契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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煌月輝夜の華麗で喧しい日常風景ー入院編ー

「・・・・・・・・んぁ」

 

普段の寝起きは良い筈の俺だが、今回ばかりは流石に頭がまだぼやけている。

時間は─────あれ、時計無いや。ナースコールナースコール・・・・と。あった。ポチッとな。

さて、ここは何処だ?病院なのは判る。こう見えて病院に入院するのは三度目の経験だ。──────胸張れる事じゃないな。

 

―――――――――――†――――――――――

 

やって来た看護婦さんに色々聞かれたり聞いたりして、情報を共有。どうやら俺は三日間寝っぱなしだったらしい。マジかー・・・・

 

「かぐやちゃん!!」

「お、ゆうな゛っ!?!?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!かぐやちゃんのばかぁ!!!ばかばかばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

俺が起きたのを聞いたらしい友奈が病室に突撃してきた上に、俺に飛びかかってきてぽかぽかと叩いてきた。

 

「うぐぅ・・・・いってぇな・・・・飛びかかんの止めろよ・・・・ったく・・・・」

「うぅぅぅ・・・・だってぇ・・・・・」

 

半泣きの友奈の頭を撫でると、友奈は叩くのを止めた。相変わらずぐずっているが。

 

「ほら、俺もちゃんと起きたんだし、みんなんとこ行こうぜ?」

「・・・・・・・・・・・・・うん」

「おいおい、もういい加減泣き止めって・・・・」

「────────かぐやちゃんのせいだもん」

 

むすっとした表情をして、友奈がとりあえず泣き止む。

そんな友奈の手を引いて、俺たちは病室から出た。

 

―――――――――――†――――――――――

 

「お、煌月!!やっと起きたのね!!心配したんだから!!」

 

談話室に行くと、風さんたちが居た。

と言っても東郷だけが病衣(もしかしたら検査衣か?)を着ていて他の連中は全員讃州中の制服を着ていた。

 

「あれぇ?お前らもう既に退院済みかよ・・・・・・っつーか風さん。その眼帯どーした?」

「フフフ・・・・これは先の大戦のおr「あ、そういうのいいんで」ちょっとぉ!?」

 

風さんのボケを華麗にスルーして、本題に入る。

 

「で?本当は?」

「・・・・・・うん。なんか、右目の視力が落ちてるみたいなのよ。どうもあの戦いの影響みたいなのよねー」

「─────────ふぅん。そっか。治るの?」

「医者の話だと、そのうち治るそうよ」

 

そう、夏凛が言う。

 

「そう・・・・か。医者が言うなら・・・・大丈夫かな?」

 

不安な点は幾つかあるが、専門医の言うことだ。間違いは無い─────筈だ。

 

ちょんちょん

 

「??どうした樹。なんか用か?」

 

袖を引っ張り樹がスケッチブックを見せる。

 

『こうづき先輩はどこもおかしいところ、ないですか?』

 

「ん?俺かい?へーきへーき。心配ありがとう、でもどうしたんだ?スケッチブック持って───────まさか」

『おねえちゃんとおなじです。わたしは声が出なくなっちゃいました』

 

なんと

 

「─────それも、いつか元に戻るって?」

『そうきいてます!』

「・・・・・・・・・なら、良いんだ。樹は本当に、良く頑張ったもんな」

 

樹の頭を撫でてやると、樹は心地よさそうに目を細めるのだった。

 

「さ!煌月も起きたことだし、早速始めましょ!」

「おや?何をするつもりだい風さん」

「なんか、煌月のそのキザ口調も久々ねえ。祝勝会よ!私たち、バーテックスをぜぇーんぶ!倒したんだから!!」

 

あー、なるほど。

 

「俺もご相伴に預かっていいのかい?なぁんも、してないぜ?俺」

「あら?何を言ってるの輝夜くん」

「そうよ。合体したバーテックスをバラバラにした癖に」

「私はそれ、知らないんだけどねー」

『おかげでせんとうがラクチンでした!』

「それに、かぐやちゃんも居てこその私たち勇者部だもん!今更辞退なんて・・・・許さないぞ♪」

 

にこやかに友奈が退路を塞ぐ。

 

「やれやれ・・・美少女たちからのお誘いとあっては、乗らないなんてのは野暮というもの・・・・遠慮なく、参加させていただこう」

「び・・・びしょ!?」

「わーいやったー!!というわけで、かぐやちゃん♪」

 

友奈が俺の手に財布を載せる。おや?この流れはまさか────

 

「おやつ、買ってきて♪」

 

ですよねー・・・・

 

―――――――――――†――――――――――

 

友奈がワガママを言う時というのは、大概が怒っている時だ。なので俺は大人しくそれに従う。五年もの付き合いとなれば、そういうところは自ずと判ってくるものだ。

さて、とりあえず適当にお菓子を選んで─────と、その前にマッキーや春さんたちに連絡しておこう。

 

『無事だと信じてましたよ』

「流石マッキー。でもまだ検査があるから退院は明日だそうだ」

『それも折り込み済みです。明日の晩御飯は蕎麦ですよ』

「白鳥家の伝統だな。祝い事に蕎麦」

『受け継いだものは大切にするべきですよ』

「ばっちゃからもよく言われたから知ってるよ」

 

『かぐやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

「ぅお!?びっくりしたぁ・・・マルさんか」

『おまえは何度マルたちを心配させれば気が済むんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』

「あー・・・・・すんません」

『おまえはなぁ・・・・!お゛ま゛え゛っ゛て゛奴゛は゛な゛ぁ゛!!!』

『あ、もしもし輝夜くん?』

「あ、杏子さん」

『マルちゃんが泣き出しちゃったから私から話すけど、退院したら、一度こっちに顔出してね?』

「勿論。また杏子さんのコーヒー、飲みたいッスから」

『ふふふ♪とっておきのを用意して、待ってるからね♪』

『やあ、輝夜くん』

「おお、今度は春さんか」

『君の右足はもう直したよ。夏凛に頼まれてね』

「へぇ、夏凛が・・・・あ?そういや俺、今普通の義足付けてんのか」

『そこに気付かない君はきっと、大物になれるよ・・・・(苦笑)』

「当然!だって俺だから!!」

『自信たっぷりって感じ・・・・・やっぱり輝夜くんはそうでなくちゃね』

「ところで、夏凛は他に何か言ってたッスか?」

『・・・・少し、思い詰めていたみたいだったよ。主に君の事で』

「──────うわっちゃあ」

『まあ、大丈夫って言って尻を叩いてあげたら、ボッコボコにされたから、平気だと思うよ』

「妹相手でも、それはセクハラッスよ春さんェ・・・」

 

―――――――――――†――――――――――

 

「あー!やっと帰ってきたぁー!」

「わりぃわりぃ。ちょっと各方に無事を連絡してたから」

「──────もしかして、兄貴に連絡した?」

「俺の義足の事、ありがとな」

「っっっ///べっ!・・・・べべべべべ別にっ!!大したことしてないしっ!!」

「あはは♪夏凛ちゃん顔真っ赤~♪」

「うううううるさいわね!!風!さっさと音頭取って!」

「ぅえ!?えー、本日はお日柄もよく───」

「真面目か!」

 

うーん。見事なツッコミよ・・・・流石夏凛だぜ!

 

「そんな固い感じじゃなくて大丈夫ですよ♪」

「・・・・そうね。そんじゃ!みんなお疲れ!!乾杯!!」

 

『乾杯!!』

 

手に持ったジュース入りのグラスを掲げ、乾杯する。

 

「いやぁ。まだ実感が無いなぁ・・・俺たちが世界を守っただなんて・・・・」

「輝夜、あんた何もしてないじゃない」

「うっせえ」

 

他愛の無い会話を続けながら、俺は、少し様子のおかしい友奈を見る。

──────まさか、な?

 

―――――――――――†――――――――――

 

友奈、東郷と共に病室に戻る。その途中───

 

「──────なあ、友奈。お前、どっかおかしいだろ。身体」

「ふぇっ!?」

「・・・・・・・」

「今更隠し事なんて、できると思うなよ?俺とお前の仲なんだから」

「─────あはは、東郷さんにもバレちゃってたけど、かぐやちゃんもすごいなぁ」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・味、わかんないんだ。ジュース飲んでも、うどん食べても・・・味覚?が無くなっちゃったみたいで」

「─────────東郷は?」

「え?私?」

「お前はどうだ?どこかおかしいところ、無いか?」

 

沈黙する東郷。俺はそれを肯定と受け取った。

 

「──────あるんだな?」

「──────どうしてわかったの?」

「身体がおかしくなった連中の共通点は何か。それをちょっと考えてみれば・・・・自ずと答えは見えてくる」

「───────"満開"?」

 

東郷の答えに、友奈が驚きの表情を見せる。

 

「風さんが満開したところを俺は見てないけど、したんだろ?風さんも満開を」

「うん・・・・・で、でも!治るよね?お医者さんも、そう言ってたし・・・・」

「──────そうだと、良いよな」

 

重たい空気の中、俺は自分の病室に戻って行った。




ちなみに、輝夜はこの三日間ずっと眠り続けていました。
寝てる以外は健康状態であるため、本当に普通に寝てました。いびきまでかいて。
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