契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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勇者部メンバーのカップリングは数在れど、どういうわけか『ふうみも』が取り沙汰されることって滅多にないよねぇ


Vの襲来 -今度は私が・・・-

翌日―――

 

特に何事もなく授業を受ける。昨日の事で何かしら追及されると思っていたが、そんなことはなかった。

俺ら、目の前で消えたんだぞ?なのになんで、誰も何も聞かない?

 

「(そういや、風さんがなんか言ってたな。大赦にフォローしてもらうとかなんとか・・・・まさか、それのせい?)」

 

「かぐやちゃん」

 

ぺちぺちと友奈に頭を叩かれて、我に帰る。

どうやらもう授業は終わって放課後になっていたらしい。

 

「大丈夫?ぼーっとしてたよ?」

 

「・・・・・・・やべぇ、授業内容聞きそびれた」

 

まあ、いいや。東郷にノート写させてもらうとしよう。

 

「おーい、東ご―――」

 

「・・・・・・・・・・・・・(ぼー)」

 

ブルータス、おまえもか。

 

「とーごーさーん?」ペチペチ

 

「・・・・はっ!ああ、ごめんね友奈ちゃん」

 

「珍しいこともあるもんだ。おまえが授業内容聞いてないなんて」

 

「・・・・・・その・・・風先輩に、なんて言えば良いのかなって思って・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・えぇ、それ今更ァ?」

 

「うぅ・・・」

 

まったく・・・・ウジウジしやがって。

いい加減でやめて欲しいので、車椅子の手摺を持ち、部室に向かう。それに対して友奈は呆れてはいるものの何も言わない。

 

「オラ行くぞ」

 

「ええっ!?輝夜くん!?」

 

「大丈夫だよ東郷さんっ。わたしが付いてるから」

 

「だいたいが心配し過ぎなんだよ、お前はさ。ちったあ前向きにモノを考えろっての」

 

「友奈ちゃん・・・・輝夜くん・・・・・」

 

「はーい、そんなワケで高速バス『月夜に輝く道標』号。はっしーん!」

 

「え?ちょっ」

 

前降り無しの廊下ランナウェイ!テンションハイウェイ!ゴーアウェイ!

 

「イィィィィヤッフゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「あーあ、またかぐやちゃんの悪いクセが・・・・」

 

このあとむちゃくちゃおこられた

 

―――――――――――†――――――――――

 

「さ・・・・さて、みんな無事・・・で?なによ、り、だ・・・・よね?」

 

「―――――――――」(放心している)

 

「・・・・・・・・・・」(拳骨食らって伸びてる)

 

「え・・・ええっと、友奈さん。東郷先輩と煌月先輩、どうしたんですか?」

 

「気にしなくってへーきへーき。ちょっと爆走バイクしちゃっただけだから」

 

「はあ・・・・」

 

「あー、とりあえず起こそうか・・・・話ちゃんとしたいし」

 

「はーい」

 

―――――――――――†――――――――――

 

「・・・・と、いう訳なの。わかったかしら?」

 

風さんの解説により、昨日の出来事が良く分かった。

 

「樹海にダメージが入ると、現実にも影響がでる・・・・か」

 

ディバイディング空間的なモンじゃないのかアレ。世の中、そう上手くは出来ていないのね。

 

「・・・・・風先輩」

 

「・・・・・・・何?東郷」

 

「私たちを集めたのは、大赦からの指示・・・・・なんですよね?」

 

「・・・・・そうよ。私はこの地区の担当として選ばれたから」

 

「そ・・・そっか、他にも候補の人たちがいる・・・んですね」

 

「ええ。人類存亡の一大事、だからね」

 

「・・・・・・・・・こんな大事なこと、どうして言ってくれなかったんですか?」

 

「・・・ごめん東郷。でも当たる確率の方が少ないくらいで・・・」

 

「それでも、言ってくれれば何かしらの対策が取れました」

 

「・・・・・・・・・・ごめん」

 

「樹ちゃんや友奈ちゃんも、死んでいたかも知れないんですよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「と・・・東郷さ」

 

二人を止めようとした友奈を制する。

ここは成り行きに任せよう。目配せでそう伝える。

 

「勇者部五ヶ条にもあるじゃないですか。『悩んだら相談』って・・・・」

 

「っ!!」

 

風さんの顔が強ばる。

無理もない。五ヶ条は俺たちで考えた勇者部の約束事。それを部長たる風さん自身が守っていなかったと、東郷は責めている。

 

「・・・・・・そうよね。部長失格、よね」

 

「そうですね。風先輩は、一人で抱え込んだりせず、私たちに話すべきでした」

 

だから、と一呼吸置いて、東郷が笑って告げる。

 

 

 

 

 

「次からは、ちゃんと話してください。どんなことでも、なるべくなら、受け止めますから」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・え?」

 

風さんはきょとん、としている。どうも東郷が怒っていると思っていたようだ。

 

「・・・・怒らないの?」

 

「怒ってますよ勿論。でも、それはもういいんです。だって―――」

 

 

 

 

 

「勇者部に入ってからの日常が、すごく、楽しかったから」

 

 

 

 

 

「――――――ふぇ?」

 

「御役目のことを黙っていたことは怒ってます。でも、同じくらい、勇者部に入ってからの日々が楽しかったから。だから、私の中では、その二つは相殺されるんです」

 

東郷は語る。怒りは当然あるけれど、それと同じくらい、楽しい日々を送れた、と。

 

「そうですよ風先輩!もし適性がなかったらわたしたちは会えなかったんですから!」

 

「確かにそうだな。む、そう考えると適性に感謝だな!」

 

友奈の言葉に同意する。

 

「でもかぐやちゃん、勇者じゃないよね」

 

「それを今言うのかよ!?」

 

「心配しないで輝夜くん。あなたの分も私が頑張るから」

 

「待った。それじゃ俺が勇者部辞めるみたいに聞こえるんだが!?」

 

「えー?だって、勇者部は勇者のための部活でしょー?かぐやちゃんは勇者じゃないんだから・・・」

 

「え、ちょっ、待っ、まさか俺・・・・クビッスか?」

 

「今までありがとー」

 

「輝夜くんのことは忘れないわ・・・」

 

友奈が手を振り、東郷は涙を浮かべている。

 

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

絶望に満ちた俺の声が部室にこだまする。

 

「・・・・はぁ、なんだかバカらしく思えてきた」

 

「よかったね、お姉ちゃん」

 

「・・・・・・・うん」

 

と、その時―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪~♪~♪~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海化警報が鳴り響く。

 

「連日強襲!?流石に厳しくねーか!?」

 

「大丈夫よ。今度は私も戦うから・・・!!」

 

端末を握りしめる東郷を見て、頼もしさを感じる。

やだぁ、ちょっち惚れちゃいそう・・・

 

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