あ、若葉様復活のお話は省略させていただきました。
それと、丸亀城の戦いも省略させていただきます。
この二つ、原作とそう違いがほとんど無いので、今更書くことでもないかなぁ・・・というのと、その辺り入れたら話数が増えて増えて仕方ないので、略せるところは略させてもらいます。ごめんなさい。
というか、ぶっちゃけ書ける気がしない。
こんな僕ですが、それでも応援してくださる方々、どうぞ今後ともご贔屓に!
それでは、お納めください。
僕が目覚めたとき、目の前にみぃの顔があった。
「やあ、おはよう、みぃ」
「――――――――――――――ふぇ」
実に近かった。みぃの吐息が感じられるくらいに。
「なんだい、寝起きドッキリ的なアレかい?」
「り・・・・・・りりりりりりりっ・・・くん・・・?」
トマトみたいに顔を真っ赤にして、まったくかわいいなぁみぃは。
「勿体無いなぁ、身体が動けばイロイロ反撃できたのに」
「――――――――――――――――」
あれ?反応がない。フリーズしてる?困ったなぁ。
「みぃ?おーい、みーぃ?」
「――――――――――――――――きゅう」
僕のお腹に向かってみぃが倒れた。
みぃの頭の重さをお腹で感じる。なんというか・・・すごく・・・いいかも・・・
「りっくんそれ、すっごくデンジャラスな考えよ」
いつの間にいたのか、歌野が扉のそばに立っていた。
「お、歌野か。おはよう」
「ええ、グッモーニンりっくん。調子はいかが?」
「身体が動かない以外は平常運航」
「それはグッドね」
扉から離れ、ベッドの脇の椅子に座る。
「さて、グッドニュースとバッドニュース、どっちから聞きたいかしら」
「悪い方からがいいなぁ」
「オーケー」
僕が寝ている間に、みぃと上里クンは大社本社に呼ばれ、神樹様から直接、神託をもらったそうだ。
内容は僕が夢でも聞いた、『近々、バーテックスの総攻撃がある』ということ。
「でも、それはひなたさんが受け取った神託よ」
「まるでみぃは別の神託を受けたみたいな言い方だね」
「オフコースよ、りっくん」
歌野が、苦虫を噛み潰したような顔をする。
ここまで歌野の表情を苦々しくさせるとは・・・・・・
「内容は?」
「・・・・・・・・・りっくんと同じ、悪魔と契約した人間が、バーテックスサイドの仲間になったそうよ」
なるほど、前回のあの炎はそいつの仕業か・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・あんまり、びっくりしてないのね」
「人間なんて十人十色。僕らみたいに、『みんなを守りたい』って考えるやつもいれば、反対に、『人間を滅ぼしたい』って考えるやつもいるだろうからね」
「・・・・・・・・・もしかして、りっくんは会ったこと、あるの?そういう人に?」
歌野の問いには沈黙をもって、答えとした。
「・・・・・・・・・まあいいわ。その件は後でゆっくり話ましょ。はい、バッドニュースはこれでフィニッシュ。ネクスト、グッドニュースよ!」
「そういう切り替えの良さ。嫌いじゃないよ」
「サンクスりっくん。それで、グッドニュースなんだけど、なんと!四国以外に生存者が見つかったらしいわ!」
「本当に!?」
思わず飛び起きそうになったが、相変わらず体はまったく動かないので、ガタガタとベッドが揺れるだけだった。
「ええ!でもだいぶ遠いらしくって、合流はベリーハードなんだそうよ」
「そっか・・・・・・」
でも、生存者が見つかっただけでも、今の僕たちにはグッドニュースに違いない。
「それと、もう一つ」
「え?まだあるの?」
「今はまだ噂に過ぎないのだけれど、本州瀬戸内海側で誰かがバーテックスと戦っているらしいわ」
「え?」
「しかも!その誰かさんは、これまたりっくんと同じ悪魔と―――いい加減長いわね。略して『契約者』って呼びましょう」
こうして、『契約者』の名前は誕生した。
「いやいや!ちょい待ち!そんなテキトーでいいの!?」
「こういうのは早い者勝ち、言った者勝ちなのよ!」
「なんてひどい」
「その辺りのお話は、後でみんなに伝えておくとして、今はその契約者のお話ね」
伝えておくのか。まあ、今はどうでもいいか。契約者の話の方が重要だ。
「とは言ったものの、今はまだ噂程度にしか、確認されてないのよ」
「それでも、わかっていることはあるでしょ?」
「オフコース!」
歌野の話をまとめると―――
①契約者の所在地は不明
②活動時間は日中と予想されている
③瀬戸大橋付近には現れず、内陸部をさ迷っているらしい
以上三点が、現状判明していることだ。
「・・・・・・分かってはいたけど、かなりあやふやだね」
「仕方ないわ。そもそも噂の存在だもの。逆にここまでわかっているだけでもエクセレントよ」
「そりゃそうだな」
その後、面会終了時間まで他愛のないおしゃべりをして、歌野たちは帰っていった。
ちなみにその間、みぃはずっとお腹の上で気絶しっぱなし。帰るときは歌野におんぶされて帰ったのだった。
―――――――――――†――――――――――
数日後、何事もなく退院した僕を待っていたのは―――
「これが・・・・・・スマートフォン・・・・・・っ!」
僕専用に開発された変身アプリと、それがインストールされたスマホだった。
「これでりっくんも勇者服に着替えられるわね!」
「そういえば、今までそのままの格好で戦っていたんだったな・・・・・・」
若葉が苦笑する。僕が寝ている間にイロイロあったらしく、前よりも雰囲気が柔らかくなった気がする。
「なあ輪廻、さっそく変身してみてくれよ!というか、タマに見せタマえ!」
「タマちゃんにさんせーい!りんくんの変身、私も見てみたい!ね、ぐんちゃん♪」
「えっと・・・高嶋さんが、そう言うなら・・・」
「おっし、それじゃ・・・あ・・・・・・・・・」
スマホを持って変身しようとして、固まる。
「・・・・・・・・・輪廻さん?」
「―――――――――」
「ん?どうした輪廻?なんで変身しないんだ?」
「―――――――――えっと」
「どうしたの、りんくん?何かあった?」
「―――――――――えー、非常に、言い辛いことですが・・・・・・」
「なんだ?急に改まって」
「これ、どうやって電気入れるの?」
『えっ・・・・・・?』
―――――――――三時間後―――――――――
「よ・・・・・・・・・ようやく電源はいった・・・・・・」
「スマホを起動させるだけで・・・三時間もかかるなんて・・・」
「郡クン、みなまで言わないで。自覚はしてるんだから・・・」
「だ・・・誰にだって苦手なことくらいあるから、大丈夫だよ!ねっ!」
「友奈、スマホ使えなきゃ変身できないんだよ?全然大丈夫じゃないよ・・・」
「うぇっ!あ、ええと―――」
友奈がわたわたする。言葉が見つからないなら、無理に励まそうとしなくたっていいのに・・・・・・まあ、それが友奈の良さなんだけどさ。
「ドンマイよりっくん。使い方さえ判ればりっくんなら平気だもの!」
「要は『習うより慣れろ』、ということだな」
「イエス!」
「ま、それしかない訳だしね!」
歌野と若葉の言葉を受け、「よっし、いっちょがんばるさ!」と気合いを入れて、スマホにむかう。
――――――――更に二時間後――――――――
「よっしゃああああああああああああ!!変身できたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「おおおお!かぁーっこいー!」
「ナイス根性だったわ!りっくん!」
称賛の言葉が響く中、僕は変身した自身の姿を観察してみる。
「あ、これどうぞ。手鏡ですが」
「お、さんきゅ」
上里クンから手鏡を受け取り、改めて僕の勇者服を眺めてみる。
全身を被う黒インナーの上に、羽織るようなイメージで纏う勇者服は、全体的に友奈のそれに近い形状をしていて、その色は上半分が黄色で下が緑。
腰や肩など、関節を保護するように装着されたパーツは白っぽい銀色。
そして、生物的でありながらどこか機械的な感じで、赤いラインがまるで血管のように勇者服全体に描かれていた。
「ふむふむ、基本的なところは友奈のと同じ感じかな?」
「そうね・・・高嶋さんの勇者服に、似てる気がする・・・」
郡クンのお墨付きともなれば、流用を疑うレベルで同じと見ていいだろう。(あくまで個人的な感想です)
「それにしても・・・・・・輪廻、お前けっこうムキムキだな」
突如として、タマっちクンがそんなことを言いだした。
それに呼応して伊予島クンが、
「確かに!何というか、『男の人』って感じだよね!」
なんというか、ちょっとこそばゆい。
「これでもっと身長があれば・・・・・・格好よかったのにね・・・」
「うぼあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
郡クンの容赦のない一言が、僕を傷つけた!!
「りっくん!!」
倒れる僕をみぃと歌野が支える。
「ぐほぅ・・・・・・嗚呼、みぃ・・・歌野・・・僕はもう・・・・・・駄目だ・・・」
「何言ってるの!たかが身長をディスられた程度よ!」
「そうだよ!こんなことで倒れるなんて、りっくんらしくないよ!」
「いいや・・・僕には分かる・・・自分のことだから・・・な・・・」
「りっくん・・・」
「歌野・・・みぃ・・・あとは、たのむ・・・ぞ・・・がくり」
「「りっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」」
「あ、そうだ。輪廻さん、一つお聞きしたいことがあるのですが」
「ん?なんだい、上里クン」
「あ、起きた」
「・・・・・・何だったのよ、今の」
関西人のアレみたいなもんだから、気にするな。
「輪廻さん、携帯を持ったことがないのですか?」
「ああ、うん。そうだね。スマホなんてハイカラなモン、持ってるやつなんて一人もいなかったよ」
「そうなの!?」
「そうだよ。うちの所で電話と言ったら、『黒電話』が主流だったねぇ」
「くろ・・・でんわ・・・」
「どんな未開の地域だよ!」
「仕方ないね。かなり山奥の方だったし。ああ、でも山降りればちゃんと街があるし、スマホ売ってる店だってあったよ」
「持ってないなら・・・意味無いわよね・・・?」
「さっきから郡クンの一言が痛い!」
「あはは・・・諏訪でもスマホ使わなかったもんね」
「そうね。だからりっくんが機械オンチだなんて、全然知らなかったわ」
「使わないでいいならそれでいいし、ね」
「パソコンはどうなんだ?」
「触れたことすらありませーん」
「機械オンチというより、知らないだけ、のような気がしますね」
その後も、ワイワイと雑談に興じる僕たち。
漂う空気は仲の良い友人グループのよう。
以前はそこに、しこりのような、まだまだ溶けきれてない、わだかまりを感じていた。
今は違う。
僕らはきちんと、打ち解けあえた。
これならきっと、次の襲来も乗りきれる。
僕はそう、信じていた。
これは、後に『丸亀城の戦い』と呼ばれ、後世に語り継がれることになる大戦の、少し前のお話。
戸塚輪廻について③
低身長がコンプレックスである彼は、それを補うために幼い頃から身体を鍛えている。
そのおかげか、今では現役アスリートもかくやという、素晴らしい肉体を獲得するに至った。
ちなみに、寝ている輪廻のお腹を枕にして寝るのが、歌野の密かな楽しみ。
「低反発枕みたいでベリーグッド!」とは歌野談