契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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戸塚家は、代々とある山間の村にある社にて、神官を務める一族であった。
それ故に、神の力をその身に宿す事のできる数少ない人間として、ある組織からスカウトされ続けていた。
しかし決まって返事はNO。





だからこそ、あの悲劇が起きたのやも知れない………


ゴスロリと追っ手と再びの諏訪 -元凶-

総司へと突貫する輪廻を止めたのは、何処からか飛ばされてきた球子と杏だった。

 

「ぐあっ!?」

「ぐえ」

「きゃっ!」

 

三人は団子になって転がり、もみくちゃになって静止。

直後、球子と杏が飛んで来た方向から、一人の少年が歩いて来た。

 

「Buongiorno~♪え?今昼?知ってるよー、これはアレさ。"はじめまして"的なそういうニュアンスだよ。聞いてないって?それも知ってるー」

 

おどけた表情でペラペラと喋るイタリア系男子。そんな彼にジュリアスが、息継ぎの合間を抜って苦言を申す。

 

「レオーノ、その様な態度はいけないと言ったはずだ。敵をあな「『敵を侮る事無かれ』でしょ。わーかってるって!」───────そうか」

 

レオーノと呼ばれた少年は、一つ咳払いをすると自己紹介を始めた。

 

「改めまして、Buongiorno(はじめまして).ボクはレオーノ・D・ヴェンティ。序列三十四位の悪魔、フルフルの超越者!使用する能力名は『螺旋波紋(スパイラルストライク)』!具体的に言うと・・・・・」

 

その時、レオーノの右手に空気の塊が出現。それを若葉に向かって投げつけた。

速度はそれほど速くなく、若葉は生大刀で斬りつけた────────が、斬る事は出来なかった。

 

「なっ!?・・・・・うわぁ!!」

「若葉ちゃん!?」

 

空気弾に刃が触れた瞬間、生大刀を握る若葉ごとその場で回転。若葉はそのまま後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「とまあ、このように、『手で触れたモノを回転させる』能力なんだ」

「・・・・っぐぅ。私は、お前に触れて無い・・・ぞ」

「回転させる時に、ちょーっと一手間加えてあげるとこうなるのさ。詳しくは、教えてあげないケド」

「────理解してないではないか」

 

相手を小馬鹿にした態度を改めないレオーノに、ジュリアスはため息を吐く。

 

「ジュリアス、彼の好きにさせたまえ」

「───────御意に」

「しかしレオーノ、私がここに態々足を運んで来たのだ。あまりはしゃぎ過ぎてはならないぞ」

「OK~♪それでは────」

 

総司に窘められたレオーノは、そのまま総司の後ろへと走り寄ると、恭しく一礼して高々と宣言した。

 

 

 

 

 

Fatelo felice(祝福せよ).凡人共!!此所におわすお方こそ、腐敗したこの世の救世主にして、人類の新たなる道標!!序列72位アンドロマリウスと契約し、人としての壁を超越した超越者(オーヴァード)!!!尊きその名を心に刻み込みたまえ諸君・・・・・"戸塚総司"という猛き名を!!!」

 

 

 

 

 

レオーノによる紹介が終わると、ゴスロリ少女の隣に立つニックが呟いた。

 

「アンドロマリウス─────やはり、テメェが・・・・」

「如何にも。私こそが全ての元凶。アンドロマリウスが能力"悪性腫操(アンリ・マユ)"と、蛭子命の神力を掛け合わせ、お前達がバーテックスと呼ぶモノを創造し、世界に破滅と混沌をもたらした者だ」

 

堂々と名乗り出た総司に、若葉たちは絶句した。

これ程の事をして、こうも簡単に言ってのける彼の図太さに驚愕していたのだ。

 

「故に、お前達如きでは私には勝てぬぞ・・・・・私には、神の力そのものが宿っている・・・・」

「─────そんなもの、やって見なければ分からない!」

 

勇み、総司に斬りかかる若葉。だが、それは総司に届くよりも前に、ジュリアスによって阻まれる。

 

「そうはいかないぞ、ワカバ。貴殿の相手はこの私だ」

「くっ!?」

「ゆーご!」

「───っ!(こくり)」

 

両手を合わせ、地面からマスケット銃を造りだした友悟は、総司に向かってそれを射つ。しかし、放たれた弾丸はレオーノにより弾かれてしまう。

 

「無駄無駄ァ!!」

「──────っ!?」

「友くんの弾も届かないの!?」

「・・・・・・・・」

 

友奈の後ろに隠れるゴスロリ少女が勇者服の裾を掴む。

怯えた様子の少女に、友奈は優しく笑いかけて総司を睨む。

 

「─────どうして、こんな事をするんですか?」

「レオーノが言った筈だが?『腐敗したこの世を救い、人類を正しく導く』為だ」

「ならっ!!こんな事しなくても・・・・たくさん人が死んじゃったんですよ!!」

「全ては尊い犠牲だ。大義の前に、それは必要不可欠なのだ」

「なら、お前もその一つになれ・・・・・!」

 

突如、総司の足下の影から輪廻が飛び出した!

 

「む・・・・!?」

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

 

完全な不意討ちだった。しかし総司は、それを間一髪でかわしてみせた!

 

「クソっ!!みんなの仇!!!」

「確かに、あの村を壊滅へと導いたのは私だ。しかし、それ以前に、私はお前の父親だぞ?」

「だからこそ!!僕がお前を殺す!!」

「子の責任・・・・か。まるで成長が見られない!!」

「がはっ!?」

 

輪廻が繰り出すカギ爪のラッシュを避け、隙を見て総司が輪廻にボディブローを食らわせる。

たった一撃で、輪廻は気絶。地面へと倒れ伏す────

 

「輪廻さまっ!」

 

前に、美空が影から出現。輪廻を抱えて再び潜航した。

 

「成る程・・・・ラウムの能力か・・・・」

 

友奈の影から現れた美空は、輪廻を抱えた体制のまま、戦闘体制を取る。

 

「─────フン。行くぞ」

「はい。我が主様」

「────少し、お時間を。我が主」

「好きにしろ」

 

つまらなそうな総司が撤退し、レオーノがそれに続くのだが、ジュリアスだけはその場に残った。

 

「ワカバ。貴殿に一つ提案がある」

「──────一応、聞こう」

「私と共に来い。そなたの技、このまま消し去るにはとても惜しい」

 

そう言って、若葉に手を差し伸べるのだった。

しかし、若葉は当然拒絶する。

 

「───────だろうな」

「逆に聞く。ジュリアス、貴方の方こそこちらに来るべきだ。貴方の剣からは、邪念を感じない・・・・貴方は何故、あんな奴の言いなりになっている?」

「──────────────」

「なっ!?!?!?!?!?!?」

 

寂しそうに笑うと、ジュリアスは若葉に一言だけ囁いて去って行った。

囁かれた若葉は顔を真っ赤にして身体を戦慄かせている。

別れの際、ジュリアスは若葉にこう言ったのだ。

 

 

 

 

 

「私は、そなたのような女傑が好きだ。いつかきっと、そなたを私のモノにしてみせよう・・・!」

 

 

 

 

 

「なっ・・・・なっ・・・・なっ・・・・!?!?!?!?」

「・・・・・・なんで若葉ちゃん、顔真っ赤なの?」

 

何はともあれ、総司たちの襲撃はどうにか凌ぐ事に成功したのであった。

 

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