ペテル・モークに憑依転生!   作:ハチミツりんご

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めっちゃ難産だった・・・。考え無しに書くもんじゃ無いですねぇ。


こっちはネタが浮かばないのに、息抜きで始めたもうひとつの方がネタが浮かぶ不思議。


森林内部

 

「フッ!!」

 

 

マルムヴィストの放ったレイピアは、正確に目の前のゴブリンの喉に突き刺さる。喉を潰され、叫ぶことさえ許されなかったゴブリンは必死の形相でレイピアを掴み、抜け出そうとする。

その際、己の手が傷ついていくが、ゴブリンは気にしていない、いや、気にする余裕が無い。

 

仲間は全員死んだ。一刻も早く逃げなければ。

 

そんな感情で頭が支配されていた。

 

ふと、マルムヴィストがレイピアを引き抜く。これ幸いと、ゴブリンはもたれながらも逃げ出そうと後ろを振り向いた。

 

 

その瞬間、マルムヴィストと入れ替わるようにゴブリンに近づいていたダインの槌鉾(メイス)が、ゴブリンの頭上に振り下ろされる。

 

 

グチャリ、と嫌な音をたてて、あっさりとゴブリンの命は潰えた。

 

 

 

「・・・ふぅ。これで全部倒したであるか?」

 

「おー、そうみたいだな。んじゃ、とっとと合流しようぜ。」

 

 

現在、ペテルたち5人は銅級(カッパー)の冒険者達を救うため、森の深部にまで入ってきていた。

 

当然、出会うモンスターの数も多くなっているが、幸いにも殆どがゴブリンであり、オーガは集団におよそ1匹しかいない。

 

稀に2匹いるが、その時はペテルが1匹、マルムヴィストとダインが二人がかりで1匹を担当し、周りのゴブリンを範囲攻撃に長けたエドストレームが足止め。弓矢を扱うルクルットが双方のサポートをすることで対応している。

 

 

「おーい、こっちは終わったぜー。」

 

 

 

マルムヴィストの呼びかけに、斧槍(ハルバード)を片手に持ち、空いた手で汗を拭っていたペテルが振り返る。足元には、ピクリとも動かないオーガの亡骸が転がっていた。

 

 

「あぁ、二人共無事でしたか。今、ルクルットとエドが索敵をしてくれています。戻ってき次第、奥に進みましょう。」

 

 

「それはいいんだが、大丈夫か?敵さん、だんだん強くなってきてるぜ?」

 

 

マルムヴィストの懸念は、彼だけでなくメンバー全員が感じていたことだった。

森の入口で戦ったゴブリンは、マルムヴィストの一撃で問題なく葬れていたが、先程のゴブリンはその一撃に耐えていた。

 

具体的には、入口付近のゴブリンがLv1で、先程のゴブリンはLv2であり、ペテルもモンスターのLvが上がっていることに気づいてはいるが、ほかのメンバーは知る由もない。

 

 

 

「確かに、そうですね。このオーガも明らかにタフになっていましたし・・・。ただ、行けるところまでは行きましょう。なるべく、助けたいですし。」

 

 

それに、いいレベリングの機会でもあるしな

 

と心の中でペテルは付け足す。事実、森に入ってからの戦闘によって、メンバー内でLvの低かったルクルットとダインがそれぞれ1ずつ、Lvが上昇している。

 

 

 

「戻ったよ。」

 

 

 

 

そんな中、索敵にでていたエドストレームが戻ってくる。後ろには、割とボロボロになっているルクルットもしっかりと居た。怪我はないようだが。

 

 

「あぁ、おかえり・・・って、どうしたんですか、ルクルット。」

 

「あぁ、ちょっとな・・・。」

 

 

 

言いにくそうにしているルクルットを見て、男3人は首を傾げる。すると、ため息をつきながらエドストレームが代わりに答える。

 

 

「ルクルットのバカ、油断して木から落っこちたのよ。」

 

「ははは・・・エドストレームの訓練が大事だって思い知らされたぜ・・・。」

 

 

 

頬を掻きながら視線を逸らし、ひきつったような笑を浮かべるルクルットに、思わず男3人の頬もひきつる。

 

 

「・・・取り敢えず、報告していい?」

 

 

「あ、すみません、どうぞ。」

 

はぁ、とため息をひとつつきながら、エドストレームは報告を始める。

 

 

「取り敢えず、近くにモンスターは無し。深部の方に向かって草木が折れてたから、そっちから出てきてるみたい。

 

それと、ところどころ血痕と争った跡があったよ。死体は無かったけど、幾つか荷物も見つかってる。喰われた痕跡もなし人間がモンスターの死体を持って帰る訳ないし、十中八九連れていかれてるね。」

 

 

「連れてった?モンスターがか?」

 

 

エドストレームの報告に、ルクルットが首を傾げる。モンスターがわざわざ人間を連れていく理由がわからないのだろう。

 

 

「んなもん、有事の際の非常食にでもするんじゃねぇのか?」

 

「・・・不味い。」

 

「ダイン?どうしました?」

 

「マルムヴィストの考えも有り得るが、もう1つ、可能性があるのである。」

 

「もう1つ、ですか?」

 

 

重々しく口を開いたダインに、ペテルが問う。ダインは頷きながら、自身の考えを口にする。

 

それは、マルムヴィストの答えたもう一つの可能性よりもはるかに不味いもの・・・いや、場合によっては最悪とも呼べる部類だろう。

 

 

 

「元々、妙だとは思っていたのである。最初の、ゴブリンとオーガが出てきた時から。」

 

 

「しかし、ゴブリンとオーガが手を組むのは良くあることですよね?それの何処が?」

 

 

「それはいいのである。私も、群れから追い出されたゴブリンとオーガが、たまたま見つけた冒険者(えもの)を追いかけて出てきただけだと思ったのである。

 

・・・しかし、そのあともゴブリンとオーガは出続けた。しかも、必ず1匹はオーガを連れているのである。普通、こんなことはしない、そもそも起こることはないのである。」

 

 

「確かにそうですね。まるで統率された群れや、部隊のようで・・・っ!!まさか!!」

 

 

ダインの言葉に、ペテルがハッと気づく。それに少し遅れて、エドストレームとマルムヴィストも目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「それって、まさか・・・」

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ・・・?」

 

 

「お、おい!お前らだけで話進めないでくれよ!何が不味いんだ!?」

 

 

 

ただ1人、状況を把握できていないルクルットが仲間に説明を求める。そんな彼に対し、ダインは神妙な面持ちで語りかける。

 

 

「ルクルット、考えるのである。これまで出てきたモンスターの群れに、他とは違う組み合わせはあったであるか?」

 

「違う組み合わせ?・・・いや、ねぇな。殆どがゴブリン、それにオーガが1匹か2匹だった。」

 

 

「そうである。隊員のようにゴブリンがいて、それをオーガが纏めている・・・数に変化があれど、全ての群れがそうなっているのである。はっきりいって、これは異常である。ただの群れならこんなことせず、もっと大勢で固まるのである。()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

「・・・おいおい、それって・・・!」

 

 

ルクルットもやっと状況を飲み込み、理解した。顔はサーッと青くなり、口角がピクピクとひきつる。

 

 

 

「・・・それぞれの群れが、冒険者(えもの)を持って帰っているのも、そう命令されているからだと思うのである。」

 

 

「つまり、ダインの予想が正しければ、この森には・・・!!」

 

 

ルクルットの言葉に、ダインはコクリと頷く。

 

 

 

 

「まず間違いなく、上位個体、それもこんな風に群れも操れるだけの知能を持った個体が居るのである。」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

時間は遡り、少し前ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソが!!離せ!!離せよ!!」

 

「・・・ウルザイ」

 

「ゴボォ!?ゲホッガハッ!!うぇ・・・」

 

「・・・ハラヘッダ」

 

「グギ・・・エモノ、クウ、ボス、オコル」

 

「グゥ・・・」

 

 

 

薄暗く、あかりの少ない森の中。とある冒険者達は、昇給試験の最中に、不幸にもオーガをつれたゴブリンの群れと遭遇してしまった。

 

 

彼ら4人は、全員が戦士ーーーつまり、誰も特別な技能を持ち合わせていなかったが、腕っ節には自信があった。同じ村の出身という事もあり、仲もよく、これまで特に問題も起こすことなく過ごしてきた。

 

 

そんな折に訪れた、鉄級(アイアン)への昇級試験。彼らは歓喜した。階級が上がれば、それだけ受けれる依頼も増え、収入も上がる。そうすれば、装備を新調し、戦力を整えることが出来る。

 

憧れの物語の英雄の様に、胸が踊る冒険が出来ると。

 

 

 

 

そんな彼らは、浮かれていた。試験内容はゴブリンの討伐。恐れるに足りないと。英雄になる自分達が、こんな所で躓くわけがないと。

 

 

 

 

そんな彼らの希望(げんそう)は、たまたま出会ったオーガの剛腕によって粉々に打ち砕かれた。

 

 

 

まず、先頭を歩いていた男がゴブリンを見つけて切りかかった。次の瞬間には、オーガに殴り飛ばされ、木の幹に身体を打ち付けられた。

 

呆然としている俺たちにオーガは近づき、2人の仲間の頭を鷲掴みにし、地面に叩きつけた。

 

残った1人は、情けない悲鳴を上げながら逃げようと後ろを振り向いた。しかし、オーガからただの人間が逃げ切れるはずも無く。あっさりと追いつかれた彼は、オーガの剛腕を受け、気を失った。

 

 

 

そんな若き冒険者(えもの)達を、オーガが足を持って引きずるようにして運んでいく。このままこの人間を貪りたいが、そこは我慢だ。彼らのボスは、怒ると怖いのだ。

 

 

 

喚く人間(えもの)を引きずって奥へと進んでいくと、少し開けたところが見えてくる。彼らのボスが整えた、村のような場所だ。

 

 

近くに立っていたゴブリンに、人間(えもの)を持ったオーガが話しかける。

 

 

「エモノ、モッテキタ。ボス、ドコ?」

 

「グギッ、ボス、ムコウ」

 

 

ゴブリンの指差した方向に向かうと、彼らのボスの姿が目に入った。

 

 

本来3m程の体格を誇るオーガの中で、2m程の小柄な体格をしているが、その肉体は引き締まり、研ぎ澄まされていた。

 

並のオーガが数体で襲いかかっても跳ね除けるであろう強靭な武力。群れの誰もが考えつかないようなことを考えつく知力。彼と、もう1人にのみ許された装飾品の数々。

 

群れ全体から尊敬の念を集める、唯一無二のボスが、そこに立っていた。

 

 

 

「ボス!エモノ、ヨンヒキ!」

 

「おォ、良くやっダな!なラ、アイツのところに持って行っでグレ。」

 

「・・・ボス。ハラヘッタ。」

 

 

「・・・1匹だゲだぞ。」

 

 

「え?・・・い、いやだ!!やめろ、やめてくれ!!たすけて、助けて下さい!!嫌だァァァァァァァ!!!!?!!?」

 

 

 

ボスの許可に、嬉嬉としてオーガとゴブリンは人間(えもの)にかぶりついた。

 

 

グチャリ、と肉の潰れる音や、骨の砕ける音と共に、真っ赤な血が滴り落ち、辺り一面に香ばしいーーー人間にとっては吐き気を催すような匂いが充満する。

 

 

 

「いやだ!!たすけて、助けてぇ!!俺だけで、俺だけでいいんだ!!!」

 

「何かのお役に立ちます!!!どうか、どうかお慈悲をぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「夢だ・・・これは夢なんだ・・・そうだよ、俺が死ぬわけない。ゴブリンやオーガみたいな雑魚に負けるわけないんだ・・・。」

 

 

 

叫び散らし、懇願し、現実から目を背ける彼らを気にかけるものはおらず。そのまま引きずられ、とある場所に連れていかれる。

 

 

 

「アニキ」

 

 

 

絶え間なく配下に指示を出していくボスに、1人のオーガが近づいていく。

 

その体格は、ボスと同じく2m程と比較的小さいが、ボスと違い研ぎ澄まされた肉体ではなく、細く、やや不健康な印象を漂わせており、猫背もそれに拍車をかけている。

 

しかし、そんな彼を侮るものはこの群れにはいなかった。動物の皮で出来たローブを身にまとい、ねじ曲がった杖を手に持ち、大型の獣の頭蓋骨を被った彼こそ、ボスの弟にして群れ唯一の魔法詠唱者(マジック・キャスター)なのだ。

 

 

「おォ、おドうドよ。アイツの様子はドうだ?」

 

「今はメシをクッテルからオトナシイ。何かあれば手伝ッテクレるさ。」

 

「そうか。いヅでもうごガセるようにしておゲ。」

 

「・・・何かアッタか?」

 

「てイサつにデタ奴らがなんビキか戻っデない。しばらグしたら、探索ズるぞ。」

 

 

 

そう言い、森をじっと睨みつけるボスーーー大鬼の指揮官(オーガ・コマンダー)と、肩を竦めて了解の意を示した弟ーーー大鬼の術士(オーガ・ソーサラー)の兄弟。そして、兄弟が飼い慣らしている、とある化け物。

 

 

 

彼らの存在は、ペテル達にどう影響するのだろうか・・・?

 

 

 

 

 

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