後悔はしていない。
反省もしていない。
たぶん、前回までシリアス続きだったからその反動のせい。
とりあえず、どうぞ、お納めください。
病院の一室を訪れた若葉とひなたを出迎えたのは、歌野と十歳前後の少女に挟まれて仏の顔をしている輪廻であった。
「・・・・・・これは・・・どういう状況なんだ?」
「若葉ちゃん、これはいわゆる『修羅場』というやつです。巻き込まれないように今日はもう帰ることにしましょう」
「待って帰らないで助けてちょーだいお願いします」
―――――――――――†――――――――――
「で?何がどうしてこうなったんだ?」
「それについては我輩からお教えいたします!」
「うおっ!」
突如、若葉の
「へ・・・え・・・あ・・・」
「お嬢さん質素なモノを着けてますねぇ。せっかくの美人が台無しですよ~。まあ、これはこれで―――」
「!!!!!!!!!!!!」
カラスがくわえているのが何なのか理解した若葉は、スカートを器用に押さえながら、刀を構える。その顔は羞恥によって真っ赤に染まり、目には涙すら溜まっていた。
「おおwww怖いwww怖いwww」
「貴様あ!!それを返せ!でなければこの刀の錆となれえ!!」
「返せと言われて素直に従う盗人はおりませなんだなぁwwwwwwてなわけで、ばいちゃ♪」
ズブズブと自らの影の中へ沈み行くカラス。だが―――
がし
「おや?」
「うふふふ」
満面の笑みを浮かべるひなたによって、阻止された。
その目は、一切笑ってなどいなかった。
「おやおや、怖いですねぇ。せっかくの美人が台無しですよ~?そんな怖い笑顔ではなく、心からのスマイルがみたいですねぇ我輩」
「若葉ちゃんの下着を返していただけたら、後でゆっくりお見せしますよ?」
「ひなた、そいつを離すなよ・・・」
鬼の形相の若葉が刀を振り上げる。
「おっとぉwwwこれはいけませんねぇwww」
「もう逃げられませんよ。さあ、返してください」
「あっはっはwwwwwwところがぎっちょんん!!」
どぷん、と
「な―――!」
そして、
「スナァァァァァァァァァァッチィ!!!」
「え・・・あ・・・きゃああああああああああ!!!!」
ひなたのスカートの中から再度現れた。くちばしに青いひらひらをくわえて。
「でゅふふふwwwwwwなかなか良い趣味の聖布でござるのうwwwwww」
「貴様ああああああああああ!!!!!!!!」
ひなたが被害にあったことで完全にキレた若葉が、カラスに斬りかかる。
「おっとwwwwww」スカッ
「チッ!何処だ!姿を見せろォ!」
「見せろと言われて素直に従う馬鹿はおりませなんだなぁwwwwww」
「そこっ!」スカッ
「こっちでおじゃるぅwwwwww」
「このッ!」スカッ
「はwwwずwwwれwww」
「貴様ッ!」スカッ
「踏み込みが足りんッwwwwww」
「ぬあああああああああああ!!!!!!!!」
「言い様に弄ばれてる・・・・・・」
―――――――――――†――――――――――
その後、
「その辺にしときなさい。あたしのあげるから、お二人の下着を返してあげて」
「ヘイ喜んでェェェェ!!!!」
この少女の一言でカラスは二人に下着を返した。
「すごく納得がいかない・・・」
「私もです・・・」
「まあまあ」
若葉とひなたの頭を撫でる輪廻。その腰には歌野が抱き付いている。
「ハァwwwハァwwwでゅふふふwwwwwwくんかくんかwwwwww」
「直接嗅ぐな邪魔」
件のカラスは妙齢の女性に変身して少女のスカートの中に頭を突っ込んでいた。
誰がどう見てもまごうことなき変態である。
「・・・・・・それで?こいつは一体」
「オレと同じ悪魔だ」
「あ、ニック。お前今までどこに行ってたのさ!?」
いつの間にかニックがいた。
ニックは輪廻の問いに答えず、続ける。
「序列四十位ラウム。カラスの姿で現れ、都市を破壊し王族から物を盗む変態野郎だ」
「変態とは心外な!我輩は紳士にござりますぞ!」
「パンツ頭に被りながら言う事かよ」
「というかこの子の下着捕るなよ」
「良いのです輪廻さまっ♪あたし、下着が無いくらい平気ですからっ」
少女が許したせいか、ラウムと呼ばれた変態女はでゅふふふwwwと笑って下着を外し、そのまま食べた。
「・・・・・・ニックも人間以外になれるの?」
「残念ながらなれない」
「アニキは名が知れてまふからね~モゴモゴ。下手に変身すると、真名が即バレなんすよモゴモゴ」
「食うか喋るかどっちかにしろロリコン」
「もぐもぐもぐもぐ・・・・・・ごっくん。アニキ、我輩はロリコンと違いますぅ~!ロリも好きなんですぅ~!!」
「こいつ下着を飲み込んだぞ」
「とんでもない変態だな・・・」
「まったくです・・・」
輪廻の後ろで着替えていた若葉とひなたが戻ってきた。
そして少女の方を向き、ようやく本題に入る。
「さて、それではお前の名前も聞かせて欲しい」
「あ、はい」
―――――――――――†――――――――――
「あたしの名前は『
「東京!向こうは無事なのか!?」
「いえ、あたしが覚えている限りでは、東京もあいつらにぐちゃぐちゃにされて・・・」
「・・・そうか。すまない、嫌なことを思い出させた」
「ああ、気にしないでください!たしかにいやなことばっかりでしたが、今は輪廻さまがいますのでっ♪」
そう言って美空は輪廻の右腕にしがみつく。
それを見た歌野が反対の左腕にしがみついた。
「・・・・・・渡さないから」
「それはあたしのセリフです」
バチバチと火花を散らせる両者。その間で輪廻がため息をつく。
「・・・・・・・・・・・・はぁ」
「これは・・・」
「・・・・・・輪廻さん?」
若葉は困惑し、ひなたはジト目で輪廻を見る。
またもため息をついて輪廻が答える。
「・・・・・・・・・確かに、この子を助けたのは僕だよ。でも、ここまで好かれるなんて、誰が予想できる?」
「まっ!仕方ないですよね~!」
カラスに戻ったラウムが、輪廻の頭に乗って喋る。
「自分の事を命がけで救ってくれた上に、『オレが一緒にいてやんよ!』みたいなこと言われたら、どんな女子も一発コロリ、てなモンですよ~wwwwww」
「輪廻さん・・・歌野さんと水都さんがいらっしゃるというのに・・・・・・」
ひなたに白い眼で睨まれ、死んだ目で輪廻がぼやく。
「自立できる歳になるまで面倒をみてあげる。って言っただけなんだけどなぁ・・・・・・」
「それはそうと、歌野はなぜ此処に?いつもなら畑にいる時間だろう」
「そこのクロウに呼ばれたのよ」
「呼んじゃったでありんすwwwwww」
どうやら修羅場の原因はラウムにあるようだ。
「・・・・・・お前のせいか」
「でゅふふふwwwwwwサーセンwwwwww」
「コノヤロウ・・・・・・(怒)」
―――――――――――†――――――――――
一段落ついたところで、ニックがラウムに問う。
「オイ、ラウム。オマエ、何でこのガキと契約した?」
「
「ア?」
「
「ンな訳あるかよ。オレ達悪魔は
そこでニックは何かに気付き、口を閉じる。
「そう、
「バカな・・・オマエとそこのガキとの契約は完全に切れている。何で帰還しない?」
「我輩にも解りません。ですが、一つ」
「何だ?」
「あのときの我輩は
「・・・・・・成る程な、オレがオマエの名を明かした瞬間に、ガキの動きが止まったのは、それが理由か。だが、それとオマエが此方に居続けている理由と、何の関係がある?」
「アニキもお気付きでしょう?
「・・・・・・・・・成る程な。そうなるとやはり、『アイツ』か?」
「一体はそうでしょうな。が、元凶という訳ではござりませんでしょう」
「「「・・・・・・・・・」」」
「こら、ラウム!輪廻さまがきょとん、としてるじゃない!もっと分かりやすく説明なさい!」
美空がラウムを叱る。
「此度の戦、悪魔が一枚咬んでいる可能性がありますぞ」
ラウムの言葉に、一同は驚愕を顕にした。
「・・・・・・だとしても、我々は勝たねばならない。四国に住む人々のためにも・・・!」
「若葉ちゃん・・・」
「そうね。若葉の言う通りだわ」
「・・・・・・・・・はは、僕の言いたいことぜぇ~んぶ、言われちゃった」
若葉が宣言すると、ひなたは瞳を輝かせ、歌野は若葉に同意し、輪廻は笑って肩をすくめた。
皆、気持ちは一緒なのだ。少なくとも、ここにいる四人は。
いや、きっと全員、同じ気持ちだろう。
輪廻は一人、そんな事を思っていた。
ちなみにこのあと、四人は看護婦に怒られた。
ラウムと香草美空について―――
ラウムは序列四十位の悪魔。序列は強さ依存ではなく、生まれた順。
美空は東京に住んでいた少女。バーテックスから姉と共に逃げ仰せたが・・・
母姉と同じ金髪。
ピーマンが苦手。