれらの本がないか聞いてみましょう。」

 

「っ!!ほんとですか!!」

 

ニッコリと頷くルンドクヴィスト。

 

彼は冒険者になる前は、エ・レエブルの魔術師組合で仕事をしていたエリートだった。

 

その仕事ぶりは優秀そのものであり、上司や後輩達、《巻物(スクロール)》や《短杖(ワンド)》を買いに来る顧客からも高い信頼を得ていたほどだ。

 

その為、冒険者になると決めた時は、エ・レエブル魔術師組合の人間総出で止められたらしいが。

 

「・・・とまぁ、そんな縁がありましてね。本来は書物を販売する店に行くべきなのでしょうが、魔法に関する物はなんでも揃ってますからね。」

 

「へぇ〜。凄いんですね、魔術師組合って。でも、なんで冒険者になろうと思ったんですか?」

 

「実は、ボリスとヨーランが誘ってきたんです。はじめは断ったんですが・・・。」

 

「ですが?」

 

「毎日毎日、飽きもせずに魔術師組合に顔を出して、『うちのチームの魔法詠唱者(マジック・キャスター)はアンタがいい!』だとか、『アンタと一緒に冒険したい!』だとか言われ続けて、ついに折れたんですよ。」

 

彼は苦笑しながら当時のことを語る。

 

ルンドクヴィストが魔術師組合に所属していた当時、【守護の聖剣】は彼とフランセーンを除いた3人しかおらず、ーーーボリスとヨーランの2人が無鉄砲だったため、ロックマイアーが世話を焼いていたーーー階級も銀級だった。

 

そんな彼らと出会ったのは、用事を終え、王都から帰る時だった。

 

手持ちが心もとなかったルンドクヴィストは、知り合いの商人に頼んでエ・レエブルに向かう荷馬車に乗せてもらった。その荷馬車の護衛をしていたのが、【守護の聖剣】の3人だった。

 

3人とは不思議とウマが合い、帰り道で様々なことを話した。

 

冒険者である3人は、依頼が少なく生活が大変なことや、今までの討伐実績などを話してくれた。四大聖剣を手に入れるのが目標だ、と意気揚々と語るボリスとヨーランに、それを見てため息をつくロックマイアーが面白かった。

 

魔術師組合に勤めるルンドクヴィストも、魔法についての知識や、仕事に対する愚痴、どのマジック・アイテムが買い時なのかなど、普段は喋らないことまで話した。

 

 

そんな時に、荷馬車を盗賊団が襲撃。

 

ルンドクヴィストは【守護の聖剣】を手助けし、これを撃退する。

 

その時からボリス達に誘われるようになったのだ。

 

 

「とまぁ、こんな感じで今まで続いてるんですよ。」

 

「なるほど。そういえば、フランさんはいつチームに加入したんですか?」

 

「たしか、金級の時に出会いましたね。彼、ずっと1人で冒険者やってたんですよ。他のチームの誘いも断り続けて、一緒に戦うことは出来ないって。」

 

「・・・もしかして、それもボリスさんとヨーランさんが?」

 

「ええ。口説き落としてきましたよ。」

 

あの時は驚きました、と言うルンドクヴィスト。

 

「なんか、ある意味すごいですね。フランさんが1人で戦ってた理由ってなんなんですか?」

 

「それは、私が話すことではありません。気になるなら、本人に聞いてください。

 

それに、もう楽しい会話の時間も終わりのようですしね。」

 

 

そう言いながら、ルンドクヴィストは前の方を指差す。

 

そちらを見ると、立派な城壁に囲まれた大きな街が見えてくる。街の入口には、多くの商人と思われる人達や、その護衛と思われる人々。それに、街道を警備している冒険者たちの姿があった。

 

ペテルは1度だけ、父とともに来たことがあるが、その時もこんな風に感動していたのを思い出す。

 

 

「あれが、私たちが滞在している街であり、六大貴族の1人、レエブン候の屋敷がある大都市。エ・レエブルです。」

 

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