契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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地下と死体と命の価値は・・・ 日記編

「悪魔・・・・ゼパルだって!?」

「おい!なんでテメェがここにいやがる!」

 

うわ!?またニックのやついきなり出て来て!

 

「お久しぶりですなぁゼパルどの!・・・・会いたかったぜクソヤロウ」

 

変態も出て来たよ。しかもなんか怒ってる?

 

「ははぁ・・・・これはまた・・・・意外な組み合わせですねぇ・・・・」

「ハッ!テメェが表に出て来てる時点で意外だがな」

「あぁまぁ・・・・確かに、そうですねぇ」

「オウオウ、クソ雑魚ナメクジのゼパルさんよぉ・・・オレとお嬢を操ってくれたオトシマエ、着けさせて貰おうじゃねぇか・・・!」

 

どうしよう・・・変態が変態してない!キャラ崩壊も良いところだよ!?!?

 

「オイ輪廻」

「はい!?」

「アイツを焼け」

「えぇ!?良いの!?あいつの事、なんにも分かってないよ!?」

「アイツはゼパル。名前を奪った対象を意のままに操る能力"生名簒奪(ロストネームド)"であのガキとラウムを操り、四国に攻め込ませた犯人だ」

「よし焼こう」

「りっくん!?」

 

ニックの力を使おうとしたら、みぃが止めた。

 

「はぁ・・・・短絡的ですねぇ。こちらにも事情があるのですよ」

「テメェの事情なんざ知ったことか!!どうせロクでもねェ企みに加担してるだけだろうが!!」

「ああ、鋭いですねぇ。流石は"指輪持ち"、といった所ですねぇ」

「指輪・・・・?」

 

ニックの本体だって言う、アレのこと?

 

「おやぁ?ご存知無いのですか?」

 

ゼパルは心底驚いた様子で、こちらを見ていた。

 

「何の事だ!」

「我ら悪魔の真鍮核(コア)のことですよぉ。それが指輪型の悪魔は、七十二体中十体のみ。本来ならば、自然の摂理に準じた特別な能力を使う我ら悪魔ですが、中でもこの十体は特殊中の特殊でして、自然の摂理に反した能力を持っているのですよ」

「自然の摂理・・・・?」

「ええ、はい。例えば、彼。ええっと────ニック、ですか?奇妙な名前を貰いましたねぇ」

「僕の命名センスにケチ付けるの?」

「あれぇ・・・・あなたが付けたんですか・・・・まぁ、どうでも良いですけど・・・・」

 

どうでも良いのか・・・・

 

「ニックの核が指輪型なのはご存知ですか?知ってる?結構。じゃあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「「・・・・・・・・え?」」

 

ゼパルの言葉に、歌野とみぃが絶句し、僕を見る。

 

「りっくん・・・・アイツの言ってること・・・・本当?」

「正直に答えて・・・・・りっくん」

「───────────うん。そうだよ」

 

バレてしまっては仕方ない。だから、正直に答えた。

 

「・・・・・今は、何も言わないでおいてあげる。帰ったらみーちゃんと一緒にお説教だから」

「──────ごめん」

「ははあ・・・仲が宜しいのですねぇ。良い事だと思いますね。ええ・・・」

「ゼパル!!テメェ・・・何が目的だ!!」

 

ニックが怒鳴る。その怒号をうけてゼパルは──

 

「わたくしの目的は、一つ。この世の全てを解き明かしたい。たった、それだけです」

「この世の、全て・・・・?」

「解き明かす・・・・って、どういう意味だ?」

「言葉通りの意味ですよ。例えば・・・・・・えっと・・・・はぁ、バーテックス?と、呼んでいるのですねぇ・・・・確か、英語で『頂点』の意味・・・・ぷふ」

 

途端に、ゼパルが笑い出した。

 

「何が可笑しい!!」

「ああ、いえ、すみません。───ぷぷ。なにぶん、あんなものを『頂点』などと呼ぶもので───くふふ。いやはや、知らぬ事とはいえ────ふひひ」

「ニック。こいつ燃やそう」

「手伝うぞ輪廻」

「落ち着いてりっくん!!」

「若葉ちゃんも!今は堪えてください!」

 

額に青筋をたてている僕と若葉を、みぃと上里クンがなだめる。

 

「────あー、いやはや、失礼。お詫びと言っては何ですが・・・みなさんがバーテックスと呼ぶアレについて、わたくしの研究成果を教えてあげましょう」

『え!?』

 

ゼパルからのその提案に、流石の僕たちも怒りが引いた。

というか、こいつ、研究成果って言ってた?

 

「────まさか、ここにバーテックスがいないのは」

「はい、全てわたくしの研究材料として、使わせて頂きました。いやはや、連中、見境がありませんからなぁ。おかげで何度も命の危険に晒されましたよ。まぁ、その前に、ここで人間の思考実験もしていたので、その後始末が楽になったのは、行幸でしたけど」

 

そう言って、一冊の手帳を投げて寄越す。

若葉の足元に落ちたそれを、彼女が拾い、黙読。

読み進めていく内に、若葉の顔色がどんどん青くなっていき───

 

「ふざけるなっ!!!」

 

若葉が叫び、手帳を地面に叩きつけた!

 

「若葉ちゃん!?」

「どうしましたか!?」

「────────これは、お前の仕業なのか、ゼパル!!!」

 

若葉が投げた手帳を拾い、中を読む。

書いたのは、どうやら女の子らしい。

この場所で、何が起きたのか。

それが、赤裸々に書かれていた。

 

「思考実験・・・・ね」

「・・・・・・デビルめ」

「・・・・・・ひどい」

 

いつの間にか、両サイドから歌野とみぃが手帳を覗き込んでいた。

簡潔に述べれば、ここに避難した人間たちはどうやら、独占と奪い合いによって自滅した、らしい。

追い込まれた人間が、どのような行動に出るか。

ゼパルの言った"思考実験"と言うのは、このことか・・・・クソったれ。

 

「ちなみに・・・・この肉体は、最後まで生き延びた少女のモノでしてねぇ。あぁ、その日記を書いたのも、この少女ですよ」

「──────御託はいい。さっさとバーテックスについて教えろ」

「冷たいですねぇ・・・・まぁ、いいでしょう」

 

そうして、ゼパルは話始めた。

バーテックスについて、奴の知る事全てを・・・・

 

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