最近暑いですからね、てこ入れは大事。古事記にもそう書いてある。
勇者倶楽部を発足して数日後
お悩み相談室も軌道に乗り、丁度暇が出来たおれたちは現在、市民プールに来ている。
「ヒャッハァーーーー!!プールだ!水着だ!ラッキースケベだァーーーー!!!」
「・・・・・・・・・・へんたいが生き生きしてる」
「もう縛り付けて置いた方が良いんじゃないのか?」
おれの一言に頷いた一同は、
これで安全。
「よし、遊ぼう!」
「んむー!!んむむむーー!!」
・・・・・・いつの間に猿轡つけた?え?須美が?
・・・・・・・・そうか。
―――――――――――†――――――――――
「んで・・・・・なんでプール?」
「んも~、ミノさん忘れたの~?今日はかずくんの泳ぎの特訓なんよ~」
そう、今回プールに来たのは他でも無い。おれが泳げるようになる為の訓練を行う為だ。
「上里、泳げないの・・・?」
「ん・・・・・まあ、な・・・・」
両親が死んだあの日以来、おれは水に対して一種のトラウマを抱いていた。が、それでは駄目だと思い特訓し、今では全身水に浸かっても恐怖しなくなった。
しかし、それとこれとは別問題で、一昨年まで水を避けて生活していたおかげで、おれは一切泳ぐことが出来ないでいたのだ。
これでは不味い。
そう考えたおれは、恥を偲んでみんなに相談。
結果、プールで特訓と相成ったのだ。
「それで、一正くんはどのくらい泳げるの?」
「少なくとも、水中で目開けられるのは知ってる。あの時、それで合図してたし」
「アクエリアスだっけ~?ミノさんとかずくんがバーテックスを飲んじゃったやつ~」
「?・・・・よく、わからないけど、大変だったね」
「ええ、大変でした。あにさま、『自分は平気だ』って言いやがって検査に行こうともしやがらねーでして・・・・・園子ねーさまに手伝ってもらえなかったら、どうなっていたか・・・・・」
おっと、佳南がゴネだした。話題を逸らしてとっとと訓練を始めよう。
―――――――――――†――――――――――
しばらく訓練を続け、段々泳ぐ事にも馴れてきた。
「後はもう少し速く泳げるようになれれば・・・・」
「カズマは何を目指しているのさ」
「上里の名を預かっている以上、醜態は晒せないだろう」
「ふーん・・・・・そんなもんかね」
「そんなもんさ。理解して欲しくは無いけど」
できる事なら、銀にはこの重圧を背負って欲しく無い。
そんな風に思えるようになったのも、きっと、彼女たちに会えたおかげなんだろうな・・・・
「そういう責任感の強い処は一正くんの美点だけど、もう少し肩の力を抜いたら?私が言うのも変かもしれないけど」
「そうだよ~、わっしーの言うとおり。かずくんは真面目さん過ぎるんよ~」
「そういうお前は不真面目過ぎるがな」
「えへへ~♪」
「褒めてねーよ」
全く・・・・・
「・・・・・上里、楽しそう」
「なんだかんだ言って、あにさまはみんなとワイワイするのが一番好きでやがりますからねえ」
山伏と佳南が温かい眼差しでおれを見ている。そういうのやめろ。
とりあえずおれはプールサイドに上がり、休憩を取ることにした。その間、須美と銀が競泳を始め、園子がどちらも応援したりしていた。
───────と、その時だった。
「ヒャッハァァーーーー!!!隙アリィィィーーーーー!!!!!!」
「わひゃあぁ~~!?!?」
いつの間にか脱出していたアスカが園子の背後から出没。そのまま園子に絡み付く。
「ぐへへ、のっこはええカラダしとりますの~」
「あっ、やめ・・・ひゃうん!?」
「ほれほれ~、ここがええのんかー?んー?」
「あはははははは!!やめっ・・・・かずくっ・・・・助けっ・・・・あはははははは!!!」
やべーな、触り片が変態の其だ・・・・・早くなんとかしなければ・・・・・・だが・・・・・
「あっ・・・・・ぅん・・・・・ひゃうぅ・・・・・」
頬を紅潮させて、艶かしい声を上げる園子。暴れる所為か若干水着がズレてきている。それが更に艶やかさに拍車をかける。
ヤバい。
色々な意味でヤバい。
「・・・・・・・・・・・・・てい」
「あばぁ!?」
そうこうしている内に、山伏がアスカの頭を叩き、園子から引き剥がした。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・た・・・・助かったんよ・・・・・」
浮き輪の上で息を荒げる園子。
───────────────────うむ。
「うむ。じゃ、ねーです。あにさまのスケベ」
「────────────不可抗力です」
「アスカねーさまと同様、簀巻きの刑に処す事にしやがりますが・・・・・構いませんね?」
「─────────────解せねえ」
この後、簀巻きにされたおれと、亀甲縛りにされたアスカは、顔面に『スケベ罪』と書かれた張り紙を貼られて、プールサイドに放置されるのであった。