契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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とじとものゆゆゆコラボ、第二弾やるの早すぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・・・・

もうお金ないよぉ(泣)




輝夜のF -月下の桃園-

ガガァン!!

 

「ぅおお・・・」

 

「どうだい。君の要望を可能な限り叶えてみた結果だけど」

 

「最高」

 

「それはなにより」

 

ガション、と音を立てて二の腕から空薬筴が排出される。同時に強制廃熱機構が作動し、熱気が俺を襲った。

 

「あっつ!!」

 

「ふむ・・・ちょっと向きを考えないとかな?」

 

「そーしてくだちい」

 

このあと、廃熱機構の他、いくつかの微調整を施してもらい、俺は店をあとにしたのだった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

その夜―――

 

「お・ま・た・せ~♪」

 

「おう。随分と待ったぞ」

 

「んもー、そこは嘘でも『今来たところだ』って言ってよー」

 

「こんなあからさまに時間の必要なセットを用意しておいてかぁ?」

 

今、俺と友奈は俺の家の屋根にいる。ウチの屋根は平たくなっている部分があるため、そこに食器類を持ち込んで、小さいながらもお茶会の真似事ができるのだ。

 

「そんな訳で、本日のお茶菓子は『嵐ヶ丘』のクッキーでーす」

 

「わぁい♪」

 

「寝れなくなるから、あんま食い過ぎるなよー?」

 

「ふぁーい」

 

クッキーを頬張りながら答える友奈。その様はリスを連想させる。

 

「・・・・・・・ふう」

 

紅茶を一口飲んで、空を見上げる。

煌々と輝く満月とその周りで瞬く星々。

杏子さんが言うには、バーテックスとは、頂点、という意味らしい。そして、全部で十二体いるバーテックスには、それぞれ、黄道十二星座から名付けられていることも。

明日辺り、風さんも同じ話をしてくれるだろうけども、その前に予習ができるのならば、それに越したことはない。

 

「―――――――――」

 

ふと、友奈に視線を向けると、空でも、クッキーの方でも無い、別の方向をしきりに気にしていた。

 

「―――東郷のことか?」

 

「あ・・・・・・うん」

 

まあ、アイツ見るからに気落ちしてたもんな。

しゃーない。

 

「友奈、今から特別ゲストを呼ぼうと思うが・・・・どうだ?」

 

「え――――それって・・・」

 

友奈の期待のこもった視線を受けて、俺は夜空を舞った。

 

―――――――view,change:美森―――――――

 

「はぁ・・・」

 

気分が晴れない。

理由は分かっている。今日のことだ。

 

「(私一人、変身できなかった・・・)」

 

輝夜くんに至っては変身せずに単身突撃し、友奈ちゃんの危機を救ってみせた。

だのに、私は――――

 

「(このまま変身できなかったら、私は、みんなの足手まといになってしまう。そんなのは、嫌。でも―――)」

 

寝台に腰掛け、一人、悶々と考えを巡らせる。

と、その時―――

 

コンコン、と窓を叩く音が聞こえた。

そちらを見る。

 

「ハーイ♪こんばんは、お嬢さん」

 

「え?かぐ、や・・・くん・・・?」

 

輝夜くんが、窓に腰掛けて私の方を見ていた。

戸締まりはちゃんとしていたはずだけど・・・

そう思って、窓をよく観察していみると、一部が丸く、切り取られていた。問い詰めるように視線を輝夜くんへ向けると、彼はおもむろに左の人差し指を外した。そこには先端から火花を散らせる細長い針があった。それを使って窓を開けたのだろう。

 

「―――――不法侵入は犯罪ですよ」

 

「これは手厳しい」

 

私の指摘に、輝夜くんは肩を竦めておどけてみせた。

 

「それで、こんな時間に何のご用?」

 

「うむ、ちょっとね」

 

そう言って輝夜くんが私の側まで歩み寄ってきて、

 

「よっと」

 

「きゃ!?」

 

私を抱き抱えた。

こ・・・これは、所謂『お姫様抱っこ』という物では!?

 

「か・・・・輝夜くん!?」

 

「要件は一つ、君を拐いに来た」

 

「え―――――――!?」

 

私が何か言うよりも早く、輝夜くんは私を抱えて、窓から、月光が淡く照らす宵闇の世界へと、私を連れ出したのだった。

 

―――――――view,change:友奈―――――――

 

「きゃあああああああああああああ!!!」

 

夜の町に、東郷さんの悲鳴がこだました。

と、同時にがしゃん、と隣で音が聞こえたから、そっちを向いたら―――

 

「おまたせ」

 

「――――――――」

 

風にたなびく二人の黒髪。

かぐやちゃんにお姫様抱っこされている東郷さん。

 

月明かりの下、わたしの目に映ったのは、そんな、キレイな光景だった。

 

「――――――――――ふわぁ」

 

「?どうした友奈。ボケっとして」

 

「写真一枚、いいかな!?」

 

「思う存分撮りたまえ」(キリッ

 

「輝夜くん!?」

 

かぐやちゃんから許可をもらったので端末でめっちゃ撮りまくった。

 

「うん、良いね!実に良いよ~♪」

 

「そりゃなにより」(キメッ

 

「これでかぐやちゃんがお姫様みたいなかっこしていたら、もっと良かったのになぁ」

 

「俺!?」

 

「―――――ふふふ」

 

―――――――view,change:輝夜―――――――

 

「よっと―――どうだ?」

 

「うん、平気。ありがとう輝夜くん」

 

「呼んだのはこっちだしな。このくらいはやって当然だろ」

 

東郷のために即興で椅子を作り、そこに座らせる。

よし、これで準備が整った。

 

「さてプリンセス。君の悩みを聞かせておくれ」

 

「え・・・」

 

「かぐやちゃん・・・・・・」

 

げんなりした様子で友奈がこちらを睨む。

なんだよ、良いだろ別に。回りくどいのって嫌いなんだよ。知ってるだろ?

 

「―――――輝夜くんは、すごいね」

 

「当然、俺だからなぎゃ!!」スパーン!

 

「かぐやちゃんはもう黙ってて!」

 

「ひどーい」

 

「ぷっ」

 

東郷が笑う。

はたかれた頭を掻きながら、友奈と顔を見合わせて、殆んど同時に二人して笑った。

 

―――――――――――†――――――――――

 

「二人は、風先輩が黙っていたこと、怒ったりしないの?」

 

ひとしきり笑いあった後、ぽつりと呟くみたいに東郷が聞いてきた。

 

「うーん・・・それを言ったら、俺だって体のこと、みんなに黙ってたんだぜ?」

 

「あ・・・」

 

左腕を叩く。

東郷が気まずそうな顔をしたが構わず続ける。

 

「確かに、俺のことと風さんのことはベクトルが全然違う。でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「――――――」

 

だからさ、と前置いて俺は東郷に問う。

 

「東郷は、風さんの何に対して怒っているんだい?今まで黙っていたこと?こんなことに巻き込んだこと?それとも、別の理由?」

 

「――――――」

 

「聞かせて欲しい」

 

真面目な顔で東郷を見つめる。友奈は心配そうに俺と東郷を見守る。

少し、間を置いて、東郷がぽつぽつと語りだした。

 

「――――あのね、本当はわかっているの。風先輩は、みんなのことを思って、黙っていた。それが、どれだけ苦しかったか。誰にも、家族である樹ちゃんにすら、言えない。きっと、すごくつらかったんだと思う。それは、わかっているの。でもあのとき、私だけ変身できなくて、そのせいで、すごく、もやもやしてて・・・。『事前に言っていてくれたなら・・・』そんな風に考えてしまって・・・・・・」

 

「東郷さん・・・」

 

「―――――――そう思うのは当然だろ。なにも悪いことじゃない」

 

「でも友奈ちゃんは変身した。輝夜くんだって、変身できないのに戦った」

 

「俺たちは『そうしたい』からやったんだ。別に褒められるようなことじゃない」

 

「でも―――」

 

「『でも』もへったくれもねえ!!」パシーン

 

東郷の頭をはたく。

はたかれた東郷はぽかーんと口を開けてこちらを見る。

 

「死んだばっちゃが言っていた!『時間とは、塞き止められない川である。永遠に流れ続けるが故に、一度過ぎ去ってしまったモノが、還ってくることは無い。だから、前を見ろ。後ろにばかり気を取られるな。でないと次の時、また取り逃がしてしまう』ってな!」

 

「――――――そっか」

 

我点がいったのか、東郷は穏やかに微笑んだ。

 

「――――ええっと?」

 

友奈は首をかしげている。俺の言葉の意味を理解できなかったようだ。

うん。まあ。しょーがないよね。ばっちゃの言葉ってかなり抽象的だからなぁ。そこがカッコいいんだけど。

 

「要はアレだ。『後悔先に立たず』ってこと」

 

「なるほどー!」

 

納得がいったようでなにより。

 

「じゃあ東郷さん。わたし、東郷さんのことを守る!」

 

「唐突だなオイ」

 

えへへーと笑う友奈に少し呆れつつも、東郷を守る宣言には、俺も賛成だ。

 

「東郷さんは無理しなくて大丈夫だよ。わたしが、東郷さんの分もがんばるから!」

 

「友奈ちゃん・・・」

 

「俺のことも忘れてもらっちゃ困るぜ?」

 

「輝夜くん・・・・」

 

「かぐやちゃんもなの?じゃあ二人でがんばろー!」

 

「おう。だがな、友奈。俺はお前のことも、守るつもりだ」

 

「え、わたし!?」

 

なんでそんな意外そうな顔をしてるんだ、こいつは・・・

 

「だってお前。ぜってぇ無理するだろ。ストッパー役が必要になると思うのよ」

 

「そんなのかぐやちゃんだって!」

 

「おう。そうだな」

 

「あっさり認めたー!」

 

当然、俺はお前らよりもオトナだからな!(キリッ

 

「だからさ、友奈。俺が()()無茶をやろうとした時は、傍にいて、止めて欲しい。こんなの、友奈ぐらいにしか頼めないからな」

 

「―――――もう、かぐやちゃんったら」

 

「―――――私も」

 

「ん?」

 

「東郷さん?」

 

「―――――私も、戦う」

 

「ええ!?でも東郷さ―――」

 

友奈の口に指を当てて黙らせる。東郷の瞳には、さっきまでと違い、しっかりとした決意に満ちていたからだ。

 

「私、いつも二人に助けてもらってばかりで・・・だから、今度は私の番。私も二人のことを守る・・・・・・!」

 

「――――そうか。それなら」

 

左腕を天高く掲げる。

 

「「?」」

 

「ほら、二人もやるんだよ」

 

俺に促され、二人も渋々左腕を天高く掲げる。

 

「我ら三人、輝く月下に宣言す。我ら、互いを信じ、互いを守り、互いの為に戦うことを、ここに誓おう!」

 

「――――えっと、かぐやちゃん、なにそれ?」

 

「『三國志』の『桃園の誓い』。まんまじゃなくてかなりアレンジ加えたやつだけど」

 

「おおー!じゃ、わたしも誓う!」

 

「うふふ、私も、誓うわ」

 

ここに、誓いは成った。

この日交わした誓いを俺は、『月下の桃園』と名付けたのだった。

 

 




『鉄火場』について――

西暦時代の科学技術を継承しつつ、更なる発展を目指して日々研究を重ねている大赦直属の組織。しかし、大赦内での地位は低く、与えられる予算も少ない。
その為、喫茶店を経営して予算の足しにしている。
局長は三好春信。
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