「ほう────ここが諏訪ですかぁ」
「─────────私より前に出るな、ゼパル」
すみませんねぇ、と言って若葉より後ろに下がるゼパル。
結局、ゼパルも僕たちと共に諏訪に行くこととなった。
その事自体は良いんだけど・・・・変態がゼパルに警戒心丸出し・・・・てか、全く隠そうともしてないんだよなぁ・・・・おかげで緊張感を持って諏訪入りできたんだけど。
「─────みんな、ちょっと僕、別行動させて欲しいな・・・・ダメかい?」
「どうした?何かあったか?」
「若葉ちゃん・・・・・ここは輪廻さんにとって、第二の故郷なんですよ・・・・だから・・・」
「・・・・・・・!?そうか────そうだったな・・・・わかった、行ってこい。ただし、何かあったらすぐに連絡しろ。良いな?」
「・・・・・・・ごめん、ありがと。ちょっと行ってくる」
駆け足でその場を離脱。僕は一人、ある場所へと向かうのだった。
―――――――――――†――――――――――
僕が、こちらで使わせて貰っていた家。そこまでの道を歩いて行く。
案外、覚えているもので、そこには蕎麦屋があって──だの、そこの家のおばちゃんからきゅうりをお裾分けして貰ったなぁ──だの、破壊し尽くされていてもなんとなく思い出せる。
思い出に耽りながら、たどり着いた家は、どういうわけか、
「────────────まさか」
「そのまさか、だ。家に誰か居るな・・・・」
僕らが四国へ逃げた後、誰かがここに拠点を造った・・・?
誰が────なんてのは、なんとなくわかる。
「神託にあった、契約者・・・・・かな?」
「もしくは、バーテックス側に与する連中かもな」
どっちにしろ警戒はしたまま、家に上がる。
家具などに使用された形跡はあるものの、家の中はほとんどあの時のまま。棚に置いてある筋トレグッズもそのままだ。
「──────なんだろ?なんか・・・・変」
「何がだ?」
ニックに尋ねられる。
けど、具体的になにが変なのかよくわからない僕は、頭をひねるばかり。
とりあえず、僕らは家内の様子を伺いながら二階の寝室へと向かって行った。
が、特に何事もなく、無事に部屋にたどり着いた。元よりそれほど大きくない二階建ての一軒家。一分もせずに玄関から二階の寝室まで行けるわけだけども・・・・・
「・・・・こういう時って、小さいトラップとか仕掛けておくもんだと思うんだけどなぁ・・・」
「無用心な野郎だ────だからといってこっちも無用心になるこたァねぇぞ」
「うん。わかってる」
覚悟を決めて、ドアを少しだけ開く。
攻撃は──────無い。外出中?それとも逃げた?
「いや─────中に居る・・・・間違いなく・・・・」
ニックがそう言うなら、多分、本当だ。今度はドアを蹴り開けて入室。
部屋の真ん中には、赤い髪の、
「──────────」
「・・・・・攻撃して来ないってことは、敵じゃない・・・・ってことで良いかな?」
沈黙したままの少年は、こちらを伺うのみ。
「───────うーん・・・なにかしゃべってくれないかい?敵対しないならさぁ」
「──────────」
「・・・・・・・困ったなぁ」
僕が首をひねると、少年も同じように首をひねる。いやいや、君のせいで困ってるんですけど?
「あらあら~?もしかして、ゆーくんの念話が通じてない~?」
すると突然、少年の後ろに若い女性が表れ、少年に絡み付くようにもたれかかった。
「ッ!?ニック!」
「───────テメェか。カイム」
「はろはろ~♪お久しぶり~♪」
背中から生えて(?)いる球体関節の四本腕を振って、カイムと呼ばれた悪魔は嬉しそうに返事をした。
「カイム?どんな悪魔?」
「ちったァ勉強しろ。序列53位の悪魔で、鳥の言葉を理解できる『
「そういうこと~」
いつの間にやら、カイムはメカメカしい小鳥に変身して、少年の肩に留まっていた。雀かな?
「スズメじゃねェ、ツグミだ」
「おおざっぱに言えば仲間だし~、あながち間違いってわけでも無いのよね~」
はぁ・・・・よくわかんないや。
「それで?そこの彼は誰なの?」
「名前を聞くときは~、まず自分からじゃあないの~?」
む、確かにその通り。
「僕は戸塚輪廻。こっちはニック」
「うん~、知ってる~♪」
じゃあなんで名乗らせたし。
「そういう性格の奴だ。我慢しろ」
「そうそう♪我慢我慢~♪」
唄うようにカイムが煽る。
まったくもう・・・・・!
「え?なぁに?・・・・・・・・はぁい、わかったよ~・・・・」
少年がカイムになにか話しかけると、カイムはしょんぼりと肩を落とした。
どうやら怒られたらしい。
「仕方ないわね~・・・あたいが通訳してあげるわ」
「あ、うん。お願いします」