グリッドマンかっこよかったわぁ・・・・(恍惚)
輝夜は突撃してきた夏凜を前に棒立ちのままでいる。
夏凜が左の木刀を振り下ろす。
輝夜は、それを最小限の動きでかわし、追撃で来た右の木刀を左手で弾いた。
「やるじゃないの!」
「まあね」
「なら・・・・これはどう!!」
右払い、左振り下ろし、右振り上げ、左突きによるコンビネーション。
やはり輝夜は、それを最小限の動きでかわし、最後の突きに至っては左手で掴んでみせた。
「─────く!?」
慌てて引っ張るが、木刀が輝夜の手から抜ける気配は微塵も無い。
「─────一つ、」
「!?」
咄嗟に夏凜は、輝夜が持ったままの木刀から手を離し、距離を取る。
「昔話をしようか」
「────────は?」
「ほれ」
「あ」
木刀を投げ返される。夏凜は慌ててそれを拾った。
「──────」
「ほら、どうした?打ち込んで来なよ」
このまま輝夜の言うことに従うのは癪だったが、一本も取れないままの方がもっと癪だったので、夏凜は打ち込むことにした。
「これは、俺の知人たちの話をまとめたものなんだがな・・・」
そんな前置きをしてから、輝夜は話を始めた。
―――――――――――†――――――――――
春さんには奥さんがいたって話、知ってる?あ、知ってる。ならOK。
その奥さん──名前は『三好結女』っていうんだけど・・・それも知ってる?ああ、会ったことあるんか。じゃ、話が早いね。
結女さんは五年前、何者かによって連れ去られて、そのまま亡くなったんだと。
・・・・動き、止まってるよ。
─────そうそう。もっと激しく打ち込んでおいで。
さて、続きを話そうか。
当時、結女さんは妊娠していたらしいよ。多分春さんのことだし、産まれてくる子供の名前でも考えながら、毎日を幸せに過ごしていたんじゃないかな?
でも、それも唐突に終わりを向かえた。
その日、産気付いた結女さんを救急車に乗せて、自分は後からタクシーで、掛かり付けの病院まで向かったそうだ。
病院に着いた春さんを待っていたのは、何者かによって結女さんの乗った救急車が結女さんごと持ち去られた。という知らせ。
当時、春さんは大赦内で結構上の地位にいたんだってね。自身の権限で可能な範囲で結女さんの行方を探し回ったそうだよ。
結局、見つからなかった訳なんだけどさ。
それから数日後───
春さんの家に連絡が来たそうだ。
結女さんが、遺体となって、発見されたって、連絡が───
・・・・・・だから、動きが止まってるってば。
それとも、もう、止める?
────────そう。それで良い。動いて。もっと。
よし。それじゃ、続けようか。
と言っても、俺が話せるのはここまでなんだけどさ。
こっから先は誰に聞いてもわからなかった。
多分、春さん自身にしかわからないと思う。
だから、俺の話はここまで。
打ち込みも、ここまでにしようか・・・
お疲れさん。
―――――――――――†――――――――――
「──────────」
「どうだった?自分の知らない春さんの事を知って」
「──────あんた、いったい何がしたいの?」
夏凜が怨めしそうに輝夜を見る。
その視線を受けて輝夜は
「・・・・・・強いて言うなら、仲直りして欲しい・・・かな」
「──────なによ、それ」
「春さんには色々世話になってるからさ。余計なお世話なのは百も承知だけど・・・」
「──────そう」
夏凜が、自分の顔を拭う。
「あんたの言うことが本当かどうか、確かめる。その上で、考える」
「うん。今はそれで良いんじゃない?」
輝夜が薄く笑う。
「さ、帰ろ帰ろ。多分みんなもう待ってるかもな」
「へ?みんなって───」
「あ、いや。なんでもない。さー!帰ろー帰ろー」
「へ?え?ちょっと!?」
輝夜に引っ張られて、夏凜は自分の家に帰宅したのだった。
その夜、勇者部により、夏凜の誕生日パーティーが開かれたのだった・・・
―――――――――――†――――――――――
数日後───
「───輝夜」
「ん?」
夏凜が輝夜を呼ぶ。
二人は屋上に移動して話を始める。
「大赦に連絡したけど、兄貴の事については知らぬ存ぜぬを決め込んできたわ」
「─────なるほど、そう来たか」
「まさか、大赦がここまで真っ黒な組織だったとはね・・・」
「こんなんでも、神樹様を祀ってる組織だからな。影響力目当ての薄汚い奴がいてもおかしくはないさ」
「────あんたって、意外と頭良い?」
「まっさかぁ!」
ハハハと笑う。
そんな輝夜に嘆息する夏凜。
「───────私、もう少し探りを入れてみる。結女さんがなぜ死んだのか、それを調べるために」
「そうか、頑張れよ。そんなお前さんに─────ほれ」
輝夜が何かを夏凜に投げ渡す。夏凜はそれを受け取る。
「・・・・・箱?」
「匿名希望さんからのバースデープレゼント」
「!それって・・・・」
輝夜は唇に指を当てて沈黙。
その様子から察した夏凜は、渡された小箱を暫く眺めて、意を決し、包装を開けた。
「─────リボン?」
中には、鈴付きのリボンが入っていた。
「─────へぇ、なかなか洒落たモンプレゼントするじゃん」
「─────────」
夏凜は今着けているリボンをほどき、プレゼントされたリボンを新たに着ける。
「・・・・・似合ってるぞ、夏凜」
「──────────────ありがとう。そう、伝えておいて」
赤い顔で輝夜にそう告げた夏凜には、年相応の少女らしい柔らかさがあった。