ペテル・モークに憑依転生!   作:ハチミツりんご

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|´-`)チラッ

|'ω')ノ⌒゜ポイッ

|ω・`) ))ススッ


………一年も更新せずに申し訳ありませんでした(土下座)


vs大鬼、妖巨人

 

 

「おいっ!!どうすんだ、この状況!!!」

 

 

後衛で弓を構えるルクルットが震えながら絞り出した叫び声。それを聞いた瞬間、目の前の妖巨人が大声を上げながら俺たちに向けて突貫してくる。

 

 

 

「っ!!ぜぇあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

咄嗟に前に出て突貫してくる妖巨人に向けてハルバードの尖端による突きを繰り出す。妖巨人は特に防御する訳でもなく身体でその一撃を受け止める。

 

確かに一撃刺さった、肉を貫く感触がハルバード越しに伝わってくる。しかし妖巨人に堪えた様子は皆無であり、むしろこちらの手に伝わる感触に大きな違和感があった。貫いた箇所から肉が軋むような、そんな感触。どう考えても再生してる。そりゃそうだよなぁ、妖巨人だもんなぁ!!

 

 

 

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「っ!!〈回避〉!!」

 

 

 

貫かれながらも突進を辞めない妖巨人が、射程内に入った俺に向けて大きく拳を振るう。咄嗟に武技を使用して後ろに下がるが、離れた場所でも飛ばされるのではないか、と脳裏に霞むほどの暴風が襲ってくる。一撃でもまともに喰らえば、骨が碎けるどころじゃない。間違いなく、内臓までぺちゃんこシェイクだな、こりゃ。

 

 

「〈能力向上〉〈斬撃〉ッ!!!」

 

 

先程咄嗟だったゆえに使用する暇のなかった身体能力底上げの武技を使いつつ、〈回避〉の勢いそのままにハルバードを大回し。〈斬撃〉を乗せた一撃を妖巨人に向けて振るう。

 

 

 

「………『避げロ』」

 

 

しかし、妖巨人の後方。2体の大鬼のうち、見事な体格をした方が言葉を発すると、妖巨人が素早く身を引いて攻撃を躱す。大振りで隙を晒しかけたがなんとか力を込めて踏み止まり、地面を蹴って後ろへと下がった。

 

 

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「問題無い!!」

 

「なんだよアレ、ペテルの攻撃躱しやがった!?」

 

「後ろのオーガが指示を……!!魔法詠唱者でもなさそうなのに、有り得るのであるか!?」

 

「アイツは恐らく指揮官(コマンダー)です!指示を出して味方を補助する役割………っ!!ルクルット!!」

 

 

マルムヴィストから心配の声が飛ぶが即座に返す。ほかの三人に向けて大鬼の指揮官の情報を伝えようとした瞬間、ねじ曲がった枯れ木のような杖を手に持った大鬼がそれをコチラに向けると、大鬼の背後から白い光球が2つ、瞬いた。

 

 

「は?」

 

「っ!シッ!!」

 

 

気を抜いてはいなかった。しかし緊張からか、それに気がつけなかったルクルットは気の抜けた声を上げて棒立ちで眺める。が、そんな彼の前にマルムヴィストが割って入る。近くにいつつ、すぐにでも攻撃に飛び出せるように体勢を整えていた故に反応出来たのだ。右手に構えるレイピアではなく、腰に装備していた予備のナイフを左手で2つ引き抜いて光球に向けて投げつける。片方は上手くぶつけることが出来、光球とナイフが弾ける。

 

 

 

「ぐぅっ……!!」

 

「マルムヴィスト!!!」

 

 

 

しかしもう片方は外れたようで、光球がマルムヴィストの脇腹に突き刺さる。鮮血がほとばしり、痛みに苦悶の表情を浮かべつつ歯を食いしばって耐えるマルムヴィスト。後ろで庇われたルクルットが悲鳴に近い声を上げるが、ダインが素早く動いた。

 

 

「《軽傷治癒(ライト・ヒーリング)》!」

 

 

森司祭に限らず、回復職ならば誰もが使用できる第一位階の回復魔法を負傷したマルムヴィストへと唱える。魔法特有の淡い光がマルムヴィストの身体を包み、穿たれ出血した脇腹が塞がっていく。完全には修復しなかったものの、明らかに穴の大部分が塞がり、出血も収まっている。

 

 

 

「っと、サンキューダイン!!おいルクルット!!ボケっとすんな、死にてぇのか!?」

 

「わ、悪い……」

 

 

 

怒りを滲ませながらマルムヴィストがそう言うと、ルクルットは申し訳なさそうに呟く。しかしそんなことをしている場合ではない。脅威は未だに去っていないのだ、すぐさま切り替えなければ命は無い。

 

 

 

「ダイン!まだ魔力に余裕があったら、マルムヴィストにもう一回軽傷治癒をかけてくれ!」

 

「はぁ!?おいペテル、俺はこれでも………」

 

「重戦士みたいに受け止められるならともかく、お前は軽戦士!しかも回避重視のフェンサー!!動きが鈍ってて戦える相手じゃないのは分かってるでしょう!!」

 

 

俺からの指示を受けたダインが首肯しながら再び軽傷治癒をマルムヴィストに飛ばし、彼の脇腹の傷を完全に塞いだ。マルムヴィストは1回分余計に魔力を使わせることに抵抗があったようだが、回避重視のマルムヴィストは怪我で動きが鈍った際の弊害が大き過ぎる。この場で俺以外に前線に立てるのはマルムヴィストだけだ、下手打って倒れられたら目も当てられないことになる。

 

 

 

「私が妖巨人を止めます!!その間に、3人は集中して奥のコマンダーを!!」

 

「魔法詠唱者の方はどうするであるか!?」

 

「召喚した2体の天使で囲みます!耐久の高めな天使ですし、ある程度の魔法耐性も備わっている!………正直、私では妖巨人を殺し切るのは不可能だと思います。天使が消滅するより先にみんながコマンダーを殺し切れるかが、生死の分かれ目です………いけますか?」

 

 

 

このメンバー内で一番火力があるのは間違いなく俺だ。自惚れる訳でもなく、両手武器であり重さのある斧槍を使用しており純戦士職を習得、武技も使用出来る俺が火力面で優れているのは明白だ。マルムヴィストも素早い刺突は間違いなく俺を凌駕するが、総合的にいえば軍配は俺に上がる。

 

ならば俺がコマンダーを始末しに行けばいいとも思えるが、しかし妖巨人の足止めが出来るのも俺しかいない。一撃の重いコイツだが、拳撃のスピードもかなりのものだ。さらにはコマンダーの方へといかせない為にある程度攻撃して引きつける必要がある。そうなると、再生能力を持つコイツ相手では刺突攻撃、かつ回避型のマルムヴィストでは相性が悪すぎる。

 

 

 

だからこそ、俺抜きの3人でコマンダーを倒してもらわなくてはならない。もしここにエドがいれば、彼女が暗器と刃の鞭(ブレードウィップ)による中距離攻撃で気を逸らし、マルムヴィストが前衛で躱す……という手も取れたが、ないものねだりはしてもしょうがない。

 

 

そう思い3人に問いかける。仮に無理だと言われてもやってくれ、と頼み込むしか出来ないが、と思った時。

 

 

 

「お、俺はやるぞ!!矢を射掛けるくらいしか出来ないが、や、やってやる!!!俺のルクルット伝説の序章には、ピッタリの戦いだぜ!!」

 

 

恐怖を感じて身体を震わせながらも、それを必死に殺して強気な発言を飛ばすルクルット。一番恐怖を感じていた彼が真っ先に答えたことに少々面食らいつつ、それを凌駕する喜びが沸き上がる。

 

 

 

「………はっ!!ルクルットのアホがやる気出してんのに、俺がやらねぇわけにはいかねぇな!!任しとけ、すぐに殺しきってお前のサポートに回ってやるよ」

 

「仮に天使が先に消滅したら、私が魔法詠唱者の魔法を受けるのである。森司祭である私は、みなに比べて若干だが魔法耐性があるのである!!サポートも任せて欲しいのである!!」

 

 

 

すぐさまマルムヴィストとダインもそれに続く。未だに組んで日の浅いこのチーム。だが、この絶望的状況を前にしても誰一人として逃げ出そうとはしない彼らを見て、俺は大きな安らぎを感じた。

 

 

 

ーーー死にたくないな。誰一人欠けることなく、生きて戻りたい。

 

 

 

そんな死亡フラグめいた事を思いながら、斧槍を油断なく構え、天使に命令を下す。

 

言葉に出さずともこちらの思考を読み取った2体の天使は、大盾を構えながら魔法詠唱者の大鬼へと突貫していく。

 

 

 

「!『飛んデルのかラ始末ジロ』!!」

 

 

 

思惑を察したのか、はたまたただ単純に弟の身を案じたのか。すぐさま妖巨人に指示を出すコマンダーの能力により、妖巨人は脇を抜けていった天使へと標的を定める。

 

 

 

「〈能力向上〉〈流水加速〉………」

 

 

 

しかしそうはさせない。身体能力を底上げし、流れるように加速。一気に妖巨人へと肉薄した俺は、〈流水加速〉を解除しながら一気に攻勢に出る。

 

 

 

「〈斬撃〉[兜割り]ッ!!!」

 

 

 

《熊の剛力》に加えて〈斬撃〉と[兜割り]による上段からの振り下ろし。現状俺の取れる最も強力な一撃によって天使へと意識の向いていた妖巨人の肩のあたりに深々と斧槍を突き立てる。

 

かなり深く入った故に、幾ら再生能力をもって痛みに鈍い妖巨人だろうと堪えたらしく、妖巨人が大きく叫ぶ。しかし同時にこちらの手に伝わる感触もあまりいいものではない。完全に断ち切る勢いで攻撃したのに途中で止まった。回数制限のある[兜割り]まで使用してコレか!!やっぱ殺し切るには酸属性か炎属性が必須っぽいなぁコイツ!

 

 

「グァァァァァァァァ………!!!!」

 

「おイ!!その人間デはなイ!!聞ゲ!!!」

 

 

だが思惑は成功した。妖巨人の意識は完全にこちらに向いている。後ろに立つ大鬼が呼び掛けるが、指揮官のLvが低いからか完全には制御出来ていない様子。その隙をついて、マルムヴィスト達が一気に攻撃に出た。

 

 

 

 

「《植物の絡みつき(トワイン・プラント)》!!!」

 

「っらぁ!!」

 

 

ダインが地面に手を着いて魔法の名を叫ぶと、コマンダーの足元にあった植物が急激に成長。絡みつくように伸びていく植物に足を取られ、一時的にだが動きを止めることが出来た。森司祭の真骨頂、森の中など植物がある場所でこそ力を発揮する代表的な魔法だ。

 

 

植物が絡みついてきた事に気を取られるコマンダー。動きを止めた大きな敵は、野伏であるルクルットにとって格好の的だ。細かい位置は気にせず、一気にダメージを与えるために同時に三本の矢を射掛け、左ももと脇腹、右肩にそれぞれ命中させた。

 

 

「ガアッ!?」

 

「ナイス二人とも!!〈速度向上〉〈穿撃〉!!」

 

 

痛みに悶えたコマンダーに向けて、武技によって速度を最大限まで引き上げ、その勢いと全体重を乗せた渾身の突きを放つ。同レベル帯で考えれば間違いなくその枠から飛び出しているであろうスピードで一気にレイピアを突き出したマルムヴィストの一撃は、いくら純戦闘職ではない『大鬼の指揮官』を習得しているとはいえレベルが上のコマンダーにもブレて見える程の完成度だった。的確に胸の辺りに突き刺さったレイピアは、深くコマンダーの肉を抉り内部へと侵入していく。

 

 

 

「がァァァァっ!!!クゾッ!!!」

 

「っ!〈回避〉っとぉ!!」

 

 

 

腰の直剣を引き抜いて振り回すコマンダーから、先程ペテルも使用した武技で後方へと大きく飛ぶ。マルムヴィストのすぐ後ろにメイスを構えたダインが控え、ルクルットが背の矢筒から新しく矢を引き抜く。

 

 

 

「アニキッ!!クソ、どケ!!」

 

 

 

魔法詠唱者の弟が攻撃を受ける兄を心配して援護に向かおうとするが、天使2体が行く手を遮る。弟の習得している魔法は、攻撃系統に加えて僅かな補助魔法。そしてその補助魔法は、対象に視認していないと使用できない。耐久目的でペテルが天使に持たせた大盾が視界を遮り、補助すら掛けられないのだ。攻撃しようにしても魔法耐性を持ち、通常よりも耐久を高められている天使が2体もいるため中々切り抜けられないが、だからといって見捨てる理由にはならない。攻撃魔法を唱え、天使を排除しようと動き出した。

 

 

 

「クゾッ!!!殺す!!!殺しテヤる!!!」

 

 

叫びながら直剣を振りまして威嚇するコマンダーを見つつも、3人は慌てず、冷静に対応する。

 

ルクルットが連続で矢を射掛けるが、流石にそう簡単には当たらない。分厚い皮膚で覆われたオーガ故に、拳と直剣で矢を払われてしまう。再びダインが《植物の絡みつき》を使用するが、それより早くその場から飛び退き、切り払われてしまう。

 

 

 

「くそっ、この距離でも当たらねぇ!!」

 

「魔法も読まれているのである……!!これが大鬼の指揮官(オーガ・コマンダー)の知性であるか!?」

 

「いや、コレでいい!!二人で隙を作ってくれ、アイツは俺のスピードには対応出来てねぇ!!次は急所にぶち込んでやる!!」

 

 

 

二人が焦りを滲ませるが、マルムヴィストがそう言って二人を鼓舞する。愛用のレイピアの尖端をコマンダーへと向けながら、マルムヴィストは不敵に笑った。

 

 

 

 

「さぁ、とっととこの木偶の坊ぶち殺して、ペテルに加勢してやろうぜ!!」

 

「「おうっ!!!」」

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