あ、「キングクリムゾンッッッ!!!」の方が良かった?どうでもいい?そっかー( ´・ω・)
「暇ー、退屈ー」
「だからって入り浸るなよ・・・・」
みんなでカラオケに行った日の翌日。
諸事情で飼えなくなった子猫の受け取り依頼をこなすために、友奈、東郷、夏凛のチームと、犬吠埼姉妹チームに別れて行動している。が、俺は体質───というより、義足の発する電磁波の影響で動物に嫌われてしまうため、一人ハブられることとなった。
なので、暇な俺は"嵐ヶ丘"に来ていた。
「そんな暇なら勉強しろー、学生」
今日の担当はマルさんだけのようで、他の二人は見当たらない。
そんなマルさんに、カウンターの上に頭を乗せてぐでーっとしていた俺は、その頭をぺちぺちとお盆で叩かれる。
「だぁって~~・・・・」
「勉強はしといた方が良いぞー・・・本当に」
「急にマジなトーンしてどーしたんスか?」
「いや───────先生にどやされた時のこと、思い出して・・・・・・・」
青い顔をして、ガクガクブルブルと震えだすマルさん。
なるほど、現役教師時代のばっちゃ、そんな怖かったんか・・・・・
「ほら、コーヒーやるから今日はもう帰れ。んでもって勉強しろ」
「へーい・・・・」
仕方ないので、差し出されたコーヒーをイッキ飲みして、今日の所は帰る事にした。
じ・・・・・・っと、こちらを見る、誰かの視線を、背中に感じながら。
―――――――――――†――――――――――
特に何も無いまま、更に翌日。
部室に行くと、机の上に大量の薬瓶が置かれていた。
夏凛がドヤ顔しているから、十中八九夏凛の私物だろう。というか、この中でこんな大量に薬瓶持ってるの、夏凛ぐらいだよな。
「ついにヤク中女が他の連中をシャブ漬けにしようと────!?」
「んな訳あるかぁ!!」
話を聞くと、どうやら樹の為に喉に効果のあるサプリを多種用意したとの事。やっぱシャブ漬けじゃん。
「さあ樹!これを飲みなさい、全種類!!」
「えぇ!?」
「いやいや、無理でしょ」
「流石の夏凛ちゃんでも難しいと思うわ」
「そうだぞー。自分で出来ない事を他人にやらせようとするなよー」
「上等だコラー!!やってやろうじゃないの!!!」
最後の俺の煽りが効いたのか、夏凛がキレて机のサプリ全種類をイッキ飲みしだした。
※彼女は特別な訓練を受けています。絶対に真似しないで下さい。※
最後にオリーブオイルを一気に煽って全制覇達成。めでたくねぇ。
「ぷはぁ・・・・・どうよ!」
と、次の瞬間顔色を青くした夏凛は、口元を押さえて部室から駆け足で出ていったのであった・・・・・
ちなみに俺は爆笑の渦に巻き込まれた。
あー、お腹痛い!
んで結局、樹には効果がイマイチだったようで特に何も起こらなかった。
まあ、そんなもんだよなぁ。
―――――――――――†――――――――――
「んで?話って?」
部活が終わって帰ろうとしたところ、樹が俺に相談を持ちかけてきた。
「あの・・・・実は」
どうも樹は、姉と違って自分には戦う理由が無い事に悩んでいるようだ。勇者部に入ったのも、風さんに勧められたから。
「私には・・・・何も無い・・・・」
「いやいや、あるでしょ」
「───────────え?」
「今は気付いてないだけさ。何も無いなんて、そんなこたぁ無いよ」
「でも─────」
「なら、なんで勇者部に居続けられるんだい?」
「え?それってどういう・・・・?」
きょとんとする樹の頭を撫でながら、俺は告げた。
「樹。キミが風さんの後ろを、ただ何も考えずに追いかけているだけの人間なら、こんな大変なお役目を背負わされた部活、さっさと辞めてる。でも、キミはまだ続けているだろ?それはつまり、続けたいと思うだけの"何かしら"が樹の中にあるからさ」
「私の・・・・中に?」
「それがなんなのか、俺にはわからないし、見付けてあげることも出来ない。これは、樹自身が見付けなくちゃならない事だからね」
「────────────」
「そろそろ完全下校時間か・・・・ほら、明日はテストの日だろ?」
「あ、そうでした!」
「がんばれ樹。俺は応援してるぜ。テストも、理由探しも」
「──────────煌月先輩、ありがとうございます!」
ペコリと頭を下げて、樹は去って行った。
―――――――――――†――――――――――
翌日の放課後。
俺たちは部室にて、樹の来訪を待っている。
「樹ちゃん、大丈夫かな・・・・」
「大丈夫よ。なんたって私の妹だもの!」
とは言う風さんだが、さっきから作業に集中できていないのが目に見えて明らかだ。
と、その時、件の人物が部室に到着した。
「樹ちゃん。結果は────?」
「─────────────────バッチリでした!」
晴れやかな笑顔と共に告げられた結果に、部室内は歓声に包まれた。
「やったね樹ちゃん!」
「きっと、みんなをカボチャだと思ったのが良かったのね!」
「ふ────ふん!良くやったじゃない!」
「おめでとう。信じてたぜ、樹」
「みなさん────────ありがとうございます!!」
その後、風さんの提案で、樹の歌を聞くこととなった。
前日、カラオケで聞いた時よりも、綺麗で、澄わたっていて、思わず聞き惚れてしまった程の、素敵な歌声だった
―――――――――――†――――――――――
「いやぁ!樹、歌のテストで合格できて、良かったな!」
「そうね────────って、なんで付いてくるのよ!?」
帰り道、今日は夏凛と一緒に帰る。
帰るというか、"嵐ヶ丘"に向かっている。
「俺が夏凛に付いて行ってるんじゃなくて、たまたま夏凛と向かう場所が同じなだけさ~♪」
「─────────そういうことにしといてあげる」
「かっかっかぁ♪」
むくれる夏凛を笑いつつ、"嵐ヶ丘"に向かって並んで歩く。
その途中────────
「あの・・・・・・『こうづきかぐや』・・・・さん・・・・・でしょうか・・・・・・?」
目の前に、謎の金色の鉄塊に乗った幼女に話かけられた。
鉄塊は、先細りした十本の足で自立しており、アスファルトがひび割れて凹んでいることから、相当重量があるように見える。
「───────そうだけど、キミは?」
夏凛の前に立ち、幼女に問う。
茶色の髪の、どことなく、
「ああ、よかった・・・・・・間違えずにすんで─────」
微笑むと同時に鉄塊から降りると─────
「じゃあ────────しんでください」
幼女は鉄塊と思っていたそれを持ち上げると、俺に向かって振り下ろしたのだった。