二周年のドレスもみんなかわいいし。
という訳でシズクとの出会い回
そして、多分最期の──────
倶楽部の活動も仲間内での集まりも無い普通の休日。
特に何もする事のないおれは、
「あにさま!掃除の邪魔ですんで、とっととどっか散歩にでも行きやがれです!!」
と、佳南に追い出され、現在宛もなく散策中。
ふと、気紛れに覗いた路地裏に、見覚えのある白っぽい髪を見た。
山伏だ。こんな所でいったい何を?
「いででででで!?」
声をかけようとした所で、様子が変な事に気付く。
暗くて良く見えないが、彼女の前には三人の男がいた。
その内の一人は彼女に腕を捻られていた。
「───────テメェ、良い度胸してんじゃねぇか・・・」
────────彼女、あんな口調だったっけ?
「ガッ・・・・くそ!?ガキだからって調子に乗りやがって!!」
危ない、山伏が危険だ!
咄嗟におれは端末を耳に当て、大声で叫ぶ。
「もしもし警察ですか!!!今、路地裏で女の子が襲われていて!!!」
おれの声に反応して、男共はすごすごと退散。
どうにか危機は免れた。
「山伏、大丈夫か?」
「あ?────よぉ、上里。助かったぜ」
「───────山伏、か?」
普段は髪に隠れて見えない右目が露になっており、瞳の色も、若干変だ。こんなに明るめの色だったか?
「──────悪ィ、しずくに代わるわ」
「・・・・・・」
無言で山伏(?)の腕を掴む。彼女達には無意味だろうが、それでもなんとなく、やってしまった。
「──────なんだよ」
「踏み留まってくれてありがとう。正直、さっきの発言は自分でも最低だと思った。伏して謝罪する。本当にすまない」
「いや、そこまで言う程の事じゃねーよ(汗)」
「言う程の事だ。少なくとも、おれにとっては」
「────────ホンっトーーーに!お前って奴はさぁ・・・・」
目の前で呆れてる山伏は、恐らく、別人格の山伏だ。
以前、物の本で読んだ事がある。
幼少期の出来事が切欠となり、心に亀裂が生じると、そこから別の人格を形成する事がある、と・・・
とりあえずその場から離れ、近くの公園のベンチに二人で座る。
「─────山伏は、解離性同一性障害だったんだな」
「───────────」
「あー・・・・・・・重ね重ね、すまん。おれは、こういう性分なんだ」
明け透けに物を言うおれを、山伏が不快に感じたのだと思い、もう一度謝罪。
「────────いや、"かいりせーなんちゃら"ってのが、良く分かんなかっただけだって。だから謝んなよ・・・・・・・えーと、要するに、オレとしずくの事を言ってるん・・・だよな?」
が、どうやら違うらしい。
「そうだよ」
「そっか。なんかカッケーな、その呼び方」
笑って山伏の別人格はそう言ってくれた。
嫌われた訳ではない事にほっとして、同時に、そんな自分に嫌悪感を抱く。
「─────────」
「上里。別にオレもしずくも、こんな程度でオメェの事は嫌いになんかならねーよ。安心しろ」
「───────────おれ、顔に出やすいか?」
「ああ。文字通り、顔に書いてあったぜ?」
ケラケラと笑って、山伏は言う。
「・・・・・前にお前、自分の事話してくれたろ」
「・・・・・・・・・そうする必要があっただけだよ」
「だとしても、だ。しずくには、そんなお前が格好良く見えたらしいぜ?」
「───────なんか、照れる」
「まあ、だからさ・・・・・なんつーか・・・・・・アレだ。これからも、しずくと仲良くしてやって欲しい」
「文脈が滅茶苦茶だが、無論だ。ついでに一つ訂正を申し込む」
「あ?」
「
「─────────ホント、オメェって奴は・・・・・」
と、その時。
「ん?倶楽部のグループメッセージに連絡・・・・・」
>乃木園子です
>乃木園子です
>乃木園子です
「───────なんだこりゃ?」
───────あいつ。
「・・・・・・・山伏────じゃ駄目だな。シズクで良いか。行くぞシズク」
GPSを起動させ、ミカに園子の現在地を調べさせつつ、山伏の別人格改め、シズクの手を取りその場所に向かう。
「は?おい、なんだよ!?何があったってんだよ!?」
「園子が迷子」
「マジか」
「以前須美に『迷子になったら名前を三回連呼して』って言われててなぁ・・・・・」
「・・・・・なるほどな」
「ちなみにこれで五回目」
「多いな!?どんだけ迷子になってんだよ!?」
―――――――――――†――――――――――
ミカのサポートもあって、園子はあっさり発見できた。
「えへへ~♪お騒がせしました~」
「・・・・・・今後、園子には首輪でも着けておいた方が良いかもしれん」
「そうね」
「だな」
「ええ~!?」
おれたちのやり取りを、シズクとアスカが少し離れた場所から眺めている。
「いやはや、のっこが無事でなによりだよー。ねー、シズ」
「────だな」
安心した様子のシズクが目を閉じる。なんだ?山伏と交代するつもりか?そうはいかん。
「おい、シズク」
「・・・・・・・・・んだよ」
「園子たちに自己紹介くらいしたらどうだ?」
「───────いや、必要ね「シズ」・・・・・・・・わーったよ」
アスカに遮られ、渋々従うシズク。アスカには勝てないのかもしれない。
三人にシズクが自己紹介している間に、ようやく佳南もやってきて、結局、倶楽部の面々が全員揃ってしまった。
「──────やれやれ、今日も騒がしそうだ」
そう愚痴るおれだったが、その心は、これから起こるであろうハプニングに対して、自分でも理解できる程にワクワクしていたのだった。
次回、"7月10日"