契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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凍てついた心を、溶かすぬくもり

「かずくん!」

 

あの変な黒いくらげさんが出て来てから、かずくんがしゃがみこんでうずくまってしまった。小さな声でなにかうわ言を呟いてる。

 

「いきていてごめんなさいうまれてきてごめんなさいたすけられなくてごめんなさいたすかってしまってごめんなさいなじめなくてごめんなさいいいこじゃなくてごめんなさい」

 

なにかに向かって、ずっとあやまってる。

 

「お・・・おい、カズマ?」

「一正くん!?どうかしたの?しっかりして!」

 

ミノさんとわっしーがかずくんに声をかけている。けど、かずくんは全然反応しない。ずっとあやまってばっかり。

こういう時こそ、リーダーとして私が頑張らなくちゃ!

 

「ミノさん!わっしー!かずくんをあの壁まで運ぶの手伝って!」

「壁?一正くんが作った?」

「分かった!バーテックスの攻撃がくるかもしれないもんな!」

 

わっせ。わっせ。わっせ。わっせ。

 

かずくんを運び終わるのと同時くらいに、バーテックスの角攻撃が飛んできた。

もうちょっと遅かったら・・・・・・・ごくり

 

「んで?カズマをどうするんだよ?」

「元凶を絶てば、どうにかなるかしら?」

 

わっしーが壁からちょっと顔をだして、バーテックスと黒いくらげさんの様子を伺う。

 

「うーん・・・・・たぶん、あれをたおしてもダメだと思うんよ~。かずくんの心を、どうにかしてあげないと・・・・」

「じゃあ、どうするんだよ?カズマの心ったってさ・・・・」

「二人とも!大変よ!!」

 

わっしーが慌てた様子でバーテックスの方を指差す。

ミノさんと一緒に、壁から顔をだしてそっちを伺うと───

 

「えぇ!?そんなんアリかよ!?」

「・・・・・・・うわぁーお」

 

黒いくらげさんが、バーテックスに呑み込まれていた。

というよりも、バーテックスとくらげさんが合体した。というべきかな?

バーテックスの4つの角が、ドリルみたいな形になって、さっきよりも強そうになった。

そのドリルをこっちに向ける。

 

「やば────」

 

発射されたドリルが、かずくんの作った壁に突き刺さった。しかもそのまま回転し始めた!

 

「どうしよう・・・・!?このままじゃ!?」

「クソっ!こうなりゃアタシが────」

「待って!」

 

慌てるわっしーと、はやるミノさんを呼び止めて、私は今思い付いた作戦を二人に伝える。

 

「二人とも、かずくんのことをぎゅぅぅぅぅぅぅぅって、目一杯抱きしめて!」

「「はぁ?」」

「お願い!どうしても必要なんよ~!」

「えぇっと・・・・・よくわかんないけど・・・・・・わかった!」

 

ミノさんがかずくんをむぎゅうううう、と抱きしめる。

 

「ちょ!?銀!」

「わっしーも!かずくんを元にもどすためにも!!」

「うううううう・・・・・・えい!」

 

ミノさんの反対側から、わっしーも抱きつく。

 

「よ~し・・・・それで・・・・」

 

私も、二人の上からかずくんに抱きつき、かずくんの頭を優しく撫でる。

 

「─────────────ぅあ」

「よしよし・・・・大丈夫だよ・・・・」

 

かずくんの両親が死んじゃったあの日から、ずっと、かずくんは自分を責めて、追い詰めていた。

なんとかしてあげたかったんだけど、私一人じゃ、なんにも出来なくて・・・・

きっと、そのツケが今日に回ってきたんだ。

 

「だから、ごめんね・・・・・かずくんはずっと、我慢してきたのに・・・・・」

「───────────」

 

優しく、優しく、頭を撫でる。

 

「でも、もう大丈夫。かずくんには、私がいる。わっしーも、ミノさんも。だからね・・・・・かずくん」

 

 

 

 

 

「もう、一人で頑張らなくて大丈夫!」

 

 

 

 

 

「─────────そ、の」

 

かずくんが何かを言おうとした、その時だった。

 

「そのっち!!!」

「園子!!壁が!!!」

 

バーテックスが掘っていた壁が崩れてしまった!

ドリルはそのまま、私たちに向かって伸びて───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビーム光線に焼かれて、爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かずくん!」

 

かずくんが、砲撃銃でバーテックスのドリルを攻撃したのだ。

 

「─────────もう、大丈夫。あと・・・・・それと・・・・」

 

ほっぺたを赤くして、かずくんは言った。

 

「─────────ありがと、みんな」

 

えへへ~♪かずくんに褒められた~♪

 

「カズマ!大丈夫なのか?」

「一正くん、平気?身体はなんとも無い?」

「ああ。大丈夫だよ」

 

ミノさんとわっしーがかずくんに詰め寄る。かずくんはそれに、笑って答えた。

 

「よかった~。んじゃ!さっさとお役目、済ませちゃおう!」

「もう、銀!油断しちゃ駄目よ!」

()()の言う通りだぞ?()。先ずはアイツを引き摺り下ろす処から始めないとなんだ」

 

およよ?今───

 

「─────カズマ?今、お前」

「────────行くぞ!」

「ふぇ!?ああ!ちょっと!一正くん!!」

 

銃を捨てて、かずくんはジャンプでバーテックスに向かって行った。

どうみても、照れ隠しだねぇ~~♪

なんて思っていたら、かずくん目掛けてバーテックスが、3つになった角ドリルを一つにまとめて飛ばしてきた。

 

「ミノさん!!」

「五分はこらえる!その内に!!」

 

すぐさまミノさんに、かずくんと巨大ドリルの間に割り込んでもらう。その間に私とわっしーで・・・・!

 

「わっしー!私が道を作るから!」

「了解!!」

 

槍を変形させてはしごを作ると、わっしーはそこをかけ上ってバーテックスへと向かう。

が、バーテックスのドリルは強力で、ミノさんの斧にひびが入り始めた。

 

「なるべく急いでくれぇ!!」

「問題無い!ミカぁ!!」

『リミットパージ。エネルギー残量はまだまだ余裕』

 

かずくんがミノさんの斧に右手を添えて、覆式波動を打ち込んだ。すると、ミノさんの斧のひびが消えて、更にさっきよりも固くなったようで、バーテックスのドリルの方が、逆に削れはじめた。

 

「うお!?なんだこりゃ!すっげぇ!!」

「これが覆式波動の本来の使い方だ!」

「よ~し!わっしーは今のうちに!!」

「ええっ!南無八幡・・・・・大菩薩!!」

 

はしごを上りきったわっしーが、気合いと共に放った矢は、バーテックスに刺さると爆発。バーテックスの身体に穴を空け、角ドリルを繋いでいるバネみたいなひもを引きちぎった。

バランスを崩して倒れるバーテックス。その先には、角ドリルが無くなってフリーになったかずくんとミノさんが。

 

「行くぞ銀!初戦の逆だ!!」

「おう!・・・・・てちょっと待て!?どうするつもりだよ!!」

「こうするつもりだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「うおおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

かずくんが、ミノさんごと斧をジャイアントスイングして、波動砲を撃ちつつバーテックスに向かって投げた。

波動砲によって加速するミノさん。

ぐんぐんバーテックスとの距離が近付いていき───

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

 

若干悲鳴に近いおたけびをあげながら、バーテックスへ連撃を浴びせた!

その攻撃がきっかけになったみたいで、『鎮華の儀』が始まった。

これでバーテックスはいなくなって、私たちも、元の世界に戻されたのだった。

 

 

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