「端的に言ってしまえば・・・・・アレは泥人形ですよ」
「泥人形・・・・?」
ゼパルは頷き、話を続ける。
「主の命令に従い、人類を粛清するだけの人形。その材質は─────『世界の煮こごり』です」
「え!?」
「何だと!?」
煮こごりって・・・・確か、怨念とかが固まって出来たやつだよな・・・・
「それが・・・アレの材料・・・・て、ことは・・・」
「────────クソが。主犯はアイツか」
変態とニックが何かに気付き、毒付く。
「─────心当たりが、あるのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ」
若葉の質問に、ニックが頷く。
「教えてくれ。世界をこんな風にした奴とは、一体誰なんだ?」
「────────────オレたち悪魔の中で、唯一、『悪意の泥』に触れることの出来る奴がいる。そいつの名は────」
ニックが、名前を言おうとした、正にその時だった。
「フム・・・・反応を辿って来て見れば────お前か。ゼパルよ・・・」
「誰だ!!」
「私の名は、ジュリアス・レイ・ヴェガリオ。七二の悪魔が一体、序列六十六位キマリスを従えし
背後から現れたその男は、細身のレイピアを顔前に構え、高々と名乗りを上げた。
「超越者だと!?」
「アニキ、不味いですぜ・・・キマリスの超越者ってなると、戦闘能力は・・・・・」
「ほう?そちらの二体はキマリスと同じ悪魔と見受けられる・・・・・が、どうやら契約の超越迄は至っていない模様だな」
契約の超越?超越者って・・・・?
「フム・・・・?しかし可笑しいぞ。ここから私と同じ超越者の気配もした気がするのだが・・・・まあ、良い。さて、私との決闘に応じる猛者は居るか!!」
周囲の瓦礫が吹き飛ぶ程の覇気を飛ばし、ジュリアスはこちらを睨み付ける。
「・・・・・どうする?」
「なんとかしてあの人を退けて、ここから脱出しないと・・・・」
「どうした?応じる者は居ないのか?ならばここからは一方的な虐殺が始まるぞ?」
「─────言ってくれるな。お前は一人なのに対し、こちらは七人。数の上ではこちらが有利だぞ?」
若葉があえて挑発するような事を言う。が、ジュリアスは意にも介さず、平然と言ってのける。
「その程度の差ならば、全く問題にはならんな」
「・・・大した自信ね」
「あまり我々を見くびるな・・・!」
戦いの火蓋が、切って落とされた!
―――――――――――†――――――――――
先手必勝。
郡クンと友奈が共にジュリアスに突っ込む。
「はぁぁぁぁ!!」
「フン」
郡クンの鎌を、ジュリアスはいとも簡単に弾き、流し、終いに郡クンを蹴飛ばしてしまった!
「でやぁぁぁ!!!」
その後ろから友奈が突撃。
が、その拳を軽く身を反らすだけで避けてみせたジュリアスは、そのまま友奈の腕を掴み、突撃の勢いを利用しての背負い投げで、郡クンに向かって友奈を投げ飛ばした!!
「「きゃあああああ!?!?!?」」
「ならっ!これはどーだぁ!!」
タマっちクンと伊予島クンの同時攻撃。
矢弾の嵐の中、旋刃盤がジュリアス目掛けて飛び掛かる。
「甘いぞ!!」
しかしジュリアスは、矢弾をレイピアで弾くと、旋刃盤をそのままレイピアで絡めとり、二人目掛けて投げ返した!
「あぶ────かはっ!?」
「タマっち先輩!?」
伊予島クンを庇ってタマっちクンがそれに被弾。
「余所見をしていて、良いのかな?」
「あぐ!?」
一瞬の隙をついて、伊予島クンの背後に回ったジュリアスは、レイピアの柄で彼女の後頭部を殴り、伊予島クンは気絶。
あっという間に四人がやられた。
だが、ここで怯む訳にはいかない────!
「歌野!」
「オフコース!!」
僕と歌野による同時攻撃。僕は奴がレイピアを持つ左から、歌野はその反対から攻める。
「ほう?」
ジュリアスは真っ先に僕を狙って来た!うん。読み通りだ!
ジュリアスが突き出してきたレイピアを、カギ爪でガッチリホールドする。その隙に、歌野が右腕を鞭で縛る。
「これで動けまい!」
「考えたな!」
そこにすかさず若葉が攻撃する。これなら───!
「だが、甘いと言ったぞ!!」
ジュリアスは咄嗟にレイピアを手放し、腰にマウントしてある鞘のようなものを取る。
その瞬間、鞘と思っていたそれから、光が刃となって迸る!
光の剣、とでも呼べば良いのか。ジュリアスはそれを若葉に向かって振り抜く。
若葉の生大刀と、ジュリアスの光の剣が交差し─────
静寂が、辺りを支配する。
二人は互いに、剣を振り抜いた体勢のまま、固まって動かない。
静寂を破ったのは、若葉の左肩から吹き出した鮮血。
「若葉ちゃんっ!?!?」
上里クンの悲鳴が響く中、若葉が膝を着く。
「──────フム。一つ、諸君等に謝罪しよう。そちらの戦闘力を侮っていた」
ジュリアスが静かに、光の剣を下ろして自身の首を撫でる。
ジュリアスの首筋に、一筋の赤い線が真横に引かれている。それが、若葉の一太刀によるものだと、僕は瞬時に気付いた。
「貴殿、名は何と言う?」
「─────若葉。乃木若葉だ」
「そうか・・・・ワカバ、貴殿の太刀筋、見事であった。今回はこれで引き下がろう。が、次に会った時は、容赦はしない」
それだけ語って、ジュリアスは来た道を悠々と歩いて戻って行った。
「はぁはぁ・・・・行っちゃいましたねぇ・・・・・で?どうするつもりですか?」
ゼパルが問う。
どうするも何も────
「いつの間にか歌野の拘束を解いてるし、あのジュリアスとかいうやつ・・・・今は追いかけない方が無難だね」
とりあえず僕は歌野と共に気絶している四人を起こしにかかる。
しかし────超越者、か・・・・・
「まったく、大変だ」