しずくちゃんとアスカの出会いの話。
次のEXTRAは三月を予定
─────それは、ある日の話。
「そういえばさ」
「・・・・・・・?」
午後の休み時間。
アスカが外に他の友達と遊びに行っており、しずくと一正が教室に残っている時のことだった。
「お前とアスカって、何時からあんな仲なんだ?」
「・・・・・・・・・気になる?」
「まあ・・・・・・少し。今暇だし」
「・・・・・・・・・・・・・」
「────話辛い事なら、無理に聞かないが」
「別に、いい・・・・・・・ちょっと、思い出していただけ」
そう言って、ぽつぽつ話始めるのだった。
―――――――――――†――――――――――
アスカとしずくが出会ったのは、二人が六歳の頃。
当時のしずくは両親から虐待されており、いつも身体中にアザをつくっていた。
そんなある日、彼女はアスカに出会った。
「どーしたの君?だいじょーぶ?」
「────────────」
両親の事もあり、アスカから差し出されたその手を、しずくは握ることが出来なかった。
だが、アスカはそれに構わず、しずくを引っ張って自宅へと連れ帰り、傷だらけのしずくを治療してあげたのだ。
それが、二人にとっての馴れ初め。
―――――――――――†――――――――――
「・・・・・最初、私にはわからなかった。なんで、私を助けようとしてくれるのか・・・・・でも、アスカと一緒にいるうちに、なんとなく、わかってきた・・・・・アスカは、底抜けに優しい子。だから、私みたいな子を、放って置けないって・・・・・・」
「──────そうか」
「私は、それが嬉しかった。お父さんも、お母さんも、私をいじめる・・・・・・だから、私の周りには、敵しか居ないって、思い始めていたから・・・・・」
「アスカが、お前を助けたんだな。精神的にも」
しずくはこくりと頷いて、笑った。
やがて休み時間終了のチャイムが鳴り、アスカが友達と共に教室へと帰ってきた。
「いやー!たぁのしかったーー♪」
「おかえり、アスカ」
「ん?うん、ただいま~・・・・・・・どったの?」
「・・・・・・なんでもない」
アスカに笑いかけながら、しずくは、自分が枢木家にお世話になるに至った時の事を思い出していた。
―――――――――――†――――――――――
それは、二人が出会って二年が経った頃のこと。
しずくの両親が無理心中を謀ったのだ。しずくの誕生日だった。
幸いにも、しずくは重症を負うのみで、命に別状はなかったが、しずくは天涯孤独の身となってしまった。
その時もアスカは、しずくへ救いの手を差し伸べた。
渋る両親を説得し、ある条件を呑むことで、しずくを養子として迎え入れたのだ。
その条件というのが、『大橋市への引っ越し』だった。
かねてより検討はしていた引っ越しだったが、アスカが「どうしても!」と駄々をこねる為に先延ばしとなっていた案件。その「どうしても」の理由の大半がしずくにあったアスカとしては、しずくと共に居られるのであれば「ちょっと友達と会いにくくなるだけ・・・」と我慢すれば良いだけのことだったので、二つ返事で承諾。
そうして、アスカとしずくは、大橋市へとやって来たのだった。
―――――――――――†――――――――――
「・・・・・ねえ、アスカ」
「んー?なぁに?」
帰り道。隣を歩くアスカにしずくは訊ねる。
「引っ越した理由って・・・・・・結局、なんだったの?」
「え?引っ越しの理由??」
実はしずく、引っ越しの理由をこれまで知らないでいたのだった。
「うーん・・・・・つまんない理由だよ?それでも、聞きたい?」
「・・・・聞きたい。教えて?」
ちょっと渋い顔をするアスカだったが、簡単に言うと───と前置いて、
「前のお家さ・・・・・・・狭かったんだよ」
「───────────え?」
「いや、だからさ。前の家が狭いから、だから、引っ越ししたの」
「───────────それだけ?」
「それだけ」
「────────────────」
これにはしずくも微妙な顔。
「─────お金、それなりにあるって、言ってなかった?」
「うん。ボクらが成人しても、何不自由なく暮らしていける程度にはあるらしーよ」
「──────────それなのに?」
「それなのに」
「─────────────お金、使い処、間違えてる?」
「うん。ボクもそー思う」
微妙な空気が流れる。
「あー!もー!そんなんはどーでも良ーの!それよりずっく!今日は一緒にお風呂入ろ♪」
「やだ」
「即答!?なんでよー!いーじゃん一緒に入ろーよ~~」
「アスカ、私の胸触ってくるから」
「ぐへへへ、ずっくのちっぱいを育ててあげやう~」
「変態、嫌い」
「変態じゃないもん!たとえ変態だとしても、変態と言う名の淑女だもん!!」(ドヤァ)
「・・・・・・・・ドヤ顔すること?」
二人は今日も、仲睦まじく、一日を過ごすのであった………
補足説明
この時代の枢木家は大赦のパトロン。投資したお金は回り廻って枢木家に戻ってくるから、お互いにWinWinの関係を保てている。
徳島の枢木家は三人で暮らすには、ちょっと手狭な大きさ。そのため、しずくが増える事を渋った。「狭い家じゃ、伸び伸び子供を育てられない」が両親の持論だとかなんとか。