それ故に、神の力をその身に宿す事のできる数少ない人間として、ある組織からスカウトされ続けていた。
しかし決まって返事はNO。
だからこそ、あの悲劇が起きたのやも知れない………
総司へと突貫する輪廻を止めたのは、何処からか飛ばされてきた球子と杏だった。
「ぐあっ!?」
「ぐえ」
「きゃっ!」
三人は団子になって転がり、もみくちゃになって静止。
直後、球子と杏が飛んで来た方向から、一人の少年が歩いて来た。
「Buongiorno~♪え?今昼?知ってるよー、これはアレさ。"はじめまして"的なそういうニュアンスだよ。聞いてないって?それも知ってるー」
おどけた表情でペラペラと喋るイタリア系男子。そんな彼にジュリアスが、息継ぎの合間を抜って苦言を申す。
「レオーノ、その様な態度はいけないと言ったはずだ。敵をあな「『敵を侮る事無かれ』でしょ。わーかってるって!」───────そうか」
レオーノと呼ばれた少年は、一つ咳払いをすると自己紹介を始めた。
「改めまして、
その時、レオーノの右手に空気の塊が出現。それを若葉に向かって投げつけた。
速度はそれほど速くなく、若葉は生大刀で斬りつけた────────が、斬る事は出来なかった。
「なっ!?・・・・・うわぁ!!」
「若葉ちゃん!?」
空気弾に刃が触れた瞬間、生大刀を握る若葉ごとその場で回転。若葉はそのまま後ろに吹き飛ばされてしまった。
「とまあ、このように、『手で触れたモノを回転させる』能力なんだ」
「・・・・っぐぅ。私は、お前に触れて無い・・・ぞ」
「回転させる時に、ちょーっと一手間加えてあげるとこうなるのさ。詳しくは、教えてあげないケド」
「────理解してないではないか」
相手を小馬鹿にした態度を改めないレオーノに、ジュリアスはため息を吐く。
「ジュリアス、彼の好きにさせたまえ」
「───────御意に」
「しかしレオーノ、私がここに態々足を運んで来たのだ。あまりはしゃぎ過ぎてはならないぞ」
「OK~♪それでは────」
総司に窘められたレオーノは、そのまま総司の後ろへと走り寄ると、恭しく一礼して高々と宣言した。
「
レオーノによる紹介が終わると、ゴスロリ少女の隣に立つニックが呟いた。
「アンドロマリウス─────やはり、テメェが・・・・」
「如何にも。私こそが全ての元凶。アンドロマリウスが能力"
堂々と名乗り出た総司に、若葉たちは絶句した。
これ程の事をして、こうも簡単に言ってのける彼の図太さに驚愕していたのだ。
「故に、お前達如きでは私には勝てぬぞ・・・・・私には、神の力そのものが宿っている・・・・」
「─────そんなもの、やって見なければ分からない!」
勇み、総司に斬りかかる若葉。だが、それは総司に届くよりも前に、ジュリアスによって阻まれる。
「そうはいかないぞ、ワカバ。貴殿の相手はこの私だ」
「くっ!?」
「ゆーご!」
「───っ!(こくり)」
両手を合わせ、地面からマスケット銃を造りだした友悟は、総司に向かってそれを射つ。しかし、放たれた弾丸はレオーノにより弾かれてしまう。
「無駄無駄ァ!!」
「──────っ!?」
「友くんの弾も届かないの!?」
「・・・・・・・・」
友奈の後ろに隠れるゴスロリ少女が勇者服の裾を掴む。
怯えた様子の少女に、友奈は優しく笑いかけて総司を睨む。
「─────どうして、こんな事をするんですか?」
「レオーノが言った筈だが?『腐敗したこの世を救い、人類を正しく導く』為だ」
「ならっ!!こんな事しなくても・・・・たくさん人が死んじゃったんですよ!!」
「全ては尊い犠牲だ。大義の前に、それは必要不可欠なのだ」
「なら、お前もその一つになれ・・・・・!」
突如、総司の足下の影から輪廻が飛び出した!
「む・・・・!?」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」
完全な不意討ちだった。しかし総司は、それを間一髪でかわしてみせた!
「クソっ!!みんなの仇!!!」
「確かに、あの村を壊滅へと導いたのは私だ。しかし、それ以前に、私はお前の父親だぞ?」
「だからこそ!!僕がお前を殺す!!」
「子の責任・・・・か。まるで成長が見られない!!」
「がはっ!?」
輪廻が繰り出すカギ爪のラッシュを避け、隙を見て総司が輪廻にボディブローを食らわせる。
たった一撃で、輪廻は気絶。地面へと倒れ伏す────
「輪廻さまっ!」
前に、美空が影から出現。輪廻を抱えて再び潜航した。
「成る程・・・・ラウムの能力か・・・・」
友奈の影から現れた美空は、輪廻を抱えた体制のまま、戦闘体制を取る。
「─────フン。行くぞ」
「はい。我が主様」
「────少し、お時間を。我が主」
「好きにしろ」
つまらなそうな総司が撤退し、レオーノがそれに続くのだが、ジュリアスだけはその場に残った。
「ワカバ。貴殿に一つ提案がある」
「──────一応、聞こう」
「私と共に来い。そなたの技、このまま消し去るにはとても惜しい」
そう言って、若葉に手を差し伸べるのだった。
しかし、若葉は当然拒絶する。
「───────だろうな」
「逆に聞く。ジュリアス、貴方の方こそこちらに来るべきだ。貴方の剣からは、邪念を感じない・・・・貴方は何故、あんな奴の言いなりになっている?」
「──────────────」
「なっ!?!?!?!?!?!?」
寂しそうに笑うと、ジュリアスは若葉に一言だけ囁いて去って行った。
囁かれた若葉は顔を真っ赤にして身体を戦慄かせている。
別れの際、ジュリアスは若葉にこう言ったのだ。
「私は、そなたのような女傑が好きだ。いつかきっと、そなたを私のモノにしてみせよう・・・!」
「なっ・・・・なっ・・・・なっ・・・・!?!?!?!?」
「・・・・・・なんで若葉ちゃん、顔真っ赤なの?」
何はともあれ、総司たちの襲撃はどうにか凌ぐ事に成功したのであった。