契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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ついに発売に為りました!!勇者の章BDーBOX!!

実は小生、まだ満開祭り3のほうは視聴しておらず、それ以外は、ほぼ!堪能いたしました(ほっこり)

何はともあれりっくんのお話!

どうぞ、お納めください。


廻る円環と落ちぬ太陽

「はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・さんざんな目にあった」

 

あれから少し経った。その間、歌野に添い寝を要求されたり、みぃに半泣きで問い詰められたりしていた。

昨日の夜も、歌野とみぃが一緒に寝たいとゴネてきた為に、あんまり眠れなかった。おかげでちょっと眠い。

 

「だから今日一日寝て過ごしたかったのに・・・」

 

「つまりヒマを持て余していたんだろ?よかったな、いいヒマ潰しになってよ」

 

「他人事だとおもってからに・・・」

 

ベッド代わりのソファーで寝ていたらニックに叩き起こされ、この前行ったジェラート屋にまた行ってきたのだった。(ちなみに今はその帰り)

いい加減にしてほしいよまったく・・・。

 

「アイスならこの前買っておいたでしょ」

 

「ならもっとマシなやつ寄越せ。なんだ『ビーフシチュー味』って。お前はオレにゲテモノ喰わせてどうする気だ」

 

「反応を楽しみたい」

 

「ふざけんな!!てめ―――あ?」

 

「んー?」

 

丸亀城の正面に、見知らぬ車が停まっていた。

黒塗りの・・・・・・なんだっけこういう車。なんかお金持ちが乗ってそうなピッカピカの車だ。

 

「すっげー。モノホンの高級車だよね!?これ」

 

「・・・・・・どうやら、アイツの所有物らしいな」

 

ニックの視線の先に、その人はいた。

丸亀城の周辺をぐるりと廻って来たのか、僕たちが来た方向とは逆から現れた少年。彼がこの車の持ち主っぽいなぁ。雰囲気的に。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

少年がこちらを見つめてくる。

僕も少年を見つめ返す。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「いつまでそうしてるつもりだ!!」

 

スパーン!と小気味良い音を立ててひっぱたかれた。

 

「いったー。ちょっとニック。痛いじゃんかさ」

 

「うるせぇ!お前がいつまでもアイツとにらめっこしてるのが悪ぃンだろうが!!」

 

「だからってなんではたかれないといかんのさ!?」

 

「――――――――ぶふっ」

 

ニックと漫才していたら、少年に笑われた。

 

―――――――――――†――――――――――

 

「改めて、どうもはじめまして。ボクは枢木白夜っていいます」

 

「あー、どうも、はじめまして。戸塚輪廻です」

 

とりあえず両者共に、近くの公園のベンチに座って、自己紹介をする。

にしても、枢木か・・・・・・たしか、首相の名前も枢木って言ってたような・・・

まさかね?

 

「参考までに聞くけど――――」

 

「あ、はい。ボクの父は枢木誠一郎ですよ。内閣総理大臣の」

 

まじか。

 

「戸塚さんのことは聞き及んでおります。悪魔と呼ばれる存在と契約して、勇者の力を獲得したのだとか・・・」

 

「総理の息子さんなだけあって、勇者関連の情報は仕入れ済み、てことですか」

 

「敬語はやめてください。ボクの方が年下なんですよ?」

 

照れたように笑う枢木。

・・・もしかして、良い人?

 

「えっと・・・じゃあ、遠慮なく。枢木クンはさ、何の用事で丸亀城に来たの?」

 

「ボクの用事ですか?んー・・・・・・幼馴染の様子を直に見たくて」

 

「幼馴染?」

 

はて、誰だろう。少なくとも歌野とみぃではないよね。

 

「郡千景、ご存知でしょう?」

 

「へぇ、郡クンかぁ・・・・・・うぇっ!!郡クン!?」

 

「はい」

 

満面の笑みを浮かべて枢木クンがうなずいた。驚いたなぁ。まさか郡クンの友人にこんなすごいのがいたとは・・・

 

「・・・・・・その様子ですと、千景はボクのことも含めて、故郷のことを何も話していないみたいですね」

 

「・・・・・・んー、まぁ、そうだね。でも別に、無理に話す必要もないと思うんだよね。僕は」

 

「ほう・・・・・・なぜ、そう思うのですか?」

 

「誰にだって、知られたくない過去の、一つや二つ、あると思うんだ。郡クンは特に、そんな雰囲気強いし・・・」

 

「・・・・・・あなたにも、あるのですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・まあね」

 

「・・・・・・・・・・・・そうですか」

 

―――――――――――†――――――――――

 

自販機でほうじ茶のボトルを二本購入し、片方を枢木クンに渡す。

 

「ああ、ありがとうございます。・・・ほうじ茶、お好きなんですか?」

 

「うーん、別にそういうのじゃないんだ。ただなんとなーく、ほうじ茶の気分だった。それだけだよ」

 

「へー、そうですか」

 

そう言った枢木クンはボトルを開けて、ほうじ茶を流し込むように飲む。

よっぽど喉が渇いていたのかな?

 

「―――――ぷはー。はあ、ふう」

 

「そんなイッキ飲みしなくても・・・」

 

「ああ、すみません。ついクセで」

 

「どーいうクセだよ」

 

「あはは、よく言われます」

 

なんだか変わったやつだなぁ。

こんなんが首相の息子か・・・・・・世も末だな。

あ、実際終わりかけか。

 

「ところで戸塚さん。お好きな異性の方って、います?」

 

「ぼふぉあああ!!げほっげほっ」

 

いきなり何を言い出すのか、この自由人は!?

 

「おお、すごい反応。いるんですね?」

 

「突然そんなこと聞かれたら誰だってびっくりするでしょ!!」

 

「で?誰なんです?」

 

「話を聞いて」

 

わくわくと、期待に胸を膨らませた少年の瞳でこちらを見つめる枢木クン。

 

「――――――――歌野とみぃ」

 

「ほうほう、白鳥歌野さんと藤森水都さんですか。二人もだとか、業が深いですねえ!」

 

「うるせぇ!そういうキミはどうなのs「千景です」うわぁ、食いぎみに来た」

 

なんとなく、そんな気はしていたが・・・・・・郡クンも大変そうだなぁ。こんな何を考えているのかわからないような人に好かれて。

 

「ボクは、千景と一緒にいられたら、それでいいんです・・・・・・それだけ、たったそれだけのことなのに・・・・・・千景はその事に気付いていない。どういうわけか、勇者の力でボクへの恩返しをしようと考えている。そんなの、ボクはいらないのに・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ねえ、戸塚さんはどう思っていますか?お二人のこと」

 

「え?どう・・・って、好きだよ?」

 

「そういうのじゃないです。『好き』にも色々、あるでしょう?」

 

「色々も何も、『好き』なモノは『好き』でしょう?」

 

「――――――――――――?」

 

「――――――――――――?」

 

なんだか話が噛み合わない。

 

「―――――戸塚さん。いくつか質問、よろしいですか」

 

「なに?なんなの?」

 

「いいから」

 

「―――――わかった」

 

どうしたのかな。さっきまでと雰囲気が違う。

 

それから、五つほど質問をされた。

そのどれもが心理テストみたいだったから、もしかして、僕の内面を暴こうとしてる?

 

「―――――――――戸塚さん」

 

「なんだい?」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

「――――――――――――――は?」

 

「『何を言ってるんだこいつ』・・・そう思ってますよね。当然の反応でしょう。理解できます。だからこそ、ボクにはあなたが解らない」

 

「それって、なぞかけか何か?」

 

「さっきボクが出した質問は、『答えた人間の本質を見抜く』為のモノです」

 

「本質ぅ?」

 

「例えば、千景。彼女はとても純粋で、他者の言葉に簡単に振り回されてしまう。だから、心の底からの善意の言葉ならまだしも、利用するつもりの上っ面だけの言葉に引っ掛かってしまわないように、それとなく注意してきました」

 

通じていたかどうかは、わかりませんけど・・・と苦笑する枢木クンを、僕はただ、呆然と眺める。

 

「ほかにも、自分のことしか見ていないような人、自分を見て欲しくて他人にすがる人、さまざまな人がいました。ですが、《あなたにはそれが無い》》」

 

 

「――――――――――――――まって」

 

「思えばあなたの言葉には中身がなかった。正確に言うのならば感情がなかった、と言うべきですね」

 

「――――――――――――――まってよ」

 

「極めつけは、さっきの『好き』発言。ここでボクは思ったんです。『もしかしてこの人は、自分がわからないんじゃないのか』ってね。こう見えてボク、そういうの察する力は強いんです。首相の息子として色々学んできましたから」

 

「――――――――――――――だから、まって」

 

「ですが、蓋を開けてみれば、わからないどころか()()()()()()()()()()()。びっくりです。ボクが知りうる中でそんな人、一人もいませんでしたから。なので一つ、仮説を立ててみました」

 

「――――――――――――――まてって」

 

それ以上しゃべらせてはいけない。なぜか僕はそう思った。でも時すでに遅く―――

 

「あなたはもしや―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■――――と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一言を聞いた瞬間、僕の頭に何かが流し込まれた。

なんだ?映像?僕と、バーテックス?戦ってる?いや、違う。これは―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、視界がブラックアウトした。

 




その日の夕方―――

「ぅうん・・・あれ?ここ、僕の部屋?」

「ようやく起きたか、寝坊助」

「あれ、ニック?・・・・・・・僕、なにしてたっけ?」

「寝すぎだボケ。お前今日一日中、寝ていやがっただろうが」

「・・・・・・・・・・・そうだっけ?」

「そうだ」

「・・・・・・・・・・・ふぅん。まあ、いいか」

そろそろ歌野たちも帰ってくる。夕飯の支度をしておこう。
そう思って僕は、『少し頭痛のする頭』を軽く叩きながら、台所へと向かった。
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