「え!?輝夜くんが!!」
「─────そんな」
東郷と友奈が、夏凛から告げられた御社の刺客襲撃の報に驚愕する。
「すぐにでも援護に行かないと、あいつ・・・・絶対無理するだろうから・・・・」
「で・・・・でも、バーテックスは?どうするんですか?」
「それは──────」
樹の指摘に沈黙する夏凛。
その時、友奈が声を上げる。
「かぐやちゃんなら大丈夫!」
「友奈ちゃん・・・・?」
いつも通りの笑顔で、それでも、一抹の不安を瞳に抱きながら、友奈は言う。
「かぐやちゃんは、夏凛ちゃんに言ったんでしょ?『バーテックスの方は頼む』って・・・・なら、今はかぐやちゃんを信じよう!」
「──────友奈」
「友奈さん・・・・・」
「そうね・・・・友奈ちゃんがそう言うなら・・・・!」
そこに、偵察に出ていた風が帰ってくる。
「敵さん、壁の外から仕掛けてくるみたい!」
「よぉっし!かぐやちゃんの分もがんばるぞー!!」
気合いを入れる友奈にきょとんとする風だったが、すぐに気を取り直して報告する。
「ありゃ多分、残りのバーテックス全部来てるわね・・・・・」
「まったく────気合い入り過ぎてこっちもサプリ増し増しよ・・・・・樹もキメとく?」
「いえ・・・・遠慮しときます・・・・」
「よし・・・・みんな!気合い入れて行くわよ!!と言うわけで・・・・・ここはアレ、いっときましょ!」
「アレ?なによ、アレって・・・」
風の言葉に、夏凛を除いた全員が肩を組んでわっかを作る。それはいわゆる────
「え・・・・円陣!?」
「気合い入れるならこれが一番女子力高いのよ!」
「意味わからんわ!!」
「ほらほら~♪夏凛ちゃんも早く~~」
友奈が自身の左側を空けて、夏凛を招く。ちなみに右側は東郷が陣取っている。
「・・・・・・ったく!しょうがないわね!」
ツンデレ台詞を吐きつつ、夏凛も円陣に加わったところで、風が音頭を取る。
「あんた達!これが終わったら、何でも好きなもの奢ってあげるわ!だから、死ぬんじゃないわよ!!」
「やった♪じゃあみんなでお腹いっぱい美味しいもの食べよう!肉ぶっかけうどんとか♪」
「ふんっ、言われなくても殲滅してやるわ!」
「わ・・・私も、叶えたい夢があるから・・・・!」
「頑張って皆を────国を護りましょう!」
「よぉーーし・・・勇者部ファイトーー!!」
『おぉーーー!!!』
そうして華は、戦場に舞う。
散り往く運命を知る事無く─────
―――――――――――†――――――――――
勇者達が戦闘を始めた頃、輝夜はニルヴァーナをその手に呼び出していた。
「ま・・・・さか・・・・・・・あなたが、持ってる・・・・なんて────」
「ほう・・・・なるほど、ニルヴァーナの行方については、あんた等は知らなかったってワケか」
呟きながら、輝夜は近くの木の根に、ニルヴァーナの先端でコン、と叩いた。
その瞬間、叩かれた地点からメキメキと枝が伸び、幼女に破壊された輝夜の右足を覆い尽くした。
「よっ・・・と」
ボールを蹴るようなモーションで、枝から引き抜かれた右足は、色味以外は元通りになっていた。
それを確認した輝夜は、数回足踏みをして一言、良し、と呟いた。
「めっちゃカラフルだけど、それ以外は良好────っと・・・・・んじゃ、おっ始めるか!」
来る────!
そう直感した幼女は、身を守るように両手を前面に広げた。
直後、彼女の頭上から、大量の鉄杭が降ってくる。
「っ!?」
咄嗟の判断で上を視た幼女は、そのまま鉄杭を両手で叩き潰した。
空中で杭は鉄塊となり、幼女にはねのけられる。
「さすがに今のは避けられるよなぁ。──────────じゃ、これは?」
輝夜がニルヴァーナで地面をカツン、と突くと、幼女の足元から蔦が伸び、幼女の両手足を縛りつけた。
「─────っ!!」
「更にそこから・・・・・・!」
パチン、と指を鳴らす。
幼女の周囲に、炎、水、土、鉄、木で出来た弾丸が無数に出現し、輝夜はその間に指で銃の形を作ると・・・
「・・・・Fire」
輝夜の一声で弾丸は発射され、全て幼女に突き刺さった。
─────────ように見えた。
「・・・・・・・逃げたか。地面掘って逃走とは、なかなか奇抜な幼女だこと」
幼女が自身の足下に空けた穴を見ながら、輝夜は考える。
(あの子・・・・・なんとなぁく、夏凛に似てた・・・・・・いや、むしろあの顔立ちは─────)
と、そこまで考えて中断する。否、させられた。
何故なら───
「なんだ?あの光・・・・・?」
遠くに見えた目映い輝きに、そうせざるを得なくなったからだ。
「──────そうだ。バーテックスが来てたんだっけ。しゃーないからこのまま俺もいくか。何が出来る訳でもないけど・・・」
ニルヴァーナはしまわず、持ったままで輝きが見えた場所まで跳躍して行く輝夜。
その後ろ姿を、幼女が遠くから見ていた。
「・・・・・・・・次は、逃がさない・・・・・・から」
呪詛のように呟いて、幼女は立ち去って行ったのだった。
次はいきなり戦闘終了後の話───────に、なるかも?