ほんとはもうちょい詰め込みたかったけど、あんまり詰め込み過ぎるときついから、ほどほどに
「という訳で!上里くんへの罰ゲームは、『四人一緒に寝ること』に決定しましたー♪」
「いやほんとなんでさ」
おれの抗議の声を無視して、高嶋先生が準備を終えていた。
「へいかずくん!うぇるか~~~む♪」
「なんで嬉しそうなんだよ」
「まあいいじゃん。合宿最後の夜なんだし」
「良い訳あるか」
「婚約もしてないのに殿方と────」
「鷲尾は何を言っている!?」
やれやれ、やはりこうなったか・・・・
園子は平常運転だとして、鷲尾は何かしら文句を言ってくると践んでいた。
予想外なのは三ノ輪。彼女はアレでいて乙女だ。鷲尾ほどでは無いにしても、何かしら文句の一つでもあると思ったのだが────まぁ良いか。
「はぁ・・・・・仕方ないか。おれは寝る」
「待てって、直ぐに寝るなよ」
そう言って、三ノ輪はにやけ面を隠そうともせずにこちらを見てくる。
「───────なんだ?」
「合宿最期の夜なんだぜ?簡単に寝られると思うなよー?」
「愛用の枕があるから寝られるよ~」
そういう意味じゃないぞ。
しかし、この流れは不味い。相当面倒な事になる。
「駄目よ!夜更かしなんて!」
良かった・・・・鷲尾が真面目で・・・・
「早く寝ない子には・・・・夜中迎えに来るわよ・・・・」
「む・・・・迎えにぃ~~!?!?」
なんだろう。園子と鷲尾の想像している物に差が感じられる・・・・
「そんな怖いのじゃなくてさ!恋バナしようよ!」
ほら来た。この中で唯一普通の女子らしい女子と言えば三ノ輪位だし、彼女がその話題を言い出すのは察しが付いていた。
「みんなで一人ずつ好きな人の名前を言い合いっこしよう!」
「というならばお前、誰か好きな奴、いるのか?」
「うぐ・・・・・えと・・・・・しいて言えば・・・・・弟、とか?」
「家族はズルよ」
「そ・・・・そういう須美はいるのかよー!?」
「う・・・・わ・・・・私も・・・・いない・・・けど・・・・」
「わたしはいるよ~♪」
「「え!?!?」」
園子の発言に、二人が驚愕の声を上げる。
「え・・・誰!?クラスの人!?」
「ついに恋バナ来たんじゃない!?」
「あのね~、ミノさんと、わっしー!」
「「───────えぇ?」」
だろうと思った。
「─────────」
「・・・・・ん?なんだ?」
「─────────なんでもないよ~」
園子が無表情でこっちを見ていた気がしたが、気のせい・・・だろうか?いつも通りのぽやぽやした笑顔を向けてくる。
「はぁーあ・・・・・アタシら、これで良いのかねぇ・・・・」
「良いのよ!私たちには神聖なお役目があるのだし!」
「『仕事が恋人』────聞こえは良いだろうが、それはそれで寂しい感じがするな」
「須美は大人になってもそんなこと言ってそうな感じするよなー」
「・・・・・・・・むー」
鷲尾が膨れっ面になる。お前が言い出したことだろうに。
まあいい。
さて、そろそろ真面目に寝るとしよう。
「消灯する。さっさと布団に戻れ」
「「「はーい」」」
パチン
周囲が暗くなる。その時───
「───────は?」
辺り一面に、星空が広がった。
なんてことはない。園子が持ち込んだプラネタリウムが起動したのだ。
「なんでプラネタリウム!?」
「えへへ~♪」
「園子」
「な~に、かずくん」
楽しそうに笑う園子。その笑顔を見て、おれは───
「───────────楽しいか?」
「うんっ!楽しいよ~♪」
「そうか」
園子の頭を雑に撫でる。
「いや、消しなさいよ・・・・!」
鷲尾が突っ込みを入れてきたので、仕方ないからプラネタリウムの電源を落とした。