導入だから短め。
「──────なぜ、私が怒っているか・・・分かりますよね?」
『はい・・・・』
翌日の放課後。おれたちは安芸先生に呼び出され、こってり絞られていた。安芸先生の隣には高嶋先生もいる。
「まぁまぁ先輩。みんな無事帰ってきたんですし・・・」
「今回無事だったとしても、次も無事とは限りません!あなただって分かるでしょう?」
「うぅ・・・・おっしゃる通りです・・・・」
安芸先生をなだめようとした高嶋先生までおれたちと同じ立場に回った。何をしているのやら・・・・
「ハァ・・・・あなたたちに足りないもの。それは、『連携』です」
「連携───」
なるほど、確かにそうかも知れない。
個々の戦闘力は十分に足りている。が、おれたちはそれを活かせるだけの戦場造りが出来ていない。樹海の話ではなく、位置取りの話だ。
どんなに強い戦士であろうとも、適正距離というものが存在する。弓兵に近接戦闘をやれ、というのは『死ね』と言っているようなものだ。
そこで重要になるのが、『連携』だ。
「あなたたちには、明日より数日間、大赦が用意した宿泊施設にて合宿をして貰います」
「合宿?」
「わぁ~合宿だってかずくん~」
「楽しそうだな・・・・」
苦しそうにしてるよりはマシか・・・・
「そして、連携の訓練をするにあたって、あなたたちの中から、隊長を決めたいと思います」
隊長・・・だと・・・?
・・・・・・まぁ、確かに必要か。
おれを含めたこの四人を纏められるような奴────少なくとも、おれには無理だな。
となると───
「乃木さん。お願いできるかしら?」
「え?わたしですか~?」
だろうな・・・。
この中で選ぶとしたら、園子か、おれだろう。だが、おれにはそういうのは向いてない。従って、リーダーは園子一択しか無い。
「かずくん・・・どう思う~?」
「何故おれに聞く?」
「だって~・・・」
「───鷲尾、三ノ輪。お前らの意見は?」
「うーん・・・・アタシはパス!リーダーなんてガラじゃないもん」
「─────そうね、私も・・・前のお役目のとき、思い知らされたわ・・・・」
「─────と、言うことだ。従って、お前しかいない」
「かずくんでもじゅうぶんイケると思うんよ~・・・」
「自信が無い?」
「─────────うん」
まったく・・・・
何時まで経ってもコイツは───
「大丈夫だ園子」
「わぷっ」
ぐりぐり、と園子の頭を撫でる。
「お前になら出来る。なんならおれが副隊長として支えてやる。だから、やれ。心配するな、みんながいる」
「かずくん・・・・」
「────────うわぉ」
「────────はわわ」
何故だか三ノ輪と鷲尾が顔を赤らめてこっちを見ている。お前らが照れる要素なんぞ、いったい何処にあった?
「んん!こほん・・・では、隊長は乃木さん。副隊長は上里くんで決定します。よろしいですね?」
全員が頷く。
この日のミーティングはこれにて終了した。
―――――――――――†――――――――――
「あにさまー。右腕の調子はいかがッスかー?」
「問題無い。合宿の最終日にはギプスも取れる」
「そのあいだ~、かずくんの身の回りのお世話は、わたしたちがしてあげるんよ~♪」
何故だかそういうことになったらしい。冗談じゃない。
というか・・・・
「何故園子がウチに居る?」
「あれ?あにさまは聞いてなかったんですか?」
「何を?」
「園子ねーさまが明日遅刻しないように、今日はウチに泊まっていくことになりやがったんです」
「誰が決めた?」
「佳南とおばさまに決まってるじゃねーですか」
「─────そうだったな。そう言うことを好き勝手に決めるのは何時もお前らだったな」
付き合わされるこっちの身にもなって欲しい。というか、良く園子の父親は何も言わないな・・・
「えへへ~。お父さんも、『一正くんだったら、園子のことを安心して任せられるな』って言ってたんよ~♪」
「───────詰んだ。出れない」
おれの人生は、きっと、こうやって毎日園子に振り回されることになるんだろうな・・・・
畜生めぇ・・・・・
乃木夫妻の一正への印象について──
母「真面目で良い子なんだけど、子供なんだし、もう少し遊ぶことを考えて欲しいなぁ・・・・そうだわ!うちの園子に振り回させよう!」
父「彼は少し、子供らしくすることを覚えた方が良い。でないと将来、彼はきっと苦労する・・・・・よし。園子に遊び相手をさせよう」
似た者夫婦である