想像以上のかたに見ていただいて、嬉しいです!
モンスター・・・!!俺が自警団に入ってからは初めて襲ってきた。だが、好都合だ!ここで多めに経験値を稼いで、レベルアップしておけば、目標にかなり近づける!それに、モンスターを倒して得た経験値がどう分配されるのか、実験もしなければならない。均等に分配されるのか、もしくはこちらの思った通りに分配できるのかだ。結果によっては、レベリング方法を見直さなくてはならない。
「おいペテル!!なに突っ立ってんだ!!」
ギグに言われてハッとする。そうだ、すぐに動かなくては。そう思っていると、ギグが俺に剣を手渡してきた。訓練で俺が使っている木剣よりも少し長めの直剣と、少し短めの鉈、それにナイフだった。
「お前の分の装備だ。だが、鉈とナイフはあくまで予備だ。無理はするなよ。お前はまず、村長の家に子供たちを避難させてくれ。それが済んだら、俺たちの加勢に来い。いいな?」
「・・・わかった。俺が来るまで、絶対持ちこたえてね。」
「へっ、舐めんなよ。もうこの村で長いこと戦ってんだ。いつも通りやるだけさ。・・・くどいようだが、無理はするなよ。」
「分かってるよ、父さん。死なないでね」
「おう、早くいけ。」
そう言葉を交わすと、ギグは自警団が集まっている方へ走っていった。・・・とりあえず、俺も仕事をしなければ。手早く済ませて、経験値稼ぎだ。
「エド!みんなはどこにいるか分かる?」
「あっちだよ!付いてきて!」
エドストレームについていくと、すぐにみんなが見えてきた。どうやら近くに大人がいなかったらしく、どうしたらいいのか分からないようだ。
「みんな!大丈夫?!」
「ペテル!なんでこっちにいるんだよ!」
「みんなを村長の家まで護衛するためだよ。モーゼ!全員いる?」
「ちょっと待て!・・・よし、全員揃ってるぞ!」
「わかった。みんな!今から村長の家に避難するよ!なるべく急いで、だけど騒がずにね!」
そう言って、俺たちは村長の家に向かう。小さい子供の手を年長組が引いていき、俺を先頭、置いていかれる子供がいないよう、最後尾をモーゼが見ている。村の東側を見てみると、巨体のオーガや、矢倉から矢を放つレイラ達狩猟組が見える。現在ここから確認できるオーガの数は5匹。うち2匹は巨大な丸太を持っている。
・・・まずいな。ゴブリンならば自警団の皆でも対処できる。しかしオーガは無理だ。ギグならば1人でも1匹対処できるし、ギランとルッチーーー自警団の
「ペテル君!ちょっと待って!」
「ごめんエド、後でいいかな?はやく村長の家に行かないと・・・」
「そ、それなんだけど、向こうから誰か来てるの!」
そう言って彼女が指さしたのは、村の北側だ。この村は、畑や家をまとめて区分けしている。東側に訓練用の広場や武器庫、対モンスター用の防衛設備を、西側には村のみんなが住んでいる家を、南側には畑を、北側には畑から取れた作物や、トブの大森林からたまに取ってくる薬草を保管する倉庫をおいているのだ。俺達が目指している村長の家は西側だ。そして、この時間は殆どの村人が訓練場、もしくは畑仕事をしていた。
つまり、倉庫のおいてある北側には、村人はいないはずなのだ。
「倉庫の方から?気のせいじゃなくて?」
「うん。足音がする。しかも多い。」
人がいないはずの倉庫側から足音。しかも複数。どう考えてもモンスターだ。このまま放っておくと、自警団の背後に回られるかもしれない。・・・ここで始末しておくか。幸い、北側にはオーガは見当たらない。ゴブリンだけならば、俺一人でもある程度戦えるだろう。もしもの時は、召喚魔法で味方を増やせばいい。
「・・・エド、これ持ってて。それと、モーゼと一緒に、みんなを連れて村長の家に隠れてて。」
そう言って彼女にナイフを渡す。
「ペテル君は?」
「足音について調べてくる。モンスターだったらそこで倒さないといけないからね。」
「そんな!じゃあ私を一緒に・・・」
「ダメ。エドはみんなを連れて隠れて。俺は大丈夫だから。」
本音を言うと、彼女も連れていきたい。ゴブリン程度になら充分戦えるだろうし。しかし、万が一がある。それに、今は彼女のレベリングをしている場合ではない。はやくしないと自警団のみんなが危ないのだ。俺がここで経験値を稼いでおきたいし、彼女は今回はお休みだ。
「・・・わかった。無理しないでね。」
「任せて。」
そう言ってみんなから離れて北側に向かう。しかし、モンスターが回り込むことなんて今まで無かった。それに、今回攻めてきた群れもかなりの人数だ。普通、あんなに大勢のゴブリンとオーガがまとまってくることなんてない。
・・・俺の考えすぎか?ただの偶然なのか?それとも・・・
「っ!・・・考えるのはあとにするべきか・・・!」
俺の視線の先に、小さな人影が見える。
茶色い肌にボサボサの髪、つぶれた顔に平べったい鼻と大きく裂けた口がついている。間違いない、ゴブリンだ。棍棒やさびた短剣を装備したそいつらが確認できるだけでも9匹いる。
そして、そのゴブリン達を率いるかのようにして先頭にたっているのは、周りよりも一回り大きく、筋肉がついており、そしてさびた直剣を手に持ったゴブリンだった。
【能力看破の魔眼】を使うと、周りのゴブリンたちは全員
〜〜ステータス〜〜
総合Lv【6】
▼
▼
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
総合Lv6・・・しかも
「グギッ!」
「ーー!ニンゲンノガキダナ。コロセ。」
「ギギィ!」
深呼吸をし、鞘から直剣を抜いて構える。近づいてきたゴブリンが大振りな動作で棍棒を振るう。それをバックステップで躱し、スキだらけの腕を切りつける。「グギッ!?」と叫びながら腕を抑えている間に首を狙って一閃。赤黒い血を噴き出しながら、ゴブリンの頭が宙を舞う。
肉を切る感触って結構気持ち悪いな。おいおい慣れていくしかないか。
「グギッ!?ツヨイ!」
「タダノガキジャナイ!ゼンイン、カカレ!」
あっさり1匹やられたからか、今度はまとめて襲ってきた。それでいい。その方が早く済ませられるしな。それでも、9匹まとめてはこのままじゃ辛いな。誰も見てないんだし、使っとくべきか。
「《
移動速度と、身軽さを上昇させる魔法だ。かけないよりはマシだろう。もうひとつはそもそも戦闘用ではないし。
「んじゃま、時間も無いし。とっとと俺の経験値になってくれ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼がいってしまった。恐らく、モンスターがいるであろう場所に。・・・心配だ。たしかに彼は強い。ギグおじさんと戦っても勝ってしまうほどに。それでも、どうしても心配になってしまう。強いといっても、彼はまだ8歳、私よりも歳下なのだ。それなのに、私は何も出来ない。
ギグおじさんや自警団のみんなの様に、彼の隣にたって戦うことが出来ない。
レイラおばさんのように、彼を遠くから手助けすることも出来ない。
お母さんのように、彼に何かを教えることも出来ない。
出来ない。出来ない。何も出来ない。私は彼からたくさんのものを貰った。それなのに、何一つ返すことが出来ないのだ。そんな弱っちい自分に嫌気がさす。
・・・強くなりたい。彼の隣に立てるくらい、彼の夢の手助けができるくらい、彼に頼りにされるくらい、強く。
「・・・い。おい!エド!きこえてんだろ!?」
その声にハッとして振り向くと、最後尾にいたモーゼ君がすぐ近くにいた。
「ごめん、モーゼ君。少し考え事してて。」
「大丈夫かよ?てか、それよりペテルのやつ、どこいったんだ?」
「倉庫の方から、足音がしたから、ソレを確認しに。モンスターだったら、倒さないといけないからって」
「マジかよあいつ、1人でか?・・・まぁ、ペテルなら大丈夫か。村の誰よりも強いしな。」
それではダメだ。そのままではダメなんだ。そのままだと、彼は1人で先にいってしまう。進んでしまう。
憧れで留めておくのがいいのだろう。才能が違うと諦めれば楽なのだろう。彼にはもっと相応しい人達がいるのだと、身を引く方が正しいのだろう。賢いのだろう。
それでも、わたしは・・・。
「おーい、みんな!急ぎなさい!」
そうこうしているうちに、村長の家が見えてきた。村長が私たちに気付き、急ぐように促す。
「村長!ほかの人たちは?」
「もうみんな来ておる!お前達で最後だ。さぁ、早く中に入りなさい!」
「わかった!みんな、入って!急いで、だけど騒がずにね!」
そうして、子供たちが村長の家に入っていく。程なくして全員入り、自分も中へと入る。
(ごめんね、ペテル君。どうか、死なないで)
そして、家のドアがバタリと閉まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「くそっ!なんでオーガが5匹もいんだよ!こんなの今までなかったぞ!?」
「いいから!口じゃなくて手ぇ動かして!下のみんなが少しでも楽できるようにね!」
「分かってる!リリアラームさん!予備の矢を持ってきておいて!」
「わかった!取ってくるよ!」
そう言って、リリアが下に降りていく。あの子の腕では、下にいる村の仲間に当たってしまうかもしれないから、補助を頼んでいるが、どうしても手数が足りない。私含め5人じゃ、狙いを集中させてもオーガを倒すことは出来ない。せいぜい足止めして、体力を減らすくらいなものだ。ゴブリンを狙おうにも、小さくて足が速いためあたりにくく、既にこちら側と接触している。味方に当てるのはなるべく避けたい。
下にはギグがいる。彼ならば、オーガを1人で足止めすることが出来るだろう。下手したら倒してしまうかもしれない。
ここにあの子が・・・ペテルが戻ってくれば、まだ押し返せるかもしれない。しかし、あの子は一向に戻ってくる気配がない。何かあったのだろうか。
いくら強いとはいえ、あの子はまだ子供。それなのに、その子供に頼らなければならないとは、情けなくて笑えてくる。
そうしているうちに、矢筒が空になった。そこに、リリアが矢をもって戻ってきた。すぐに矢筒を交換して、放つ。運良くオーガの膝に刺さり、動きを制限することが出来た。
「ありがとう、リリア!さぁ、どんどん行くよ!」
「ねぇ、レイラさん!あのゴブリン、なんかおかしくないですか?」
「どうしたのさ、カノン。ゴブリンなんて下にいるだろう?」
「そっちじゃなくて!あの、棍棒もったオーガの後ろに、変なゴブリンがいるんです!」
そう言われて、カノンが指さすほうを見ると、たしかにおかしなゴブリンがいた。体をローブのような布で覆い、手にはねじ曲がった木の枝をもっている。
「たしかに変だね。・・・もしかして、あれが群れの長かね?」
「それなら、あれを倒せば、ゴブリン共が引いていくかも知れませんよ!」
「逆だ。群れの長を失ったら、こいつらはがむしゃらに突撃してくる。そんなことされたら、こっちは全滅するよ。ただ突っ立ってるだけで、実害がないなら、放っておきな!」
「は、はい!」
そうして、再びオーガを狙い始める。しかし、既に1番先頭に近いオーガが自警団のすぐそこまで迫っていた。
「ギグ!!左側からオーガが近づいてるよ!」
「ーー!わかった!ルッチ!ここは任せたぞ!もう1匹オーガが来たら、ギランと2人で抑えてくれ!」
「了解!気をつけてくださいよ、ギグさん!」
先頭のオーガとギグがぶつかる。ギグはオーガの剛腕を的確にいなし、一撃、また一撃とカウンターを決めていく。
「さっすがギグさん!オーガと1体1で戦えるとか、どんな身体能力だよ!」
「あったりまえでしょ、私の夫なんだから!ギグなら大丈夫だから、他のを狙うよ!・・・ん?」
ふと、視界に
「なんですか?あれ。」
そういってカノンが躱そうとすると、彼女を追いかけるかのようにその何かは軌道を変える。
「っ!カノン!危ない!」
咄嗟に彼女を庇うと、その瞬間焼けるような痛みが左肩を襲う。あまりの痛みに踏ん張れず、カノンを巻き込んで倒れてしまう。
「ぐっ、あぁぁぁぁぁぁ・・!!!」
「そ、そんな!レイラさん!レイラさん!しっかりしてください!レイラさん!」
「カノンさん!落ち着いて!私が治療するから、あなたは戦いに戻って!」
「っ!すみません、お願いします!」
そういって、彼女は再び矢を放つ。左肩を抑えてうずくまる私に、リリアが手際よく包帯を巻いていく。
「レイラ、大丈夫!そこまで傷は深くないよ!」
「ぐぅっ・・・ごめん、リリア。少し楽になったよ・・・。」
そう言って身を起こすと、上から戦況を確認する。新たに1匹のオーガが近づいており、それをルッチとギランがどうにかして止めている。ゴブリンと戦っている他の自警団の人たちも、かなり疲労している。
そして、あの怪しいゴブリンを見てみると、こちらに向かって杖を掲げて何かをしていた。すると、ゴブリンの背後からあの白い矢が現れ、こちらに向かって飛んできた。先ほどと同じく、カノンを狙っている。
「くそ!カノン、後ろに下がって!」
カノンを後ろに下げ、矢筒を盾にして白い矢を受け止める。ぶつかった瞬間に強い衝撃が体を襲い、矢筒が粉々に砕けてしまう。
「レイラさん!」
「私は大丈夫!それよりも、あのゴブリンを狙って!」
「了解!・・・くそっ!あいつ、棍棒もったオーガ共を盾にしてやがる!」
「それでもいい!とにかくあいつをこっちに引き付けて!」
くそっ!くそっ!少し考えれば分かることだった!普通、こんなふうに多くのゴブリンやオーガがまとまることなんてない。食料の問題もあるし、何より喧嘩が起こるからだ。そんなゴブリン達をまとめるには、相応の知性が必要になる。だが、ゴブリンにもオーガにも、そんな知性は備わっていない。
しかし、稀にいるのだ。そんな知性をもったゴブリンが。長く生き、知性を蓄えたゴブリンや、上位種たるホブ・ゴブリン。そして、本当に稀に生まれてくる、
「
そんなわけで、